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第五章
迷子3人+α
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「紛らわしいんだよテメェ!!人間なら人間だって先に言え!!このアホ!!」
暴言を吐く小鳥の声に聞き覚えがあり、キトウが目を細めた。
ランプを持って近づき、カナトの姿を照らす。
「シマエナガ?お前、あの時イグナスと一緒にいた鳥か」
「だったらなんだよゴラッ!」
「以前も話したことあったか?声どっかで聞いたような……」
アレストはだんだんとカナトに近づいてくる顔を指で押し返し、冷めた声で言った。
「距離に気をつけろ」
「わ、わかってる……たくっ、出会い頭にお前とかガチあり得ないんだけど」
「罠を発動させたのはお前か?」
その言葉に、小さくぼやいていたキトウがビクッとした。
「だったらなんだ」
お前のせいかよ!
カナトが思い切りにらんだ。
このバカのせいで俺がこんなに……!
「しょうがないだろ。どこにどんな罠があるのかわからないんだし」
「だったらここら辺でうろつくな」
「道に迷ったんだよ!今さら責めても意味ないだろ!」
「意味ないとわかるなら吠えずに歩け」
アレストの冷たい声に、カナトはちょくちょく機嫌をうかがうように振り返った。どうにも腹を壊してしまいそうな冷たさに慣れない。自分を忘れていた期間の話し方とよく似ているためか、なんだが自然と体が警戒し始める。
そんなカナトの心情の変化に気づいたアレストは、あやすように指で丸い頭をなでた。
「聞いてきたのはそっちだろ……」
ぼやきながらもキトウは歩き出した。周りの壁や構造を見ながらなんとか出口を探そうとする。
「そもそも、なんでお前が地下にいるんだ」
「………」
「あれか?また何か企んでいるんだろ?」
「………」
「何かしゃべれよ……」
「黙れ」
その一言でキトウは黙った。すると、暗い廊下にこだまするのは2人分の足音のみになった。
カナトがひっそりと2人がまだ何か会話してくれたほうがよかったと思ってしまうなか、自分もその「黙れ」に声一つあげられなかった。
普段のアレストと違って、本当に底冷えする声に黙らざるを得ない。
カナトが固まったのに気づき、アレストはふっと表情を柔らかくした。
「大丈夫か?」
カナトは見上げながらなんとか2回うなずく。
「それならよかった。帰ったら何か温かい飲み物出すよ」
「うん」
2人の会話を盗み聞きしながら、先頭にいたキトウはちらりと振り返った。
さっきと打って変わった優しい声に思わず眉をひそめ、そして大きな手に守られているように囲われた小鳥を見る。
今のところ魔法が使えるのは自分とユシルだけだろうが、このしゃべれる生き物はなんなんだ、という疑問が湧き上がる。
この世界でとりわけ鳥を家紋にすることが多い。悪役のアレストは赤いオウムを飼っている。もう1人の悪役、フェンデルも家に鳥を飼っている。
なんだか悪者であればあるほど鳥と深く関係していた。だからか、キトウはこの世界で人を見る際、まずその人の周りに鳥関連のものがあるのかどうかを探す。
以前作者のSNSで鳩に攻撃されたことがトラウマになり、それ以来鳥全般が苦手と書かれていたため、この作品の世界では悪者が鳥と結びつけられることがある。
アレストがその典型例である。
なのでキトウはことさらシマエナガと瓜二つの小鳥を怪しく思った。
しゃべれるなんて、そんな鳥は原作じゃ出てこなかったけどな。
しかも知っている中じゃ、アレストがあれほど優しくなるのは特定の人物の前だけである。
対外的には親しみやすく接し、嫌いな人には適度な距離を保つ。もちろんキトウは例外であり、適度な距離を保つほどの価値もない。
それをキトウは自分でよく知っているため、特に文句はないのだが、この小鳥から妙に誰かの影がチラつく。それが少しイラつく。
あいつに似ているな。
頭に浮かぶのは長らく顔を合わせていないカナトの姿である。カナトはこの世界において、ほぼ自分と同じ立ち位置の異物である。そこまで思いいたると、まさか、という目線に変わった。
疑われているとも知らず、カナトはただなるべく体を丸めてアレストの手のひらに隠れた。心の中で「出口、出口」と念じながらやり過ごそうとしている。
その時、前からまた誰かが近づいてきた。
「おやぁ~?」
そのからかうような声にカナトも目を開けた。
今度は誰だよ!
「これはこれは、魔女に……アレスト殿。いや、今は伯爵と呼んだほうがよろしいかな?」
「好きに呼ぶといい」
赤い制服に見覚えがあり、カナトがあっと声に出しそうになり、慌てて口をつぐんだ。
浄化機関で見かけたあのグレルという人間だ。
「では祝いを込めて、伯爵と呼ばせていただきます。実は拷問器具を取りに来ましたら、まさか道に迷いましてねぇ。よかったら一緒にどうです?」
グレルが持っていた蝋燭はもうしばらく持ちこたえそうだが、残り少なくなっていた。
そしておそらく迷子をつくってしまった元凶ことキトウは、まぶたをぴくつかせて視線をそらした。
「構わない」
「ご厚意に感謝いたします。伯爵」
グレルは、アレストの手のひらで警戒気味に見てくる小鳥にちらりと視線を向けてから、ふう、と自分の持っていた蝋燭の火を吹いて消した。
かくして、一行は迷子3人+αで地下を進むことになった。
暴言を吐く小鳥の声に聞き覚えがあり、キトウが目を細めた。
ランプを持って近づき、カナトの姿を照らす。
「シマエナガ?お前、あの時イグナスと一緒にいた鳥か」
「だったらなんだよゴラッ!」
「以前も話したことあったか?声どっかで聞いたような……」
アレストはだんだんとカナトに近づいてくる顔を指で押し返し、冷めた声で言った。
「距離に気をつけろ」
「わ、わかってる……たくっ、出会い頭にお前とかガチあり得ないんだけど」
「罠を発動させたのはお前か?」
その言葉に、小さくぼやいていたキトウがビクッとした。
「だったらなんだ」
お前のせいかよ!
