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69.闇の中の絶望~ペネドゥルside
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「ふん、やっと起きたか」
「まだ夜も明けきらないこんな時間に訪問なんて、礼儀がなってないんじゃない」
何とも不敬で不遜な小僧だ。
竜人の王族である私を前に礼をわきまえぬどころか腕組みして無表情にこちらを正面から見据えている。
「何だと?
私を誰だと思っている。
礼儀を知らないのはお前の方だろう」
「君が誰なのか知るわけないだろう。
自意識過剰だな。
つまりその程度でしかない竜人その4くらいの立ち位置だ」
「····随分なめた口をきく。
よほど痛めつけられたいのか」
「そうなる前にすでに対処済みだ」
くすりと笑った気がしたが、周囲が真っ暗な事に気づいてその事は頭から離れた。
「貴様、何をした」
「どうでもいい馬鹿に教えてやるほど暇じゃない」
下等種族はそう言って踵を返す。
「まて!」
その腕を捻りあげようとして、宙を掴んだ。
何だ、居なくなった?!
魔法の発動した気配もなかったぞ!
探知魔法で周囲を探るが何も引っ掛からない。
「この無礼者!
出てこい!
脆弱下等な人属な上に卑怯極まりない!
聞いているのか!」
声を張り上げるが何の反応もない。
閉じ込められたのか?!
魔力を練り上げようとして····何だと?!
何故出来ない?!
今度は更に己の体にの中心に意識を集中させるが己の体からも魔力を欠片も感じない。
魔力が無くなった?!
だが枯渇した様子は全く無かった。
己の内にあるはずの獣気すらも感じない。
何だ!
何が起こった?!
「出てこい!
私に何をした!
聞こえているのだろう!
この卑怯者が!」
焦って再び声を張り上げるがやはり何も起きない。
どういう事だ?!
「ラジェット!
いないのか!
ラスイード!
····この役立たず共が!」
側近達の名を呼ぶも、やはり反応がない!
はしたなくもつい舌打ちしてしまった。
私は暗闇の中で声が枯れるまで叫び続ける。
試せる事は思い付く限り試したが、魔力も獣気も感じられない己にはただ広がる暗闇になす術がない。
初めは闇雲にとにかく歩き回ったが果てのない闇が広がるばかりで時間や方向の感覚が狂うのに時間はかからなかった。
いや、そもそもどれ程の時間がかかったのかも定かではない。
「誰かいないのか····王族の、それも次期国王なのだぞ····何故探しに来ない」
確実に何年も、もしかしたら何十年も経っているはずだ。
私が居なくなった事に気付いていないのか。
それとも····まさかザガドが王位になど····。
焦燥感と孤独感に苛まれて再び動く。
しかしどこまで走っても、歩いても、相変わらずただ闇が果てしなく続くだけ。
力の続く限り動き続けているうちに怒りなどとうに消えた。
焦燥感はいつしか無くなり、孤独感に加えて絶望感がこみ上げてくる。
「····誰か····気付いてくれ····出してくれ····誰か····頼む」
闇に向かって懇願するが、誰も聞いてはいない。
絶望のその先。
諦めや虚無に支配された己の姿が垣間見え、恐怖する。
そしてそれが更なる絶望へと誘っている。
「王位など考え無ければ良かったのか?」
ポツリと洩らす。
そうすれば、あの人属に出会う事など無かった。
脆弱な下等生物····あの人属からすれば、それはむしろ私だったのではないのか。
黒を纏う人属、黒竜の番。
ただの人属な筈がなかったのだ。
「ゆ、許してくれ····頼む、お願いだ····出してくれ····」
両膝を付き、蹲って許しを乞う。
涙が溢れて頬を伝うが、もはや恥などという意識すらない。
とにかくこの闇から、絶望と孤独から救われたくて仕方がなかった。
しかし予想通り何の反応もなく、私はただ涙が枯れるまで結局は絶望と孤独に打ちひしがれる事になる。
(期待外れだね。
次はどうしようかな)
そんな声が微かに聞こえた気がした。
「まだ夜も明けきらないこんな時間に訪問なんて、礼儀がなってないんじゃない」
何とも不敬で不遜な小僧だ。
竜人の王族である私を前に礼をわきまえぬどころか腕組みして無表情にこちらを正面から見据えている。
「何だと?
