目指すは正義のコントロール! 〜命がけで魔法犯罪を取り締まる中学生活、始まりました〜

神所いぶき

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第2章 入学初日からハードすぎる!

13.放射型魔法学

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 §

「まずはここからあの的に放射型魔法をぶちかませッ! 順番になッ!」
 私たち四人がグラウンドに到着すると、トガラム先生はカカシみたいなものを指差してそう言った!  的、というのはあのカカシみたいなもののことみたい! 的は、今私たちが居る場所からかなり離れている! ここから当てるのは大変だ!
「さあ、誰からやるッ!?」
「私からやりますッ! 放射型魔法が得意なのでッ!」
「そうかッ! それは楽しみだッ! 早く見せてくれッ!」
「はいッ!」
「トガラム先生に釣られて、ヒナコさんの声まで大きくなっているのです……」
「やっぱ、変なやつ同士は気が合うんだな……」
 後ろで何か言っているのが聞こえるけど、ムシムシ! 全力の魔法を、あの的に当ててやる!
「……フレビス!!」
 手のひらに魔力を集めるイメージをして、一気に解き放つ! うん、やっぱり私はこれが得意!
「おお! 当たったでござる!」
 狙い通り! 私が放ったフレビスは、かなり離れた位置にある的に直撃した! ……って、あの的、頑丈だなあ。フレビスが直撃したのに傷ひとつ付いていないよ。特別な素材で作られていそう。まあ、当たったからいいか。
「うむッ! 見事だッ! 迷いがなく正確なフレビスだったッ! 得意と言うだけあるなッ!」
「えへへ、ありがとうございますッ!」
 トガラム先生に褒められた! 嬉しい!
「さあ、次は誰がやるッ!?」
「チトセがやるのです」
 そう言って、チトセちゃんが的に向かって右手を突き出した。そういえば、チトセちゃんが放射型魔法を使うのを初めて見るなあ。
「『グラスト』!」
 チトセちゃんの右手が黄色の光を放つ! 次の瞬間、拳大の石が現れて勢いよく飛んでいった! ……明後日の方向に。
「むう。外したのです……」
「コントロールに難ありだなッ! だが、勢いは良かったッ! 練習して精度を上げていこうッ!」
「はいなのです」
 確かに勢いはすごかった。コントロールできたら、絶対強力だ。当たったら痛いだろうなあ。
「よし! 次はどっちがやるッ!?」
 カヤトくんが、トガラム先生から思いっきり顔をそらしている。どうしたんだろう?
「えっと、じゃあオイラが行くでござる」
 次はウィガルくんの番みたい。
 ウィガルくんは、ディアラグスと戦った時に放射型魔法を使っていたよね。なんて名前の魔法だったっけ……?
「吹き飛ばすでござる! ストジェ!」
 そうだ。ストジェだ。突風で相手を吹き飛ばす魔法だったよね。
「うーむ。びくともしないでござるなあ」
 ごうごうと風が吹いているけど、的が倒れる気配はない。やっぱり頑丈だなあ。あの的。
「あの的は特別性で頑丈だから気にするなッ! 威力も精度も悪くないと思うぞッ! 特訓すればあの的を倒せるほどの威力になるはずだッ!」
「特訓あるのみ、でござるな。頑張るでござる」
「はい。一緒に頑張るのです」
 そう言いながら、チトセちゃんはウィガルくんの尻尾をもんだ。
「……何故尻尾をもむでござるか?」
「そこに尻尾があるからなのです」
 やっぱり、チトセちゃんはウィガルくんの尻尾が好きみたい。もふもふしてるものは触りたくなるよね。分かる。
「最後はキミだなッ! さあ派手に放射型魔法をぶちかますがいいッ!」
「マジか……」
 トガラム先生に肩を叩かれたカヤトくんはすごく嫌そうな顔をしている。なんか意外かも。カヤトくんは得意げな顔をしてバーンって魔法を使いそうな印象があるのに。
