58 / 76
5章 猫の恩返し
54話 倉木家緊急会議 *光希視点
しおりを挟む
「只今より、第1回緊急家族会議を開催します!!」
現在時刻は夜8時、私たち家族はリビングに集まり、私の隣にはお兄ちゃん、テーブルを挟んだ形で、お父さんとお母さんが対面に座っている。
事の始まりは、お姉ちゃんから届いた1通のメッセージだ。明日、フードフェスタが開催されるのだけど、恒例イベント[未知なる食材の探求]に露店を出す人たち全員が強制参加させられることになり、そこにお姉ちゃんが含まれているの‼︎ 今年の食材は、[テンタクルズオクトパス]という海の巨大魔物、お姉ちゃん自身も実物を知らないけど、食用という評価なのに調理難易度Aランクの食材で、これまで世界中の人々がこの魔物の調理に挑戦しているけど、誰1人正しい調理方法に辿り着いていない。
これまで幾度もお姉ちゃんから相談を受けてきたけど、今回は超難題なんだよ。
「お母さん、何かいい調理法はないかな?」
「う~ん、この内容を見た限り、一般的に知られているぬめりの除去方法に関しては、全部書かれているのよね。これに関しては、お母さんもお手上げね」
「そんな!? お兄ちゃんは?」
「いや、こういったものは俺の専門外だよ。内容を読んだ限り、こいつは俺たちの知るタコでもイカでもない全く未知なる巨大生物だから、ぬめりの性質自体だって違う。ネットで検索して何かを見つけたとしても、迂闊に知らせない方がいい。最悪、毒ガスがヌメリや肉から発生して、姉さんを死なせてしまうことになる」
毒ガス…火で焼いただけで発生するのだから、それ以外の刺激で発生してもおかしくない。こんな危険生物の肉が、何で食用なのかな?
「光希、今回ばかりは我々から何も言わない方がいい。我々の助言で咲耶を死なせる可能性がある以上、見守るしかない」
お父さんから言われた言葉が、私の心に響く。
死なせる……それはいやだ。
去年の命日やお盆の時だって、お兄ちゃんは自分を責めていたし、自分のせいでお姉ちゃんを死なせたと、ずっと仏壇の前で『すまない』『ごめん』と謝罪を言い続けていた。私は、【死】と言う言葉を、これまでに何度も何度も聞いている。人が死ぬと、みんなが悲しむ。死んだ人とは、2度と会えないと聞いていたけど、私は死んだお姉ちゃんとほんの少しだけ出会えたし、こうして異世界交流もできるようになった。
お姉ちゃんとは、もっと色んなお話しをしたい。
お姉ちゃんのおかげで、家族の雰囲気がより明るくなった。
私たちのせいで、助言でお姉ちゃんを死なせたくない。
だから、ヌメリの除去に関しては諦めるしかない。
「わかった。でもお兄ちゃん、お姉ちゃんはどうやって課題を乗り越える気なのかな?」
「光希、与えられた課題を無理に乗り越える必要はないんだ。姉さんは、参加するだけでいい。何もせず、制限時間が過ぎたら、魔物の肉をバッグごと主催者側に返却すればいいのさ。そういった難題に関しては、プロの料理人に任せれば、誰かがいつか調理法を見つけてくれるよ」
「そうだね…わかった。でもさでもさ、誰かがヌメリを除去してくれる可能性を考えて、タコ料理のレシピだけでも、お姉ちゃんに教えてあげようよ!!」
お姉ちゃんが、課題を解決する必要性はないんだよ‼︎
でも、誰かがヌメリを除去してくれたら、そこからは調理するだけでいい。
せめて、タコの調理方法だけでもお姉ちゃんに教えてあげたい‼︎
「それは良いアイデアだ。あの世界に転生者もいるから、既に料理が存在している可能性もあるけど、姉さんでも調理可能なものを教えてあげよう」
「うん‼︎」
私はネットで色々とタコ料理のレシピを検索していく途中、ある疑問が唐突に頭に浮かんだ。
[焼けば猛毒ガス][塩でぬめりを取っても塩辛くて食べられたものじゃない][手渡されてから21時間経過したら、身が腐ってしまい、魔物を引き寄せる]、こんな危険な魔物の肉が街内にあるのに、街自体は何の警備もしていないのかな? もしものことを考えないのかな?
参加者全員が調理に失敗し、毒ガスが街に充満して、住民全員が死亡する事件に発展しないよね?
調理が中途半端に成功して、フェスタ参加者全員が食中毒を起こして苦しんだりしないよね?
魔物を保管するマジックバッグが壊れて、巨大魔物の死体がフェスタ真っ最中に出現して、大混乱に陥らないよね?
