《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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155.レンカの弱味~レイブside~

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「○○の場合、薬効成分○○が過剰に働いたと考えられる。
よってこの場合には先の投薬○○の量を5分の1に~」

 グランが去ってからすぐにレンカが話す内容を言われた通りに書き綴っています。
恐らく昼間の会合の後、うちの第3隊隊長のジェスと共に地下に隠されていた麻薬患者と会った記憶を元に追加資料を作っているのでしょう。

 初めて会ったレンカはレンとはやはり違う人格のようですが、レンカから得た知識を元にして治癒魔法や薬の製造を行ったというは本当のようです。
ジェスが時々使うような小難しい薬の分析と考察、対処として代用可能な薬剤がすらすらと出てきていますね。

 レンとは違う、どこか独善的な雰囲気を纏うこの子が転生体の中でも朔月同様に強いというのも、ただ話しているだけなのにやたら存在感があって頷けます。

 それにしても····。

 レンカはベッドで眠る副会長の体の上を十字に交差するように仰向けに倒れてバンザイの状態で伸びをしながら言葉を口にしているのですが····自由ですね。

 副会長は全く起きる気配がありませんし、間違いなくレンカが何かしらして眠らせているんでしょう。

 そういえば黒竜は全くこちらに顔を出しませんが、森に戻ったのでしょうか。
今のレンカの感情を教えてから戻って欲しかったですね。

「レンカ、貰ってきたぞ」

 グランが片手にアイスの入ったボール、片手に器とスプーンを持って戻ってきました。
体を起こしてボールを受け取ると膝の上に置いて手早く器に取り分けます。

「休憩して」

 グランと私にそれぞれよそった物を手渡してくれましたが、こういう時はレンと同じように行動するようです。
態度はどちらかといえば横柄ですが、元々の気質は面倒見が良いのでしょう。

「ありがとうございます。
残りは溶けないように冷やしておきますね」

 残りのアイスに魔法を施します。
レンカはすでに1口目を口に入れていますが、コクリと頷いて2口目を堪能しています。
無表情か不満気な顔しかしなかったのに、知ってか知らずかわかりませんが可愛らしく微笑んでいます。

「レンカ、確かめたい事があるんだが、給餌はやっぱり嫌か?」

 普段は問答無用で給餌してますが、レンカが相手になると遠慮はするようです。

「····何を確かめたいかによる」

 そう言いながらも手は止めないからさっさと話をつけないと全て平らげそうですよ、グラン。

「レンカも同じ番だが、レンとはどこか違う気がするんだ。
その····香りは花の豊潤で高貴な、とても良い香りだが、レンに感じるような強い情動は起こらない」
「それと給餌がどう関係する?」
「給餌は愛情表現の1つだ。
すれば何かが変わるかもしれない」
「却下。
変わろうが変わるまいが無意味」
「どうしてだ?」
「私はいずれレンの中で消える亡者だ。
消える者と何かしらの縁を結ぶ事ほど無意味だよ」

 そう言って器のアイスをたいらげてしまいましたね。
レンに引き続き、レンカにも拒絶されるのを目の当たりにするとさすがにグランが気の毒にはなります。

 それにしても、同じ体に違う人格が幾つか混在するとはどういう事なのでしょう?
ただでさえメルの番はフィルメと違って1人なのに、グランは混乱していないのでしょうか。

「それ、さっさと食べて。
続けるよ」

 レンカはもうグランには興味がないようです。
堪能したかったのですが、急かされてはしかたありません。
グランは目に見えてしょんぼりしていますね。

「発熱、下痢の症状が出た場合~」

 それからしばらくレンカの話を綴り続けました。

 グランは最初こそベッドの端で邪魔をしないように腰かけてレンカの横顔を見ていただけですが、何かを思いついたように獣体になって副会長の横で腰かけた愛しい番の足元にすり寄り、尻尾を細い腰に巻きつけます。

 話を中断こそしませんが、レンカは怪訝な顔はしつつも何度も膝の辺りに頭を擦りつけられるうちに誘惑に負けたのか、グランのふわふわした鬣をそっと触れました。
すると今度はその手に頭を擦りつけ、耳に当たるように誘導すると狙い通りでしょうね。

小さな手が厚みのある耳をふにふにと揉み始めました。

 グランはゴロゴロと喉を鳴らしながら次は顎を突き出すと、片手は耳や頭を揉んだり撫でたりしながらもう片方の手で顎を撫でつけ始めました。

 いつの間にか無表情だった小綺麗な顔は口許を緩ませていますね。
相変わらず口から出る言葉は薬や対処方法ばかりですが。

 レンカもレンと同じように獣体になると警戒心が和らぐようです。
どうやらどちらの人格も獣には弱いんでしょうね。
いつしか前屈みになって獅子の頭全体を揉んだり撫でつけたりしています。

「えっ」

 不意に小さく息を飲むと可愛らしい声が途切れました。
どうやら服の袖を軽く噛んで引っ張り、よろけたところを前脚で器用にすくって回転させて転ばすと小さく華奢な体躯を体で受け止めてそのまま床に寝転んだようです。

 やられた本人は何が起こったかわからず、獅子の胴体に背中を預けてちょこんと座って目をパチパチしています。
表情が幾分幼く見えて可愛らしいですよ。

 立ち上がれないように体を折り曲げ、大きな頭を撫でてくれと言わんばかりに番に擦りつけてアピールしていますが、どうするんでしょうね。

「経過期間は数日、一週間単位で~」

 しばらく唖然としていましたが、再開させます。
しかしグランを押し退ける事はせず、金に近い茶色の毛に埋もれたまま、差し出された頭や鬣を再び揉んだり撫でたりし始めました。

 軍配はグラン、というよりも獅子に上がったようです。
まあグランも喉を鳴らして幸せそうに目を細めているので良しというところでしょうか。
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