57 / 76
5章 猫の恩返し
53話 調理難易度Aランクの食材
しおりを挟む
【テンタクルズオクトパス】、皆が驚愕する理由を知りたい。
「アレス、その魔物の調理って、そんなに難しいの?」
皆が私を見る。
やっぱり、私だけがその魔物の知識を持っていないのね。
公爵令息のアレスは、何故知っているの?
「咲耶、君も記憶を失う前に、その魔物の脅威を聞いているはずなんだけど?」
そうなの?
全然、覚えていないわ。
「テンタクルズオクトパスは、生きていても死んでいても、我々を脅かす魔物なんだ」
どういうこと? 生きている時はわかるけど、死んじゃったら動かないのだから脅威になりえないよね。
「生きている時の脅威度がAランク、死んだ後の脅威度もAランクなんだよ」
「え、そんな魔物が存在するの!?」
死んでいるのに、なんで脅威度が消失しないの?
「これは貴族でも平民の間でも有名な話なんだけど……」
アレスが、テンタクルズオクトパスについて色々と解説してくれた。全てを教えてもらったことで、どうして脅威度が死んでも付くのか、私も納得したわ。
① テンタクルズオクトパスは海の魔物、足が20本もあり、その長さは体長30メートル程。弱点は20本の足の中心にある脳を破壊すればいい。
② 身体全体に非常に強いヌメリがあり、その所為で打撃も魔法も殆ど弾かれてしまう。火魔法で焼却すると、有毒ガスがヌメリと肉から大量発生してしまい、大惨事を引き起こす。
③ 討伐してから24時間経過すると、人にとって強い腐敗臭と刺激臭がその巨体から発せられ、それが大気中に散布されることで、魔物たちがその臭いを目指して誘導されてしまい、全方位から臭いの元となる場所へ押し寄せ、死体を全て食べ尽くす。
④ 現在でも、この魔物の正しい調理方法は未解明。この魔物を討伐する場合、空間魔法[アイテムボックス]を習得している魔力量Sランクの人、もしくは最高級マジックバッグ(収納力S;時間機能停止付き)を探し出さないといけない。何故なら、ヌメリが非常に強く、剣による切断も困難だから、その巨体のまま収納しないといけないからだ。
⑤ 唯一、塩を使用することでヌメリを除去できるけど、身1kgに対し、塩10kgを必要とする。でも、この方法には大きなデメリットがあり、ヌメリを除去し終える頃になると、塩分が身全体に染み込んでしまい、非常に塩辛くなってしまう。しかも、そこからどのような処置を施しても、塩分が身から抜けない。
⑥ こういった習性のため、対処方法がない場合、人はヌメリを塩で除去した後、塩辛くなった身を生のまま、必ず24時間以内に食さなければならない。
⑦ 世界中の国々がこの魔物の処理に困っているため、調理難易度Aランクの調理不可能食材と呼ばれている。
う~ん、皆が驚くのもわかるわ。
現状、この魔物を食するには、塩漬けするしかない。
でも、30メートルの塩辛い巨大生物を食べたい人なんていないわ。
でも、何の対処もない場合は、これまでそこにいる人々だけで食べたんだね。
「【ヌメリ】を簡単に除去する調理方法があれば、かなり楽になる。しかし、世界中の料理人が挑戦しているものの、未だ誰1人成し遂げていない」
火で焼いたら猛毒ガスが発生し、塩で取ったら塩辛い。
うわ~、八方塞がりの状態だ。
「揚げても、凍らせても取れないの?」
「それは既に試されていて、効果なしと判明しているんだ」
完全に、お手上げだよ。
「アルドさんは、この難題に挑戦するんですか?」
全員の視線が、アルドさんに集まる。
「それがな……このイベントに限っては、露店に出店する者全員が強制参加なんだ。我々飲食店経営者に関しては、自由参加になっていて、1店につき、1kgの身が渡される。あの巨大魔物をバッグから1kg分ずつ出し、細い釘などでヌメリと身を貫き固定さえすれば、何とか剣や包丁などで切断できるそうだ。全員に、1kg分入った時間停止機能付きの小型マジックバッグが手渡される手配になっている。それと今回に限り、塩以外で調理に成功した者、塩を調理し美味いと認められた者には、参加賞として使用したバッグ自体を貰える。そして、最優秀と認められた者には、国から1000万ゴルドが進呈される」
うわあ~、マジックバッグの中にあるテンタクルズオクトパスの身を少しでも減らしたいから、強硬手段に出たんだ。
あれ、ちょっと待って!!
なんか、凄く嫌な予感がするよ!!
「アルドさん、露店だと飲食に関与しない店もありますよ?」
「今回のイベントの規定は、調理できる者だ。実質、誰でもいいということだから、飲食に関与しない露店も強制参加だ。明日の早朝7時30分、露店参加者と飲食店関係者が大樹マナリオの下に集められ、そこで手渡される予定になっている」
その言葉に、私は身を震わせる。
ということは…
「それだと、私も強制参加なんですけど?」
全員が、一斉に私を見る。アマンガムさんに無理を言って頼んでいるから、今更キャンセルなんてできない。しかも、1kgもあるんでしょ?
「そうなんだよ、だから急遽電話したのさ。ただ、強制参加ではあるが、調理に挑戦するかは自由だ。危険な食材である以上、何もせず、バッグごと返却してくれれば問題ないし、塩漬けにして生で食べてくれても構わないとのことだ。ちなみに、フェスタ終了直後に、バッグから警報が鳴り響くシステムになっている」
そんな危険生物、いらないよ!!
