下宿屋 東風荘 7

浅井 ことは

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南へ__

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結局雨は二日続き、三日目には小雨が降ったりやんだりだが晴れ間も見えたので出発することにし、宿を後にする。

商人のお兄さん達は一日先に出発してしまい、旅のコースも違うため、お互い怪我がないように旅をしようと話をして別れた。

荷台で、金と銀に翡翠が出て遊んでいる間に、紫狐と黒龍・白龍・檪も読んで巻物を見ていく。

「みんなの頭の中にはこれは流れ込んできたの?」

「我らの中には元々の知識と、雪の知識の一部がちゃんと送られてきているが、全部では無い」

「黒ー、黒ってさぁ。説明する時雪に似てるよね?」

銀がいきなりそう言うので、何のこと?と紫狐と檪を見ると、クスクスと笑っているので教えてくれというと、「説明をしようとすると、雪は慌ててしまうのか要領を得ない時がある。黒にはそれが大きく伝わっているということよ」

「僕、そんなに説明が下手かなぁ?」

「ゆっきーは、いつも慌てると肝心なことが抜けてるのですー。ドーンとか、バーンとかなったとか言うでしょう?」

「あ!そうかも!」

「白はしっかりしてるのにねー」

「こら、銀!ホントのこと言っちゃダメだろ?雪がまた泣くから」

「え?泣かないけど……」

金と銀から話を聞くと、気で練られて作られたので、どうしても性格の一部が似てしまうものだと言われ、ちょっとガッカリしながらも、なんで黒のが強いのかと聞くと、それが役割だからと簡単に言われてしまう。

「えーと、とにかくさ、僕よりみんなのが詳しいんじゃないかな?って出てきてもらったんだ。何かあった時はすぐに影に巻物持って逃げてよ?」

「あいっ!」

大きな赤い実を一日かけて食べ、ご機嫌になった翡翠が元気に返事をし、どこに閉まっていたのか金達と絵本を読んでいる。

「坊っちゃま、この先は人通りが多くなります」

「あ、気を付けるね」

注意しながら最初の巻物を開けると、やはりあまり意味がわからないことが書いてあるが、前とは少し違う様に見えた。

二つ目と三つ目も、前よりより詳しく護符などのことが書いてあるが、それだけで結局どこに行けばいいのか等全く分からないままだったので、一通りみんなに見せるだけで終わってしまった。

◇◇◇◇◇◇

「雪翔達は今どのへんでしょうねぇ?」

「お前重次とやり取りしてるんだろ?行く前に連絡取れる札渡してたじゃないか」

「渡しましたよ?南にはついてますけど、雨で足止めだそうです。あちらの家にはよらないそうで、山側から海を抜けて秋に回る様ですよ?」

「冬弥様も那智様も心配じゃないんですか?飛び出して行って、それもみなさんの前であっかんべーってするなんて……雪翔君ぽく無かったです」

「栞さんまだ怒ってます?」

「当たり前です!紫狐ちゃんや重次さんがいるとはいえ、雪翔君はまだ子供なんですよ?それをみんなが路銀まで渡してるなんて信じられません!」

「俺は渡してないぞ?」

「那智様!」

「悪ぃ。でもな?あいつは前からあんな感じだったぞ?押さえつけられるのが嫌いなんだろ?それに、前も今回もあいつの意見聞いてやらなかったのは俺たち大人だ。反発するのが当たり前だと思わないか?」
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