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35 閨での密談の件

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     龍仙国に帰ってからの俺は、毎日、大忙しだった。
   いろいろな店舗やら会社やらの広告のイラストを描いたり、ポスターを製作したりする合間に、子供服部門の立ち上げ、子供用の絵本の作成、とやりたいことが山ほどあった。
    しかも、子育てしながらだ。
   ほんと、マジ、きつい。
   俺は、働く女性たちのために保育所を作ることにした。
   この世界でも、女たちは、よく働いた。
   子供の世話に、家事、中にはこの上に、外でなんらかの仕事をしている者もいた。
    最もそれが酷いのは、貧しい人々だった。
   子供を理由に仕事を断られるため、彼女らができる仕事は、子供の世話や、家事をしながらできるお針子の仕事くらいだった。
   俺は、王都の中央にある住宅地の外れにある古い家を買い取り、リフォームして幼い子供のための学校を作った。
   その学校の中には、訳あって子供を育てられない人たちから子供を預かって育てる場所もあった。
   俺は、そういうことに疎かったので、詳しそうな助っ人に相談した。
   淫紋を刻まれた相手との間には、特別な絆が生まれ、世界中のどこにいても、心の中で話そうと思えば話すことができた。
    ただ一人を除いては。
       俺は、テレビスとセレビスに相談をしてみた。
   ほんと、軽い気持ちからだった。
   あの二人は、子供好きだしな。
   すると。
    翌日の早朝、巨大な二頭の翼竜が子供を満載して、男娼館『黒薔薇』の前に降臨した。
   ちょっと、待ってください。
   俺は、慌てていた。
  別に、俺は、あんたたちに来てくれとか言った覚えはないんだけど。
   「いや、来た方が、話が早いのではないかと思って」
    というわけで。
   俺は、俺のもとに集ってしまった兄弟神たちに仕事を与えることにした。
    けっこう器用な月花は、作画などの手伝いとか、依頼人との交渉などを任せることにした。
   黒龍には、本業があるのだが、その合間に、『アマヤ』ブランドの方の経営の相談役をしてもらっていた。
   永良には、騎士団長の傍ら、会社の広告塔として活動してもらった。
   子供服部門の担当は、妙に子供に好かれるカースに任せることにした。
   保育所とかは、セレビスとテレビスが率先してやってくれていた。
   何?
   これ、ほとんど、神様の会社じゃね?
  最近じゃ、本職の神官とかの皆さんが集まってきて、なんか知らんが、教会支部みたいなのを作ってくれてるみたいだし。
   その連中が、いろんな神のご利益のあるお守りとかを販売したりしているらしい。
   マジで、兄弟神の家内性手工業じゃねぇか。
      そうそう、染色関係の研究で、『アマヤ』の研究室の方に、キナの国から使節団がくることになった。
   魔法が使えることもあり、本人の希望もあって研究室に配属されていたフローラさんは、そこで国の代表として訪れたシエナと再会した。
   いろいろとあったようだったが、どうやら、落ち着くところに落ち着きそうだったので、俺は、少し、安心していた。
   「時を経て、かつて別れた恋人たちが再び、結ばれるなんて素敵」
   二人のラブラブっぷりに当てられた樹理がいよいよ決心した。
  「あたしも、結婚する!」
    相手なんているのかよ?
   そう、俺は、思っていた。
   ところが、いたのだよ。
   今では、男娼を廃業し、『アマヤ』ブランドでデザイナーとして働いている伶と樹理は、いつの間にか、いい仲になっていた様だった。
   「なら、あたしも」
    柴までが、結婚すると言い出した。
   こっちは、永良の騎士団の副団長で貴族だが、質実剛健の代表のような好青年が相手だった。
   いや。
   彼らだけでは、なかった。
   王都では、今、結婚ラッシュが起きていた。
     「アマヤのせいだな」
   カースがアカリをあやしながら言ったので、俺は、きいた。
  「なんでだよ?」
   「それは、神々の神妃であるアマヤが、私たち兄弟神と仲睦まじく暮らしていることが皆にも影響を与えているのだろうよ」
    はぁ?
