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第2章 王都と学園
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一際豪華な馬車から降り立った、金髪に緑色の瞳の、二人の見目麗しい少年が立っていた。
一人は優しげな面立ちのアルセーヌ王子。
もう一人は、アルセーヌに似ているけれどその瞳に鋭さを持った、レナルド王子。
女生徒達からの熱い視線を集めていた二人のうち、レナルドがこちらに気づきその顔をパッと明るくした。
「イリス!」
駆け寄ってその身体を抱きしめるとあちこちから悲鳴が上がった。
「…レナルド…こういう場所では…」
「だって久しぶりなんだもの」
「三日前に会ったばかりよね?!」
「王都に来れば毎日会えると思ってたのに…」
「レナルド」
歩み寄ってきたアルセーヌが呆れたような声をかけた。
「ここは学園だぞ。弁えろ」
「少しぐらいいいだろう」
「良くないから言ってるんだ」
しぶしぶイリスの身体を解放したレナルドにため息をつくと、アルセーヌはイリスに向いた。
「イリス嬢。これが迷惑を掛けると思うが三年間よろしく」
「はい、アルセーヌ殿下。よろしくお願いいたします」
「ところでイリス嬢は試験の結果を聞いたかい?」
「いいえ…」
十日前、新入生達の学力を調べ、クラス分けの参考にする為の試験が行われた。
その結果は個々には明かさない事になっていると聞いていたのだが。
「私と君が満点だった。女子の満点は初めてだそうだ。さすがあのクリストファー・オービニエの妹だと学園長達が褒めていたよ」
王子達の会話に聞き耳を立てていた周囲の生徒達から大きな騒めきが起きた。
「あのクリストファー・オービニエ様の…」
「三年間全ての科目で首席を通し続けた…」
「卒業時には魔術局と騎士団の間で争奪戦が起きたという…」
「去年王宮の剣術大会で騎士達を抑えて準優勝したって…」
———お兄様…目立ちすぎです。
騒めきと共に聞こえてくる言葉にイリスは心の中でため息をついた。
素性を探られるような事にならないよう、あまり目立ちすぎるなとイリスには言っていたのに。
変にプライドの高いクリストファー自身は手を抜くという事は出来ないらしい。
けれど学生時代はともかく、剣術大会に参加したのはやり過ぎではないかと話を聞いた時に思ったのだが、レナルドとの手合わせを見ていた騎士団長に参加するよう強要されたらしい。
「クリストファー様の噂は私も聞いていますわ」
ふふと笑みを浮かべてフランソワーズが口を開いた。
「見目もよろしくて悪い噂もなく、将来有望なのに未だ婚約者がいらっしゃらなくて女性の影もないのですってね。誰が射止めるのか、社交界で話題だそうですわ」
「そう…なんですか…」
「あのクリストファーが。性格は良くないと思うけど」
「それはレナルドがイリス嬢を構いすぎるからだろう」
「妹想いの優しい方だと聞いていますわ」
アルセーヌとフランソワーズに非難めいたような視線を送られ、レナルドはその視線から逃れるようにイリスを見た。
「———しかし満点か。さすがイリスだな」
「レナルド、お前は二箇所間違えがあって三位だよ」
「…数学だろ。あまり得意じゃないんだ」
「そして四位がフランソワーズだったよ」
「まあ、この四人が上位ですのね。では同じクラスですわね」
「そうだな。レナルド、教室でイリス嬢に抱きついたりするなよ」
「…善処はする」
「そこは約束して欲しいのだけれど…」
王子二人と今貴族の中で最も権力のある侯爵家の令嬢。
そんな中に挟まれて、しかも王子の婚約者となってしまったイリスも…目立つなというのは無理なのだろう。
これからの学園生活に一抹の不安を覚えながら、イリスは校舎内へと入っていった。
一人は優しげな面立ちのアルセーヌ王子。
もう一人は、アルセーヌに似ているけれどその瞳に鋭さを持った、レナルド王子。
女生徒達からの熱い視線を集めていた二人のうち、レナルドがこちらに気づきその顔をパッと明るくした。
「イリス!」
駆け寄ってその身体を抱きしめるとあちこちから悲鳴が上がった。
「…レナルド…こういう場所では…」
「だって久しぶりなんだもの」
「三日前に会ったばかりよね?!」
「王都に来れば毎日会えると思ってたのに…」
「レナルド」
歩み寄ってきたアルセーヌが呆れたような声をかけた。
「ここは学園だぞ。弁えろ」
「少しぐらいいいだろう」
「良くないから言ってるんだ」
しぶしぶイリスの身体を解放したレナルドにため息をつくと、アルセーヌはイリスに向いた。
「イリス嬢。これが迷惑を掛けると思うが三年間よろしく」
「はい、アルセーヌ殿下。よろしくお願いいたします」
「ところでイリス嬢は試験の結果を聞いたかい?」
「いいえ…」
十日前、新入生達の学力を調べ、クラス分けの参考にする為の試験が行われた。
その結果は個々には明かさない事になっていると聞いていたのだが。
「私と君が満点だった。女子の満点は初めてだそうだ。さすがあのクリストファー・オービニエの妹だと学園長達が褒めていたよ」
王子達の会話に聞き耳を立てていた周囲の生徒達から大きな騒めきが起きた。
「あのクリストファー・オービニエ様の…」
「三年間全ての科目で首席を通し続けた…」
「卒業時には魔術局と騎士団の間で争奪戦が起きたという…」
「去年王宮の剣術大会で騎士達を抑えて準優勝したって…」
———お兄様…目立ちすぎです。
騒めきと共に聞こえてくる言葉にイリスは心の中でため息をついた。
素性を探られるような事にならないよう、あまり目立ちすぎるなとイリスには言っていたのに。
変にプライドの高いクリストファー自身は手を抜くという事は出来ないらしい。
けれど学生時代はともかく、剣術大会に参加したのはやり過ぎではないかと話を聞いた時に思ったのだが、レナルドとの手合わせを見ていた騎士団長に参加するよう強要されたらしい。
「クリストファー様の噂は私も聞いていますわ」
ふふと笑みを浮かべてフランソワーズが口を開いた。
「見目もよろしくて悪い噂もなく、将来有望なのに未だ婚約者がいらっしゃらなくて女性の影もないのですってね。誰が射止めるのか、社交界で話題だそうですわ」
「そう…なんですか…」
「あのクリストファーが。性格は良くないと思うけど」
「それはレナルドがイリス嬢を構いすぎるからだろう」
「妹想いの優しい方だと聞いていますわ」
アルセーヌとフランソワーズに非難めいたような視線を送られ、レナルドはその視線から逃れるようにイリスを見た。
「———しかし満点か。さすがイリスだな」
「レナルド、お前は二箇所間違えがあって三位だよ」
「…数学だろ。あまり得意じゃないんだ」
「そして四位がフランソワーズだったよ」
「まあ、この四人が上位ですのね。では同じクラスですわね」
「そうだな。レナルド、教室でイリス嬢に抱きついたりするなよ」
「…善処はする」
「そこは約束して欲しいのだけれど…」
王子二人と今貴族の中で最も権力のある侯爵家の令嬢。
そんな中に挟まれて、しかも王子の婚約者となってしまったイリスも…目立つなというのは無理なのだろう。
これからの学園生活に一抹の不安を覚えながら、イリスは校舎内へと入っていった。
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