転生と未来の悪役

那原涼

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第四章

アレストの登場

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これは本来は昨日に書くべきでしたが、忘れてしまいました。申し訳ありません。
ギリギリの時間帯に近況ボートにてお知らせしておりましたが、16日に更新できなかった分は17日に公開させていただきました。(2話更新です)
次から、なるべく更新が途切れないよう頑張ります。更新が途切れてしまい申し訳ありませんでした。m(_ _)m

◇————————————————————






よし、もう花びらはないな?

カナトはキトウの口の中をのぞいてないことを確認してからホッとした息を吐き出した。

こんなに傷つけられて、ユシルが戻ったら絶対痛いだろうなぁ。

キトウは先ほどからほとんど息しているだけで手を後ろに縛られて動けない。それでも薄っすらと目を開けてカナトの姿を見た。

「シマ、エナガ?どこにでもいるのかよ……」

「その鳥の名前を知っているんだ」

キトウがぎろっとアレンをにらんだ。

「誰だ…おまえ……」

「きみを助けられる人、だと思うよ」

「……死ねば?」

こいつバカか!?どう見てもここでそれを言わないだろ!

カナトが驚いていると「ははは!」とアレンが楽しそうに笑った。

カナトがびっくりして振り返った。

ずっと感じていたことだが、なんだか雰囲気がアレストと似ている。名前もアレストが昔自分に素性を黙っていた時に使った名前である。

偶然か?グレルとの会話にもアレストの名前が出たし、確実に知り合いだよな。

「気が強いね」

「このクズ……」

その時、またドアがノックされた。

グレルが開けると赤いコートの男と一緒に背の高い男が……その男を見た瞬間カナトが固まった。

アレストである。ご本人が入ってきた。

「アレスト、いらっしゃい」

「………」

アレンに返事しようとしたアレストがふと視界の端にカナトの姿をとらえた。じっと見つめられてカナトは思わず一歩後ずさる。

だ、大丈夫だ!正体は知らないはずだ!落ち着け自分!

「知っているのか?」

「……ああ、僕の使用人が飼っていた鳥に似ている」

似ていると言うが、なぜかアレストの目つきはほぼカナトが前に会った鳥だと確信しているように見える。

「そうなんだ。見たことのない種類だから興味が湧いて連れてきた」

「連れてきた?」

「建物の廊下に落ちていたからね」

「ああ、なるほど……」

アレストはカナトに近づいて持ち上げると底冷えするような目線を向けた。

「やっぱり、カナトが飼っていた鳥だな」

ビクッとカナトが震える。

「表情も反応もそっくりだ」

「なんだ。きみのところの鳥か。じゃあもらえないね」

アレンが残念そうに肩をすくめた。

「まさかここにいるなんてな。周りにいなくてもカナトは心配しないから、放し飼いかと思ったが、迷子か?」

カナトはなるべく反応しないようにするのが精一杯だった。万が一バレたらどんなに怒られるかわからない。

アレストは部屋まで連れてきた男に目配せをすると、相手はうなずいてから部屋を後にし、代わりにグレルがドアを閉めた。

「お二人さん、世間話もいいんですけれどね、まずは魔女をどうするかの問題に移りましょうか」

「そうだな」

応えてからアレストはカナトを握ったまま近くの椅子に座った。

室内の視線はほぼすべてキトウに向けられる。

「単刀直入に言うけど、魔女さん、きみは本物?」

キトウはアレンをにらみ上げて笑った。

「魔女とかいつまでバカげてんだ」

「実はきみを仲間にしたくて、でもその前に本当に魔法が使えるのかどうか試したいんだ」

「……なんの仲間だ」

「王室を意のままにするための仲間」

カナトはパッとアレストを見上げた。王様を手玉に取るのはわかっていたが、もしかしたら今はその計画を実行する途中なんじゃないか。

権力だけで言えばイグナスのほうが上なので、アレストは王様をかつてのとある出来事で脅し、手玉に取ることができた。

どうやら王様には若い頃、黙って王城を抜け出した期間に恋仲となった女性がいたが、その女性は妊娠したあと、当時の皇后にバレたため殺されてしまった。

しかしアレストはその女性のことを知っており、かつ王様との息子も産んでいることを教えた。証拠に、当時の王様が女性に渡した、2人しか知らないはずのペンダントを持っていた。

もう一度女性と産まれた息子に会いたいと願った王様はアレストの言いなりになり、最後はアグラウと同じ毒殺方法で殺されてしまう。

ちなみにその女性と息子の素性は最後まで明かされることがなかったため、ただアレストが王様を言いなりにさせるための嘘だという可能性もある。

「王室を?……夢見るのもたいがいにしろよ……いい年してダサ」

「でも仲間にならないときみを殺さないといけないんだ。うなずくだけで今の苦しみから抜け出せるんだよ?」

「………」

「選択肢なんて一つしかないのに、断るのかい?」

「それは選択肢と言わないだろ。……でもうなずかなければ殺されるんだな」

「うん」

「……わかった。何をすればいい」

カナトが、マジか!?という目線を向けた。魔法の使えるキトウがアレスト側につけば悪役チーム強すぎないか!?

いかんせん別の悪役すら仲間に引き入れるアレストである。他にどんな強キャラを仲間にしたのか想像もしたくない。そこに魔法の使えるキトウが加われば最悪としか言いようがなかった。

主人公側もだいぶ強キャラばかりだが、それでも王様を手玉に取ったアレストに苦戦を強いられることがある。

どうする?このままじゃユシルたちかなり苦しいんじゃ……というかますますバッドエンドまっしぐらに行ってる気がするな。

キトウを仲間に迎えたアレストたちはその後和気藹々と別れ、部屋にはアレストとアレンしか残らなかった。

「アレスト、その鳥かなり気に入っているんだね」

先ほどからカナトはずっと握り込まれたまま親指で頭をなでられていた。ちょっと気持ちよかったので途中から睡魔に襲われかけた。

「ああ、似ているんだ」

「誰に?」

アレストは答えずに笑顔でじぃとカナトを見つめていた。

「さあ……」

あやふやにしたままアレストも浄化機関をあとにして街を歩いた。

ただ、浄化機関を離れる際、アレストを部屋に案内した男が何かを耳打ちしたあと、うやうやしく送り出した。

そして、街中でも高い背はかなり目を引く。どこに行ってもチラチラとした視線を感じ、最終的にその視線がカナトに集まる。

なんで馬車じゃないんだよ。

「馬車は遠くに停めている」

まるで考えを読まれたような言葉にカナトが思い切り振り返る。

アレストも視線を下げて笑いかけた。

「カナト、きみは本当に単純で可愛いな」

今、なんて……?

確かに名前を呼ばれた。アレストの青く深い目がどこか子どものいたずらを見抜いた時の大人のような溺愛の色に満ちていた。

そこに動物を愛する人に見立てて話しかけるようなメルヘンな雰囲気は一切なく、ただ目の前の生き物がその人であると確信した目をしている。




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