《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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210.エピローグ

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 あれから更に2年。
朔月と蓮香は既に人格としては存在しなくなったと聞いている。
 
 冬月の満月の夜。
魔の森が月花の香りと月光で満たされた夜。
レンの体調と記憶がしっかりと戻ったのを待って、この日を迎えた。

 俺とファルは整えられた寝台に向かい合って座る。
もちろん真ん中には窓から差し込む月光に照らされ、ペタンと座って恥じらう最愛の番、レン。

「レン。
これから伴侶の儀を結び、俺とグランの伴侶紋をレンに与える事で俺達3人は寿命と感情を分かち合い、共有する」
「ああ。
やっと白竜から習った俺だけの伴侶紋をレンに刻める。
レン、怖くないか?」

 儀式用の薄い夜着に身を包み、頬を染めた最愛は首を振る。

「僕、あの時グランとファルドギアがいたからもう1度、今度は一緒に生きたいって思ったの。
怖くないよ。
でも····僕の方がきっと、ずっと寿命が短いのに、僕に合わせていいの?」

 伴侶となる事を誓ったあの日から、レンには俺の名を呼び捨てにして欲しいと頼んだ。
最初はぎこちなかったが、2年経った今では定着してくれた。

 黒竜の伴侶紋は本来なら紋に互いの真名を刻み込み、伴侶と寿命を分け合い、等分し、感情を共有し合うものらしい。
それでも獣人の何倍かは生きるわけだが、白竜の紋のように伴侶の時間を一方的に止めるものではない。
緩やかにだが共に老いて死んでいくそうだ。

 ファルの記憶には無かったが、狂ったファルの真名を書き換えた時に記憶を垣間見たレンが最近になってファルの前妻の紋の事を教えてくれた。

 当時のファルは寿命と感情を共有し合って共に生きるからこそ、何の覚悟もない前妻の紋には前妻の真名をあえて加えず、寿命と感情の共有を防いでいたと。
もし前妻にその覚悟ができれば己を穿ち正式に伴侶紋を定着させる時に前妻の真名を刻むつもりだったそうだ。

 前妻に紋を与えた理由は白竜に頼まれたのもあるが、まだ赤子ほどに小さかった前妻を見ていて、記憶に残る鷹親の子供を思い出したかららしい。

 けっこう軽いノリで与え、だからこそ前妻が亡くなりあんなにも狂ったのは当時のファルからすればかなりの誤算。
伴侶を殺された復讐をしたいと思う程の愛情も実は全く無かったと聞かされた時には、何とも言えなさそうな、その当時の記憶の抜け落ちたファルの様子も相まって笑ってしまった。

 何か重要な理由でもあったのかと思っていたが、蓋を開けてみれば事実とはこんなものなのだろうとまた笑うと、ファルに黒炎をぶつけられそうになって地味に命の危機に晒された。

 とはいえレンが激怒りしたのは、不義の子供が出来た事で黒竜の怒りを恐れた前妻が浮気相手と共謀してファルに一服盛って眠らせ、既成事実をでっち上げて誤魔化そうと不義理を画策し、更にレンが簒奪者と呼んだ前王までもが不義理の上塗りをした為らしい。

 話しながらぷくっと頬を膨らます俺の最愛は間違いなく世界一可愛い生き物だと思う。

 恐らくレンは気づいていなかっただけで、出会った当初からファルに何かしらの感情はあったんだと思う。
もちろんそれは絶対言わないけどな。

「レンのいない生など今更生きられん。
待てば転生したお前に出会うかもしれんが、それは俺の愛するお前ではない」
「そういう事だ。
俺の紋はファルの紋に共鳴し、俺もお前達と繋げてくれる。
俺達が悲しませたりはとしない」

 かつての親之と鷹親俺達が朔月を悲しませたように。

 もしレンに因果があるのなら、それは“愛する者に遺される最期”ではないだろうか。

 レンは少し目を瞠り意図せず涙が頬を伝う。
その涙はレンのものか、それとも消えたはずの····。

「あ、あれ····」

 涙に戸惑って拭おうとした手をそれぞれ取り、俺達はそれぞれの頬に口づけた。

「無理に涙を止めなくていい。
全てレンの感情だ」
「俺達の最愛。
お前の全てが愛おしい」

 俺達は柔らかな唇に交互に口づけ、相変わらず華奢な肩を押して寝台にそっと押し倒す。

 月光に照らされる薄く透けた衣を纏う最愛は幻想的で、美しい。

 額に、頬に、その手に口づけると、最愛に名を呼ばれ、それぞれの手を取られ、どちらの甲にも口づけられた。

「僕の最愛。
ちょうだい、全部。
2人の伴侶紋も、命も、感情も。
僕も全部あげる。
2人の伴侶にして。
僕の伴侶になって。
一緒に生きて。
····1人にしないで」

 最愛の潤んだ目に初めて情欲の光を見る。

「「もちろんだ」」

 ゆっくりと時間をかけて俺達の伴侶紋を施し、華奢な体に己を穿ち、定着させた。

 翌朝。

 明るい日の光の下で見る、どこか疲労感を滲ませながら眠る番の滑らかな肌。
そこにある金色の粒子が散る青と黒の2つの伴侶紋を目にした俺は幸福感に包まれた。
この先共に死が俺達を別つまで溺愛すると改めて誓った。

 願わくば、来世でもまた····。


 これが溺愛する世界一可愛らしいけど、秘密だらけでやる事しれっとえげつない、チートな最愛の番との出会いから伴侶にするまでの俺の奔走物語。

ー完ー


※※※※※※※※※
お知らせ
※※※※※※※※※
ついに完結しました。
これまで本当にありがとうございました。
明日から次回作の投稿を開始します。
タイトルは「【ダーリン(仮)闇堕ち防止計画】前世:聖女&聖竜の飼い主、今世:こっ恥ずかしい二つ名(鮮血の魔女)冒険者&魔竜と古竜の飼い主&一途な悪女です」です。
1話2,000文字程度の15話いかないくらいのお話です。
2日ほどは1日2話、午前と午後投稿します。
今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
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みんなの感想(1件)

スパークノークス

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2021.08.18 嵐華子

ありがとうございます。
これから少しずつ投稿していきますので、よろしくお願いします。

解除

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