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第三章
気づき
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遅くなってしまいましたが、この度第11回BL小説大賞に参加させていただいており、ご投票いただいた皆様にお礼申し上げたいと思います。
この場を借りてしまうことになりますが、本当に皆様ありがとうございます!
◇—————————————————————
朝覚めてからカナトはずっとすねていた。
昨日のパーティーで少し雰囲気良くなったかと思えば寝ているあいだに足枷をはめられた。
クソ!!抵抗できないあいだを狙いやがって!お前の帰りをおとなしく待っていたというのにこの仕打ちかよ!!
その時ドアがノックされた。
「帰れ!!」
「失礼します」
“許可”を得たムソクが入って来た。
「朝食お持ちしました」
「いるか!!アレストをここに呼べ!!じゃないと一生食べない!」
「ダメです。アレスト様が言いました。来るまでに食べないと私の食事が抜かれます」
カナトがピタッと静かになった。
「チッ……持ってこい」
目の前に持ってこられたお粥を見てカナトは思い切り顔をしかめた。
食器をつかむと咀嚼もせずに胃に流し込み、おやつ代わりのいちごを全部口の中に詰め込んだ。リスみたいに頬張ったあとごくりと飲み込む。
「ほら、全部食った。アレストを呼べ!!」
「お昼頃に来るらしいので、それまでお待ちください」
そのままムソクは出て行った。
「あんの野郎!!絶対アレストの味方だろ!」
むしゃくしゃしたカナトは枕にパンチを打ち込んだ。
そしてムソクの言った通り、お昼頃になるとアレストは姿を現した。
部屋の中に入り、ベッドを回ると床で腕立て伏せをしているカナトを見た。
「あんまり激しい運動はよくないと言ったんだがな」
額の汗をぬぐってカナトが立ち上がった。
「お前やっと来たか。これ見ろ!!」
そう言ってバンッと足枷をはめられた足をベッドに乗せる。
「説明しろ」
「……似合っているよ」
「どこかだ!昨日そんな雰囲気してなかっただろ!なのになんでまたこれつけられたんだよ!ニワノエの前ででしゃばったこと怒ってんのか?」
「まさか。むしろ僕のために行動しようとしたことがうれしかった」
アレストがベッドに腰掛けるとカナトも合わせてドスンと座った。
「じゃあこれ外せ!」
「無理だ」
「なんでだよ!」
「目を離すと盗み食いするし、すぐに壁によじ登ったりして激しい運動をするからな。胃の状態がよくないから、治るまではこの生活を続けてもらわないと」
「本当にそんなつもりで言ったのか?」
「ん?」
「お前、前にも鎖でつなぎたいとかなんとか言わなかったか」
「言ったかな?」
「俺のことバカだと思ってるだろ!こっちは覚えてんだよ!」
「思ってないよ」
アレストは軽く笑うと手を伸ばしてカナトの片脚を持ち上げてひざに乗せた。
「何すんだ」
アレストは答えずに足枷を手の中で転がすようにして遊んだ。
「確かにつないでおきたい。でも、それは足だけじゃない」
その目がスッとカナトの首をとらえる。背筋がぞわっとしたカナトはパッとその視線から隠すように首を守った。
「お前……そんな趣味あるのか?」
「ないけど、きみ相手なら不思議とそんな気持ちになるかな」
「俺にだけ?」
「きみにだけ」
カナトは頭痛がするのを感じた。
アレストのヤンデレ化はだいぶ酷いようである。
なぜこうなった!?とカナトは首を守りながらダラダラと冷や汗を流す。
俺なにかしたか!?どんなことしたらあの太陽の化身みたいな明るい人をここまで病ませるんだ!?
