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109.それぞれの行動2~ペネドゥル、グラン、ザガドside
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~ペネドゥルside~
「失礼致します。
ペネドゥル様、ザガドを追い込みました」
「そうか。
何処だ」
「国王陛下夫妻の眠る居室に逃げ込んだようです」
王の謁見の間で玉座を眺めていた私を呼びに来た衛兵に振り向く。
兄上と伴侶の眠るあの場所ならば好都合だ。
ザガドに罪を着せ、断罪できる。
呼びに来た衛兵と共に足取りも軽くその場を離れていく。
「捕らえてあの間で裁く。
騎士に伝えて先に準備しておけ」
「はっ」
新顔か?
獅子属の衛兵は初めて見るが、平民上がりの衛兵は特に入れ替わりが激しく、役立たずも多い。
大方この者もそんな1人だろう。
早く王となって兵役制度を整えねば、おちおち開国もできぬというものだ。
だが奥の手はある。
それが月下の麻薬を使った竜人の身体強化だ。
他の種族でも実験したが、喜ばしい成果は竜人にしか現れなかった。
騎士に伝える為にその場で礼を取る新顔の衛兵を置いて兄上の居室に向かう。
しかし最近の騎士達も忠誠心の薄い、私の顔色を伺うしかできない腑抜けて無能な貴族達のコネが多い為、まともに足止めできているのかいささか不安だ。
そういえばラジェットがザガドの元側近だった竜人に麻薬を投与すると言っていたが、どうせならあの間でザガドを襲わせるのも一興か。
あの元側近は力だけなら国王の兄上の次に強いと聞いた事がある。
そのまま大臣達の前で元側近になぶり殺されるザガドを見るのも良いな。
その後はあの人属だ。
何処をうろついているのかわからぬが見つけて拷問し、この私にあのような不敬を働いた事を泣いて詫びさせてから殺してくれる。
そこでふと熱で目が潤み、汗ばんだ首筋にあの黒髪が張りついていたのを思い出す。
そうだな、仮にも黒竜の番だったか。
殺してくれと言わせるほどの苦痛を与え、死ぬギリギリで命だけは助けてやっても良い。
孕み腹にして私の子供をまずは1人産ませたら、黒竜をこの地に呼び戻す餌にしてくれよう。
その後は飽きるまであの体を蹂躙し、壊したら用済みだ。
黒竜にこの地を守らせるのと引き換えに与えてやっても良い。
そうだな、それが最良だ。
ラジェットにも殺さぬようにとだけは伝えておくとしよう。
くくっ、今度は私があの人属を支配してやる。
あの黒目が絶望に染まり、私だけしか映さないよう暗闇に閉じ込めなぶり、あの庇護欲をそそる顔を屈服させればどれほどの征服感が満たされることか。
ああ、早くザガドを始末してあの人属を捕らえねばな。
他の誰かが捕らえる前に身も心も私だけの物にしてやろう。
「待っていろ、愚かで憐れで脆弱な、私の物よ」
思わず口に出していたが後ろの新顔しかおらぬのだから気にもならない。
~グランside~
「待っていろ、愚かで憐れで脆弱な、私の人属よ」
その言葉が聞こえた途端、誰が誰の物だと言ったか理解して殺意が湧く。
しかし今は我慢だ。
思わず顔を上げ、驚く。
あの客室でラスイードの弟が体から出していたあの靄が出ていた。
やはりレンカはあの藍色にも何かしていたんだろう。
まあいい。
レンは今、この城にはいないのだから。
「後はうまくやれよ」
あの藍色が完全に見えなくなってからザガドに応援を送る。
どうせならもうザガドがサクッと殺ってもいいんじゃないだろうか。
そうして物陰で気配を殺して目眩ましの魔法をかけていたラスイードを手招きして次の行動の為に再び中に入った。
~ザガドside~
「ここにいたとはな。
我らが国王陛下とその伴侶を害した罪でお前を裁く!
傷つけても良い、捕らえよ!」
武器を構える騎士にぐるりと囲まれていたが、私は仮にも王族だ。
いくら伴侶の体に刀が突き刺さり、明らかに私が怪しくとも捕らえたり、裁く権限は彼らにない。
結果、静観するしかなかった彼らだが、長く摂政をしてきた愚弟が現れればそちらには従うようだ。
しかしすぐに捕まるわけにもいかない。
飛びかかってくる騎士達を丸腰で相手にする。
猫属の突く槍をかわして柄を掴んで胴を蹴り飛ばし、犬属の剣は振り下ろされる前に間合いを詰めて頬を殴り、そのままの勢いで回転して飛びかかって来た虎属の体の側面へと回し蹴りをお見舞いして風刃を纏わせた風で吹き飛ばす。
····弱い。
この1年で騎士達の質が落ちている。
人材不足なんて軽い問題ではない。
恐らく力ある者達を麻薬実験に使ったツケだろう。
忠誠心も向上心も薄い、給金に釣られただけの烏合の衆となり果てたに違いない。
怯んだ騎士達に痺れを切らせたのか、ペネドゥルが水弾を放つ。
避ければ兄上夫婦に当たる角度で、だ。
捕まるなら今だな。
私はわざと弱めた風を纏い、水弾に当たって弾き飛ばされた。
「ぐっ····」
やはり殺しても良しとした魔力を練り込んで質量を上げている。
私は壁にぶち当たり、膝をつく。
すかさず落ちていた剣を拾って肩に突き立てられた。
利き腕側の肩の灼熱に顔を歪めながら耐える。
「放蕩生活が長くて腕を鈍らせましたね。
お前達、この謀反人を引っ立てよ。
これより国王代理としてこの者を謁見の間で裁くこととする。
すぐに大臣達を召集するように」
王位への勝利を確信したように歩く愚弟に、これから私が行う断罪を考えると気持ちがざわついた。
「失礼致します。
ペネドゥル様、ザガドを追い込みました」
「そうか。
何処だ」
「国王陛下夫妻の眠る居室に逃げ込んだようです」
王の謁見の間で玉座を眺めていた私を呼びに来た衛兵に振り向く。
兄上と伴侶の眠るあの場所ならば好都合だ。
ザガドに罪を着せ、断罪できる。
呼びに来た衛兵と共に足取りも軽くその場を離れていく。
「捕らえてあの間で裁く。
騎士に伝えて先に準備しておけ」
「はっ」
新顔か?
