《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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152.休息

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「レン、嘘はつかなくて····」
「嘘じゃない!
だけど····だけど、本当の事はわからない。
朔月は千年経っても強い。
レンカがいなかったら僕は消されてた。
レンカも強い、から····あ····」
「消されてた、とは?」

 図星を刺されたからか?
感情的になって俺の言葉を遮る。
一息に話したはずみで出た言葉に、しまった、と声音が告げる。
だがもう遅い。

「レン、消されてたとは、どういう事だ?」

 知らず、口調が強くなっていく。
レンがまたあの夢見で見たレンカのように死ぬのか?
それがあの傷ついた朔月であっても、そんな事はさせない。

「レンカちゃんは15年前、レンちゃんから主導権を奪う事もできる言うてた。
もしかして、朔月の自我みたいなんもレンちゃんの中におるんやないん?
他の自我は?
それでレンカちゃんがレンちゃんを守ってた、とか?」

 トビも同じように思ったようだ。

 そして俺達は意図せずレンを追い詰めてしまう。

「あ、ち、ちが····その、し、知らな····」
「レン、嘘は駄目だ」

 トビから体を離し、俺とトビに視線が行き来する度、黒髪が揺れて涙で溢れていく黒目が光る。

「レンちゃんとレンカちゃんの根底は同じや言うてた。
レンちゃんから主導権奪って生きるほどには自分の人生には悔いが無いから、そういうんは望まへんとも。
せやったら朔月は?
こっちの世界で執着してた2人を見つけたんやんな?
朔月はどうなん?」
「し、知らない····」
「レン?」
「····うっ、ふっ、ほ、ほんとに····し、らなっ····」

 とうとう、レンは嗚咽を抑え切れなくなってしまった。

 不意に親父が立ち上がり、トビから拐うようにレンを抱き上げる。
それと同時にすぐ隣で立つ副団長が無言で俺の肩を引いた。
我に返ると副団長の痛ましい表情が目に入った。

「大丈夫じゃ」
「····ベル、じ?」
「誰も責めとらん。
お前達もいい加減にせい。
先ほどからずっと震えておろうに」
「んっ、ふっ、僕····」
「うんうん、どうした?」
「ほ、ほんとに、知ら····わか、らない、のっ」

 親父の首にしがみついて完全に泣き出してしまう。

 くそ、今日は泣かせてばかりだ。

「あ、あのっ、ふたり、は····転生た、たいのっ中でも、んっ、全部つ、強く、て····っく、記憶は、きょ、共有できる、けど、感情は、わからな、のっ。
共有、して、る····んっ、記憶も、正し、のか、確認しな、と、怪し、からっ、そ、それにっ、僕じゃな、のに、朔月も、レンカ、も、僕と違っ····違う、のに、感情、までっ、勝手に、なんか····えっ、えっ····」
「そうじゃな、そうじゃったな。
その2人は一癖も二癖もありそうじゃ。
それに千年も前の記憶じゃものな。
レンちゃんは朔月やレンカを自分と別人と考えておるのよなあ。
他人の心情を勝手に吐露するのは、確かに躊躇われようのう」

 宥める親父の声にどこかで安心したんだろう。
レンと比べれば太くがっしりした首にしがみついて、こくこくと何度も頷いている。

 寄り添う親父にすがりついて泣きながらも、何とか自分の気持ちを伝えようとする番を見てどんどん落ち込んでいく。

「もう今日はこれでお開きにしようかのう?
体力もなかろう?」

 しばらく考えた末に、こくりと1つ頷いた。

「また起きてから、時間を作っても良いかのう?」

 背中をあやすように擦る親父にまたこくりと返事を返す。

「ここで休みたいかの?」

 ぎゅっと腕に力が入ったのがわかる。
拒絶されたようで胸が痛む。
多分トビと同じ顔をしているんだろうな。

 だが結局レンは首を横に振った。

「····トビ、君····」

 未だ涙が止まらないまま、トビを振り返って手を差し出す。

 諦めたような、どこか傷ついた顔をしていたトビが呆けた顔ながらも抱き上げ、そして後悔を滲ませて抱きしめる。

「ごめ、ね。
うまく、はなせ、なかっ、た」
「かまへん。
俺こそごめんな。
気がせってしもた」

 首に抱きつく体を羨望の目で見る俺に申し訳ない顔をするが、それでも手放す気はないらしい。
何故か少し前のような怒りは湧いてこないが、虚しさを感じる。

「グラ、さ、ファル、僕、僕ね、今の気持ちが、わから、ない。
最初は、踏み込まれな、よ、に····んっ、してた、のに····んっ····2人に、感じてる、の····朔月、引きずら、れて····のか、僕の、き、もち····か····」

 言い終わらないうちに、意識を失うように眠り始めた。

 いや、最後のそれは気になるだろう!

 なんて思っていたが、トビは寝かせて来ると奥の部屋へレンを連れて行った。
ファルも後を追う。
俺も続こうとしたが、後ろから親父に肩を掴まれた。

「ふん、レンちゃんの心にちいと踏み込めた程度で調子にのるなよ、小わっぱめ!」
「は?!
何のいちゃもんだよ!」
「うるさい!
ついて行くなど許さん!
お前はまだ儂の護衛中じゃ!」
「何だと!
やんのかよ!」
「はん!
返り討ちじゃ!」
「「いい加減にしろ(しなさい)」」
「「····はい」」

 あれ、何か既視感が。

 団長、副団長の殺気が凄いな。
今まで我慢して任務に徹してた分、圧がえげつない。
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