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2 被虐への扉
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俺は、兄のクラスメートたちに片っ端から連絡をとった。
だが、彼らは、誰も、口を揃えたように、知らないと首を振った。
兄は、彼らと広く浅く、付き合っていたが、誰も、兄の学校の外での生活を知るものは、なかった。
俺は、早くも、行き詰まっていた。
兄へとたどり着く道は、閉ざされているといってもよかった。
そんな時のことだった。
大学の入学式も近くなったある日、大学の屋上から一人の学生が飛び降りて死んだ。
死んだ学生の名は、田原 直。
俺は、この事件に、驚きはしたが、特別に思うところは、何もなかった。
彼からの手紙を受けとるまでは。
俺の新居に、差出人の名のない手紙が届いたのは、入学式の日のことだった。
差出人の名がないにも関わらず、その手紙が、なぜ、田原 直 からのものだとわかったのか、というと、それは、中には入っていた一枚の写真と、それに添えられた言葉のせいだった。
その手紙の中には、兄とツーショットで写っている田原の写真が入っていた。
二人とも、笑顔で、幸せそうに肩を抱き合っていた。
その写真の裏には、几帳面な美しい字で、こう書かれていた。
『語り得ぬことには、沈黙するしかない』
それは、ある哲学者の言葉だった。
才能に溢れ、優秀だったその哲学者が、ゲイであったことは、有名な話だった。
最も愛した男は、決して、結ばれることもなく、彼を残して死んでしまった。
その苦しみを、生涯抱えて生きた人物の言葉を引用したのが、自殺した田原だと、想像するのは、難しくはなかった。
つまり、田原にとって、兄は、そういう存在だったのではないだろうか。
俺は、田原 直について調べ始めた。
田原 直は、この大学の哲学科の学生で、兄より、3才年上だった。
無口で、友人もいない孤独な男だった。
誰からも記憶に留められていない、その男の、幸せそうに笑うプロフィールに、俺は、兄を思って、胸が痛むのを感じていた。
田原 直は、兄の恋人だったのだろうか。
俺は、田原が参加していたゼミの学生たちを探して話をきいたが、誰も、田原のことをよくは知らなかった。
どうやって、田原と兄は、知り合ったのか。
俺は、学食で昼食をとりながら、兄と田原の笑っている写真を見つめていた。
「田原のこと、探っているのって、君?」
不意に、声をかけられて、俺は、飛び上がりそうになった。振り向いた俺の前には、黒髪で、眼鏡をかけた、思わず、見つめずにはいられないほどの美形が立っていた。その男は、僕の持っている写真を除き込んで、言った。
「知りたいのか?本当のことを」
「あんたは」
「答えろ。質問しているのは、俺だ。お前は、本当に、真実を知りたいのか?例え、それが、知るべきではない、秘密であったとしても」
俺は、その男と見つめあった。眼鏡越しに見つめる彼の瞳から、俺は、目が離せなくなっていた。彼は、俺に言った。
「このまま、知らずにいた方がいいことも、ある」
「それじゃ、兄は、佳人は、どうなるんだ」
俺は、言った。
「あんな、惨い死に方をしなきゃならなかった理由が、俺は、知りたいんだ。例え、それが、どんな真実であろうとも、俺は、それから、目を背けない」
「なら」
その男は、俺に悪魔のように 笑いかけた。
「俺と一緒に、来るといい」
その男は、夏目 椎奈と俺に名乗った。
俺と同じ大学の二年生だという。
夏目は、俺を連れて歩きながら、道々に話した。
彼が、兄の友人だということ。
彼は、兄の客ではなかった、ということ。
兄とは、兄が一年の時の弓道部の合同合宿の時からの知り合いだったということ。
