《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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64.夢見

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「僕の夢見に干渉するのを許すなんて。
やっぱり今の僕は力不足だね」

 レンがゆっくり振り返る。
レンの視線は俺の後ろ?
俺が見えていない?
まぁ俺も自分の体がどうなってるのかわからないか。

 それよりも····生きてた!
色気あふれるレンや血みどろの服ではなく、いつものレンにいつもの簡素な服だ。
不貞腐れたような顔もやっぱり可愛い。
舐めたい。
良かった····本当に、良かった。

「レンカと比べたら全然だけどぉ、カミツグの夢見を持つ歴代党首の中ではレンカに次いで強いから自信を持ってぇ。
もちろん夢見だけなら初代だった君よりも強いんだしぃ」

(カミツグ?
夢見?
レンはレンカじゃないのか?)

 どこか間延びした口調と聞いた事がない言葉に振り返ると穏やかそうな青年がいた。
火柱の中にいた色の薄い人属とは違い、髪も肌も明らかな白を纏っている。
目は藍色に金が散っている。
こんな目は初めて見た。
子供でも知ってるようなお伽噺でよく出てくる創造神ゼノリアと同じ出で立ちだ。

「それに僕ってこれでも創造神だしぃ」

 いや、何言ってんだコイツ。

「まぁそうだね」

 え、否定しないのか?!

 レンのどうでも良さげな顔と違い、青年はニコニコと微笑んでいる。

「それで、ゼノは何でこんな所にきたの?」

 ゼノリア神だからゼノなのか?
え、本当に創造神?

「君こそぉ、あんな趣味の悪い自分の死に様をわざと見ていくなんてさぁ。
それを見たってどうせ君の中には何の怒りも憎しみもわかないのにぃ。
これから夢見を使うんでしょ?
でもそんな事したら君がレンカの時に負ったその傷が君の魂を蝕むよぉ。
レンカと君の体は同じ物だしぃ、魂の傷が体に現れるくらいには深いんだよぉ。
レンカの最期の傷を持つ事を代償に君を僕の世界に転生させたって言ってあったよねぇ。
その傷は癒える事もあれば、悪化して最悪魂を消失させるんだよぉ。
僕の了承と代償を持ってこの世界に転生した君がぁ、僕の同意なく世界を渡った者の代償を肩代わりしてやる必要なんてぇ、ないでしょ。
それどころか興味本意に君が追い出したカミツグの兄の家に行って初代党首だった時の君が封印してたアレを引っ付けたままこの世界に持ち込んだんだからねぇ。
このままアレと一緒に魂ごと消えるのが相応しいよぉ」

 顔はニコニコと笑いながら、ゼノリア神(なのか?)の目は冷え冷えとしている。
転生とか転移とか、何の話だ。

レンはため息を吐いた。

「カミツグの兄の家に行ったのは恐らくあの子に付き合ったからだろうし、封を解いたのは大方レンカの父親でしょ。
千年程度で昔の僕が封じたのが勝手に出てくるなんてあり得ないもの。
それに封じた時は力不足だったにしても、それから死ぬまでの14年の間に消滅させる事もできたのにしなかったのは昔の僕の落ち度。
レンカもそう。
父親やあの兄をカミツグから実質追い出したあの時、アレを持ち出したのは気付いてた。
なのに自分や一握りの興味のある人には守りを施したから関係ないと放置した。
アレを解呪した人は即死か廃人になるし、その後運良く誰かが使えてもレンカの守りがあれば威力も倍以上になって使用者に返る。
だから解くなら解くでそれも良しとしたのも悪い。
レンカが当主になってすぐに父親は亡くなったから、恐らく彼がレンカを殺すのに使おうとしたんだろうし、伴侶に取り憑いた事を考えると解呪されたアレを使ったのは初代の血筋の兄のはず」

 ちょっと待て、レンは父親や兄に殺されそうになるような関係だったのか?
カミツグから追い出した?
カミツグって何だ?

「とはいえレンカとは無関係の伴侶を最初から狙うはずないから、あの子を狙ったけどレンカがかけてた何重もの守りで跳ね返されて近くにいた伴侶に憑いたってとこかな。
なら結局いくらかは兄に跳ね返っただろうから、今頃相応の報いを受けてるし、世界が違うからないかもしれないけどアレをどうにかした後本来の返しが兄に行く可能性は十分考えられる」
「少ない情報でよくそこまでたどり着くよねぇ。
だからといっても全ては君以外の人達の自業自得だしぃ、レンカはそれで良しとしたのに君はしないの?」
「確かに僕とレンカの体は共有されてるけど、これまでの僕達がそうであったように転生した時点で僕達は別々の性格を持って限られた生を生きるようになる。
といっても魂は同じだし、記憶はあるから根底にある気質は変わらないのかもしれない。
僕だってあの伴侶があの子と関わって無ければ見捨ててた。
今の僕には魔の森でできた家族が全てだもの。
家族と思ってるお婆ちゃんの息子を好きに使ったこの国の竜人やその伴侶なんか無条件で大っ嫌い。
しかも権利だけは奪っておいて義務は果たさない。
ファルを連れ戻そうとか、挙げ句にお婆ちゃんが仮に死んでても亡骸を使おうとか、殺意しか湧かない」

 うん、怒りに顔をしかめるレンも可愛いな。
····じゃなくて、何なんだ、この会話の内容。

「なのに君はあの伴侶を助けるのぉ?
下手したら消滅するよぉ?」

 創造神らしき青年がレンの顔を覗き込む。
おい、近すぎだ!
ん? 消滅?

「近い、暑苦しい」

 レンが不機嫌そうに白い顔面に片手で押す。

「んぷっ。
もうっ、僕にこんな事するの君くらいなんだからねぇ」

 そう言いながら、何で嬉しそうなんだ?!
あ、こら、顔にあったちっちゃい手に触るな!
口付けるなぁ!

「助ける努力はするよ。
あの薬を作るのに彼のデータだって役にたったし、あの子のお友達みたいだし、あの子が渡した組紐には無意識だろうけどあの子の守りの力がこもってた。
それくらいにはあの伴侶が好きだったみたいだし?」
「結局君は一度懐に入れた人にはとことん甘いのは良く分かったぁ」

 あの子って誰だ?
どうしてそんな愛おしそうな目をしてんのに、雰囲気は寂しそうなんだよ。

 創造神らしき青年はやれやれと苦笑した。

「あの空っぽだった王弟もよりによってアレの干渉をいくらかは抑えてた組紐を伴侶から引き離すんだから。
空っぽなだけじゃなく邪魔者だねぇ」
「仕方ないよ。
何も知らないんだから。
それに君が干渉しても僕の邪魔しないのは創造神として少なからずこの世界で生きてる人達を想ってるからだろうし、それはこの国のどうしようもない竜人も含まれてるでしょ。
僕は君に感謝はしてるんだ。
てことでそろそろ行くよ。
レンカみたいに自家発電できない憎悪や妬みを他人から受けて取り込んで呪に還元したくても、今世の僕は今のところそういうのとは無縁みたいだから夢見には時間と集中力が必要なんだ」

 そう言うと暗闇の中へスタスタと歩いて行ってしまった。
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