下宿屋 東風荘 7

浅井 ことは

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秋の国

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お昼は蕎麦屋があったので、そこで簡単に済ませ、それでも時間があったが宿に戻り、書き写しと宿題のプリントを済ませて、風呂に入る。

「足が伸ばせるー!気持ちいい」

「ぼ、坊っちゃま。ここは手すりが無いのであまり奥に行かれませんよう……」

「あそこのお湯の出てるとこに行きたいから。お湯の中だから平気だよ」

そう言って、岩の間から出ているお湯の所に行き、滝修行みたいといいながら打たれ、「結構キツいかも」とワニ歩きをしながら戻る。

「良かったね、広いお風呂で」

「ここからは風呂もこんなに広いところはないと思いますから、体を伸ばせる時に伸ばしておきましょう」

「うん。ここは街だから、ご飯は普通かな?」

「芋はやはり出るでしょうが、良い宿ですから期待していいと思います」

旅での楽しみの一つが食事ではあるが、早く書き写しをして昴と胡蝶に渡さないといけないのでと、重次にも手伝ってもらい、書き写しを終らせる。

「呼んだら来てくれるのかな?」

「はい。杖のことも伝えた方がいいと思います」

夕飯は、芋は芋でも里芋に似た芋の煮っころがしとご飯に味噌汁、漬物。それと一人用の鍋には魚と野菜が沢山入っていて、寄せ鍋みたいになっていた。

「美味しい!」

パクパクとご飯を食べ、部屋も暖かくて快適だったので、リハビリ替わりにストレッチをしてから布団を敷いてもらい、昴を呼ぶと忙しいから胡蝶を行かせると言われて待つこと数分。

「待たせたかえ?」と突然胡蝶が現れたので、寝転んでいたが、起きて書き写したものを渡し、今日貰った杖も見せる。

「杖か。そなたが箱から取り出せば妾でも持てるが、長く持つことは叶わぬようじゃ」と返してくれる。

「彫り物があって、その字がわからないから、こちらの国の古い言葉かなって思って」

「そのような文字は見たことがないが、人間の国のものではないのかえ?あちらには多種多様の文字があり、国によっても違うのであろう?」

「外国の文字って事?」

「そうやもしれぬ。それもかなり古い文字と見るが、その杖自体がかなり古いものであろうな」

「航平ちゃんなら詳しそう……」

「次にあちらに帰る時に、航平に見てもらえば良い。本とは違いその杖は誰にでも見れるもののようじゃ。しかしながら、使えるのはきっと雪翔位のものであろうなぁ」

「胡蝶さんが長く持てないってことは、航平ちゃんも持てないのかな?」

「彼は人であって人ではない。そのことは知っておろう?」

「寿命がどうのこうの言ってたのは知ってる。長生きするのに那智さんと契約?したんだよね?」

「簡単に言えばそうじゃが、元々の力の使い方といえば良いのか、我ら狐と雪翔の術の気は似ているようで全く違うもの。航平は人なれど、又違う気を操っておる。雪翔よ、深く考えなくても良い。多分、その杖はそなたにしか使えぬ」

「九堂は……巻物も触れてたし。そもそも本物かどうかもわからないけど」

「あやつの力は強い……と思う。直接対峙した訳では無いから何とも言えぬが、妾は雪翔の力の方が大きいと思うておる。あちらには様々な文字の本を用意するように伝えておこう」
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