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148.幼児返り?
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「レンちゃんや?
ほれほれ、こっちに····」
「や」
まず親父が一文字で撃沈。
ざまあみろ。
「レン?
俺の膝····」
「や」
くっ、俺の時の反応早くないか?!
愛情の差か?!
もちろん俺の方が上だよな?!
「レン、なら私の膝でも····」
「····や」
おい、何で副団長には躊躇う?!
「レン、熊の膝はどうだ?
ふかふかだぞ?」
ピクリと反応して振り返ると団長の膝辺りをじっと見つめる。
「····や」
プイッと元の位置に顔が戻る。
そうか!
獅子で交渉すれば良かったのか!
「あー····とりあえず皆の方には向か····」
「や」
レンはコアラ属のようにソファに腰かけるトビにへばりついて離れない。
あの後ひとしきり泣いてからずっとこの調子だ。
幼児返りでもしたのか?
体が急に成長した分、逆に心が不安定になるとかあるのか?
さっき振り返って見えた愛くるしい目元は赤くなり、少し腫れぼったくなっていた。
トビは口ではそう言いながらも、どこか嬉しそうなのがまた苛っとさせる。
「仕方ありませんね。
レン、そのままでかまいませんから、いいか駄目か教えてくれますか?」
副団長が困った子を宥めるように声をかけると、レンはコクリと頷いた。
「レンの話を私達も聞いてかまいませんか?」
その言葉にトビの胸から顔を放してトビを見上げた。
「俺はかまへんよ。
レンちゃんを助けにこんなとこまで進んで来てくれた人らやから、信用してんで」
再びレンはトビの胸に突っ伏すると頷いた。
「ほなレンちゃん、言いたない事は言わんでかまへんけど、そういう時はちゃんと言いたないって言うてくれる?
そしたらレンちゃんが教えようとしてくれてるんか、そうやあらへんのかわかるやん?」
小さな頭が上下する。
「黒竜は呼ばんでかまへんか?」
今度は左右に動く。
「ファル、来て」
その言葉に黒い影が現れ、次第に人の形を取った。
レンの様子にトビを睨むが、ため息を1つ吐くとトビの隣に腰かけた。
せめて俺も隣に座りたい。
俺達3人はいまだに親父の後ろで護衛中だ。
「何があった?
何故泣いた?」
ファルが手を伸ばしてレンの頬に触れる。
親指でそっと瞼をなぞると反対の瞼を今度は中指でなぞる。
横顔しか見えないが、腫れが引いたから治癒魔法をかけたようだ。
「僕が····上手く話せないのが申し訳なくて」
レンはそのまま頬を撫でるファルの手を取って繋ぎ下ろし、再びトビの胸に顔を埋める。
「今も····何から話せばいいのか悩んでる」
ぽつりと洩らす声は、心許ない。
だがそれよりも繋いでいるファルの手をはたき落としたい。
「最初から全て話せ。
俺はお前が何なのか知ってはいる。
お前が狂った俺の意識に潜り込んで夢見の力を使った時に垣間見たお前の、いや、違うな。
お前達の記憶、そしてお前が俺の真名を書き換えて図らずも繋がったお前の感情で知ってしまった」
ファルは慰めるように繋いでいない手で同じ黒髪の頭を撫でる。
「だが全て断片的だ。
だからお前達がそうなった始まりから聞きたい。
お前が背負った物も、何故殺され続ける事になったのかも、何故俺とグランにあの色が無い時のお前の魂そのもののような力の欠片が入り込んでいるのかも、何故レンカがこちらの世界に来る事になったのかも、何故お前が生まれたのかも、全てお前の口から聞きたい」
····ちょっと待て。
ツッコミ所しかないぞ、ファル?!
真名を書き換えたって何だ?!
感情が繋がった?!
俺も繋がりたいだろう!
じゃなかった。
色が無い時のレンて、あの目元に泣き黒子のある白い子供の事か?!
俺とファルに力の欠片が入り込んでるって何だよ?!
親父とファルを除けば全員困惑してるぞ?!
「最初って、本当の最初から?
でも長くなっちゃう····皆お仕事あるのに····」
「レンちゃんや、時間などいかようにもできるぞ。
この機会を逃せば次はなかろうて。
それに長らく溜めて来た感情もあるじゃろう。
レンちゃんを家族のように想う儂らにぶつけてはくれぬか?」
あ、やっとこっち見たな。
何で顔を赤くしたんだ?
またすぐ隠したけど。
「は、恥ずかしい」
「何でそこで照れんねん」
「だって、何だか全部晒け出すみたいで····ドキドキしちゃって」
トビのツッコミに更に照れたのかトビの胸にぎゅうぎゅうと顔を押しつける。
「「殺す」」
「ちょ、何のとばっちりやねん?!」
俺とファルの声が被ったが、それくらいには殺意が湧くぞ。
俺のレンなのに!
「レ、レンちゃん、今すぐ話して!
お兄ちゃんが殺られる!」
「や」
「ちょっ、何の反抗期?!」
「ギュッてしてくれたら話す」
「「「「「殺す」」」」」
「満場一致で止めて?!
ほ、ほら、ぎゅーや!
はよ話して?!」
「ふふ、トビ君大好き」
「「「「「殺す」」」」」
「レンちゃん?!」
焦ったふりして俺のレンにいつまでも包容してんじゃねえ!
とか思ってたら、比較的すぐにレンは話し始めた。
「僕の、僕の魂と記憶はあっちの世界の時間軸で言えば、約千年前に始まったんだ」
相変わらずトビにコアラしてるけどな。
ほれほれ、こっちに····」
「や」
まず親父が一文字で撃沈。
ざまあみろ。
「レン?
俺の膝····」
「や」
くっ、俺の時の反応早くないか?!
愛情の差か?!
もちろん俺の方が上だよな?!
「レン、なら私の膝でも····」
「····や」
おい、何で副団長には躊躇う?!
「レン、熊の膝はどうだ?
ふかふかだぞ?」
ピクリと反応して振り返ると団長の膝辺りをじっと見つめる。
「····や」
プイッと元の位置に顔が戻る。
そうか!
獅子で交渉すれば良かったのか!
「あー····とりあえず皆の方には向か····」
「や」
レンはコアラ属のようにソファに腰かけるトビにへばりついて離れない。
あの後ひとしきり泣いてからずっとこの調子だ。
幼児返りでもしたのか?
体が急に成長した分、逆に心が不安定になるとかあるのか?
さっき振り返って見えた愛くるしい目元は赤くなり、少し腫れぼったくなっていた。
トビは口ではそう言いながらも、どこか嬉しそうなのがまた苛っとさせる。
「仕方ありませんね。
レン、そのままでかまいませんから、いいか駄目か教えてくれますか?」
副団長が困った子を宥めるように声をかけると、レンはコクリと頷いた。
「レンの話を私達も聞いてかまいませんか?」
その言葉にトビの胸から顔を放してトビを見上げた。
「俺はかまへんよ。
レンちゃんを助けにこんなとこまで進んで来てくれた人らやから、信用してんで」
再びレンはトビの胸に突っ伏すると頷いた。
「ほなレンちゃん、言いたない事は言わんでかまへんけど、そういう時はちゃんと言いたないって言うてくれる?
そしたらレンちゃんが教えようとしてくれてるんか、そうやあらへんのかわかるやん?」
小さな頭が上下する。
「黒竜は呼ばんでかまへんか?」
今度は左右に動く。
「ファル、来て」
その言葉に黒い影が現れ、次第に人の形を取った。
レンの様子にトビを睨むが、ため息を1つ吐くとトビの隣に腰かけた。
せめて俺も隣に座りたい。
俺達3人はいまだに親父の後ろで護衛中だ。
「何があった?
何故泣いた?」
ファルが手を伸ばしてレンの頬に触れる。
親指でそっと瞼をなぞると反対の瞼を今度は中指でなぞる。
横顔しか見えないが、腫れが引いたから治癒魔法をかけたようだ。
「僕が····上手く話せないのが申し訳なくて」
レンはそのまま頬を撫でるファルの手を取って繋ぎ下ろし、再びトビの胸に顔を埋める。
「今も····何から話せばいいのか悩んでる」
ぽつりと洩らす声は、心許ない。
だがそれよりも繋いでいるファルの手をはたき落としたい。
「最初から全て話せ。
俺はお前が何なのか知ってはいる。
お前が狂った俺の意識に潜り込んで夢見の力を使った時に垣間見たお前の、いや、違うな。
お前達の記憶、そしてお前が俺の真名を書き換えて図らずも繋がったお前の感情で知ってしまった」
ファルは慰めるように繋いでいない手で同じ黒髪の頭を撫でる。
「だが全て断片的だ。
だからお前達がそうなった始まりから聞きたい。
お前が背負った物も、何故殺され続ける事になったのかも、何故俺とグランにあの色が無い時のお前の魂そのもののような力の欠片が入り込んでいるのかも、何故レンカがこちらの世界に来る事になったのかも、何故お前が生まれたのかも、全てお前の口から聞きたい」
····ちょっと待て。
ツッコミ所しかないぞ、ファル?!
真名を書き換えたって何だ?!
感情が繋がった?!
俺も繋がりたいだろう!
じゃなかった。
色が無い時のレンて、あの目元に泣き黒子のある白い子供の事か?!
俺とファルに力の欠片が入り込んでるって何だよ?!
親父とファルを除けば全員困惑してるぞ?!
「最初って、本当の最初から?
でも長くなっちゃう····皆お仕事あるのに····」
「レンちゃんや、時間などいかようにもできるぞ。
この機会を逃せば次はなかろうて。
それに長らく溜めて来た感情もあるじゃろう。
レンちゃんを家族のように想う儂らにぶつけてはくれぬか?」
あ、やっとこっち見たな。
何で顔を赤くしたんだ?
またすぐ隠したけど。
「は、恥ずかしい」
「何でそこで照れんねん」
「だって、何だか全部晒け出すみたいで····ドキドキしちゃって」
トビのツッコミに更に照れたのかトビの胸にぎゅうぎゅうと顔を押しつける。
「「殺す」」
「ちょ、何のとばっちりやねん?!」
俺とファルの声が被ったが、それくらいには殺意が湧くぞ。
俺のレンなのに!
「レ、レンちゃん、今すぐ話して!
お兄ちゃんが殺られる!」
「や」
「ちょっ、何の反抗期?!」
「ギュッてしてくれたら話す」
「「「「「殺す」」」」」
「満場一致で止めて?!
ほ、ほら、ぎゅーや!
はよ話して?!」
「ふふ、トビ君大好き」
「「「「「殺す」」」」」
「レンちゃん?!」
焦ったふりして俺のレンにいつまでも包容してんじゃねえ!
とか思ってたら、比較的すぐにレンは話し始めた。
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