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19.ワイバーンの襲撃~グラン、ベルグルside
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「ジャカネスタ国王族の護衛にあたっていた団長と副団長がワイバーンに拐われました!」
「····は?」
ここ数日、第5騎士隊は王都の北の宿営地で隣国であるドルドラ国とその隣に位置するダカント国の王族を迎える準備をしていた。
我が国の5年に1度の他国の王族を招いての大きな建国祭で、来年には俺の長兄である王太子への譲位の発表がなされる予定だ。
あと数時間でここに各国の王族達が到着するという時に、よりによって団長と副団長が揃ってワイバーンに拐われるってどういう事だ?!
「それがジャカネスタ国の王子殿下2人を王都南領のサドネル港で迎える前からあの国の船はワイバーン5頭に襲撃されていたそうで、団長達はすぐに助けに向かったそうです。
3頭を討伐した所で第1王子殿下が突然制止を振り切って走り出してワイバーンに襲われそうになり、庇った団長が爪で顔面を負傷。
副団長は船の甲板から動こうとしなかった第2王子殿下を庇ってワイバーンに鷲掴みにされたまま飛び立ち、その背に団長が飛び乗るとそのまま東方面に飛び去ったそうです。
残りの1頭はその後第1騎士隊で討伐済みとのことです」
どうしてそうなった?!
「これ以上の詳細はわかりませんが、第1隊、第2隊が合流してジャカネスタ国王族一行は無傷で王城入りしたそうです。」
「····わかった。
俺達はどのみち動けん。
他国の王族を王城に無事送った後、隊長会議の連絡が入るはずだ」
2人とも無事でいてくれ。
~ベルグルside~
「レイブ!
しっかりしろ!」
俺はワイバーンの首に掛けた捕縛用の魔術鎖を手繰り振り落とされないよう腰に巻き付け首に跨がった体を固定している。
レイブはぐったりしたままワイバーンに鷲掴みにされ、爪の刺さった腹からは血が滴り落ちている。
----
ジャカネスタ国の船が見え始めた頃、船がワイバーン5頭に襲撃されているのを確認し、すぐに第1騎士隊に王族の身柄確保を指示した。
しかし豹属の王子達だけでなく、侍従の代わりに仲の良い貴族子息数名を紛れ込ませていたようで、忠誠心と覚悟の低さからか第1王子よりも我先に救出されようと半狂乱で騎士達の指示を無視。
更に錯乱した第1王子がよりによって目立つ赤色の礼服を着て甲板に向かって走り出し、ワイバーンに必然的に目を付けられた。
お陰で庇った俺は額から左目、左頬、左側首筋をデカイ爪で抉られたが、赤い王子は力ずくで後から駆け付けた他の騎士に保護させた。
チラリと見えた第2王子は甲板に呆然と立ち、何かをブツブツ呟いていたが何を言っていたかはわからない。
こちらは副団長のレイブが魔術で風を操って地上から甲板までジャンプして走り寄っていたんだが、船の中へ連れて行こうとするも全く動かなかったようだ。
そちらに向かおうとした俺の隻眼で見えたのは、飛躍したワイバーンが第2王子に近付いてデカイ脚で掴もうとしたのを王子を突き飛ばして身代わりになったレイブだった。
その際レイブの腹に太い爪が刺さったのを確認した····くそったれが!
俺もすぐさま甲板に移動し、今にもレイブの頭を挟もうとした嘴を腰に巻いていた捕縛用の鎖で投げ縛り、そのまま背に飛び乗って首に鎖を巻き付け直して魔術で電流を流した。
それに驚いたワイバーンはレイブを更に握りしめ、俺を背に乗せたまま飛び立とうと羽をばたつかせた。
第1騎士隊の騎士数名で第2王子の身柄を確保したのを横目で確認し、全隊長に全権を委ねると第1騎士隊隊長に伝えた瞬間ワイバーンは飛び立った。
「····は?」
ここ数日、第5騎士隊は王都の北の宿営地で隣国であるドルドラ国とその隣に位置するダカント国の王族を迎える準備をしていた。
我が国の5年に1度の他国の王族を招いての大きな建国祭で、来年には俺の長兄である王太子への譲位の発表がなされる予定だ。
あと数時間でここに各国の王族達が到着するという時に、よりによって団長と副団長が揃ってワイバーンに拐われるってどういう事だ?!
「それがジャカネスタ国の王子殿下2人を王都南領のサドネル港で迎える前からあの国の船はワイバーン5頭に襲撃されていたそうで、団長達はすぐに助けに向かったそうです。
3頭を討伐した所で第1王子殿下が突然制止を振り切って走り出してワイバーンに襲われそうになり、庇った団長が爪で顔面を負傷。
副団長は船の甲板から動こうとしなかった第2王子殿下を庇ってワイバーンに鷲掴みにされたまま飛び立ち、その背に団長が飛び乗るとそのまま東方面に飛び去ったそうです。
残りの1頭はその後第1騎士隊で討伐済みとのことです」
どうしてそうなった?!
「これ以上の詳細はわかりませんが、第1隊、第2隊が合流してジャカネスタ国王族一行は無傷で王城入りしたそうです。」
「····わかった。
俺達はどのみち動けん。
他国の王族を王城に無事送った後、隊長会議の連絡が入るはずだ」
2人とも無事でいてくれ。
~ベルグルside~
「レイブ!
しっかりしろ!」
俺はワイバーンの首に掛けた捕縛用の魔術鎖を手繰り振り落とされないよう腰に巻き付け首に跨がった体を固定している。
レイブはぐったりしたままワイバーンに鷲掴みにされ、爪の刺さった腹からは血が滴り落ちている。
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ジャカネスタ国の船が見え始めた頃、船がワイバーン5頭に襲撃されているのを確認し、すぐに第1騎士隊に王族の身柄確保を指示した。
しかし豹属の王子達だけでなく、侍従の代わりに仲の良い貴族子息数名を紛れ込ませていたようで、忠誠心と覚悟の低さからか第1王子よりも我先に救出されようと半狂乱で騎士達の指示を無視。
更に錯乱した第1王子がよりによって目立つ赤色の礼服を着て甲板に向かって走り出し、ワイバーンに必然的に目を付けられた。
お陰で庇った俺は額から左目、左頬、左側首筋をデカイ爪で抉られたが、赤い王子は力ずくで後から駆け付けた他の騎士に保護させた。
チラリと見えた第2王子は甲板に呆然と立ち、何かをブツブツ呟いていたが何を言っていたかはわからない。
こちらは副団長のレイブが魔術で風を操って地上から甲板までジャンプして走り寄っていたんだが、船の中へ連れて行こうとするも全く動かなかったようだ。
そちらに向かおうとした俺の隻眼で見えたのは、飛躍したワイバーンが第2王子に近付いてデカイ脚で掴もうとしたのを王子を突き飛ばして身代わりになったレイブだった。
その際レイブの腹に太い爪が刺さったのを確認した····くそったれが!
俺もすぐさま甲板に移動し、今にもレイブの頭を挟もうとした嘴を腰に巻いていた捕縛用の鎖で投げ縛り、そのまま背に飛び乗って首に鎖を巻き付け直して魔術で電流を流した。
それに驚いたワイバーンはレイブを更に握りしめ、俺を背に乗せたまま飛び立とうと羽をばたつかせた。
第1騎士隊の騎士数名で第2王子の身柄を確保したのを横目で確認し、全隊長に全権を委ねると第1騎士隊隊長に伝えた瞬間ワイバーンは飛び立った。
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