《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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147.勘違い

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「レンちゃーん!
ベル爺じゃぞー!」

 バターン!

 ノックもなくけたたましくドアが開いたと思えば、親父が突入してきた。
あれ、何か既視感が····。

 あれから俺が話している間、レンは俺の膝に横向きで座って胸にもたれながら聞いていた。
泣き顔を見られない最善の場所がそこだったのか、特に抵抗はされなかった。

 時々涙を溢れさせては袖で拭い、鼻をすすりながらも大人しくただ聞いてくれている。
そんな番の様子に内心嫌われないかとビビりまくっていた俺は完全に虚を突かれた。

 レンはレンで声なき悲鳴を上げて盛大に体をびくつかせて飛び上がり、そのまま瞬間的に俺から離れるし、俺はノックもなく入ってきた自国の国王に唖然とする。

 余程驚いてしまったのか、涙は引っ込んだようだが、何度も拭ったせいで目元がうっすら赤くなっている。
親父はレンのそんな様子に顔をしかめるが、特に何も言わずに自分の上着をレンに引っかけてさっと腕を通させるとレンの胸を隠すように合わせる。

「病み上がりは体を冷やしてはならんからのう」

 そうして抱き上げて隣の部屋に戻ってしまった。

「レンちゃん、話は終わっ····兄さん?」

 トビもレンの様子に反応する。
ていうか、ドスがきいてないか?!
親父の護衛だろうが、ソファの後ろに立つ団長と副団長も険しい顔を俺に向けている。

「いや、これは····」
「トビ君、待って。
グランさんが僕の夢見に入り込んでたって聞いてびっくりしただけなの。
その話を皆にしたって聞いた····から····」

 団長達を背にして親父とソファに座ったレンはまた俯いてしまう。

 おい、当然のように膝に乗せてんじゃねえ。

 え、団長、親指でクイッて····くっ、もう休憩終わりかよ?!
仕方ないが、指示通り副団長の隣に立つ。

「そっか。
それで、レンちゃんはどう思ってるん?」
「············ない」
「ん?」
「····わからない」

 長い沈黙の後、掠れた声でかろうじて聞き取れる声で伝えると、再びぽろぽろと黒目からは涙が溢れ出してしまう。

「何がわからへんの?」
「····な、何が····した、か····ど、したい、か、うっく、わ、わから、な····」

 多分、今は本当に途方に暮れているのだけは間違いない。

「のう、トビ」
「何、ベル爺」

 何だ、トビも普段はレンと同じ呼び方してんのか?

「レンちゃんにちと求め過ぎておらんか?
体が急に成長したからといって、中身が変わったわけではなかろう」
「····わかってるわ、そんな事。
せやけど····はぁ」

 トビの商人としての顔が剥がれかけ、ため息を吐く。

「レンちゃん、俺はレンちゃんの事ちゃんと知りたいねん。
付き合いも長いし、家族やと思ってる。
逆にそう思ってくれてるんもわかる。
せやけど、決定的な事がいっつもレンちゃん以外から教えられるんはいい加減嫌やねん」
「····トビ君?」
「なあ、俺はそんなに頼りない?
信用でけへん?
そんなんばっかりやと、さすがに傷つくねんで?」

 寂しそうに笑いかける。

「あ····」

 何かを言いかけ、けれども口をつぐんでしまう。

「そっか、それやったらもうええよ」

 トビは立ち上がって書類を纏める。
レンは途端にあたふたとするが、親父が腰に腕を回しているせいで下りる事は阻止される。

「奥で仕事して····」
「ち、違う!」
「何が?」
「違う····僕····」
「何も違ってへんよ。
俺がレンちゃんに求め過ぎてるだけや。
レンちゃんが言いたくないんもわかって····」
「違う!
違うったら違う!」

 ぼろぼろと涙が溢れて止まらなくなっているようで、心が痛む。

「ぼ、僕がっ····僕が全部悪いの!
でも言えない!
どう言えばいいかわかんない!
レンカの時もその前も、もうずっとずっと、そういうの言葉にした事ない!」

 心からの叫びだった。
トビの表情が変わる。

 そうか····そうだったんだな。
 
「し、信用、してないっ、とか、違うっ。
で、でも、何からっ、はな、していい、わからなっ、の。
ふっ、うっ、んっ。
っから、だっ、だから····へ、変なことも、いっぱい、言う、し、ふっく····んっ、考えて、たら、どうしてい、か、わからな、なって····こ、言葉、続かなっ、ても····聞いて、く、れる?」

 トビがレンの前で膝をついて抱きしめた。

「ごめん、レンちゃん。
そうやってんやな。
伝え方がわからへんだけやってんやな。
勘違いしてごめんやで」

 細腕がトビの背中に回ると、そのまま抱え上げた。

「うっ、えっえぇっ、き、嫌わな、でぇっ」

 とうとう幼子のようにわんわん泣き始めてしまう。

「嫌わへん、ごめん、ごめんやで。
嫌った事もあらへん。
大丈夫やから。
これからも大好きや、愛してるから。
な?
もうそんな泣かへんで?」

 おい、待て。
弱りきった声と顔で今····普通に愛の告白しだろう?!

「グラン、顔が騒がしいですよ。
今は護衛中です」
「お言葉ですが、副団長も大概です」

 いやいや、俺と副団長だけじゃないぞ?!
団長も無表情で獣気がただ漏れじゃないか!

「····レンの為に耐えろ」
「····ええ」
「····はい」

 そんな俺達を後ろに、1人余裕なのがこの爺だ。

「ふぉっふぉっ。
後ろが騒がしいのぅ。
レンちゃんに必要な言葉ならば儂は余裕じゃぞ。
大人の余裕じゃあ」

 クソ親父、いつか張り倒してやる!
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