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1 転生ですか?

1ー2 目覚め

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 1ー2 目覚め

 朝の光の中、俺は、目覚めた。
 うん。
 はやく。
 起きなくては。
 何か、大切なことがあったはず。
 俺は、なかなか覚醒できずにいた。
 眠くて眠くて。
 目が開かない。
 でも。
 はやく目覚めなくては。
 俺は、なんとか目を開こうと試みた。
 遠くで誰かの呼ぶ声がきこえた。
 誰?
 俺は、思っていた。
 それは、俺じゃない。
 俺は、そんな名前じゃない。
 俺は。
 突然、世界がぐにゃりと歪むのを感じた。
 そうだ。
 俺は。
 目を開いた俺の頬を涙が溢れ流れ落ちていく。
 俺は、思い出していた。
 俺がかつて男の中の男と呼ばれていた世界のことを。

 俺は、かつて、師に教わった。
 「真の強者は、弱きを助け、強きをくじく者だ。わかるか?ロー」
 
 ロー
 それがかつての俺の名だ。
 それは、何百年も後の世において特別な意味を持つ者の名だった。
 聖なる王の剣
 かつて、俺は、そう呼ばれていた。
 忠誠を誓った王のために俺は、剣を魔法を行使した。
 俺は、王のためなら世界をも敵に回して戦う者だった。
 しかし、今では、それは、歪められていた。
 俺は、王を惑わした魔女として語り伝えられていた。
 それは、俺が強くなりすぎたせいだった。
 そして、俺が民に愛されすぎたせい。
 王族たちは、俺の存在が邪魔になり、俺の死後、俺の伝説を書き換えたのだ。
 本当は、男であったのに、女と偽り、そして、王を騙して世界を手に入れようとした魔女として俺を語っていた。
 俺は、2度、陥れられたのだ。
 一度目は、王のために戦った騎士として。
 2度目は、未来の王配として。
 どちらも権力者たちの邪魔になるという理由で俺は、陥れられた。
 だが、俺にとってそんなことはどうでもよかった。
 死んだ後のことなど気にしないし、2度目の生においては、女たちから凌辱されはやく殺してほしいとさえ思っていた。
 なら、なぜ、俺は?
 俺は、涙を拭い起き上がった。
 「おはようございます、オルナム様」
 まばゆい光の中で微笑む薄い赤色の髪の少女に俺は、はっと息を飲む。
 それは、俺が投獄されたとき、俺をかばって衛兵たちに殺された俺の乳兄弟であり従僕であった少女ロタだった。
 「・・ロ、タ・・」
 俺は、涙を止められなかった。
 ロタは、おかしな表情をして俺を見ていた。
 「どうされたんですか?オルナム様」
 「いや・・」
 俺は、顔を伏せて涙を拭った。
 ロタが生きている!
 俺は、震える声で訊ねた。
 「母上・・父様、は?兄上たちは?」
 「何を言い出すかと思ったら」
 ロタがあきれた様子で答える。
 「お館様たちは、昨日から領地の見回りに出掛けられているでしょう?兄上様たちは、王都のお屋敷におられますし」
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