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65.創造神
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レンを見送っていた青年が俺に体を向ける。
すると今まであるのか無いのかわからなかった俺の体躯が浮かび上がった。
「ふふ、初めましてぇ」
どこかのんびりした口調とは裏腹に全身に圧倒的な威圧感を向けられ、思わず片膝を地面についた。
「さっきの会話を聞いてたからわかると思うけどぉ、僕は創造神ゼノリア。
君を招いたのは僕。
ちゃんと顔を合わせるのは初めてだねぇ」
「····っぐっ」
くそ、片膝どころか両膝ついて崩れ落ちそうだ。
力の強い獣気を浴びた時ですらこうはならなかったのに。
えへへ、と緊張感のないヘラッとした顔からは考えられない程の覇気と清廉さを纏った気に汗が滴り落ちる。
「ああ、ごめんねぇ。
レンはいつも平気だったから神気を抑えるの忘れてたぁ。
普通はそうだよねぇ、レンは鈍いのかなぁ」
ゼノリア神が可笑しそうにそう言った途端に体が軽くなった。
神気なんか初めて浴びたが、確かにレンはよく平然としていられたなと同意してしまう。
底が知れないところも魅力的だ。
「グラン=ウェストミンスターです。
お初にお目通りつかまつります」
俺は一度深呼吸してから姿勢を正し、左膝をついたまま右手を左胸、左手は膝の上に添えて我が国の最上位の礼を行う。
神に会ったのは初めてだから何が正しいかは知らない。
「畏まらなくていいよぉ。
君達はみ~んな僕の子供なんだからぁ。
ほら、立って、立ってぇ」
その言葉に従って立ち上がる。
ゼノリア神は俺をしげしげと見つめるだけでそれ以上言葉を発しない。
「····あの、何か····」
1人気まずくなってしまう。
「あ、ごめんねぇ。
あの時の呪いまみれの子が呪いの無い僕の世界とはいえ、よくここまで浄化できたものだなぁって感心してたんだぁ」
呪いまみれ?
何だそれ?
「ふふ。
君のずうっと昔の前世のお話。
にしても未だにサクゲツのコトホギが君の中で生きてるなんて。
やっぱりあの子は本来なら僕達の仲間になれるだけの資格を持ってたんだろうねぇ。
黒竜もそうなのかなぁ。
時々魔の森やレンの小屋で君達を見てたんだけど、流石にこればっかりは君達それぞれの目を通さないと見えないんだよねぇ」
前半の話は何言ってるのかわからない。
「その、もしかして魔の森で時々感じてた視線や一瞬見えた白い影みたいなのは····」
「うん、僕」
ニパッと人懐こい笑みを浮かべる。
どうやらレンの小屋で初めて目を覚ました時や薪を作ってた時なんかに感じたのは全部この神だったらしい。
「監視されていたのですか?」
「監視っていえば監視?
君がレンに危害を加えようとしたなら即死させようとは思ってたよぉ。
もちろん君の上司の他の2人もねぇ」
····絶句。
軽い口調でふふふ、とか笑いながら随分と重い言葉をさらっと言う神である。
「でも本当の目的はぁ、レンとのカガク反応」
カガク、とは何だ?
さっきから聞いた事のない言葉が多い。
「うーん、カガクがわからないかぁ。
僕の世界はそっちはからっきし発展してないもんねぇ。
呪いなんかの呪力の類もないしぃ。
まぁそれはある意味喜ばしいのかなぁ。
代わりに魔法があるけど、今一つ使いこなせてないっていうかぁ。
そうだねぇ、相互反応って言ったらわかる?
まぁ相互といっても君の方の反応にはあんまり興味ないんだけどさぁ」
それならわかるから頷いておくが、何でレンとの反応を見たいんだ?
それにジュリョク?
何だ、それは?
