現役魔王が冒険者 ~最強の力で運命と戦う~

天々

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世界冒険編/第一章

第十一話 悪の希望

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兵士達はバンベルクを連れていった。

「いいんですか、あんなことして。王国での冒険者の扱いは結構優遇対象ですけど、」

「温厚な人柄の人が多いと言われる王国。その王国での一番の罪は何か知っているか?…不敬罪だ。国家転覆罪と同等、いやそれ以上の罪と言われる。あのお方皇帝は、自身が一番と常日頃から考えおられるからな」

「…はぁ…。その発言もちょっと怪しいですけどね、イソルファルト少将」

「貴官は他言しないと信じている。エッサ大佐」

フレイ王国。自称世界第一平和国。平和を謳っているが、本当のとこは皇帝が選抜した、貴族議員による独裁政治が行われている。

「そうですか。しかし、あの魔獣どうするつもりです?」

「もうすぐ、こやつを倒してくれる者が現れる」

イソルファルトは既に知っているかのように言う。

「ほぉ?なぜ分かるのです?」

「これしきのことはに知っておる」

そして出番が来たと言わんばかりの威勢のいい冒険者が来た。

そこには、無数の冒険者達がいた。

広域冒険者協会、魔獣討伐隊。筆頭冒険者G級4位。セルシア・アンスタシア。

「全員準備はいい?あいつイオをやっつけるわよ…!!!」

「うぉぉぉぉぉ!!!」

セルシアを戦闘に、S級、A級と続いていく。

それを遠目に見るイソルファルトとエッサ。

「あれがそうですか?」

「いいや。確かにあのもの達も強い。しかし…本当に倒すのはあやつらではない。本当の者は…」

「本当の者は…??」

エッサはイソルファルトを真剣な眼差しで見る。

…」

「神…?」

エッサはどうやら理解できてないようだ。それもそう。この世界で神とされるのは八神王と神族とされているためである。

「あぁ。これ以上は君に言ってもわからんよ」



「ああぁぁぁぁぁぁああ!!!」

女とは思えないほど、勇敢な姿を見せつけるセルシア。その気迫にはイオも押される。

「おぉ!セルシア様が押している!我々も続くぞぉ…!!」

協会の総戦力と言っても過言では無いもの達が、今。ここで魔獣を倒そうと奮闘している。

「アテナ陛下、シーナ様。御力をお借りします…」

セルシアの黄色い瞳は、さらなる力を手に入れたかのように光り、輝きを得ていく。

「神聖属、光王セイフォス、王煌断罪…っ!」

空から一筋の光が現れ、セルシアの手元には罪を犯したものを消し去り切られたものを100%死に追いやる剣『正義』が現れた。

「…っ!!」

正義を振りかざし、イオの頭頂部に迫る。

「裁きをくらいやがれぇ…!!!」

約1mだった正義の剣身は数十いや数百メートルにも伸び、イオを断罪した。

振りかざし剣先が地面を向いてる頃には、イオは2つに分かれていた。

「断罪…イオ・カリテストル…」

正義が消えると共に大爆発が起き、辺り一面は煙で充満している。

「ぉぉぉ…!!!我々の勝利だ…!!」

地にいるS、A級は歓喜の中、空にいるセルシアはというと…

「…はぁ…はぁ…はぁ…、、」

今ので、自分の魔力の8割を消費した…。今さっきみたいのが来たら確実に終わる…。でも良かった…

ディルとルルが至高術式オーソリティクションの習得練習をしている間、セルシアもシーナとの訓練を行い、魔力量は780万から1280万へとなり、新たに様々な魔法を習得したりと、格段に強くなっていた。

「じゃあ!あいつを倒したぞ!宴の準備でもするか!!」

A級冒険者は浮かれ気味であった。

「おいおい、気が早いよ」

笑いながら同じA級が言う。

「うわぁ…っ!!」

数名のA級冒険者が血反吐を吐く。

「なっなんだ!?」

周りの冒険者は、どよめき誰しもが逃げる準備を取ろうとしていた。

煙の奥には、人型の何かがいた。鎧を着たような体は重そうで、怪獣の人間版のようだ。しかし顔は堅苦しい爺さんのような感じだ。

「人にやられるほどあっしは、弱くありませんで…」

「あ…あれは…」

イオが立っていた。

「あれは…、魔獣が人に進化する…超新星形態…」

「大正解だ…!」

空にいたセルシアに一瞬で近づき、拳を一振。セルシアの姿はもうない。

地を見るとクレーターがあり、その真ん中にはセルシアがいた。意識はないようだ。

「…あっし、イオ・カリテストル。本界に君臨す…」

「あ、あれは…化け物だ…っ!!」

強者と呼ばれるA級でさえ恐れおののいてる。

「怯むな!セルシア様のご様態を確認し、一時撤退!」

S級を筆頭にセルシアに近づこうとする。

「おいおい。待ちたまえ、誰の御前だ?」

「はっしらねぇよ。誰だよ?」

イオに対し反抗的な態度をとる者。それは協会のS級3位ルファ・デュークであった。圧倒的な力を保持している。

その反抗的な態度に気を悪くしたのか、帯刀していた刀で斬撃を放つ。

ありえない。ルファはその斬撃を掴んだのである。

「こんなもので、俺が死ぬとでも?」

「あぁ、死ぬよ」

斬撃を掴んでいた、右手はバラバラになった。それに伴い右腕もバラバラになった。

「…!?」

「そうそう…そのまま…」

ルファの体はバラバラになっていく。

「これが人類の強者ァ?では弱者。悲しき力の差…」

すると、空が一気に曇り空に変わる。

何も無い場所から闇が現れ、そこからは魔王ディスタが現れる。

「魔王…っ!?」

イオもさすがに驚きを隠せないようだ。

「あれが…魔王…??」

ルルも驚いている様子だ。ディルと同じだが、特殊な魔法でディルとは別人に見えている。

「さぁさぁ…やるか…」
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