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第四章
【R18】愛している
しおりを挟むアレストはカナトの体の汚れをふき取ると「取ってくる」と言って出ていった。
残されたカナトは座ってぼうとしていたが、アレストの言動を思い返して、すでに取り返しがつかないところまで来たんじゃないかと考えた。
本当にアグラウが死なずに爵位を渡すだけで好転するのかどうか自信がなくなってきた。
どうすればいい?魔女狩りは絶対に阻止しないと……いっそう打ち明けるか?別の世界から来て、ここが小説の世界で、イグナスとユシルが主人公で、アレストは将来的に殺されてしまうって。そう言ったら頭おかしいやつって思われないか?
だが、むしろ最初から打ち明けたほうがよかったんじゃないかという思いもある。そうすれば回りくどいこともしなくて済み、アレストには隠し事することもなくなる。
そうするか?
問題はそれを信じてもらえるかである。
ほどなくしてアレストが戻り、カナトが振り返った。
が、その腕に抱えている“もの”を見て目をこぼれんぼかりに見張った。
俺の体!?
「忘れたと言っていたけど、辺境伯の部屋にあった」
去り際の取ってくるって俺の体のことか!
「へ、部屋まで行ったのか……?」
「ああ、離れる時顔色が悪かったから、少し心配してな。そしたらカナトの体があったじゃないか。びっくりした」
「は、はは」
「さあ、体に戻って。お仕置きをするって言っただろ?」
「……………」
アレストは体をベッドに置いて、意識体のカナトをその上に乗せた。
「お、しおき?」
「そう。お仕置き」
カナトは自分の体とアレストを見比べて、考える素振りをすると体をフリフリさせながら近づいた。
「へへ、アレストォ」
「何?」
「本当にごめん。ただこう……そう!水浴びをしたかっただけなんだ!」
「イグナスを助けたかった、じゃなくて?」
「そのっ……そうなんだけど、ほら、俺って鳥姿だろ?なんか本能みたいな?」
正直カナトには意識体に本能があるのかどうかはわからないし、シマエナガが水浴びするのかどうかもわからない。だが今はそう言うしかない。
「そっか……イグナスに毒を与えると知っているから乱入してきたし、父様にも毒を与えているのを知ってわざわざ世話をすると言ったんじゃないかと思った」
「アレスト?」
「本当は何をするのか予想できていた。それでも試したかった。カナト、例えきみがどうなろうとも愛しているよ」
「えと、お、俺も……」
なんか、胸騒ぎがする。なんでだ。
「本当に愛しているんだ。初めて誰かを愛することを知ったのがきみだ。こんなに失うのが怖くてたまらない相手もきみだ。その心が、体が、思考の隅々まで欲しく仕方ないのもきみだ」
アレストはどこか呆けているカナトを手に乗せ、本体を片手で腕に抱いた。
「今したくなった」
「したくなった?」
「きみと」
俺と?何を?したく……ふぁ!?