「アレスト!」
「なんだい?」
「一つだけ訊くぞ」
カナトはゴクっとのどを鳴らしてからゆっくりと口を開いた。
「お前、お、俺に恋愛感情……とか、ないよな?」
「………」
「いやっ、無言になるなよ!」
「恋愛感情か……」
そうつぶやいてアレストはあごに手をそえた。考える素振りをしてから明るく笑いかける。
「わからないな!」
「わからない?」
「よく考えたら今まで誰かを愛したことなかった気がする。強いて言えば父様かな。だからカナトが言ったような感情はよくわからない。家族愛となにが違うのか判別がつかないんだ。きみへの感情だって家族愛と思っていたけど……」
そこまで言ってアレストが少し目を見開いた。
「そうか……これが愛なのか」
「あ?」
「父様と感じたものとは違う。友達への思いとも違う。もっと身を焼かすような感覚だった。きみが他の人に夢中になると耐えられなくなって、何をしても頭の中はきみのことで埋め尽くされる。今まで感じたことのないほどの激しいものだった」
興奮したように見つめられて、カナトがずりっと位置をずらして少し離れた。
「お、おい!変な方向に行くなよ!それ絶対愛じゃない!恋愛感情の愛じゃない!お前の言った通り家族愛だ!正気になれ!!」
「やっと気づいた。これは愛なんだな」
「だから違うだつってんだろ!!!」
するとアレストがどこか悲しそうに眉を寄せた。腕をベッドについてほんの少し2人のあいだにある距離をつめる。
「カナトは僕のことがいやなのか?」
カナトがブルブルと頭を振る。
「じゃあどうしてこれを愛だと認めてはいけないんだ?」
「いや、そういうつもりじゃ……お前の言う通り誰かを愛したことがないならこれが勘違いの可能性だってあるだろ」
「ない」
「そんなに確信できるのか?」
「できる。気づいてしまったんだ。楽しい思い出も大切な人も、思い出すときみのことばかりなんだ。もっと近くにいたい、きみのことがたくさん知りたい、僕のことだけを見てほしい……カナトに対してしか思わないことだ。これを愛じゃないと言うならなんだ?」
「それは……」
どうやって反論するのかを考えていると、カナトはもっとも確認が必要なことに気づいた。
「そうだ!そもそもお前恋愛対象は男なのか?」
アレストが目をしばたたかせた。
「言われてみれば考えたことないな」
「そうだろ!だから俺への気持ちもただ勘違いーー」
でも、と言ってアレストは向かい合うようにカナトを抱き上げると立ち上がった。
「うぉい!!」
「さっきも言った通り、誰かを恋愛的な意味で愛したことはない。でも恋人や夫婦がするようなことなら、きみ相手だとすべてできる」
カナトの頬に冷や汗が伝う。
「ほ、本気なのか?」
「本気だ。僕はきみのことがーーんむ」
カナトは反射的にその続けられそうな言葉を両手でふさいだ。
動揺で少し呼吸が荒くなり、見つめてくるアレストからパッと視線をそらした。
俺は、どうすればいいんだ?
人生の難題を突きつけられたような感覚に背中が汗でじっとりとし始めてきた。カナトは手のひらに感じる相手側の温度にどんどん体の熱が上がっていく。
この場を借りてしまうことになりますが、本当に皆様ありがとうございます!
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朝覚めてからカナトはずっとすねていた。
昨日のパーティーで少し雰囲気良くなったかと思えば寝ているあいだに足枷をはめられた。
クソ!!抵抗できないあいだを狙いやがって!お前の帰りをおとなしく待っていたというのにこの仕打ちかよ!!
その時ドアがノックされた。
「帰れ!!」
「失礼します」
“許可”を得たムソクが入って来た。
「朝食お持ちしました」
「いるか!!アレストをここに呼べ!!じゃないと一生食べない!」
「ダメです。アレスト様が言いました。来るまでに食べないと私の食事が抜かれます」
カナトがピタッと静かになった。
「チッ……持ってこい」
目の前に持ってこられたお粥を見てカナトは思い切り顔をしかめた。
食器をつかむと咀嚼もせずに胃に流し込み、おやつ代わりのいちごを全部口の中に詰め込んだ。リスみたいに頬張ったあとごくりと飲み込む。
「ほら、全部食った。アレストを呼べ!!」
「お昼頃に来るらしいので、それまでお待ちください」
そのままムソクは出て行った。
「あんの野郎!!絶対アレストの味方だろ!」
むしゃくしゃしたカナトは枕にパンチを打ち込んだ。
そしてムソクの言った通り、お昼頃になるとアレストは姿を現した。
部屋の中に入り、ベッドを回ると床で腕立て伏せをしているカナトを見た。
「あんまり激しい運動はよくないと言ったんだがな」
額の汗をぬぐってカナトが立ち上がった。