兄は、二つスマホを持っていたということも、夏目にきいて、はじめて、俺は、知った。
一台は、父に与えられたもので、それは、警察に押収されていた。
もう一台の携帯を夏目は、探しているのだという。
「なんで、兄のもう一台の携帯を探しているんですか?」
俺がきくと、夏目は、事も無げに言った。
「俺が、犯人だから」
「はぁ?」
気色ばむ俺に向かって、夏目は、慌てて言った。
「冗談だよ。俺も、探してるんだよ。真犯人を」
バスを何台か乗り継いで、夏目は、俺を郊外にあるちょっと高級な住宅街にある一軒の古い屋敷へと導いた。その家は、周囲を蔦の絡まる外壁に覆われた、ちょっとした要塞のような外見をしていた。夏目は、俺に何の説明もせずに、いきなり、呼び鈴を押した。スピーカーから、固い、年老いた男の声が聞こえた。
「誰だ?」
「俺です。夏目 椎奈です」
声の主は、それきり押し黙ってしまった。そして、5分ほどして、重いドアがきしんだ音をたてて、ゆっくりと開いた。現れたのは、70代ぐらいの白髪の男だった。年老いてはいるが、小綺麗な服装をしていて、身のこなしも、ゆっくりだったが、確かだった。夏目は、老人に一礼して、言った。
「ご無沙汰してます、佐川さん」
「ああ、まったくだな、椎奈」
老人は、辛辣な口調で言った。
「こんな、死にかけの老人の事を、まだ、君が覚えていたなんて、驚いたよ」
「今日は、客を連れてきたんです」
夏目は、老人に言った。
「佳人の弟、です」
「佳人の?」
老人は、怪訝な顔をしながらも、俺と夏目を中へと通した。家の中は、暗く、埃っぽかった。俺は、少し、躊躇っていたが、夏目が靴を脱いで老人の後をついていくのを見て、後に続いた。老人は、俺たちを玄関のすぐ横の広いリビングへと案内して、椅子をすすめた。夏目が腰かけるのを見て、俺も、その隣に座った。
老人は、俺たちの正面の椅子に腰かけると足を組んだ。
「で?なんの用だ?」
「彼が」
夏目は、俺の方を指して、言った。
「佳人のことを知りたい、と言っているんです」
「なるほど」
老人は、頷くと、じろじろと値踏みするように、俺のことを眺めた。
「君は、なにか、スポーツをやってるの?」
「はい」
俺は、答えた。
「バスケットボールをやってます」
「なるほど」
老人は、満足げに頷いた。
「どうりで、いい体をしているわけだ」
老人は、俺にきいた。
「で?佳人の何が知りたいんだ?」
「それは・・」
俺は、どういえばいいのか、悩んだ。夏目が、かわりに答えた。
「佳人の全てを」
夏目は、老人に向かって言った。
「彼ら、家族も知らなかった、彼の、素顔について、話してやってください」
「ああ・・」
老人は、俺を冷たく射るような眼差しでとらえた。
「君は、普通の人なんだろう?明るい光の中で、生きている幸せな人。そんな君が、知るべきことは、何も、ないよ」
「教えてください」
俺は、老人に向かって、身を乗り出して、頭を下げた。
「お願いしますから、兄の真実を教えてください」
「真実、か」
老人は、酷薄そうな笑みを浮かべた。
「君は、手淫をしたことは、あるか?」
「はい?」
俺は、突然の質問に、耳を疑った。老人は、俺に繰り返した。
「自慰をしたことは、あるか、ときいたんだ」
「ああ・・」
俺は、顔が赤くなった。
「あります・・たまに」
「そうか」
老人は、にっこりと笑って言った。
「なら、それを、ここでして見せてくれないか?」
「はい?」
俺は、きょとんとして老人を見つめていた。老人は、ため息をついた。
「それが出来ないなら、私から、話すことは、何もない。帰ってくれ」
立ち上がろうとする老人に、俺は、すがり付くように言った。
「やります!」
「ほう」