その意味を理解したカナトが真っ赤になった。
「な、なななんで急にそうなるんだ!!」
「いやか?」
「い……いやなわけないだろ……ちょ、ちょっと待ってろ」
カナトがふらふらとした足取りで自分の体に飛び移った。本体に戻ると、目を開けた途端にアレストの顔が映る。
「す、少しだけ心の準備をーーんむ!」
いきなりアレストから深いキスをされて、カナトが固まってしまった。
最初はまだ離れたり突くようなキスだったが、どんどんそれが息苦しいものに変わっていく。
「アレーーむっ!」
もはや話すすきも与えられずに繰り返されるキスのなか、服がどんどん手際良く取り払われていく。
やっと口を離されるとカナトもやっと息継ぎできた。
「待って!まだほぐしてない!」
アレストの手がすでに脚のあいだに持っていかれ、ほぐしてないしまりをぐっと押した。
カナトは本当はまだ潤滑油を使っていないことを言おうとしたが、焦るあまり言い間違えた。しかし、それでも意を理解したアレストは大丈夫だと笑いかけ、棚から小瓶を取り出した。
ふだを開けて、中身を手に垂らすとゆっくりとしまりの周りに塗りこんでいく。
液体の冷たさと恥ずかしさにアレストを直視できず、カナトが手で顔を覆うと軽い笑い声が降ってきた。
「カナト、愛している」
「お、俺も……んっ」
指が少しずつと増やされ、圧迫感も広がり、敏感な点を何度も責められる。
「ふっ、ん……アレスト」
「ああ、ここにいる」
そろそろ頃合いになるとカナトがぐるんと背中を向かされた。
「挿れていいか?」
コクコクと無言でうなずく。
後孔にぐっと指とは比べ物にならない質量のものが当てられた。
「力を抜いて」
「うっ…んんッ!ああッ!!」
一気に侵入された感覚に、カナトが思わず悲鳴をあげた。
我に返る前に激しく動かされ、カナトののどから喘ぎが絶え間なくもれる。
激しい攻めのあいだに何度も気を失いかけそうになるが、そのたびアレストに呼び戻される。
腕で体を支えられなくなると一気に崩れた。
「アレスト、も……むり」
「……もう少し耐えられそうか?」
「え……?いや、まっーーああ!!」
またも激しく腰を打ちつけられて、カナトが生理的な涙を流しながらなんとか止めさせようとした。しかし、いつもなら無理だと言えばすぐにやめてくれるはずのアレストは、なぜかいくら言っても応えてくれなかった。
「ど、どうした、んぐっ!!そこ、もう突くなぁ!あああッ!」
何度も揺さぶられて、激しい快楽に涙を流した。カナトが疲れでベッドに倒れていると今度は仰向けにされた。
「アレ……スト……」
すでにいろんな液体汚れがカナトの体についていた。
「も、やめ……んんっ!?」
すでに閉じきれない後孔にまたも収まりきれない質量が満たした。
「おねがい……むり、うっ……」
泣きじゃくってもやめてもらえず、そのあいだに何度も「愛している」とささやかれた。
「おれも…愛して、る……ああ!」
「カナト、愛しているよ。誰よりも、何よりも、きみだけを愛している」
「うぅっ、えぐっ」
「泣かないで。すぐに終わるから」
「ざけん、な……」
すでにカナトのお腹なかなかには吐き出された欲望でどぷりと満たされていた。
「本当に、どうしたんだよ……ヤリすぎだろ」
「すまない。起きたら必ずおわびをするから。何か食べたいものは?」
「ケーキ……」
「他には?」
「……チョコレート」
「わかった。マカロンも欲しいか?」
「ん……」
その後も行為は続けられ、やっと終わった頃、カナトはすでに目も開けられなかった。
「カナト、平気か?」
「……うぅ」
疲れて眠りかけのカナトを覆い被さり、アレストはその涙跡のある頬をなでた。
「きみはなんでこんなにも愛おしいんだろうな。本当に誰にも渡したくない。誰にも見せたくないくらいに愛している」
「アレスト……おれも、愛している」
カナトが薄っすらと目を開けた。
「どうかしたのか……?いつもと、ちがう」
疲れすぎなせいか、語気が若干幼く聞こえる。アレストは横になり、愛おしそうにその頭をなでた。
「ああ、きみから愛していると、本心から言ってもらえるのはこれで最後な気がしてな。どうしても惜しくなってしまう」
「いつでも言うぞ」
カナトは暖かさを探してアレストの体にぴったりとくっついた。
「それでも、今みたいに抱き合えるのも、愛していると言えるのも……たぶん最後だ」
「どう、いう意味だ……?」
「……眠いのだろ?」
「うん」
「寝ていいよ。そばにいる」
カナトは言われた言葉を深く考えられず、ただ激しい眠気にどんどん意識を奪いかけられた。
「カナト、最後にどこか行きたい場所やしたいことはあるか?」
「ん……」
「起きた時にまた聞こう。おやすみ」
「おや…す……」
言い終わらぬうちにカナトは寝てしまった。
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