   「別に、俺は、お前らと仲睦まじくなんてしてねぇし」
   「でも、セレビスの子を産んでるし」
   カースは、アカリを片手で抱いたまま、俺の腰に手を回してきた。
   「最近は、時々は、寝所に入れてくれてるし」
   「それ、は」
    俺は、最近、順番に、兄弟神たちをベッドに迎え入れていた。
   俺は、セレビスの件で学んだのだ。
   決して、こいつらを欲求不満にしてはいけない、と。
   俺は、こいつら自身よりも、ずっと、こいつらの性欲のコントロールに気を配っていた。
   それだけのことだった。
   こいつらのことなんて、俺は、なんとも思っちゃいねぇし。
      「今日は、あの双子の日だろ?」
   カースは、俺に妙にすり寄りながら言った。
   「ちょっと、マーキングしとかないとな。あいつらにお前がより誰のことを愛しているのかを思い知らせるために」
   「やめろ!」
    俺は、カースを押し離した。
  「俺は、お前ら兄弟がみんな平等に嫌いなんだよ!」
   「いいから、いいから」
    カースが満面の笑みを浮かべて言った。
   「今夜は、アカリは、私と月花が預かってやるから安心して、楽しんでくれ」
   「誰が、楽しむんだよ!」
   俺は、アカリを抱いて去っていくカースに、枕を投げつけた。が、カースは、それを楽々避けると、笑いながら部屋を出ていった。
   俺が、舌打ちしたところへ、黒龍と永良が入ってきた。
   「どうした?アマヤ。なんだか知らんが、カースが高笑いして出ていったけど」
   「何でもねぇし」
   俺は、双子を睨み付けて言った。双子は、俺の不機嫌さになんてかまうことなく俺の左右の頬にそれぞれキスした。
   「なら、いいんだが」
         俺は、今でも、『黒薔薇』の一階の客用寝室にアトリエを構えていて、そこで寝起きしていた。
   『黒薔薇』は、今では、もう、男娼館ではなくなっていた。
   樹理は、男娼館を廃業してしまったのだ。
   『黒薔薇』で働いていた男娼たちは、皆、なんらかの仕事を覚えてこの店を出ていった。
   残っているのは、俺とカイと伶だけだった。
   伶は、樹理との結婚が決まっているし、カイは、俺の助手であり、大切な同僚だった。
   俺は、というと、嫌な思い出ばかりあるような気のするこの家だったが、離れがたかった。
    ここが、俺のこの世界での故郷だった。
    双子に口づけされて、俺は、もう、全身に淫紋が浮かび上がり、体の奥がうずうずと疼きだしていたが、今夜は、この二人に話があったのだ。
    「神羅のことだけどな」
    俺は、双子に訊ねた。
   「なんとか、あそこから出してやれないもんかな」
   「ああ?」
    黒龍が上着を脱ぎ、ネクタイを解きながら俺を欲望に光る瞳で見つめた。
   「そんなこと、どうでもいいことだな、アマヤ」
   「そんなことより、今夜こそ、お前を孕ませたい」
   永良が俺をベッドに押し倒して言った。
   「覚悟はいいか?アマヤ」
    「いやっ、ちょっ、待って!」
    俺は、二人に抗った。
   「ほら、『名を持たぬ者』のこともあるし、神羅は、いろいろと物知りだし」
   「『名を持たぬ者』か」
   永良が手を止めた。
   「確かに、奴は、何をするかわからん」
   「だが、奴が何を企もうとも、もう、奴の神妃は・・・」
   黒龍の言葉に永良が応じた。
   「だから、だ。奴は、自棄になって何をしでかすか、わからん」
   「そう」
  俺は、ベッドの上に起き上がって、そこに正座した。
   「そうなんだ。あいつらのこともあるし、な」
   俺は、『名を持たぬ者』のことも気になっていた。
    「一度、あいつとは、話をつけないといけない。
   「『名を持たぬ者』とお前が、か、アマヤ」
   黒龍が何か、考え込んでいた。
   「それは、この先、避けては通れない道だが」
   「いや、アマヤが言う通り、会うなら早い方がいいかもしれん」
   永良が言った。
   「このままだと神妃を失った奴は、魔神化してしまう。そうなれば厄介だ」
   「そうか」
    俺たちは、各々ベッドに座って話し合った。
  そして、近いうちに双子と俺で、奈落と呼ばれる森の奥に潜んでいるという『名を持たぬ者』のもとへと行くことになった。
      「もう、遅いし、俺、疲れてて」
    俺は、アクビをしながら言った。
   「お前らも、今夜は、もう・・」
   そこまで言って、俺は、言葉を飲んだ。
   双子がギラギラした目で俺を見つめていることに気づいて、俺は、顔がひきつるのを感じた。
   マジかよ。
   こいつら、やる気マンマンじゃねぇか!
   俺は、二人にベッドに押し倒されて叫んだ。
   「どんだけだよ!」
    「ああ?悪い子には、お仕置きをしないとな」
   黒龍が言った。
   「こんなに他の男の匂いをぷんぷんさせて」
   「これは、カースが」
   「問答無用、だ」
    双子は、俺の服を手際よく剥いでいくと、俺の体に浮かび上がる淫紋を眺めた。
   「いつ見ても、美しい」
   二人は、しばらく俺の体を見つめていた。
   俺は、二人に見られているだけで、堪らなく奥が疼いてくるのを感じていた。
    奴等は、俺の体にいい匂いのする香油を垂らして、塗っていった。
  「これは、東の国の巫女たちが神との交信をするときに使う特性の香油だ」
   黒龍が俺の後孔へと指先で香油を塗り込めながら言った。
   「お前も、もしかしたら、いい夢が見れるかも知れんぞ、アマヤ」
   「あぁっ!」
    黒龍が俺の後孔を指先で穿つと同時に、
永良が俺の前を弄りだした。
   「んぅっ・・くっ・・」
    俺の全身の淫紋が俺の体を苛み、俺は、息を乱した。黒龍が猛り立ったものを俺の後孔へと押しあてて貫いた。俺は、それだけでいってしまった。
    「入れると同時に達してしまうとは」
   永良が手のひらを汚している俺の精を俺に見せつけながら、ピチャピチャと音をたてて舐めた。
       「やっ!も・・」
   俺は、シーツに顔を押し付けて快感に悶えた。
   いったばかりのところを二人に責められて、俺は、足先を丸めて声を圧し殺して堪えていた。
   「かわいい声を聞かせてくれよ、アマヤ」
   永良が俺の胸の頂きに舌を這わせた。
   「知ってるか?アマヤ。お前は、ここを弄られると中がきゅっと絞まるんだよ」
   「あぁっ!そんな、こと、いう、な」
    永良に胸の尖りを弄られて、俺は、体をそらしてしまう。まるで、奴に胸を突き出すようになっていることに気づいて、俺は、全身が熱くなるのを感じていた。
   俺のそこは、知らぬ間に黒龍を締め付け、その形を俺の中に主張していた。
   黒龍は、吐息を乱して、俺の中を抽挿した。
   奥の奥まで貫かれて、俺は、いつしか意識が白濁していった。
   
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