「カヤトくん頑張れー!」
「はあ……」
 応援したらため息を返された! 何で!?
「……飛べ。『スニドル』」
 カヤトくんは的に向かって右手を突き出し、そう呟いた。直後、カヤトくんの前に尖った氷……ツララが現れた! そのツララが的に向かって勢いよく……飛ばない!? カヤトくんのすぐ前にぽとりと落ちちゃった!
「チッ……」
「ね、ねえカヤトくん。もしかして、放射型魔法を使うのが苦手……?」
「悪いかよ」
 カヤトくんが頬を赤く染めて、そっぽを向く。
「苦手な型は誰にでもあるから気にするなッ! 徐々に慣れていけばいいさッ!」
 トガラム先生は、カヤトくんの背中を優しく叩いた。
「別に気にしてねえし……。この氷も握ればナイフ代わりにはなるしよ……」
 嘘だ。なんかしゅんとしている。カヤトくん、めちゃくちゃ落ち込んでるよ。
「カヤトくん。放射型魔法のコツを教えてあげる」
「コツだと?」
「うん。放射型魔法はね、手のひらに魔力をぎゅーってして、それからバーンってするんだよ!」
「びっくりするほど参考にならねえ……。ぎゅーっとかバーンって何だよ……」
 カヤトくんが余計に落ち込んじゃった。ひょっとして私、説明がヘタ……?
「カヤトさんが得意な設置型魔法は式を書き込んだり、発動のタイミングを考えながら行動する必要があったりと理詰めで使うものなのです。対して、放射型魔法は感覚的に使うものなので……」
「物事をあれこれ考えるタイプは苦労するかもしれないなッ! 放射型魔法は思い切りが大事だッ!」
 確かに、カヤトくんはじっくりと考えて魔法を使うタイプかもしれない。私と正反対。
「つまり、ヒナみたいな単純バ……単純なやつが上手く使えるのは当然ってことか……」
「ねえカヤトくん。今、単純バカって言いかけなかった?」
「気のせいだ」
 うん。そういうことにしてあげよう。それよりも……。
「……トガラム先生。私、先生が魔法を使うところを見てみたいな!」
 私がそう言うと、トガラム先生は大きな口を開けて笑った。まるで、その言葉を待ってましたと言わんばかりの表情だ!
「よーしッ! 見せてやろうッ! ワシの放射型魔法をなッ!」
 トガラム先生が、右手を天に向かって勢いよく伸ばした!
「『レド•フレビス』ッ!」
 トガラム先生がそう叫ぶと、先生の頭上に大きな炎の塊が三つも現れた! そしてその炎の塊が大きな弧を描いて飛んでいく! 
 ――炎の塊は、ほぼ三つ同時に的に直撃した! その瞬間、的が粉々に砕け散る!
「すっごーい!」
「しまったッ! 加減するのを忘れてしまったッ! 修繕費がかかるッ!」
 的を壊してしまったのがショックだったみたいで、トガラム先生がその場に崩れ落ちてしまった! せっかくかっこよかったのに台無しだ!
「弘法にも筆の誤りなのです。失敗は誰にでもあるのです」
「ワシを励ましてくれるのかッ!? ありがとうッ! だが何故尻尾をもむ!?」
「そこに尻尾があるからなのです」
「み、見境なしでござる……」
 隙を見せたトガラム先生の尻尾をもむチトセちゃんと、それを見て自分の尻尾を背中に隠すウィガルくん。面白い光景だなあ。
「……時間は有限ッ! 落ち込んでいるヒマはないなッ! 予備の的を持ってこようッ!」
 トガラム先生はガバッと起き上がり、どこかに走っていった。チトセちゃんが切なそうに手を動かしている。と思った次の瞬間にはウィガルくんに飛びかかり尻尾をもみ始めた。
「ぎゃー! で、ござる!」
 チトセちゃんの急襲にウィガルくんが悲鳴を上げる! 
 ……数分後、カカシみたいな的を抱き抱えたトガラム先生が戻ってきて授業が再開された。

 それから、私たちは時間いっぱいまで的に向かって放射型魔法を飛ばしまくったのであった。
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