「お前やっと来たか。これ見ろ!!」
そう言ってバンッと足枷をはめられた足をベッドに乗せる。
「説明しろ」
「……似合っているよ」
「どこかだ!昨日そんな雰囲気してなかっただろ!なのになんでまたこれつけられたんだよ!ニワノエの前ででしゃばったこと怒ってんのか?」
「まさか。むしろ僕のために行動しようとしたことがうれしかった」
アレストがベッドに腰掛けるとカナトも合わせてドスンと座った。
「じゃあこれ外せ!」
「無理だ」
「なんでだよ!」
「目を離すと盗み食いするし、すぐに壁によじ登ったりして激しい運動をするからな。胃の状態がよくないから、治るまではこの生活を続けてもらわないと」
「本当にそんなつもりで言ったのか?」
「ん?」
「お前、前にも鎖でつなぎたいとかなんとか言わなかったか」
「言ったかな?」
「俺のことバカだと思ってるだろ!こっちは覚えてんだよ!」
「思ってないよ」
アレストは軽く笑うと手を伸ばしてカナトの片脚を持ち上げてひざに乗せた。
「何すんだ」
アレストは答えずに足枷を手の中で転がすようにして遊んだ。
「確かにつないでおきたい。でも、それは足だけじゃない」
その目がスッとカナトの首をとらえる。背筋がぞわっとしたカナトはパッとその視線から隠すように首を守った。
「お前……そんな趣味あるのか?」
「ないけど、きみ相手なら不思議とそんな気持ちになるかな」
「俺にだけ?」
「きみにだけ」
カナトは頭痛がするのを感じた。
アレストのヤンデレ化はだいぶ酷いようである。
なぜこうなった!?とカナトは首を守りながらダラダラと冷や汗を流す。
俺なにかしたか!?どんなことしたらあの太陽の化身みたいな明るい人をここまで病ませるんだ!?
「アレスト!」
「なんだい?」
「一つだけ訊くぞ」
カナトはゴクっとのどを鳴らしてからゆっくりと口を開いた。
「お前、お、俺に恋愛感情……とか、ないよな?」
「………」
「いやっ、無言になるなよ!」
「恋愛感情か……」
そうつぶやいてアレストはあごに手をそえた。考える素振りをしてから明るく笑いかける。
「わからないな!」
「わからない?」
「よく考えたら今まで誰かを愛したことなかった気がする。強いて言えば父様かな。だからカナトが言ったような感情はよくわからない。家族愛となにが違うのか判別がつかないんだ。きみへの感情だって家族愛と思っていたけど……」
そこまで言ってアレストが少し目を見開いた。
「そうか……これが愛なのか」
「あ?」
「父様と感じたものとは違う。友達への思いとも違う。もっと身を焼かすような感覚だった。きみが他の人に夢中になると耐えられなくなって、何をしても頭の中はきみのことで埋め尽くされる。今まで感じたことのないほどの激しいものだった」
興奮したように見つめられて、カナトがずりっと位置をずらして少し離れた。
「お、おい!変な方向に行くなよ!それ絶対愛じゃない!恋愛感情の愛じゃない!お前の言った通り家族愛だ!正気になれ!!」
「やっと気づいた。これは愛なんだな」
「だから違うだつってんだろ!!!」
するとアレストがどこか悲しそうに眉を寄せた。腕をベッドについてほんの少し2人のあいだにある距離をつめる。
「カナトは僕のことがいやなのか?」
カナトがブルブルと頭を振る。
「じゃあどうしてこれを愛だと認めてはいけないんだ?」
「いや、そういうつもりじゃ……お前の言う通り誰かを愛したことがないならこれが勘違いの可能性だってあるだろ」
「ない」
「そんなに確信できるのか?」
「できる。気づいてしまったんだ。楽しい思い出も大切な人も、思い出すときみのことばかりなんだ。もっと近くにいたい、きみのことがたくさん知りたい、僕のことだけを見てほしい……カナトに対してしか思わないことだ。これを愛じゃないと言うならなんだ?」
「それは……」
どうやって反論するのかを考えていると、カナトはもっとも確認が必要なことに気づいた。
「そうだ!そもそもお前恋愛対象は男なのか?」
アレストが目をしばたたかせた。
「言われてみれば考えたことないな」
「そうだろ!だから俺への気持ちもただ勘違いーー」
でも、と言ってアレストは向かい合うようにカナトを抱き上げると立ち上がった。
「うぉい!!」
「さっきも言った通り、誰かを恋愛的な意味で愛したことはない。でも恋人や夫婦がするようなことなら、きみ相手だとすべてできる」
カナトの頬に冷や汗が伝う。
「ほ、本気なのか?」
「本気だ。僕はきみのことがーーんむ」
カナトは反射的にその続けられそうな言葉を両手でふさいだ。
動揺で少し呼吸が荒くなり、見つめてくるアレストからパッと視線をそらした。
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