竜の国のカイラ～前世は、精霊王の愛し子だったんですが、異世界に転生して聖女の騎士になりました～

第８章 二人の悪役令嬢

8ー6 ドロップ

　８ー６　ドロップ

　わたしたちは、一階層をくまなく歩いてルシーディア様の目的の魔物を探したが出会うことはなかった。
　「二階層にいる魔物なのかもしれんな」
　ルシーディア様がいい、わたしたちは、二階層へと進むことになった。
　一階層から二階層へと進むためにはボス部屋に行きボスを倒さなくてはいけない。
　わたしたちは、ボス部屋を目指した。
　ボス部屋は、重い石でできた扉の向こうだった。
　エラード様とルシーディア様が２人がかりでやっと押し開けた。
　ぎぃっと大きな音がして開いた扉の向こうから大きな獣の唸り声がきこえた。
　わたしたちは、全員そのボス部屋へと入った。
　扉が音をたてて閉まる。
　そこには、信じられないぐらい大きなオークがたっていた。
　もしかしてこれがルシーディア様の探している魔物？
　わたしは、目でエラード様に訊ねたがエラード様は、頭を振った。
　「オークキングだ。みんな、気をつけて」
　オークキングは、手に持っていた巨大な斧を振りかざしわたしたちの方へと迫ってきた。
　いや。
　これに短剣で挑むのはちょっと。
　わたしが思っていたとき、セシリア様が何かの呪文を唱えた。
　「カイラ、伏せて！」
　エラード様にいわれてわたしは、慌てて地に伏せた。
　間髪いれずにセシリア様の放った炎の玉がわたしたちの頭上を駆け抜けオークキングに襲いかかった。
　「ぐぎゃぁああっ！」
　オークキングが全身から炎をあげているのに、すかさずエラード様が切りかかる。
　オークキングは、断末魔をあげて倒れた。
　しばらくするとその小山のような死骸は、消え失せその場には大きな赤い魔石ときらきら輝く腕輪が残された。
　「ドロップ品だ！」
　ルシーディア様が腕輪を手にとった。
　「これは・・」
　「どうされましたの？ルシーディア様」
　セシリア様がルシーディア様に問うとルシーディア様がいいにくそうに答えた。
　「これは、『子宝の腕輪』だ。つければ子宝に恵まれる」
　ルシーディア様には、鑑定のスキルがあるらしい。
　だが。
　オークキングのドロップ品が子宝に恵まれる腕輪？
　わたしは、頬が熱くなるのを感じた。
　レイナも真っ赤になってうつむいている。
　いやいやいや！
　ここは、学園のダンジョンですよ？
　子宝って！