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17 王都で先生になりました。
17ー3 カイルさん
17ー3 カイルさん
ライナス先生の最後は、わたしとカイルさんで看取った。
カイルさんの立場的には、ライナス先生の生死の確認という意味でのことなのかもしれないがやはり兄弟なのだ。
カイルさんは、ライナス先生の葬式の後、この地を離れるために空船の港へと向かうわたしを馬車で送ってくれた。
そのとき、カイルさんは、わたしにぽつぽつと話した。
「弟を看取ってくれてありがとう。両親にかわって礼を言うよ、トガー」
まだまだ若いカイルさんは、わたしに告げたのだ。
「君は、誰がなんと言おうとも弟のたった一人の妻であり、わたしの妹のようなものだ」
それまで、わたしは、ずっと泣くことはなかった。
ライナス先生が息をひきとった時も。
葬式の時も。
彼の入れられた棺桶が土の下に埋められた時も。
1人で完璧に彼を見送りたかった。
まあ、ラーズさんの援助がなくてはかなわなかったんだろうけどな。
それでもわたしは、最後までライナス先生が愛してくれた強くてたくましいトガーでいようと思っていたんだよ。
だけどな。
カイルさんに言われたんだよ。
「弟は、私に言った。トガー、君のことを頼む、と」
なんだよ、それ?
わたしは、もう耐えることができなかった。
カイルさんの前でわたしは、ライナス先生が死んでから初めて泣いた。
「あんまり気を落とさないでくれ、トガー。君が悲しんでいると弟も天の国へと行けないだろう」
「いいんです」
わたしは、涙が流れるままに泣いた。
「ライナス先生が成仏できないなら、わたしが世話をします。だってわたしにはその責任があるから」
「そんなこと」
わたしは、カイルさんに頭を振った。
わたしには、ライナス先生を見殺しにしたという罪がある。
この世界のために。
人類の未来のために。
なにより、わたし自身が信じる道のためにわたしは、ライナス先生を見殺しにした。
この事実は、確かなのだ。
だから。
ライナス先生がわたしを憎もうとも仕方のないことなのだ。
すべて。
わたしが受けとめなくてはならない真実なのだ。
ライナス先生の最後は、わたしとカイルさんで看取った。
カイルさんの立場的には、ライナス先生の生死の確認という意味でのことなのかもしれないがやはり兄弟なのだ。
カイルさんは、ライナス先生の葬式の後、この地を離れるために空船の港へと向かうわたしを馬車で送ってくれた。
そのとき、カイルさんは、わたしにぽつぽつと話した。
「弟を看取ってくれてありがとう。両親にかわって礼を言うよ、トガー」
まだまだ若いカイルさんは、わたしに告げたのだ。
「君は、誰がなんと言おうとも弟のたった一人の妻であり、わたしの妹のようなものだ」
それまで、わたしは、ずっと泣くことはなかった。
ライナス先生が息をひきとった時も。
葬式の時も。
彼の入れられた棺桶が土の下に埋められた時も。
1人で完璧に彼を見送りたかった。
まあ、ラーズさんの援助がなくてはかなわなかったんだろうけどな。
それでもわたしは、最後までライナス先生が愛してくれた強くてたくましいトガーでいようと思っていたんだよ。
だけどな。
カイルさんに言われたんだよ。
「弟は、私に言った。トガー、君のことを頼む、と」
なんだよ、それ?
わたしは、もう耐えることができなかった。
カイルさんの前でわたしは、ライナス先生が死んでから初めて泣いた。
「あんまり気を落とさないでくれ、トガー。君が悲しんでいると弟も天の国へと行けないだろう」
「いいんです」
わたしは、涙が流れるままに泣いた。
「ライナス先生が成仏できないなら、わたしが世話をします。だってわたしにはその責任があるから」
「そんなこと」
わたしは、カイルさんに頭を振った。
わたしには、ライナス先生を見殺しにしたという罪がある。
この世界のために。
人類の未来のために。
なにより、わたし自身が信じる道のためにわたしは、ライナス先生を見殺しにした。
この事実は、確かなのだ。
だから。
ライナス先生がわたしを憎もうとも仕方のないことなのだ。
すべて。
わたしが受けとめなくてはならない真実なのだ。
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