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かなてぃの恋④

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「ちょっと、きて…!」

「うぉ、結城!?」

なんかちょっと焦った感じの結城に袖を捕まれ、小走りで校庭の方に連れて行かれた。

あの場を離れたかったんだろう。

暫く歩いたところで立ち止って、くるっと俺の方を向いて、聞いてきた。

「かなてぃ、さっきの、見てたの…?」

マフラーを口元に持ってきて、少し顔を赤らめていた。

男に告白された自分を見られたのが恥ずかしかったのかもしれない。

つーかその、マフラー口元に持ってきてるの、可愛すぎだから。

「悪い、見てた」

嘘ついても仕方ないから素直に答えた。

「よくあるのか?告白されること」

「…うん」

結城は小さく答えた。

「そうか、まぁ、結城は可愛いもんな」

よく考えれば、そうだよな。

こんなに可愛いんだから周りが放っておく訳ないんだ。

でも、さっきからめっちゃイライラする。

結城が俺の知らないところで見ず知らずの奴等に告白されてるってことが、自分でもびっくりするくらいイライラする。

「…別に僕、可愛くないし」

結城は、唇を尖らせて言う。

いやそれが可愛いんだって。

無自覚でそんな顔してっから告られんだよ。

「僕、かなてぃが羨ましいよ」

「へっ?なんでだよ」

突然の言葉に変な声出しちまった。

「かなてぃは、イケメンだし、背も高いし、性格も明るくて友達もいっぱいいて、ギターも弾けて、かっこいいじゃん。」

まじか、結城。

そんな風に思ってたのか、俺の事。

ドキッとしちまった。

なんだろう、すげー嬉しい。

「ありがとう、結城。あのさ、結城は、ダンスうまいじゃん。優しいし、勉強もできるし、結城は嫌がるかもしれないけどめっちゃ可愛いし、結城はいいとこだらけだよ」

俺は、思ったことをそのまま言った。

そしたら、結城はちょっとだけ驚いた顔をしたけど、その後、なんかすっげー嬉しそうな顔して言った。

「僕、かなてぃと友達でよかった」

そう言って、結城はニコッと笑った。

その時の結城の笑顔といったら金メダル級だった。

えくぼができて、小さな歯を覗かせて笑う結城。

そういや結城が笑うところってあんまり見たことなかったかも。

こんなに可愛い顔して笑うんだ、こいつ。

この時俺は、気付いた。

その天使のような笑顔を見て、気付いたんだ。

俺はずっと好きだったんだ。

結城のことを。
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