【R18】紅い眼が輝く時

ノプリー

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十二月に入って寒さも本格的なものになり、時折雪も降るようになった。さすがにこの屋敷の薔薇も、葉も花も落として束の間の休息に入っている。

月の美しい今宵も、この屋敷では吸血鬼の宴が開かれていた。

「あ、はぁっ・・・・・あぁっ!だ、旦那様っ、も、いっちゃ・・・・・・!」

「まだだ」

「ふ、うぅぅぅっ・・・・・!!」

エルナはシーツを掻き抱いて必死で堪える。が、限界はすぐそこに迫っている。

ーぐちゅぅっー

腟内の弱いところを押されて、下半身が勝手にがくがくっ、と大きく揺れた。

「あぁぁぁあっっ!!!!」

はぁ、はぁ、と荒い息を吐くエルナの両脚が胸につくほど持ち上げられた。恥ずかしい格好をさせられている事に興奮してしまっている事は、ひくひくと蜜を溢す秘処を見て、旦那様も気付いているはず。

「いけないな、ミス・フィッシャー・・・・・。私はまだ達していいと言っていないのに」

「も、申し訳ございません・・・・・」

ふむ、と旦那様は実に楽しげに、悪戯っぽく首を傾げた。

「何事にも練習が必要だ。続きをしようか」

旦那様は腟内に再び指を埋め込み、掻き回す。

「やあぁぁっ・・・・!!」

エルナは嫌々をするように頭を振って、強すぎる快感から逃れようと藻掻くが、旦那様がそれを許す事はない。

「ほら、もう腰が震えてきた。まだ駄目だよ、堪えなさい」

ふーっ、ふーっ、とエルナが歯を食いしばって必死に耐える姿を、旦那様は燃えるような紅い瞳で見つめている。

エルナはそれに弱い。その紅い瞳を見ると、身体中が熱くなる。

「だんなさまっ・・・・・だめっ、見ないでぇ」

「駄目だよ。君がちゃんと言いつけ通りにしていられるか、見ていないと・・・・・・」

エルナは目をぎゅっと瞑った。そうすれば、きっと堪えられる。

そう考えて顔を逸らすエルナの顎を、旦那様はぐっとつかんで向き直させ、口づけをした。旦那様が覆い被さって、指がより深く入る。

「うぅんっ・・・・・・、ぁはぁっ」

口の端から垂れる唾液を親指で拭い取り、旦那様は低い声で言った。

「目を逸らすな」

「うぅううぅっ・・・・・・!!」

エルナはひたすら堪えた。旦那様が許しを出すまではと、最後には息も絶え絶えになるまで。

しかし、もうだめだとエルナが気をやりそうになった時、旦那様が耳元で囁いた。

「・・・・・・いきなさい」

その瞬間、まるで身体がぶわっと浮き上がったような感覚がして、エルナの視界は真っ白に弾け飛んだ。





意識がなかったのは、ほんの数秒、長くて数十秒間の事だったようだ。

旦那様の瞳は紅いままで、エルナの額や頬に張り付く髪を耳に掛けてくれていたから。

旦那様の袖をエルナはぎゅっと握り、掠れた声で言った。

「旦那様、も・・・・・・・・・」

旦那様のそれが硬く、熱を持っている事はわかっていた。

旦那様はエルナに口づけながら、両脚を取って横向きにした。

「ん・・・・・・・・」

閉じた腿の付根にぬるりとした感触がして、エルナは身体を震わせた。続けて達した身体には、わずかな刺激でも辛い。

旦那様の腰の動きに対して、エルナは波が大きくならないように、腰の位置を微妙にずらしていた。快感を堪えようとすると、揺り返しで後に大きな波に呑み込まれることは、すでに何度も経験しているため、そういったやり方を覚えたのだが。

