江ノ島の小さな人形師

sohko3

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江ノ島の夏休み

羽香奈の機転

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「ちょっと待ってよ。
あんた、なんでそんなことまで知ってんの?」

 あたし、そこまで話してないじゃない。
 ……気味が悪い。

 そんな言葉が続くのを、葉織も羽香奈も覚悟した。

 だが、少女はそこで言葉を止めたので、葉織は意を決して手のひらを前に出す。

 彼女に人形を見せる。

 少女の人形は、制服姿で、額に鉢巻をつけて気合十分の顔をして腕まくりまでしていた。

「お姉ちゃん、本当は自信がなくても出来る限り最後まで頑張ろうって、心の底では思ってるんだよね?」

「なにこれ? 
この人形、あたし?」

「えーと。

実はこの子、見習い占い師なんです。

その人の見た目の印象から内面を読み取って、人形の形にするのが得意なんですよ!」

 羽香奈は思いきって、いざという時の為に考えていた言い訳を披露してみることにした。

 葉織とも打ち合わせてはいなかったため、彼女以上に葉織の方が驚いたような顔を見せる。

「え~っ! 
すごいじゃん、あんな短時間でこの人形作れんの!? 
そういや弁天橋の入り口であんたみたいなことしてる人見たよ~」

「えっ。人形作るんですか?」

「そっちじゃなくて。
顔だけ見てその印象で、内面想像して詩を考えます~ってやつ! 
その場で紙に書いてくれるんだってね」

「ああ、その人か。
流しの絵描きさん。
毎日じゃないけどたまにいるね」

 彼女が想像以上にはしゃいで喜んでくれたので、良かったら人形持って帰る? と提案して見たら、大喜びで受け取ってくれた。

「あんたもさっきかなーり自分下げしてたけどさぁ。
ちゃーんと特技あるんじゃない。
占い、けっこう当たってたよ? 

勉強は出来ないけど手伝い上手だねってよく褒められるのよ、あたし」

「なーんだ。
だったらあなたがいなくなったら悲しむ人、
たくさんいそうじゃないですか」

「……そうだね。
ありがとね、おふたりさん。
今日ここに来てみて良かったよ」

「あ、帰り道。
もう観光する気がないなら、階段のぼるよりすぐそこの下道通った方が楽だよ」

 山二つから下道までは目と鼻の先だ。

 まだ門限の十七時まで余裕があるので、ふたりは彼女を下道の終わりまで見送って歩くことにした。
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