《完結御礼》【溺愛中】秘密だらけの俺の番は可愛いけどやることしれっとえげつない~チートな番を伴侶にするまでの奔走物語

嵐華子

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209.通じ合う

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「なるほど。
それでレンちゃんは目覚めてすぐに転移して?
人属にとっては肌寒いこの時期に薄着のまんま魔の森をうろついて?
足を最速で怪我して?
よりによって侵入者とご対面して?
記憶の混乱も起きて?
とどめに熱出してぶっ倒れたと?」

 こめかみを引くつかせるトビの言葉が突き刺さる。

 レンは元のベッドに戻り、ぐったりして赤い顔ではふはふと呼吸している。

「ホンマやらかし体質健在やな」

 その言葉、ファルも言ってたが俺も激しく同意するぞ。

「足の方は消毒もしたから問題あらへんし、師匠が帰って来たら治して貰えると思う。
ただ体に関しては多分しばらく食欲もまともに無いし内臓も弱ってて体力も無いから、ちょっとした事ですぐ熱出したり倒れたりするはずや。
爺さんの時みたいに何年かは注意せなあかん。
とりあえず今日のところは起きたら薬飲まして様子見やな。
記憶の混乱については黒竜の方がわかるんちゃうの?」
「ああ。
目覚めた直後のような大きな混乱はもうないはずだが、まだ夢現のようだ。
目は離さないように····」
「····ん」

 ファルが言い終わらないうちにくぐもった可愛らしい声が聞こえて俺達はそちらに目をやる。

「レン、起きたか。
喉は渇いてないか?」

 ぼうっとした目で俺を見るが、あまり反応はない。

「レンちゃん、久しぶり。
気分はどう?
俺の事わかる?
とりあえず薬飲もか」

 トビが液状の薬を手に取って俺とは反対側に回ってレンの隣に腰かける。
俺も腰かけてレンの体を少し起こしてやり、薬は俺が受け取って口元に持っていく。

 どうでもいいがレンの小屋の粗末なベッドとは違うから、小さなレンの両側は十分スペースがある。

「ちゃんと全部飲もうな、レン」

 そう言うと、そろそろと口にしてくれた。

 しかしレンの視線がトビに注がれているのに気づき、面白くない。

「どしたん?
俺が誰かわからへん?」

 飲み切った器を横に置いたトビも気づいたようだ。

 レンはしばらくしてからふわりと微笑む。

「天馬、来たの」

 そう言うとトビの胸に抱きつく。

「もう歪んでない。
良かっ、た····」

 心底安心したように呟くとそのまますうすうと眠り始めてしまった。

 ふと、天馬の夢で蓮香の言った言葉を思い出す。

『私の寿ぎは天馬の因果と業を解消していく。
もちろん1度や2度の転生で解消なんてできない。
だけどもしその寿ぎを使い切るまでに解消できれば、同化した雷神が残りの寿ぎの力で昇華転身できれば····』

『次の私が次の天馬を今と同じ種類で愛するかなんてわからない。
今までみたいに記憶だって持ったまま転生しないかもしれない。
だけど少なくとも、蓮香である私はどんな天馬であってもまた会いたい』

 あれは、いつかの来世の約束····。

 もしそうなら、蓮香がもし気づいていたのなら····トビに対してだけはどこか違う彼女の態度も頷ける。

 蓮香とレンの、それぞれの祖父のタイムパラドクスなる話もあった。
天馬とトビは····。

「いきなり何やろ?
蓮香ちゃんは詩に似てる言うてたけど、レンちゃん的には天馬に似てる思てんのやろか?」

 トビは気づいていない。
白竜が蓮香との夢見の話を伴侶のトビに秘密にした気持ちが少しわかる。
俺も教えてやらないぞ。

 トビはそっとレンの体を寝かし、片づけをしてくると言って部屋を出た。

 俺はファルがついておくと言うので、団長達の元へ知らせる。

 そこからはちょっとバタついた。

 まずトビの知らせを聞いた白竜が昨年隠居した親父と共に戻ってきて、俺と親父の親子喧嘩が勃発。
騒がしさからレンを起こしてしまい、今度は子供返りしたレンがやはりコアラをトビにせがんで一悶着。

