《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

文字の大きさ
30 / 210

30.露呈

しおりを挟む
「何故、月夜花を貴国が····」
「ワルシャマリ国にしか生息しないはずでは····」

 証拠を順序立てて突き付けていくと、次第に王弟と第2王子が驚愕し始めた。

「うちの騎士団団長と副団長が先日貴国が無断でサプライズと称して持ち込んだワイバーンに連れられて魔の森に入ってしもうてなぁ。
幸い無事に帰って来られたから良かったものの、貴重な人材が失われず胸を撫で下ろしておったのだ。
騎士としては致命傷になるほど大怪我を負っていたと聞いた時には心配で胸が締め付けられる思いであったが、運良く治療できたようじゃしな」

 げ、一瞬だけど陛下が殺気飛ばしたぞ。
うわ、王子ちょっと震えてないか。
くくっ、ざまあみろとしか思わないけどな。

「それでじゃ、なんとその2人がそこに咲いておったのを興味本意で摘み取って持って帰りおった」
「そうなんですよ。
貴国から事前連絡の無かった献上という名目で船の外飼いしていたワイバーンが何故かワルシャマリに行こうとしたみたいなのですが、何故でしょうね?
幸いと言うべきなのか不幸にもと言うべきなのか、民のいる町を抜けた魔の森でワイバーンと共に落ちたのでもちろん我が国の宝である民に被害は無かったのですがねぇ。
落ちた場所がまさか、かの有名な黒竜を主とする魔の森だと知らせを聞いた時には本当にゾッとしました。
強力な魔物避けを持っていたから良かったものの、死んでいたでしょうねぇ」

 援護射撃は王太子だ。
何か嬉々として喋りだしてないか。
部分的にちょこちょこ強調した言い回しとか、めちゃくちゃ嫌味ったらしいな。

 2人とも金髪に緑の目をしていて顔立ちも精悍だ。
その2人がそれとなく獣気使って威圧した挙げ句にちょこちょこ殺気も混ぜこむとか、あの王弟も王子も災難だな。
2人共青くなって冷や汗かいてるけど、威圧を受ける訓練とかあっちの王族はしないのか?
こっちの国では王族なら幼少期教育で普通に訓練させられるんだが。
というか脇汗凄いぞ。
どっちも腕に滴り始めてるじゃないか。
まぁ下手したら俺の可愛いレンに何かしらあったかもしれないから同情は全っ然しないけど。
むしろどうせなら陛下達にはもっとやれと言いたい。
俺の幼少期より手温いだろう。

 にしても俺は昔からこの父と長兄が苦手だ。
腹に一物ありすぎんだよ。
この父にしてこの子あり、だ。

「ところで貴国から我が国に届いた最初の書簡なんじゃが、どうも字にいつもの覇気が感じられん。
貴国の王は病気でもしたのかのぅ?」
「い、いえ、我が国の陛下は息災です」
「そうか、あまりに心配してしもうたわ」
「さようなお心遣い、いたみ····」
「そこでのう、風を使って便りを飛ばしてみた」
「なっ?!
父上にですか?!」

 王弟の言葉を遮った陛下に第2王子の顔が青いのを通り越して白くなる。
心なしか震えが大きくなったな。

「どうされた、王子。
そのように顔色を青くしたり、白くしたり。
もしやまだ体調がすぐれぬか?
たまたま月花も採取したようだ。
念には念を入れて飲んで解毒されてはいかがか?
そなたの兄上とその友人達も今解毒しておるぞ。
すぐにでも正気を取り戻されよう」
「な、兄上が、正気、に」

 もう確実に誰が見ても震えだした。
獅子属はそういうの見たら追い詰めたくなるが、こういう時の兄上は更に酷いから逆効果だぞ。

「もちろん貴国のとはいえ、我が国で起こった事。
回復に向けて誠意努力をするのは至極当然であろう?」
「そうじゃぞ。
気にせず甘えれば良い。
それよりな、先ほどジャカネスタ国王より直々の便りが届いた」

 ほれ、ここにとジャカネスタ国王の刻印を刻んだ蝋封を押された封筒をヒラヒラと見せつけてから陛下がナイフで封を開け、手紙に目を通す。

「ふむ、なるほど。
要点をまとめるとのぅ····」

 神妙な顔つきをしたと思ったら、狩りをする獣のようにニヤリと不適に笑う。

「そなたらは謀反人である故に手数をかけるが捕らえて引き渡せ、と」

 そう言って右手を上げ、人差し指で捕らえよ、と軽く指差す。
第1騎士隊が前に出て謁見の間から2人を引きずって行った。
既に放心状態だったので全くの無抵抗だ。

「さて、詳しい内容は後日更に詳細を詰めてドランク団長より周知させる。
此度の早期の解決に尽力した者達よ、大義であった。
これより建国祭の開始となる。
気を引き締め持ち場へ戻れ」

 王太子がそう言うと、陛下と団長と共に謁見の間を後にした。

 そうして3日間の祭りが始まり、自他国合わせて王族の警備に俺達は明け暮れたのだった。
次の建国祭は1日だけでも休みをもぎ取って俺の小さな番を腕に乗せて一緒に回ろうと密かに誓った。
顔が弛んだ所を運悪く副団長に見つかり何か気の毒な物を見るやうな目付きになったが、無視しておいた。

 あれから2週間経ち、ジャカネスタ国以外の来賓は自国の帰路についた。
再び隊長会議が開かれ、あの時の王太子の言葉通りに団長から説明を受けた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

勘違いで嫁ぎましたが、相手が理想の筋肉でした!

エス
恋愛
「男性の魅力は筋肉ですわっ!!」 華奢な男がもてはやされるこの国で、そう豪語する侯爵令嬢テレーゼ。 縁談はことごとく破談し、兄アルベルトも王太子ユリウスも頭を抱えていた。 そんな折、騎士団長ヴォルフがユリウスの元に「若い女性を紹介してほしい」と相談に現れる。 よく見ればこの男──家柄よし、部下からの信頼厚し、そして何より、圧巻の筋肉!! 「この男しかいない!」とユリウスは即断し、テレーゼとの結婚話を進める。 ところがテレーゼが嫁いだ先で、当のヴォルフは、 「俺は……メイドを紹介してほしかったんだが!?」 と何やら焦っていて。 ……まあ細かいことはいいでしょう。 なにせ、その腕、その太もも、その背中。 最高の筋肉ですもの! この結婚、全力で続行させていただきますわ!! 女性不慣れな不器用騎士団長 × 筋肉フェチ令嬢。 誤解から始まる、すれ違いだらけの新婚生活、いざスタート! ※他サイトに投稿したものを、改稿しています。

疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!

ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。 退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた! 私を陥れようとする兄から逃れ、 不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。 逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋? 異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。 この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?

【完結】そして異世界の迷い子は、浄化の聖女となりまして。

和島逆
ファンタジー
七年前、私は異世界に転移した。 黒髪黒眼が忌避されるという、日本人にはなんとも生きにくいこの世界。 私の願いはただひとつ。目立たず、騒がず、ひっそり平和に暮らすこと! 薬師助手として過ごした静かな日々は、ある日突然終わりを告げてしまう。 そうして私は自分の居場所を探すため、ちょっぴり残念なイケメンと旅に出る。 目指すは平和で平凡なハッピーライフ! 連れのイケメンをしばいたり、トラブルに巻き込まれたりと忙しい毎日だけれど。 この異世界で笑って生きるため、今日も私は奮闘します。 *他サイトでの初投稿作品を改稿したものです。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

遊鷹太
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

処理中です...