老人が、にやりと笑って、椅子に座り直して、足を組んだ。俺は、夏目を見たが、彼は、俺の方を見ようとはしなかった。仕方なく、俺は、ベルトを外すと、ズボンのチャックを下ろし、下着をずらせて、自分自身を取り出して手に取ると、老人をちらっと見やった。老人は、顔色一つ変えることなく、俺のことを見つめて、視線で先を促した。俺は、諦めて、自分の手で自分自身を擦り始めた。見られているという緊張からか、俺のものは、なかなか固くならなかった。俺は、懸命に集中して手を動かし続けた。呼吸が乱れ、俺のものは、やっと芯を持って、立ち上がった。俺の脳裏を、男たちに抱かれている兄の姿が過った。兄も、こうして、人々の目の前で、自分でしていたのだろうか。そう思ったとき、俺は、いった。
老人は、俺が達するのを見て、嬉しそうに微笑んで、ティッシュを差し出すと、俺に拭くようにと言った。俺は、老人に差し出されたティッシュを何枚かとって、拭きながら、なぜか、涙が流れるのを止められなかった。
「どうだね、人に見られながらいった感想は」
老人は、俺にきいた。俺は、なにも答えられずに、ただ、涙を拭った。老人は、静かな声で言った。
「君の兄の佳人は、被虐されることを好んだ。彼は、いわゆる、Mだった」
「・・兄さん、が?」
俺は、顔を上げて、老人の方を見た。老人は、俺を優しい目で見つめて言った。
「ああ。彼と私がはじめてであったときも、彼は、ただ、ひたすら、自分のその性癖を恥じ、悩んでいた」
俺は、ショックを受けていた。
兄が。
あの、優秀で、美しかった兄が、そんな性癖を持っていて、密かに、悩んでいたなんて。
いったい。
兄は、どんな気持ちで、家族に、己のそれを隠していたのだろうか。
老人に呼ばれて、俺は、彼の方を見た。老人は、俺に黒い分厚いノートを差し出した。
「これを。佳人から預かっていた。あれは、去年のクリスマスの少し前のことだった。佳人が急に現れて、私に、これを、預かってほしいと言ったんだ」
だが、彼らは、誰も、口を揃えたように、知らないと首を振った。
兄は、彼らと広く浅く、付き合っていたが、誰も、兄の学校の外での生活を知るものは、なかった。
俺は、早くも、行き詰まっていた。
兄へとたどり着く道は、閉ざされているといってもよかった。
そんな時のことだった。
大学の入学式も近くなったある日、大学の屋上から一人の学生が飛び降りて死んだ。
死んだ学生の名は、田原 直。
俺は、この事件に、驚きはしたが、特別に思うところは、何もなかった。
彼からの手紙を受けとるまでは。
俺の新居に、差出人の名のない手紙が届いたのは、入学式の日のことだった。
差出人の名がないにも関わらず、その手紙が、なぜ、田原 直 からのものだとわかったのか、というと、それは、中には入っていた一枚の写真と、それに添えられた言葉のせいだった。
その手紙の中には、兄とツーショットで写っている田原の写真が入っていた。
二人とも、笑顔で、幸せそうに肩を抱き合っていた。
その写真の裏には、几帳面な美しい字で、こう書かれていた。
『語り得ぬことには、沈黙するしかない』
それは、ある哲学者の言葉だった。
才能に溢れ、優秀だったその哲学者が、ゲイであったことは、有名な話だった。
最も愛した男は、決して、結ばれることもなく、彼を残して死んでしまった。
その苦しみを、生涯抱えて生きた人物の言葉を引用したのが、自殺した田原だと、想像するのは、難しくはなかった。
つまり、田原にとって、兄は、そういう存在だったのではないだろうか。
俺は、田原 直について調べ始めた。
田原 直は、この大学の哲学科の学生で、兄より、3才年上だった。
無口で、友人もいない孤独な男だった。
誰からも記憶に留められていない、その男の、幸せそうに笑うプロフィールに、俺は、兄を思って、胸が痛むのを感じていた。