カナトが思い切りにらんだ。
このバカのせいで俺がこんなに……!
「しょうがないだろ。どこにどんな罠があるのかわからないんだし」
「だったらここら辺でうろつくな」
「道に迷ったんだよ!今さら責めても意味ないだろ!」
「意味ないとわかるなら吠えずに歩け」
アレストの冷たい声に、カナトはちょくちょく機嫌をうかがうように振り返った。どうにも腹を壊してしまいそうな冷たさに慣れない。自分を忘れていた期間の話し方とよく似ているためか、なんだが自然と体が警戒し始める。
そんなカナトの心情の変化に気づいたアレストは、あやすように指で丸い頭をなでた。
「聞いてきたのはそっちだろ……」
ぼやきながらもキトウは歩き出した。周りの壁や構造を見ながらなんとか出口を探そうとする。
「そもそも、なんでお前が地下にいるんだ」
「………」
「あれか?また何か企んでいるんだろ?」
「………」
「何かしゃべれよ……」
「黙れ」
その一言でキトウは黙った。すると、暗い廊下にこだまするのは2人分の足音のみになった。
カナトがひっそりと2人がまだ何か会話してくれたほうがよかったと思ってしまうなか、自分もその「黙れ」に声一つあげられなかった。
普段のアレストと違って、本当に底冷えする声に黙らざるを得ない。
カナトが固まったのに気づき、アレストはふっと表情を柔らかくした。
「大丈夫か?」
カナトは見上げながらなんとか2回うなずく。
「それならよかった。帰ったら何か温かい飲み物出すよ」
「うん」
2人の会話を盗み聞きしながら、先頭にいたキトウはちらりと振り返った。
さっきと打って変わった優しい声に思わず眉をひそめ、そして大きな手に守られているように囲われた小鳥を見る。
今のところ魔法が使えるのは自分とユシルだけだろうが、このしゃべれる生き物はなんなんだ、という疑問が湧き上がる。
この世界でとりわけ鳥を家紋にすることが多い。悪役のアレストは赤いオウムを飼っている。もう1人の悪役、フェンデルも家に鳥を飼っている。
なんだか悪者であればあるほど鳥と深く関係していた。だからか、キトウはこの世界で人を見る際、まずその人の周りに鳥関連のものがあるのかどうかを探す。
以前作者のSNSで鳩に攻撃されたことがトラウマになり、それ以来鳥全般が苦手と書かれていたため、この作品の世界では悪者が鳥と結びつけられることがある。
アレストがその典型例である。
なのでキトウはことさらシマエナガと瓜二つの小鳥を怪しく思った。
しゃべれるなんて、そんな鳥は原作じゃ出てこなかったけどな。
しかも知っている中じゃ、アレストがあれほど優しくなるのは特定の人物の前だけである。
対外的には親しみやすく接し、嫌いな人には適度な距離を保つ。もちろんキトウは例外であり、適度な距離を保つほどの価値もない。
それをキトウは自分でよく知っているため、特に文句はないのだが、この小鳥から妙に誰かの影がチラつく。それが少しイラつく。
あいつに似ているな。
頭に浮かぶのは長らく顔を合わせていないカナトの姿である。カナトはこの世界において、ほぼ自分と同じ立ち位置の異物である。そこまで思いいたると、まさか、という目線に変わった。
疑われているとも知らず、カナトはただなるべく体を丸めてアレストの手のひらに隠れた。心の中で「出口、出口」と念じながらやり過ごそうとしている。
その時、前からまた誰かが近づいてきた。
「おやぁ~?」
そのからかうような声にカナトも目を開けた。
今度は誰だよ!
「これはこれは、魔女に……アレスト殿。いや、今は伯爵と呼んだほうがよろしいかな?」
「好きに呼ぶといい」
赤い制服に見覚えがあり、カナトがあっと声に出しそうになり、慌てて口をつぐんだ。
浄化機関で見かけたあのグレルという人間だ。
「では祝いを込めて、伯爵と呼ばせていただきます。実は拷問器具を取りに来ましたら、まさか道に迷いましてねぇ。よかったら一緒にどうです?」
グレルが持っていた蝋燭はもうしばらく持ちこたえそうだが、残り少なくなっていた。
そしておそらく迷子をつくってしまった元凶ことキトウは、まぶたをぴくつかせて視線をそらした。
「構わない」
「ご厚意に感謝いたします。伯爵」
グレルは、アレストの手のひらで警戒気味に見てくる小鳥にちらりと視線を向けてから、ふう、と自分の持っていた蝋燭の火を吹いて消した。
かくして、一行は迷子3人+αで地下を進むことになった。
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