「ひっ・・・・・?!!」

旦那様の方に向けていた耳に、いきなりかぶりつかれて、エルナは悲鳴を上げた。

ーぢゅうっ、ぢゅっ、ちゅうぅぅぅっー

耳全体を口で覆われ、耳穴には熱い舌が遠慮なく侵入する。

「あーーーーーー!!!!いや、いやあぁ!!」

乳首をぎゅっと摘ままれて、結局エルナはびくっ、びくっ、と、身体を痙攣させながら達した。

「・・・・・ミス・フィッシャー、感心しないな」

なかなか焦点の合わない目を懸命に旦那様に向ける。エルナはもう全身汗だくだというのに、旦那様は涼しい顔だ。

「今の君の仕事は何だ?」

「・・・・・だんなさまに、《お食事》をしていただくこと、です」

「そうだ。君が感じて昂ってこそ、血も他の体液も香り高いものになる。・・・・・小細工をする必要はない」

「はい・・・・・・」

「もう一度だ。出来るね?」

「はい、旦那様・・・・・」

旦那様はエルナの細く括れた腰を掴み、再び腰を前後に揺らし始めた。エルナも今度はそれに身を任せる。

「あっ、あっ、あっ・・・・・」

旦那様のものが花芽の中心を的確に捉える。エルナにはもうわかっていた。もうすぐ今日一番の大きな波が来る事が。

そして、エルナがほんの少し、腿に力を込めた時だった。旦那様はその時を待っていたかのように、腰を掴んでいた手をエルナの臍の下に当てた。

エルナはふるりと腰を震わせて、旦那様を見上げると、旦那様は微笑んでいた。エルナはその滅多に見られない表情に陶然となる。

旦那様は置いた手の平の圧を、ほんの僅かに強くした。たったそれだけの事なのに、エルナの喉がひゅっと音を立てる。

荒い呼吸と、肌と肌がぶつかる音だけが部屋に響く。

その前触れはふいに訪れた。

恥骨の後ろの辺りがぞわっとしたかと思うと、その震えは一瞬で全身に広がった。

「だんなさまっ、もう・・・・・!!」

旦那様は何も言わずに、淡々と同じ動きを繰り返す。

「あぁぁぁぁあっっ!!」

エルナが達するその瞬間、旦那様が腰をぐっと深く突き入れて、大量の熱い飛沫がエルナの剥き出しの腹に広がった。

それから《お食事》はエルナが達する度に中断され、何時間にも渡って続けられたのだった。









「・・・・・これで、良し」

復活祭の飾り付けを終えて、エルナは顔を綻ばせた。

綺麗に磨き上げた暖炉には、銀の燭台に真新しい蝋燭が立ち、手編みの靴下が二つ下げられている。オーナメントは紐に結んで、壁に吊り下げ、リースは既に玄関先に飾った。

ツリーがないのは少し寂しいけれど、飾りつけは旦那様に言われたからではなく、納戸に詰め込まれていた燭台やオーナメントを見つけたエルナが、好きにやり始めた事だ。

エルナの両親はそこまで熱心な信者ではなく、エルナもその感覚を引き継いで、普段は食事の時に軽くお祈りをするくらいだ。とは言え、やはり人々のお祝いムードは信条に関係なく楽しい。

明日の復活祭は、いつもより食事も豪勢にするつもりでいる。旦那様はあまり召し上がらなくても、お祝いの雰囲気だけでも楽しんで頂けたらいい。

とはいえ、吸血鬼の一族にとって、復活祭は決しておめでたいものではないらしい。吸血鬼を悪と捉える宗教のお祝いなのだから、当然と言えば当然だが。


ーゴンゴンゴンー


突然のノック音に、考え事をしていたエルナは、ハッとなった。

フランツが配達に来る時は勝手口からだし、冬場は庭師も滅多に来ない。郵便は昨日配達があったし。


ーゴンゴンゴンゴン!ー


さほど間を置かず、また大きなノック音が響く。エルナは手に付いた煤を拭きつつ、急いで玄関へと向かう。随分せっかちな訪問者のようだ。

「すみません、お待たせ致しました・・・・・」

と、ドアを開けたエルナに、突進されたかのような衝撃があった。精神的にではなく、物理的に。客人が抱きついてきたからだ。

エルナはいきなり抱きつかれ、さらにその人物が誰かわかって、驚きの声を上げた。

「あなた一体、どうしてここにいるの?!!」





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