田原 直は、兄の恋人だったのだろうか。
俺は、田原が参加していたゼミの学生たちを探して話をきいたが、誰も、田原のことをよくは知らなかった。
どうやって、田原と兄は、知り合ったのか。
俺は、学食で昼食をとりながら、兄と田原の笑っている写真を見つめていた。
「田原のこと、探っているのって、君?」
不意に、声をかけられて、俺は、飛び上がりそうになった。振り向いた俺の前には、黒髪で、眼鏡をかけた、思わず、見つめずにはいられないほどの美形が立っていた。その男は、僕の持っている写真を除き込んで、言った。
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「あんたは」
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俺は、その男と見つめあった。眼鏡越しに見つめる彼の瞳から、俺は、目が離せなくなっていた。彼は、俺に言った。
「このまま、知らずにいた方がいいことも、ある」
「それじゃ、兄は、佳人は、どうなるんだ」
俺は、言った。
「あんな、惨い死に方をしなきゃならなかった理由が、俺は、知りたいんだ。例え、それが、どんな真実であろうとも、俺は、それから、目を背けない」
「なら」
その男は、俺に悪魔のように 笑いかけた。
「俺と一緒に、来るといい」
その男は、夏目 椎奈と俺に名乗った。
俺と同じ大学の二年生だという。
夏目は、俺を連れて歩きながら、道々に話した。
彼が、兄の友人だということ。
彼は、兄の客ではなかった、ということ。
兄とは、兄が一年の時の弓道部の合同合宿の時からの知り合いだったということ。
兄は、二つスマホを持っていたということも、夏目にきいて、はじめて、俺は、知った。
一台は、父に与えられたもので、それは、警察に押収されていた。
もう一台の携帯を夏目は、探しているのだという。
「なんで、兄のもう一台の携帯を探しているんですか?」
俺がきくと、夏目は、事も無げに言った。
「俺が、犯人だから」
「はぁ?」
気色ばむ俺に向かって、夏目は、慌てて言った。
「冗談だよ。俺も、探してるんだよ。真犯人を」
バスを何台か乗り継いで、夏目は、俺を郊外にあるちょっと高級な住宅街にある一軒の古い屋敷へと導いた。その家は、周囲を蔦の絡まる外壁に覆われた、ちょっとした要塞のような外見をしていた。夏目は、俺に何の説明もせずに、いきなり、呼び鈴を押した。スピーカーから、固い、年老いた男の声が聞こえた。
「誰だ?」
「俺です。夏目 椎奈です」
声の主は、それきり押し黙ってしまった。そして、5分ほどして、重いドアがきしんだ音をたてて、ゆっくりと開いた。現れたのは、70代ぐらいの白髪の男だった。年老いてはいるが、小綺麗な服装をしていて、身のこなしも、ゆっくりだったが、確かだった。夏目は、老人に一礼して、言った。
「ご無沙汰してます、佐川さん」
「ああ、まったくだな、椎奈」
老人は、辛辣な口調で言った。
「こんな、死にかけの老人の事を、まだ、君が覚えていたなんて、驚いたよ」
「今日は、客を連れてきたんです」
夏目は、老人に言った。
「佳人の弟、です」
「佳人の?」
老人は、怪訝な顔をしながらも、俺と夏目を中へと通した。家の中は、暗く、埃っぽかった。俺は、少し、躊躇っていたが、夏目が靴を脱いで老人の後をついていくのを見て、後に続いた。老人は、俺たちを玄関のすぐ横の広いリビングへと案内して、椅子をすすめた。夏目が腰かけるのを見て、俺も、その隣に座った。
老人は、俺たちの正面の椅子に腰かけると足を組んだ。
「で?なんの用だ?」
「彼が」
夏目は、俺の方を指して、言った。
「佳人のことを知りたい、と言っているんです」