私を誰だと思っている。
礼儀を知らないのはお前の方だろう」
「君が誰なのか知るわけないだろう。
自意識過剰だな。
つまりその程度でしかない竜人その4くらいの立ち位置だ」
「····随分なめた口をきく。
よほど痛めつけられたいのか」
「そうなる前にすでに対処済みだ」
くすりと笑った気がしたが、周囲が真っ暗な事に気づいてその事は頭から離れた。
「貴様、何をした」
「どうでもいい馬鹿に教えてやるほど暇じゃない」
下等種族はそう言って踵を返す。
「まて!」
その腕を捻りあげようとして、宙を掴んだ。
何だ、居なくなった?!
魔法の発動した気配もなかったぞ!
探知魔法で周囲を探るが何も引っ掛からない。
「この無礼者!
出てこい!
脆弱下等な人属な上に卑怯極まりない!
聞いているのか!」
声を張り上げるが何の反応もない。
閉じ込められたのか?!
魔力を練り上げようとして····何だと?!
何故出来ない?!
今度は更に己の体にの中心に意識を集中させるが己の体からも魔力を欠片も感じない。
魔力が無くなった?!
だが枯渇した様子は全く無かった。
己の内にあるはずの獣気すらも感じない。
何だ!
何が起こった?!
「出てこい!
私に何をした!
聞こえているのだろう!
この卑怯者が!」
焦って再び声を張り上げるがやはり何も起きない。
どういう事だ?!
「ラジェット!
いないのか!
ラスイード!
····この役立たず共が!」
側近達の名を呼ぶも、やはり反応がない!
はしたなくもつい舌打ちしてしまった。
私は暗闇の中で声が枯れるまで叫び続ける。
試せる事は思い付く限り試したが、魔力も獣気も感じられない己にはただ広がる暗闇になす術がない。
初めは闇雲にとにかく歩き回ったが果てのない闇が広がるばかりで時間や方向の感覚が狂うのに時間はかからなかった。
いや、そもそもどれ程の時間がかかったのかも定かではない。
「誰かいないのか····王族の、それも次期国王なのだぞ····何故探しに来ない」
確実に何年も、もしかしたら何十年も経っているはずだ。
私が居なくなった事に気付いていないのか。
それとも····まさかザガドが王位になど····。
焦燥感と孤独感に苛まれて再び動く。
しかしどこまで走っても、歩いても、相変わらずただ闇が果てしなく続くだけ。
力の続く限り動き続けているうちに怒りなどとうに消えた。
焦燥感はいつしか無くなり、孤独感に加えて絶望感がこみ上げてくる。
「····誰か····気付いてくれ····出してくれ····誰か····頼む」
闇に向かって懇願するが、誰も聞いてはいない。
絶望のその先。
諦めや虚無に支配された己の姿が垣間見え、恐怖する。
そしてそれが更なる絶望へと誘っている。
「王位など考え無ければ良かったのか?」
ポツリと洩らす。
そうすれば、あの人属に出会う事など無かった。
脆弱な下等生物····あの人属からすれば、それはむしろ私だったのではないのか。
黒を纏う人属、黒竜の番。
ただの人属な筈がなかったのだ。
「ゆ、許してくれ····頼む、お願いだ····出してくれ····」
両膝を付き、蹲って許しを乞う。
涙が溢れて頬を伝うが、もはや恥などという意識すらない。
とにかくこの闇から、絶望と孤独から救われたくて仕方がなかった。
しかし予想通り何の反応もなく、私はただ涙が枯れるまで結局は絶望と孤独に打ちひしがれる事になる。
(期待外れだね。
次はどうしようかな)
そんな声が微かに聞こえた気がした。
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