【完結】平民として慎ましやかに生きていたと思っていたのは僕だけだったようだ。〜平民シリーズ②アシェル編〜

華抹茶

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それから5年。貴族学園へ入学するまであと少しだ。

母さんからは魔法を習い、父さんからは剣術と体術を。これは今でもずっと続けている。やっぱり運動が苦手な僕は剣では強くはなれなかった。でも体の動きを知ることによって、相手を倒せなくても隙をついて魔法を繰り出し制圧する事が出来る。

実は、街で2度ほど襲われた事がある。その時は複数の人間に囲まれてしまったけど、冷静に相手の動きを見て避けながら魔法を使って捕まえた。そしてそのまま憲兵に突き出しておいた。体術習っておいて本当に良かった。


12歳になった時、約束通り冒険者になって父さん達と一緒に依頼をこなすようになった。

今までは庭で魔法を練習してたけど、相手に向けて放ったり強い攻撃魔法は使えなかったから、冒険者として依頼をこなす事は良い魔法の練習になった。それから僕はもっと魔法が上手く使えるようになって、依頼をサクサクこなしていったから今ではSランク冒険者になってしまった。

最年少記録らしい。

僕たちの住んでいる街、ソルズはこのリッヒハイム王国の都市の中でも2番目の大きさだ。だから集まる冒険者もそれなりに多い。そんな中で最年少記録を打ち立ててしまって、周りの冒険者の人達に持て囃されたけどそれに驕る事なく精進している。

母さんがいつも言っていることだ。『慎ましく、人に感謝し、驕らない』。

母さんは、昔何があったのか教えてくれた。王子と婚約していた事、その時の母さんは傲慢で我儘でやりたい放題していた事、婚約破棄された事、平民になって国外追放となりこの国へ来た事。だからお爺ちゃま達には会いに行けない事。

たとえ平民であっても、自分は物凄く恵まれた環境にある。そのことに感謝を。助けてくれる人がいることに感謝を。助けてくれたら当たり前だと思わず返すこと。ありがとうを言える人間になること。

母さんの言葉には重みがある。自分が今までしてきた事がわかっているから。だから僕は母さんが教えてくれた事を守るようにしている。

それはライリーも一緒だ。2つ下のライリーは父さんに似て剣の扱いに長けている。ライリーも冒険者になって依頼をこなしていって、今はAランク冒険者。もうすぐSランクに上がるだろう。「兄ちゃんの記録破れなかった!」ってすごく悔しそうだった。そんなライリーも母さんが教えてくれた事を守ってる。


たまに、母さんとライリーのペア、僕と父さんのペアに分かれて魔物の討伐数を競ったりしている。勝負は僕たちが勝つ事が多いけど、僕とライリーのペア、母さんと父さんのペアになると全然勝てない。2人は僕達子供が恥ずかしくなるくらい、物凄く仲が良いから息がぴったりだ。さすが夫夫。僕もそんな人と結婚できたらと思ってる。僕の憧れだ。


僕の家族は、リッヒハイム王国の冒険者としてトップクラス。かなりの注目を集めている。

変な貴族に専属冒険者にならないかと言われて断ったら、それから嫌がらせを受けるようになった。家の玄関前に動物の死骸がたくさん置かれたり、僕たち家族の評判を落とす噂を流されたり、直接的な暴力は無かったけど(そうなっても返り討ちに合うから出来なかったんだと思う。)精神的に嫌な思いをしてそれなりに困った。

そんな時、アレクシスおじ様が侯爵家の力を使って助けてくれた。街に流れた噂は、ギルドの皆や街に住んでる人達が払拭してくれたけど、貴族相手には何も出来なかったんだ。それをアレクシスおじ様がぴしゃりとやってくれた。

さすがおじ様。さすが侯爵家。相手の貴族に手を合わせて皆で合掌した。これも母さんが教えてくれた。母さんは皆が知らない事を知っている。なんでか聞いたけど「内緒。」としか言ってくれない。

アレクシスおじ様とはたまに会って、魔法のことや魔道具のことを話している。
母さんが「なんでこの世界にはメールとか電話が無いんだ…。」って話してるのを聞いてて、それはどういうものか教えてもらった。
それをアレクシスおじ様に相談して、魔力回路や込める魔法を研究して最近試作品が出来た。今はそれを製品として完成させることを目指している。その事を母さんに話したら「凄い!それ欲しい!」って物凄く興奮してた。

うん。これが世に出回ったら凄いことになるよね。

アレクシスおじ様も興奮してて、「なんとしても製品化させる!」って意気込んでる。僕も期待に応えなきゃ!
メリフィールド家の人達も、僕達にとても好意的で親切にしてくれる。僕たちの家族は平民だけど、家族ぐるみでお付き合いをするようになった。そしてライリーも貴族学園に入ることが決まったんだ。

父さんはメリフィールド家の護衛の人達に剣を教えるようになった。Sランク冒険者として有名な父さんは人気者だ。
たまに、結婚していて僕達子供もいるのに告白されていたりする。それを知った母さんは凄かった。初めて母さんを恐ろしいと思った。

でもそこはさすが父さん。あっという間に母さんを宥めてしまった。何をしたのか聞いても「内緒。」としか教えてくれない。


そして母さんもその見た目で告白される事がある。その時の父さんは凄かった。威圧が凄すぎて僕とライリーは近づけなかった。

でもそこはさすが母さん。あっという間に父さんを宥めてしまったから、何をしたのか聞いたけど「内緒。」としか教えてくれない。


似た者夫夫だと思った。仲良すぎ。




僕は今まで、魔法をいっぱい勉強して練習してきた。これからは貴族学園に入ってもっと上を目指す。

もっと魔法を研究して、魔法をもっと知りたい。そしてアレクシスおじ様の魔道具開発をお手伝いして、便利で実用的な魔道具を開発したい。もちろん冒険者も続けて父さん達を助けたい。

やりたい事がいっぱいだ。これからもっと頑張ろう!





* * * * * * * * *

~どうやって宥めていたのか2人の会話~


「ライアス…。今日もまた告白されてたよな?」

「エレン。やきもちですか?子供達がエレンの怒りのオーラを感じ取って怖がっていましたよ。」

「……妬いて悪いかよっ!感情抑えられなくて悪かったな!」

「いいえ。嬉しいです。妬いてくれるほど、俺の事が好きなんだと分かりますから。」

「~~~っ!お前は俺の旦那様なんだからな!……どこにも行くなよ。」

「当たり前じゃないですか。俺はエレンの為にここまで来たんです。貴方が俺の全てです。…エレンこそ、俺から離れないで下さいね。」

「…嫌がられても離れるわけねぇだろっ。」

「ふふっ。俺がエレンを嫌がる事は絶対、絶対有り得ませんけどね。……証明、しましょうか?」

「………して。」

「お望みのままに。愛しています。」



ー ー ー ー ー


「ライアス……確かに証明しろとは言ったが…いくらなんでもヤリすぎだろ…。」

「もう朝が来てしまいましたね。でも俺はまだ証明したりないのですが…。」

「ひぃっ!もう、もう分かったから!俺はもう満足です!!」

「…残念。では今夜もまた、続き、しましょうね。」
 
「………無理。」
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