「なるほど」
老人は、頷くと、じろじろと値踏みするように、俺のことを眺めた。
「君は、なにか、スポーツをやってるの?」
「はい」
俺は、答えた。
「バスケットボールをやってます」
「なるほど」
老人は、満足げに頷いた。
「どうりで、いい体をしているわけだ」
老人は、俺にきいた。
「で?佳人の何が知りたいんだ?」
「それは・・」
俺は、どういえばいいのか、悩んだ。夏目が、かわりに答えた。
「佳人の全てを」
夏目は、老人に向かって言った。
「彼ら、家族も知らなかった、彼の、素顔について、話してやってください」
「ああ・・」
老人は、俺を冷たく射るような眼差しでとらえた。
「君は、普通の人なんだろう?明るい光の中で、生きている幸せな人。そんな君が、知るべきことは、何も、ないよ」
「教えてください」
俺は、老人に向かって、身を乗り出して、頭を下げた。
「お願いしますから、兄の真実を教えてください」
「真実、か」
老人は、酷薄そうな笑みを浮かべた。
「君は、手淫をしたことは、あるか?」
「はい?」
俺は、突然の質問に、耳を疑った。老人は、俺に繰り返した。
「自慰をしたことは、あるか、ときいたんだ」
「ああ・・」
俺は、顔が赤くなった。
「あります・・たまに」
「そうか」
老人は、にっこりと笑って言った。
「なら、それを、ここでして見せてくれないか?」
「はい?」
俺は、きょとんとして老人を見つめていた。老人は、ため息をついた。
「それが出来ないなら、私から、話すことは、何もない。帰ってくれ」
立ち上がろうとする老人に、俺は、すがり付くように言った。
「やります!」
「ほう」
老人が、にやりと笑って、椅子に座り直して、足を組んだ。俺は、夏目を見たが、彼は、俺の方を見ようとはしなかった。仕方なく、俺は、ベルトを外すと、ズボンのチャックを下ろし、下着をずらせて、自分自身を取り出して手に取ると、老人をちらっと見やった。老人は、顔色一つ変えることなく、俺のことを見つめて、視線で先を促した。俺は、諦めて、自分の手で自分自身を擦り始めた。見られているという緊張からか、俺のものは、なかなか固くならなかった。俺は、懸命に集中して手を動かし続けた。呼吸が乱れ、俺のものは、やっと芯を持って、立ち上がった。俺の脳裏を、男たちに抱かれている兄の姿が過った。兄も、こうして、人々の目の前で、自分でしていたのだろうか。そう思ったとき、俺は、いった。
老人は、俺が達するのを見て、嬉しそうに微笑んで、ティッシュを差し出すと、俺に拭くようにと言った。俺は、老人に差し出されたティッシュを何枚かとって、拭きながら、なぜか、涙が流れるのを止められなかった。
「どうだね、人に見られながらいった感想は」
老人は、俺にきいた。俺は、なにも答えられずに、ただ、涙を拭った。老人は、静かな声で言った。
「君の兄の佳人は、被虐されることを好んだ。彼は、いわゆる、Mだった」
「・・兄さん、が?」
俺は、顔を上げて、老人の方を見た。老人は、俺を優しい目で見つめて言った。
「ああ。彼と私がはじめてであったときも、彼は、ただ、ひたすら、自分のその性癖を恥じ、悩んでいた」
俺は、ショックを受けていた。
兄が。
あの、優秀で、美しかった兄が、そんな性癖を持っていて、密かに、悩んでいたなんて。
いったい。
兄は、どんな気持ちで、家族に、己のそれを隠していたのだろうか。
老人に呼ばれて、俺は、彼の方を見た。老人は、俺に黒い分厚いノートを差し出した。
「これを。佳人から預かっていた。あれは、去年のクリスマスの少し前のことだった。佳人が急に現れて、私に、これを、預かってほしいと言ったんだ」
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