死んだ巨大魔物が突如として復活して、住民を襲ったりしないよね?
変な事を考え出したせいか、猛烈に不安になってきて、検索の手も止まっちゃった。お兄ちゃんたちに、私の不安を全部話すと、3人とも苦笑いを浮かべた。
「光希、大袈裟だよ」
「お兄ちゃん、何でそんな酷いことを言うの‼︎ みんなが失敗したら、魔物が襲ってくるかもしれないんだよ‼︎」
もし、大勢の魔物が押し寄せてきたら、お姉ちゃんが食べられちゃうのに。
「光希、 悠太の言う通りよ。仮に、全員が調理に失敗して24時間経過したとしても、魔物の肉をバッグに入れておくだけでいいのよ。そうすれば、匂いが街に充満することもなく、魔物たちも街を襲わないわ」
「お母さん、甘いよ‼︎ 私、あれからネットで異世界小説をいくつも読んでいるからこそわかるの‼︎ こういうイベントには、想定外の事故が付きものなの‼︎ 絶対、何かが起きて、お姉ちゃんたちが危険になるんだよ‼︎」
私がそう力説すると、お兄ちゃんたちの雰囲気がなんだかおかしい。
お母さんとお兄ちゃんが、ヒソヒソと話し合っている。
何の話をしているの?
『母さん、光希は小説の読み過ぎなんじゃあ?』
『咲耶との交流が始まって以降、ネットの小説サイトにある異世界小説にハマっちゃってね。私も困っているのよ』
『小説のような大規模イベントなんて、普通は早々起きない。俺が、光希を宥めておくよ』
『お願いね』
もう、何を話し合っているの?
「なあ光希、姉さんのいる街には最強のボディーガードがいるんだ」
「ボディーガード? そんな人、いたっけ?」
お姉ちゃんから教えてもらったけど、ベイツさんはかなり強いと聞いているけど、最強なのかな?
「人じゃなくて、魔物と精霊だ」
「あ、フリードとルウリだ‼︎」
「正解。あの2体は経験豊富だから、魔物が押し寄せてきても、毒ガスが発生しても、必ず姉さんたちを守ってくれる」
そっか、あの2体がいれば、騒動が起きてもすぐに終息するよね。
お兄ちゃんのおかげで、さっきまで抱えていた私の不安も薄まってきた。
お姉ちゃんには申し訳ないけど、今回はヌメリに関する助言はなしで、タコ料理のレシピだけを送っておこう。
現在時刻は夜8時、私たち家族はリビングに集まり、私の隣にはお兄ちゃん、テーブルを挟んだ形で、お父さんとお母さんが対面に座っている。
事の始まりは、お姉ちゃんから届いた1通のメッセージだ。明日、フードフェスタが開催されるのだけど、恒例イベント[未知なる食材の探求]に露店を出す人たち全員が強制参加させられることになり、そこにお姉ちゃんが含まれているの‼︎ 今年の食材は、[テンタクルズオクトパス]という海の巨大魔物、お姉ちゃん自身も実物を知らないけど、食用という評価なのに調理難易度Aランクの食材で、これまで世界中の人々がこの魔物の調理に挑戦しているけど、誰1人正しい調理方法に辿り着いていない。
これまで幾度もお姉ちゃんから相談を受けてきたけど、今回は超難題なんだよ。
「お母さん、何かいい調理法はないかな?」
「う~ん、この内容を見た限り、一般的に知られているぬめりの除去方法に関しては、全部書かれているのよね。これに関しては、お母さんもお手上げね」
「そんな!? お兄ちゃんは?」
「いや、こういったものは俺の専門外だよ。内容を読んだ限り、こいつは俺たちの知るタコでもイカでもない全く未知なる巨大生物だから、ぬめりの性質自体だって違う。ネットで検索して何かを見つけたとしても、迂闊に知らせない方がいい。最悪、毒ガスがヌメリや肉から発生して、姉さんを死なせてしまうことになる」
毒ガス…火で焼いただけで発生するのだから、それ以外の刺激で発生してもおかしくない。こんな危険生物の肉が、何で食用なのかな?