「ふふ、色々疑問があるみたいだけど、そろそろ時間がないから手短に話すよぉ。
あんまり長居するとレンに気付かれるし、そうするとすっごく怒られと思うんだぁ。
僕レンには嫌われたくないんだよねぇ。
まずは僕が君と接触した目的だけどねぇ····」
それから一方的に神が話すだけ話したところで俺は目を覚ました。
真っ暗な部屋で、ベッドから香るレンの甘い匂いがここは現実だと教えてくれる。
外はいつの間にか土砂降りの大雨だ。
「レン····」
俺は愛しい番の名前をただ呆然と呟いた。
すると今まであるのか無いのかわからなかった俺の体躯が浮かび上がった。
「ふふ、初めましてぇ」
どこかのんびりした口調とは裏腹に全身に圧倒的な威圧感を向けられ、思わず片膝を地面についた。
「さっきの会話を聞いてたからわかると思うけどぉ、僕は創造神ゼノリア。
君を招いたのは僕。
ちゃんと顔を合わせるのは初めてだねぇ」
「····っぐっ」
くそ、片膝どころか両膝ついて崩れ落ちそうだ。
力の強い獣気を浴びた時ですらこうはならなかったのに。
えへへ、と緊張感のないヘラッとした顔からは考えられない程の覇気と清廉さを纏った気に汗が滴り落ちる。
「ああ、ごめんねぇ。
レンはいつも平気だったから神気を抑えるの忘れてたぁ。
普通はそうだよねぇ、レンは鈍いのかなぁ」
ゼノリア神が可笑しそうにそう言った途端に体が軽くなった。
神気なんか初めて浴びたが、確かにレンはよく平然としていられたなと同意してしまう。
底が知れないところも魅力的だ。
「グラン=ウェストミンスターです。
お初にお目通りつかまつります」
俺は一度深呼吸してから姿勢を正し、左膝をついたまま右手を左胸、左手は膝の上に添えて我が国の最上位の礼を行う。
神に会ったのは初めてだから何が正しいかは知らない。
「畏まらなくていいよぉ。
君達はみ~んな僕の子供なんだからぁ。
ほら、立って、立ってぇ」
その言葉に従って立ち上がる。
ゼノリア神は俺をしげしげと見つめるだけでそれ以上言葉を発しない。
「····あの、何か····」
1人気まずくなってしまう。
「あ、ごめんねぇ。
あの時の呪いまみれの子が呪いの無い僕の世界とはいえ、よくここまで浄化できたものだなぁって感心してたんだぁ」
呪いまみれ?
何だそれ?
「ふふ。
君のずうっと昔の前世のお話。
にしても未だにサクゲツのコトホギが君の中で生きてるなんて。
やっぱりあの子は本来なら僕達の仲間になれるだけの資格を持ってたんだろうねぇ。
黒竜もそうなのかなぁ。
時々魔の森やレンの小屋で君達を見てたんだけど、流石にこればっかりは君達それぞれの目を通さないと見えないんだよねぇ」
前半の話は何言ってるのかわからない。
「その、もしかして魔の森で時々感じてた視線や一瞬見えた白い影みたいなのは····」
「うん、僕」
ニパッと人懐こい笑みを浮かべる。
どうやらレンの小屋で初めて目を覚ました時や薪を作ってた時なんかに感じたのは全部この神だったらしい。
「監視されていたのですか?」
「監視っていえば監視?
君がレンに危害を加えようとしたなら即死させようとは思ってたよぉ。
もちろん君の上司の他の2人もねぇ」
····絶句。
軽い口調でふふふ、とか笑いながら随分と重い言葉をさらっと言う神である。
「でも本当の目的はぁ、レンとのカガク反応」
カガク、とは何だ?
さっきから聞いた事のない言葉が多い。
「うーん、カガクがわからないかぁ。
僕の世界はそっちはからっきし発展してないもんねぇ。
呪いなんかの呪力の類もないしぃ。
まぁそれはある意味喜ばしいのかなぁ。
代わりに魔法があるけど、今一つ使いこなせてないっていうかぁ。
そうだねぇ、相互反応って言ったらわかる?
まぁ相互といっても君の方の反応にはあんまり興味ないんだけどさぁ」
それならわかるから頷いておくが、何でレンとの反応を見たいんだ?
それにジュリョク?
何だ、それは?
「ふふ、色々疑問があるみたいだけど、そろそろ時間がないから手短に話すよぉ。
あんまり長居するとレンに気付かれるし、そうするとすっごく怒られと思うんだぁ。
僕レンには嫌われたくないんだよねぇ。
まずは僕が君と接触した目的だけどねぇ····」
それから一方的に神が話すだけ話したところで俺は目を覚ました。
真っ暗な部屋で、ベッドから香るレンの甘い匂いがここは現実だと教えてくれる。
外はいつの間にか土砂降りの大雨だ。
「レン····」
俺は愛しい番の名前をただ呆然と呟いた。
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