獅子属の衛兵は初めて見るが、平民上がりの衛兵は特に入れ替わりが激しく、役立たずも多い。
大方この者もそんな1人だろう。
早く王となって兵役制度を整えねば、おちおち開国もできぬというものだ。
だが奥の手はある。
それが月下の麻薬を使った竜人の身体強化だ。
他の種族でも実験したが、喜ばしい成果は竜人にしか現れなかった。
騎士に伝える為にその場で礼を取る新顔の衛兵を置いて兄上の居室に向かう。
しかし最近の騎士達も忠誠心の薄い、私の顔色を伺うしかできない腑抜けて無能な貴族達のコネが多い為、まともに足止めできているのかいささか不安だ。
そういえばラジェットがザガドの元側近だった竜人に麻薬を投与すると言っていたが、どうせならあの間でザガドを襲わせるのも一興か。
あの元側近は力だけなら国王の兄上の次に強いと聞いた事がある。
そのまま大臣達の前で元側近になぶり殺されるザガドを見るのも良いな。
その後はあの人属だ。
何処をうろついているのかわからぬが見つけて拷問し、この私にあのような不敬を働いた事を泣いて詫びさせてから殺してくれる。
そこでふと熱で目が潤み、汗ばんだ首筋にあの黒髪が張りついていたのを思い出す。
そうだな、仮にも黒竜の番だったか。
殺してくれと言わせるほどの苦痛を与え、死ぬギリギリで命だけは助けてやっても良い。
孕み腹にして私の子供をまずは1人産ませたら、黒竜をこの地に呼び戻す餌にしてくれよう。
その後は飽きるまであの体を蹂躙し、壊したら用済みだ。
黒竜にこの地を守らせるのと引き換えに与えてやっても良い。
そうだな、それが最良だ。
ラジェットにも殺さぬようにとだけは伝えておくとしよう。
くくっ、今度は私があの人属を支配してやる。
あの黒目が絶望に染まり、私だけしか映さないよう暗闇に閉じ込めなぶり、あの庇護欲をそそる顔を屈服させればどれほどの征服感が満たされることか。
ああ、早くザガドを始末してあの人属を捕らえねばな。
他の誰かが捕らえる前に身も心も私だけの物にしてやろう。
「待っていろ、愚かで憐れで脆弱な、私の物よ」
思わず口に出していたが後ろの新顔しかおらぬのだから気にもならない。
~グランside~
「待っていろ、愚かで憐れで脆弱な、私の人属よ」
その言葉が聞こえた途端、誰が誰の物だと言ったか理解して殺意が湧く。
しかし今は我慢だ。
思わず顔を上げ、驚く。
あの客室でラスイードの弟が体から出していたあの靄が出ていた。
やはりレンカはあの藍色にも何かしていたんだろう。
まあいい。
レンは今、この城にはいないのだから。
「後はうまくやれよ」
あの藍色が完全に見えなくなってからザガドに応援を送る。
どうせならもうザガドがサクッと殺ってもいいんじゃないだろうか。
そうして物陰で気配を殺して目眩ましの魔法をかけていたラスイードを手招きして次の行動の為に再び中に入った。
~ザガドside~
「ここにいたとはな。
我らが国王陛下とその伴侶を害した罪でお前を裁く!
傷つけても良い、捕らえよ!」
武器を構える騎士にぐるりと囲まれていたが、私は仮にも王族だ。
いくら伴侶の体に刀が突き刺さり、明らかに私が怪しくとも捕らえたり、裁く権限は彼らにない。
結果、静観するしかなかった彼らだが、長く摂政をしてきた愚弟が現れればそちらには従うようだ。
しかしすぐに捕まるわけにもいかない。
飛びかかってくる騎士達を丸腰で相手にする。
猫属の突く槍をかわして柄を掴んで胴を蹴り飛ばし、犬属の剣は振り下ろされる前に間合いを詰めて頬を殴り、そのままの勢いで回転して飛びかかって来た虎属の体の側面へと回し蹴りをお見舞いして風刃を纏わせた風で吹き飛ばす。
····弱い。
この1年で騎士達の質が落ちている。
人材不足なんて軽い問題ではない。
恐らく力ある者達を麻薬実験に使ったツケだろう。
忠誠心も向上心も薄い、給金に釣られただけの烏合の衆となり果てたに違いない。
怯んだ騎士達に痺れを切らせたのか、ペネドゥルが水弾を放つ。
避ければ兄上夫婦に当たる角度で、だ。
捕まるなら今だな。
私はわざと弱めた風を纏い、水弾に当たって弾き飛ばされた。
「ぐっ····」
やはり殺しても良しとした魔力を練り込んで質量を上げている。
私は壁にぶち当たり、膝をつく。
すかさず落ちていた剣を拾って肩に突き立てられた。
利き腕側の肩の灼熱に顔を歪めながら耐える。
「放蕩生活が長くて腕を鈍らせましたね。
お前達、この謀反人を引っ立てよ。
これより国王代理としてこの者を謁見の間で裁くこととする。
すぐに大臣達を召集するように」
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