 その後致死レベルの高熱にぶり返し、愛し子の危機にガチ怒りした白竜。
王となった兄上の執務室に親父ごと放り出された俺達は、理由を知った兄上からブリザードなお叱りを賜った。

 まだ3日も残っていた休みは、入れ違いでレンの元へ駆けつけた父親を自負する騎士団ツートップによって地獄のしごきへと強制返上させられる。
そこに親父まで加わったのは解せない。

 そしてあの転移ペンダントを没収されて3ヶ月と13日後の今日。
めでたく出禁解禁となった俺は迎えに来たウォンの背中に乗り、意気揚々とレンの小屋の前に到着した。

 なるほど、今はここにいるという事か。

「レン、入るぞ」

 少しドキドキしながら相変わらず鍵のない戸を開けて入った。

「グランさん、久しぶり」

 俺の最愛がはにかんだ笑顔で迎えてくれる。

 懐かしくもお馴染みの机に座って月花を干している最中だった。
立ち上がって歩み寄ってきた最愛は髪がまた少し伸びたようで、目覚めた祝いにと贈っておいた小花の髪留めが長くなった前髪を顔の横で止めている。

「よく似合っている」

 嬉しさから思わず抱きしめれば、芳潤な花の蜜のような香りに鼻をくすぐられた。

 しばらくそうしていると、ふと気づく。
初めて抱きしめ返されている?!

 驚いて顔をのぞき見れば何かを発しようとしては躊躇し、俯き加減ではくはくとしている。

 どうした?

 急かさずに少し見守ってみれば、やっと決心したのか顔を上げて口に出してくれた。

「お、おかえりなさい。
····僕の····最愛」

 途端に真っ赤な顔に色づく。
最後の言葉はとてつもなく小さな声だ。
そんなテレテレのレンも可愛いな。
目がちょっと泳いでいるところがチャームポイントだろうか。
俺の番は何て····いじ····らし····い····。

 待て、今何て言った?!

 最愛?!
最愛って聞こえた!!!!
蚊の鳴くような声だったが、俺のこの耳はしかと拾った!!!!

「レン····今····」

 だけど今までが今までで、うまく現実が受け入れられ····あれ、夢か?!
いつの間にか寝てたのか、俺?!

「あ、の····僕の····はん、りょに····なってほし····あの····で、でも、いっぱい待たせちゃったから····ダメ、かな?」

 はん、りょ?
はんりょ····伴侶!!
伴侶になって欲しい?!
何だこれ?!
もう俺死ぬのか?!
出禁地獄からの、天国逝きか?!

「え、えっと、ごめんね····忘れてくれ、んん?!」

 頭の中の忙しなさとは裏腹に、体は停止していたのを“否”と捉えたのか、レンが白紙撤回しようとしたのを感じて思わず口づけた。

 目を白黒する最愛の番に理性が殺られそうだ。
でも今は殺られてやらん!

「忘れない!
駄目じゃない!
俺の伴侶になってくれ、レン!
ずっと愛してた!
これからもずっと愛してる!!!!」

 俺の張り上げた声はそこら中をこだましたと知ったのは、その時月夜花を収穫していたらしいカミュラから聞かされた時だった。

 もちろんこの時は知るはずもなく、レンを腕に抱えて再び口づける。

「僕も····あ、愛し····て、る」

 相変わらずの小さなベッドに腰かけて膝に乗せた朱に染まる最愛からの返事に歓喜した俺は、その唇を何度も堪能する。

 その後、酸欠になった最愛が這々ほうほうの体でもう1人の番に泣きの助けを呼び、しばらく遠巻きにされて怯える眼差しを向けられるという地獄を体験したのも今では良い笑い話だろう。


※※※※※※※※※
お知らせ
※※※※※※※※※
このお話もあと1話で完結します。
応援いただいた方、お気に入り登録していただいた方、誤字脱字を報告下さった方ありがとうございます。
他にも短編、長編小説をいくつか作品を投稿しておりますので、気が向かれましたらそちらもご覧下さい。
こちらを完結させましたら、次回作の投稿を開始する予定です。
今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m
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