「光希、今回ばかりは我々から何も言わない方がいい。我々の助言で咲耶を死なせる可能性がある以上、見守るしかない」
お父さんから言われた言葉が、私の心に響く。
死なせる……それはいやだ。
去年の命日やお盆の時だって、お兄ちゃんは自分を責めていたし、自分のせいでお姉ちゃんを死なせたと、ずっと仏壇の前で『すまない』『ごめん』と謝罪を言い続けていた。私は、【死】と言う言葉を、これまでに何度も何度も聞いている。人が死ぬと、みんなが悲しむ。死んだ人とは、2度と会えないと聞いていたけど、私は死んだお姉ちゃんとほんの少しだけ出会えたし、こうして異世界交流もできるようになった。
お姉ちゃんとは、もっと色んなお話しをしたい。
お姉ちゃんのおかげで、家族の雰囲気がより明るくなった。
私たちのせいで、助言でお姉ちゃんを死なせたくない。
だから、ヌメリの除去に関しては諦めるしかない。
「わかった。でもお兄ちゃん、お姉ちゃんはどうやって課題を乗り越える気なのかな?」
「光希、与えられた課題を無理に乗り越える必要はないんだ。姉さんは、参加するだけでいい。何もせず、制限時間が過ぎたら、魔物の肉をバッグごと主催者側に返却すればいいのさ。そういった難題に関しては、プロの料理人に任せれば、誰かがいつか調理法を見つけてくれるよ」
「そうだね…わかった。でもさでもさ、誰かがヌメリを除去してくれる可能性を考えて、タコ料理のレシピだけでも、お姉ちゃんに教えてあげようよ!!」
お姉ちゃんが、課題を解決する必要性はないんだよ‼︎
でも、誰かがヌメリを除去してくれたら、そこからは調理するだけでいい。
せめて、タコの調理方法だけでもお姉ちゃんに教えてあげたい‼︎
「それは良いアイデアだ。あの世界に転生者もいるから、既に料理が存在している可能性もあるけど、姉さんでも調理可能なものを教えてあげよう」
「うん‼︎」
私はネットで色々とタコ料理のレシピを検索していく途中、ある疑問が唐突に頭に浮かんだ。
[焼けば猛毒ガス][塩でぬめりを取っても塩辛くて食べられたものじゃない][手渡されてから21時間経過したら、身が腐ってしまい、魔物を引き寄せる]、こんな危険な魔物の肉が街内にあるのに、街自体は何の警備もしていないのかな? もしものことを考えないのかな?
参加者全員が調理に失敗し、毒ガスが街に充満して、住民全員が死亡する事件に発展しないよね?
調理が中途半端に成功して、フェスタ参加者全員が食中毒を起こして苦しんだりしないよね?
魔物を保管するマジックバッグが壊れて、巨大魔物の死体がフェスタ真っ最中に出現して、大混乱に陥らないよね?
死んだ巨大魔物が突如として復活して、住民を襲ったりしないよね?
変な事を考え出したせいか、猛烈に不安になってきて、検索の手も止まっちゃった。お兄ちゃんたちに、私の不安を全部話すと、3人とも苦笑いを浮かべた。
「光希、大袈裟だよ」
「お兄ちゃん、何でそんな酷いことを言うの‼︎ みんなが失敗したら、魔物が襲ってくるかもしれないんだよ‼︎」
もし、大勢の魔物が押し寄せてきたら、お姉ちゃんが食べられちゃうのに。
「光希、 悠太の言う通りよ。仮に、全員が調理に失敗して24時間経過したとしても、魔物の肉をバッグに入れておくだけでいいのよ。そうすれば、匂いが街に充満することもなく、魔物たちも街を襲わないわ」
「お母さん、甘いよ‼︎ 私、あれからネットで異世界小説をいくつも読んでいるからこそわかるの‼︎ こういうイベントには、想定外の事故が付きものなの‼︎ 絶対、何かが起きて、お姉ちゃんたちが危険になるんだよ‼︎」
私がそう力説すると、お兄ちゃんたちの雰囲気がなんだかおかしい。
お母さんとお兄ちゃんが、ヒソヒソと話し合っている。
何の話をしているの?
『母さん、光希は小説の読み過ぎなんじゃあ?』
『咲耶との交流が始まって以降、ネットの小説サイトにある異世界小説にハマっちゃってね。私も困っているのよ』
『小説のような大規模イベントなんて、普通は早々起きない。俺が、光希を宥めておくよ』
『お願いね』
もう、何を話し合っているの?
「なあ光希、姉さんのいる街には最強のボディーガードがいるんだ」
「ボディーガード? そんな人、いたっけ?」
お姉ちゃんから教えてもらったけど、ベイツさんはかなり強いと聞いているけど、最強なのかな?
「人じゃなくて、魔物と精霊だ」
「あ、フリードとルウリだ‼︎」
「正解。あの2体は経験豊富だから、魔物が押し寄せてきても、毒ガスが発生しても、必ず姉さんたちを守ってくれる」
そっか、あの2体がいれば、騒動が起きてもすぐに終息するよね。
お兄ちゃんのおかげで、さっきまで抱えていた私の不安も薄まってきた。
お姉ちゃんには申し訳ないけど、今回はヌメリに関する助言はなしで、タコ料理のレシピだけを送っておこう。
160
あなたにおすすめの小説
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる