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150.朔月2~トビドニアside
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「レンちゃん、もう話すん止める?」
俺に小っちゃい子みたいに抱きついたまんましばらく黙ってまったレンちゃんに声をかける。
服の端を握ってる手は緊張してるんか固く握ってるけど、めっちゃ庇護欲そそってくれるなあ。
黒竜以外はレンちゃんの話が進んでくに連れて顔を曇らせてってる。
兄さんなんか殺気がだだ漏れやけど、間違ったらベル爺の暗殺企ててるんと勘違いされんのとちゃう。
その顔で国王陛下の背後に立つんはどうかと思うで。
せやけどホンマどこの世界も神殿いうんはろくな事せえへんのやな。
小さい頃から空腹で寒さもまともにしのげへん、誰にも話しかけられへんのが普通で最終的に供物にされるんに何の疑問も持ってへんって、異常にもほどがあるわ。
少しして、ふるふると小さく首を横に振ってまた話し始めた。
「朔月は2人とこっそり会うようになってから、やっと自我が芽生えたんだと思う。
それと同時に自分の中の力も自覚するようになったの」
明らかにレンちゃんの話す速さが遅なったな。
どう言うか考えてるんやろうけど、ホンマ自分の事は不器用なんやから。
さっき信用されてないんやと勘違いした言葉でレンちゃんをギャン泣きさしたんがホンマ後ろめたいわ。
「最初は夢見で、夢の中で2人と会ううちに世の中の事、言葉や読み書きを教えて貰った。
少しずつ他の人の夢ものぞけるようになって、自分が時々見えてた影や異形の存在が他の人には見えてなかったのにも気づいた。
言葉を覚えてからはそういう存在とも話すようになって、自分がどういう存在なのかを本当の意味で知っていった。
もちろんずっと言われてきた供物が何を意味するのかも。
それでも朔月は逃げようとは思わなかった」
「何故じゃ?
怖くはなかったのか?」
「それは····」
ベル爺の言葉に再び黙り込む。
多分何か言おうとして口を開けては閉じてしてんな。
「夢見で未来を見たから、か?」
やけに確信を持ってそう言うたんは兄さんや。
レンちゃんが思わず兄さんを振り返った。
「ど、して?」
「ずっと昔から俺は朔月を夢で見てたんだ。
特にレンと初めて会ったあの夜からは頻繁に見てた。
多分、俺とファルの魂はレンと同じ世界、朔月と同じ時代を生きたんじゃないのか?
それにレンの夢見で俺もゼノリア神に会って、前世とか呪いまみれとか、コトホギがどうとか言われた。
時期が来るまでは誰にも言うなと言われてたんだが、多分今が時期なんだろう。
今までで1番鮮明に思い出してる」
レンちゃんもかなり戸惑ってるな。
「朔月が知り合った2人。
それが俺とファルで、朔月からコトホギって呼ばれる何かを受け取って今の世界に転生した。
俺達は朔月の前で死んだんじゃないか?
俺の記憶の中には、泣き黒子のある白い髪の女の子がチカユキ、タカチカと泣き叫びながら呼びかける記憶がある。
呪いまみれってゼノリア神に言われたが、呪いで死んだのか?」
「····え····えと····」
呼吸が浅くなってもうたんか、顔色が悪いな。
ただでさえ物理的に血を失くしてからまだ回復してへんし、飯も食えてへんから補えてもないのに。
「レンちゃん、1回ちゃんと息して?」
背中をぽんぽんと叩いてこっち向かせる。
「····あ····ん····」
雌の特徴やろうけど、少し大きなった胸が上下するんを確認して、何回か深呼吸さしておく。
そういや下着どないしたんやろ?
まだ試作段階で、ちょっと苦しい言うてたから手直ししてんのやろか。
いくらか顔色がマシになったと思ったら、また俺に抱きついてきた。
ホンマに小さくやけど、体が震えてる。
また抱きしめて震えが治まるんを待つ。
予想通りあちこちから殺気が飛んで来るけど、今はそれに反応せえへん。
周りもレンちゃんが震えてたんに気づいたからやろうけど、静観はしてる。
しばらくしたら震えが治まって、ちょっとずつやけど体の力も抜けてきた。
まあまだ俺の服握りしめてるんは変わらへんけど。
レンちゃんの体が急に成長した反動なんか、精神的に不安定になった気がすんねん。
皆とこうやって話す前から口数少なくなってたし、やたら俺の尻尾はせがむし、昨日は幼馴染みのカミュラと久々に一緒に寝たいって駄々こねてたし、1人の時はあの傷のあたりを服の上から握りしめてたりしたし。
あの傷が魂の傷やいうんは何となくわかるけど、痛むんかどうかはホンマにわからん。
それとなく聞いても痛みはないとしか言わへんもん。
レンカちゃんがあの傷が元で死んだんやったら、間違いなく他殺やし、腹はともかく胸の傷は殺す事に何の躊躇いもあらへん傷や。
刃の角度からしても肋骨避けて真っ直ぐ心臓に刺さってる。
即死やったやろうな。
始まりや言うてる朔月の話にこんだけ時間かかってたら、最後になるレンカちゃんまではどんだけかかるんやろか。
今日中に終わってくれるとええねんけど。
「グランさんとファルは····どこまで思い出してるの?」
弱々しい、ホンマに不安そうな声音やな。
まあ今の兄さんの話だけでもその2人いうんがろくな死に方してへんのはわかる。
神殿の話といい、兄さんの話といい、レンちゃんの傷といい、こっちの世界に来るまでにどんだけトラウマ級の生き方してきてんやろな、うちのレンちゃんは。
俺に小っちゃい子みたいに抱きついたまんましばらく黙ってまったレンちゃんに声をかける。
服の端を握ってる手は緊張してるんか固く握ってるけど、めっちゃ庇護欲そそってくれるなあ。
黒竜以外はレンちゃんの話が進んでくに連れて顔を曇らせてってる。
兄さんなんか殺気がだだ漏れやけど、間違ったらベル爺の暗殺企ててるんと勘違いされんのとちゃう。
その顔で国王陛下の背後に立つんはどうかと思うで。
せやけどホンマどこの世界も神殿いうんはろくな事せえへんのやな。
小さい頃から空腹で寒さもまともにしのげへん、誰にも話しかけられへんのが普通で最終的に供物にされるんに何の疑問も持ってへんって、異常にもほどがあるわ。
少しして、ふるふると小さく首を横に振ってまた話し始めた。
「朔月は2人とこっそり会うようになってから、やっと自我が芽生えたんだと思う。
それと同時に自分の中の力も自覚するようになったの」
明らかにレンちゃんの話す速さが遅なったな。
どう言うか考えてるんやろうけど、ホンマ自分の事は不器用なんやから。
さっき信用されてないんやと勘違いした言葉でレンちゃんをギャン泣きさしたんがホンマ後ろめたいわ。
「最初は夢見で、夢の中で2人と会ううちに世の中の事、言葉や読み書きを教えて貰った。
少しずつ他の人の夢ものぞけるようになって、自分が時々見えてた影や異形の存在が他の人には見えてなかったのにも気づいた。
言葉を覚えてからはそういう存在とも話すようになって、自分がどういう存在なのかを本当の意味で知っていった。
もちろんずっと言われてきた供物が何を意味するのかも。
それでも朔月は逃げようとは思わなかった」
「何故じゃ?
怖くはなかったのか?」
「それは····」
ベル爺の言葉に再び黙り込む。
多分何か言おうとして口を開けては閉じてしてんな。
「夢見で未来を見たから、か?」
やけに確信を持ってそう言うたんは兄さんや。
レンちゃんが思わず兄さんを振り返った。
「ど、して?」
「ずっと昔から俺は朔月を夢で見てたんだ。
特にレンと初めて会ったあの夜からは頻繁に見てた。
多分、俺とファルの魂はレンと同じ世界、朔月と同じ時代を生きたんじゃないのか?
それにレンの夢見で俺もゼノリア神に会って、前世とか呪いまみれとか、コトホギがどうとか言われた。
時期が来るまでは誰にも言うなと言われてたんだが、多分今が時期なんだろう。
今までで1番鮮明に思い出してる」
レンちゃんもかなり戸惑ってるな。
「朔月が知り合った2人。
それが俺とファルで、朔月からコトホギって呼ばれる何かを受け取って今の世界に転生した。
俺達は朔月の前で死んだんじゃないか?
俺の記憶の中には、泣き黒子のある白い髪の女の子がチカユキ、タカチカと泣き叫びながら呼びかける記憶がある。
呪いまみれってゼノリア神に言われたが、呪いで死んだのか?」
「····え····えと····」
呼吸が浅くなってもうたんか、顔色が悪いな。
ただでさえ物理的に血を失くしてからまだ回復してへんし、飯も食えてへんから補えてもないのに。
「レンちゃん、1回ちゃんと息して?」
背中をぽんぽんと叩いてこっち向かせる。
「····あ····ん····」
雌の特徴やろうけど、少し大きなった胸が上下するんを確認して、何回か深呼吸さしておく。
そういや下着どないしたんやろ?
まだ試作段階で、ちょっと苦しい言うてたから手直ししてんのやろか。
いくらか顔色がマシになったと思ったら、また俺に抱きついてきた。
ホンマに小さくやけど、体が震えてる。
また抱きしめて震えが治まるんを待つ。
予想通りあちこちから殺気が飛んで来るけど、今はそれに反応せえへん。
周りもレンちゃんが震えてたんに気づいたからやろうけど、静観はしてる。
しばらくしたら震えが治まって、ちょっとずつやけど体の力も抜けてきた。
まあまだ俺の服握りしめてるんは変わらへんけど。
レンちゃんの体が急に成長した反動なんか、精神的に不安定になった気がすんねん。
皆とこうやって話す前から口数少なくなってたし、やたら俺の尻尾はせがむし、昨日は幼馴染みのカミュラと久々に一緒に寝たいって駄々こねてたし、1人の時はあの傷のあたりを服の上から握りしめてたりしたし。
あの傷が魂の傷やいうんは何となくわかるけど、痛むんかどうかはホンマにわからん。
それとなく聞いても痛みはないとしか言わへんもん。
レンカちゃんがあの傷が元で死んだんやったら、間違いなく他殺やし、腹はともかく胸の傷は殺す事に何の躊躇いもあらへん傷や。
刃の角度からしても肋骨避けて真っ直ぐ心臓に刺さってる。
即死やったやろうな。
始まりや言うてる朔月の話にこんだけ時間かかってたら、最後になるレンカちゃんまではどんだけかかるんやろか。
今日中に終わってくれるとええねんけど。
「グランさんとファルは····どこまで思い出してるの?」
弱々しい、ホンマに不安そうな声音やな。
まあ今の兄さんの話だけでもその2人いうんがろくな死に方してへんのはわかる。
神殿の話といい、兄さんの話といい、レンちゃんの傷といい、こっちの世界に来るまでにどんだけトラウマ級の生き方してきてんやろな、うちのレンちゃんは。
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