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南へ__
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「もし荷馬車がないなら乗せて行ってもらうといい」
「僕たち荷馬車はあるから。お兄さんはこの辺りは詳しいの?」
「俺は南の生まれで、ここから半日ほどの所に家はあるんだけど、各地を回ってるから中々家には帰れないんだ」
「お休みはあるんでしょ?」
「一周回ったら休みって感じかな。今回は短い期間だから。祭りの荷運びが終わって、次の仕入れが終わって運び入れれば終わり!久しぶりの休みになるんだ。君たちはどこまで行くの?」
「今は秋の国に向かってるところです」
「この時期から?寒くなるよ?」
「こことかなり違うんですか?」
「違う違う。境に行くときにはかなり冷え込むよ。まさか冬の国に行くんじゃ……」
「そのつもりですけど」
「夏にしなよ。凍えちゃうよ?秋の境と東の春の境ならまだ宿とか沢山あるけど、これからじゃ雪で進めなくなることの方が多いからね」
「行ったことあるんですか?」
「こんな商売してたらどこにでも行くって。前に冬に行ったときは積もってて中々進めなくって困ったことがある。それに今年は大雪の予感がするって親父さんも荷受けしなかったから」
ちょっといいか?と重次が会話に入ってきて、地図を見せていくつか質問をしている。
「兄さんそれは無謀だよ?今年は海と山の間のがいいって」
その後もいくつか教えてもらい、お礼を言って厩に桔花を見に行き、そっと胴を撫でる。
「寒い所は嫌だよね……ごめんね」
ブルルッと鼻を鳴らし、顔を近づけてくるので頬に手を置き、ここはまだ温かいねとか、寒い所は行ったことある?など話しかけて、そばにあった野菜置き場から人参を持ってきてあげ、またあとでねと軒下まで出て空を見上げる。
空は相変わらず厚い雲に覆われ、今は小ぶりになっているがいつまた大雨になるかわからない空模様だった。
「しーちゃん」
影から出てきた紫狐に、ここまで順調に来たけど……と話し相手になってもらい、今後病院や学校の日は近くに社がないと困るんだよねと話す。
「社はどこにでもありますー。大きさの違いはありますけど、その腕の紐で冬弥様が何かされるんだと思いますー」
「一度戻ったら栞さんに引き留められそうじゃない?」
「でも、ゆっきーは嫌なんですよね?」
「うん、僕は僕で……重次さんが居なかったらどうなってたかわからなかったけど、ちゃんと強くなって帰りたい」
「ゆっきーは強いです!」
「僕は弱いよ。今でもあの九堂が来たらどうしようとか思っちゃうし、きっと重次さんはこまめに連絡とってると思うんだけど、そんなのにおびえなくていいぐらいの度胸っていうのかな?精神的に強くなりたいんだ。それに今の僕では術が使えても一瞬だし、あの白い空間が何なのかわからないけど、きっとものすごい術だと思う。それが使える九堂はかなり強いんだと思うから、追いつけなくても何か僕に出来ることを探したいんだ」
「紫狐もお手伝いします!」
「うん。でも、一番気になるのは教科書がないことかな」
「ゆっきーらしいですけど、まさか持ってくるつもりじゃ……」
「やっぱりだめ?」
「いつも学校のお勉強なんですから!でも、今は違うお勉強なのですよね?だったら影にしまってある書物のお勉強がいいと思いますぅ」
「誰かに見られたらいやだからさ、馬車の中で読むよ。もう暗記できるぐらいに読んだんだけどなぁ」
「僕たち荷馬車はあるから。お兄さんはこの辺りは詳しいの?」
「俺は南の生まれで、ここから半日ほどの所に家はあるんだけど、各地を回ってるから中々家には帰れないんだ」
「お休みはあるんでしょ?」
「一周回ったら休みって感じかな。今回は短い期間だから。祭りの荷運びが終わって、次の仕入れが終わって運び入れれば終わり!久しぶりの休みになるんだ。君たちはどこまで行くの?」
「今は秋の国に向かってるところです」
「この時期から?寒くなるよ?」
「こことかなり違うんですか?」
「違う違う。境に行くときにはかなり冷え込むよ。まさか冬の国に行くんじゃ……」
「そのつもりですけど」
「夏にしなよ。凍えちゃうよ?秋の境と東の春の境ならまだ宿とか沢山あるけど、これからじゃ雪で進めなくなることの方が多いからね」
「行ったことあるんですか?」
「こんな商売してたらどこにでも行くって。前に冬に行ったときは積もってて中々進めなくって困ったことがある。それに今年は大雪の予感がするって親父さんも荷受けしなかったから」
ちょっといいか?と重次が会話に入ってきて、地図を見せていくつか質問をしている。
「兄さんそれは無謀だよ?今年は海と山の間のがいいって」
その後もいくつか教えてもらい、お礼を言って厩に桔花を見に行き、そっと胴を撫でる。
「寒い所は嫌だよね……ごめんね」
ブルルッと鼻を鳴らし、顔を近づけてくるので頬に手を置き、ここはまだ温かいねとか、寒い所は行ったことある?など話しかけて、そばにあった野菜置き場から人参を持ってきてあげ、またあとでねと軒下まで出て空を見上げる。
空は相変わらず厚い雲に覆われ、今は小ぶりになっているがいつまた大雨になるかわからない空模様だった。
「しーちゃん」
影から出てきた紫狐に、ここまで順調に来たけど……と話し相手になってもらい、今後病院や学校の日は近くに社がないと困るんだよねと話す。
「社はどこにでもありますー。大きさの違いはありますけど、その腕の紐で冬弥様が何かされるんだと思いますー」
「一度戻ったら栞さんに引き留められそうじゃない?」
「でも、ゆっきーは嫌なんですよね?」
「うん、僕は僕で……重次さんが居なかったらどうなってたかわからなかったけど、ちゃんと強くなって帰りたい」
「ゆっきーは強いです!」
「僕は弱いよ。今でもあの九堂が来たらどうしようとか思っちゃうし、きっと重次さんはこまめに連絡とってると思うんだけど、そんなのにおびえなくていいぐらいの度胸っていうのかな?精神的に強くなりたいんだ。それに今の僕では術が使えても一瞬だし、あの白い空間が何なのかわからないけど、きっとものすごい術だと思う。それが使える九堂はかなり強いんだと思うから、追いつけなくても何か僕に出来ることを探したいんだ」
「紫狐もお手伝いします!」
「うん。でも、一番気になるのは教科書がないことかな」
「ゆっきーらしいですけど、まさか持ってくるつもりじゃ……」
「やっぱりだめ?」
「いつも学校のお勉強なんですから!でも、今は違うお勉強なのですよね?だったら影にしまってある書物のお勉強がいいと思いますぅ」
「誰かに見られたらいやだからさ、馬車の中で読むよ。もう暗記できるぐらいに読んだんだけどなぁ」
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