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「編入生を紹介する」
新年度が始まり最初の日。
教壇に立った教師の声に教室内がざわめいた。
この学園は十五歳から入る事になっているけれど、家の都合で前後の年齢で入る者も多い。
だから二年目から入るのは他国からの留学生くらいで、編入生というのはとても珍しいのだ。
「彼女は去年まで平民の学園に通っていた。主席だったためここでは二年生に入る事になったのだ。———入りなさい」
「…はい」
教師の声に、愛らしい声が応えた。
私は斜め後ろの席から殿下の様子を見つめていた。
初めは興味なさそうだった殿下だったけれど…教師の隣に立った彼女が伏せていた顔を上げた瞬間。
黒い瞳に光が宿るのを見た。
「ガーネット・ロジエです。…慣れない事ばかりでご迷惑をおかけすると思いますが…よろしくお願いいたします」
その光を見届けて、私は声の主を見た。
花びらのような柔らかなピンクブロンドの髪。
白い肌に甘さを想像させる、ふっくらとした唇。
そして何よりも…引きつけられるのは、紅い宝石のような大きな瞳。
ああ…良かった。
『彼女』は存在したのだ。
私や殿下が前世で読んだ漫画の登場人物と同じ名前や容姿でも、中身や関係性は漫画とは異なっていた。
だからヒロインである彼女がいるのか…本当にこの学園に来るのか不安だったけれど。
確かに彼女、ガーネットは漫画のヒロインそのものだった。
「殿下」
編入生の紹介からそのまま続いた座学が終わり、立ち上がった殿下の側へ行く。
殿下を見上げて…それから、意味ありげに視線を彼女へ送る。
そうして再び視線を戻すと、殿下は眉根を寄せていた。
「綺麗な宝石でしたわね」
そう言って首を傾げてみせる。
目の前の瞳に浮かぶのは、困惑と好奇心…そして、ほの暗い光。
「きっと、あの宝石はまだ誰のものでもありませんわ」
私の言葉にゆらりと瞳に浮かんだのは…おそらく、喜び。
「…君は…知っていたのか」
彼女が現れる事を。
彼女がもたらすものを。
「さあ…どうでしょう」
知ってはいるけれど、その先にある未来が望み通りになるかは分からない。
けれど。
シナリオなど、これから作ればいい。
それを作れるのは、きっと私。
だって私は悪役令嬢なのだから。
新年度が始まり最初の日。
教壇に立った教師の声に教室内がざわめいた。
この学園は十五歳から入る事になっているけれど、家の都合で前後の年齢で入る者も多い。
だから二年目から入るのは他国からの留学生くらいで、編入生というのはとても珍しいのだ。
「彼女は去年まで平民の学園に通っていた。主席だったためここでは二年生に入る事になったのだ。———入りなさい」
「…はい」
教師の声に、愛らしい声が応えた。
私は斜め後ろの席から殿下の様子を見つめていた。
初めは興味なさそうだった殿下だったけれど…教師の隣に立った彼女が伏せていた顔を上げた瞬間。
黒い瞳に光が宿るのを見た。
「ガーネット・ロジエです。…慣れない事ばかりでご迷惑をおかけすると思いますが…よろしくお願いいたします」
その光を見届けて、私は声の主を見た。
花びらのような柔らかなピンクブロンドの髪。
白い肌に甘さを想像させる、ふっくらとした唇。
そして何よりも…引きつけられるのは、紅い宝石のような大きな瞳。
ああ…良かった。
『彼女』は存在したのだ。
私や殿下が前世で読んだ漫画の登場人物と同じ名前や容姿でも、中身や関係性は漫画とは異なっていた。
だからヒロインである彼女がいるのか…本当にこの学園に来るのか不安だったけれど。
確かに彼女、ガーネットは漫画のヒロインそのものだった。
「殿下」
編入生の紹介からそのまま続いた座学が終わり、立ち上がった殿下の側へ行く。
殿下を見上げて…それから、意味ありげに視線を彼女へ送る。
そうして再び視線を戻すと、殿下は眉根を寄せていた。
「綺麗な宝石でしたわね」
そう言って首を傾げてみせる。
目の前の瞳に浮かぶのは、困惑と好奇心…そして、ほの暗い光。
「きっと、あの宝石はまだ誰のものでもありませんわ」
私の言葉にゆらりと瞳に浮かんだのは…おそらく、喜び。
「…君は…知っていたのか」
彼女が現れる事を。
彼女がもたらすものを。
「さあ…どうでしょう」
知ってはいるけれど、その先にある未来が望み通りになるかは分からない。
けれど。
シナリオなど、これから作ればいい。
それを作れるのは、きっと私。
だって私は悪役令嬢なのだから。
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