下宿屋 東風荘 7

浅井 ことは

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秋の国

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胡蝶が帰り、杖も閉まってから布団に入り、寝転びながら重次に出してもらった地図を見る。

「冬に行くにはまたトンネルだよね?」

「はい。この境からはなかなか進めないと思います。ここまでそれほど時間をかけずに来ましたが、ここからはそうは行きません。反対側のトンネルから東に帰ることもできますが」

「僕、行くよ?」

「分かりました。中心の街で食料を買い込みましょう」

「うん」

その後、行く道を書いてもらい、冬の国は中心街を抜けて東に戻ることになった。

布団がポカポカしてきてそのまま眠ってしまい、朝起きた時には、もう日が昇り出している時間だった。

「寒っ!」

トイレに行き、戻ってくるともう朝の支度ができており、焼き魚にご飯に味噌汁と蒸した芋が付いていた。

「狐の国ってやっぱり卵料理が少ないよね」

「そうですね、あちらではたくさんあったので驚きました」

「今日はどこまで進むの?」

「隣町まで行けたらいいとは思ってます。桔花に今無理をさせると、冬で持たないかも知れませんので」

「わかった。途中で社があったら寄って。僕、学校のプリント送らないと」

「分かりました。ここからならどこに届くんでしょう?送り方は聞きましたが、誰にとは聞いてないもので」

「だよね。行ってみないとわからないか……」

進んでいるあいだでも、明るい内にと書物を読んだり、課題を進めたりしながら時折外の景色も楽しむ。

「坊っちゃま、社です」

「うん、降りるから待って」

紫狐に手伝って貰って降りてから、誰もいない社の扉を開け、中にある文机のような所にプリントとメモを封筒に入れて置く。

重次が何かブツブツと念じていると、壁の中からヌッと手が出てきたと思ったら、手だけではなく冬弥が無理矢理のような感じで出てきた。

「冬弥さん?どうしたの?」

「はぁ、無理矢理はきついですねぇ。あ、ちょっと待ってくださいね」そう言って、また出てきた腕に封筒を掴ませている。

どう見ても腕はスーツの袖だったので那智だろうと思いながら、壁から出てくるなんて何したの?と聞く。

「一度試してみたかったんですよ。この腕の紐の呼び出しと同じように、社から物を送る時に腕だけは出ることは知ってましたが、体も出るのか気になって気になって。でも、今後はやめておくことにします。術式が違うのか、まだ感覚がおかしいですから」

「あっちはいいの?」

冬弥が荷馬車に乗せてくれ、桔花を撫でたりしてから乗り込んできて、重次に出してくれという。

「あちらでのことも話したくて来たんです。まだ学校まで日にちあるでしょう?」

「うん」

そのあとに、色々と調べた結果、九堂は蛇の姿になって、体の回復をしているであろうことと、狐の国に来ているであろうこと。杖などに関する本は航平に持たされたと風呂敷から数冊の本を渡された。

「それでですね、このまま帰るか、私が付き添い旅を続けるか決めろとのことでして」

「え?なんで?」

「雪翔はおバカさんになったんですか?」

「違うもん。ほら、蛇って冬眠するじゃん。だったら今から寒いとこに行くから平気かなって思っただけだよ?」

「その前に一応アレも人だって忘れてません?」

「あ……そっか!」

「まぁ、気持ち悪い人なので忘れたい気持ちは良くわかりますが……」

「うん、忘れたいし会いたくないし思い出したくも無い」
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