《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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110.断罪

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「これより国王代理兼摂政として王弟ペネドゥル様が罪人ザガドに裁きを下す!
みなの者、よく聞け!」

 ラスイードの双子の弟、めちゃくちゃ張り切ってるな。

 俺は衛兵の1人として紛れ込んでいる。
正直ここまで気づかれないとは思っていなかった。
幸いというべきなのだろうが、よほどの人材不足というか、管理体制も滅茶苦茶だ。

 トビから聞いたリドラビル旧帝国もこんな状態だったんだろうか。
元王族として、国の騎士として改めて自国の在り方を考えさせられる状態だ。

 場所はもちろん王の謁見の間。
あれからほどなくしてまずは召集されたんだろう大臣や、小耳に入る会話からペネドゥル一派らしき貴族とおぼしき竜人達が入ってきた。

 やがてペネドゥルがやってきて玉座には腰掛けずにその前に立ち、後に続いて肩から血を流す魔力拘束具で両手を後ろ手に拘束され、更に両側の腕を騎士に拘束されたザガドが対面した後、そのまま力任せに床に座らされた。

 この場の騎士や俺の紛れた衛兵以外、主要そうな人物は全員竜人だ。
しかし王族のザガドを裁く割りには人数が少ない気がするんだが。
竜人だけというのも解せない。
完全に内々で終わらせて殺すつもりか?
それだと随分短絡的だが、まさかレンカのあの靄でペネドゥル自身の思考が短絡的になっているとか?

「皆、急な呼びかけによく集まってくれた。
そこの罪人ザガドが謀反を起こした。
罪名は王族の一員となった国王の伴侶の弑逆罪。
罪人は刀で伴侶の胸を刺し貫いている。
幸いと言うべきか、今は陛下により伴侶の時が止まっている為に身罷られてはおらぬが、それが解ければどうなるかは明白である。
捕らえようとした騎士達に危害を加えた事もあり、現行でこの私が直接捕らえた。
我が国の騎士が証言する」

 その言葉に頷いて猫属、犬属、虎属が進み出る。
そこは竜人じゃないのか。

「私の言葉に同意するか」
「「「はっ」」」

 3人は胸に拳を当て首を傾けて同意し、再び下がる。

「我が国の騎士による証言は得た。
ザガドよ、もはや言い逃れはできぬ。
よって、反逆罪として王族の身分を剥奪し、死罪を言い渡す。
異議のある者は前に出よ」

 大臣たちはざわつく。
さすがに王族とはいえ同じ王族を国王不在の状態でもなければ賛同しかねるのだろう。
まあ正常な判断だな。

 やがて大臣の1人が前に進み出る。

「恐れながら申し上げます」
「何だ」
「ザガド様は仮にも王族でございます。
国王陛下不在の状態で裁くのはいかがなものかと」

 恭しく礼を取ってやんわりと反対する。

「ふむ。
しかし我らが国王陛下は伴侶と共に眠りについておる。
しかもその者のせいで伴侶は身罷る事となるであろう。
そうなれば我が国最強の力を誇る国王陛下は必ず狂われよう。
このまま眠っていただくのが最良ではないか?」
「左様にございます。
ならば特例として我らが大臣の決をとり、誰が国王に相応しいのか決定しては如何か。
我らは力ある竜人。
我らの王は強くあらねばなりませぬが、お聞きした限り陛下を除けばかつて白竜が認めた王族の血筋ではペネドゥル様が力の強きお方。
今のザガド様の怪我を見ればそれは一目瞭然。
幸いこの場には過半数の大臣が集まっております。
満場一致であれば我らが王としてそのまま玉座にお座り下さりませ。
早々に国民への宣誓も致しましょう」

 どうやらお膳立ては向こうも画策しているようだ。
あの竜人も随分したり顔だから事前に打ち合わせ済みなんだろう。

 しかし、と流暢に続けて語る。

「ザガド様にも王位継承権がございます故、それに相応しいお力をお持ちか試され、無ければその上で改めて死罪とされては?
現状、王族のどなたもが子がおりませぬ故に血を残す意味でも無闇に死罪には出来ませぬ」

 なるほど、竜人の王は確かに力で統治してきた歴史がある。
その背景を利用して先にザガドを殺してしまえば、白竜の認めた王族の血筋は必然的にペネドゥルのみとなるから、なし崩し的かつ問答無用で王位につく腹積もりか。

「良かろう。
では私が国王に相応しいとする事に異論がある者は前へ出よ!」

 皆その場から動かない。

「誰も異議無しとし、明日国民に宣言して正式な譲位式を行おう」

 そうして改めてザガドを見て勝利を確信したように笑みを浮かべる。

「さて、この者の力についての証明だが····連れて来い」

 あの弟に目配せすると奥から両手に魔力拘束具、両足にも鎖で連結された鉄枷を嵌めたジェロムが連行されてきた。
口には猿轡を噛まされているが、様子がおかしい。

「ジェロム!」

 それまでは静かに静観していたザガドが思わず叫ぶが、唸って猿轡を歯噛みするだけで目の焦点も合わず、今にも暴れそうに血走っている。

「この者はかつてザガドの側近であった。
見ての通り異常な様子だが、これには理由がある」

 ペネドゥルは痛ましそうな顔で周りを見回してから続ける。

「この者は主であったザガドにより月下の根の麻薬を5倍投与され、狂人となったのだ」
「「「「?!」」」」

 竜人にとってそれは死亡宣告を受けるようなものなのだろう。

 竜人である大臣や貴族、そして騎士達は鋭い殺気、いや、殺意そのものをザガドに向けた。
その場の空気が一瞬で冷たく凍りついた。
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