塩漬けにして食べても、絶対塩辛いだけでう美味しくないと思う。
私の場合、アマンガムさんが気を利かしてくれたおかげで、大樹マナリオの横で猫たちと戯れる予定だから、日中に食材を弄る時間がない。タイムリミットは最大24時間だけど、マジックバッグの中に入れるまで多少の時間をかけているだろうから、正確な時間を知らないといけないわ。
「アレスさん、タイムリミットは?」
「21時間だ。残り時間が18時間以上あれば、身も返却可能だ。それ以下ならば、自己責任だそうだ」
も~最悪、主催者側の人たちは、何でこんな無理難題を押し付けてくるかな? 私が挑戦するか迷っていると、アレスが助け舟を出してくれた。
「咲耶は、挑戦しなくていい。いくら何でも危険過ぎる。あの食材は、未知な部分が多いから、他の人々だって敬遠するはずだ。こう言うのは、プロに任せるべきだ」
アレスの意見に賛成だけど、一応光希たちに相談してみよう。
「アレス、その魔物の調理って、そんなに難しいの?」
皆が私を見る。
やっぱり、私だけがその魔物の知識を持っていないのね。
公爵令息のアレスは、何故知っているの?
「咲耶、君も記憶を失う前に、その魔物の脅威を聞いているはずなんだけど?」
そうなの?
全然、覚えていないわ。
「テンタクルズオクトパスは、生きていても死んでいても、我々を脅かす魔物なんだ」
どういうこと? 生きている時はわかるけど、死んじゃったら動かないのだから脅威になりえないよね。
「生きている時の脅威度がAランク、死んだ後の脅威度もAランクなんだよ」
「え、そんな魔物が存在するの!?」
死んでいるのに、なんで脅威度が消失しないの?
「これは貴族でも平民の間でも有名な話なんだけど……」
アレスが、テンタクルズオクトパスについて色々と解説してくれた。全てを教えてもらったことで、どうして脅威度が死んでも付くのか、私も納得したわ。
① テンタクルズオクトパスは海の魔物、足が20本もあり、その長さは体長30メートル程。弱点は20本の足の中心にある脳を破壊すればいい。
② 身体全体に非常に強いヌメリがあり、その所為で打撃も魔法も殆ど弾かれてしまう。火魔法で焼却すると、有毒ガスがヌメリと肉から大量発生してしまい、大惨事を引き起こす。
③ 討伐してから24時間経過すると、人にとって強い腐敗臭と刺激臭がその巨体から発せられ、それが大気中に散布されることで、魔物たちがその臭いを目指して誘導されてしまい、全方位から臭いの元となる場所へ押し寄せ、死体を全て食べ尽くす。
④ 現在でも、この魔物の正しい調理方法は未解明。この魔物を討伐する場合、空間魔法[アイテムボックス]を習得している魔力量Sランクの人、もしくは最高級マジックバッグ(収納力S;時間機能停止付き)を探し出さないといけない。何故なら、ヌメリが非常に強く、剣による切断も困難だから、その巨体のまま収納しないといけないからだ。
⑤ 唯一、塩を使用することでヌメリを除去できるけど、身1kgに対し、塩10kgを必要とする。でも、この方法には大きなデメリットがあり、ヌメリを除去し終える頃になると、塩分が身全体に染み込んでしまい、非常に塩辛くなってしまう。しかも、そこからどのような処置を施しても、塩分が身から抜けない。
⑥ こういった習性のため、対処方法がない場合、人はヌメリを塩で除去した後、塩辛くなった身を生のまま、必ず24時間以内に食さなければならない。
⑦ 世界中の国々がこの魔物の処理に困っているため、調理難易度Aランクの調理不可能食材と呼ばれている。
う~ん、皆が驚くのもわかるわ。
現状、この魔物を食するには、塩漬けするしかない。
でも、30メートルの塩辛い巨大生物を食べたい人なんていないわ。
でも、何の対処もない場合は、これまでそこにいる人々だけで食べたんだね。
「【ヌメリ】を簡単に除去する調理方法があれば、かなり楽になる。しかし、世界中の料理人が挑戦しているものの、未だ誰1人成し遂げていない」
火で焼いたら猛毒ガスが発生し、塩で取ったら塩辛い。
うわ~、八方塞がりの状態だ。
「揚げても、凍らせても取れないの?」
「それは既に試されていて、効果なしと判明しているんだ」
完全に、お手上げだよ。
「アルドさんは、この難題に挑戦するんですか?」
全員の視線が、アルドさんに集まる。
「それがな……このイベントに限っては、露店に出店する者全員が強制参加なんだ。我々飲食店経営者に関しては、自由参加になっていて、1店につき、1kgの身が渡される。あの巨大魔物をバッグから1kg分ずつ出し、細い釘などでヌメリと身を貫き固定さえすれば、何とか剣や包丁などで切断できるそうだ。全員に、1kg分入った時間停止機能付きの小型マジックバッグが手渡される手配になっている。それと今回に限り、塩以外で調理に成功した者、塩を調理し美味いと認められた者には、参加賞として使用したバッグ自体を貰える。そして、最優秀と認められた者には、国から1000万ゴルドが進呈される」
うわあ~、マジックバッグの中にあるテンタクルズオクトパスの身を少しでも減らしたいから、強硬手段に出たんだ。
あれ、ちょっと待って!!
なんか、凄く嫌な予感がするよ!!
「アルドさん、露店だと飲食に関与しない店もありますよ?」
「今回のイベントの規定は、調理できる者だ。実質、誰でもいいということだから、飲食に関与しない露店も強制参加だ。明日の早朝7時30分、露店参加者と飲食店関係者が大樹マナリオの下に集められ、そこで手渡される予定になっている」
その言葉に、私は身を震わせる。
ということは…
「それだと、私も強制参加なんですけど?」
全員が、一斉に私を見る。アマンガムさんに無理を言って頼んでいるから、今更キャンセルなんてできない。しかも、1kgもあるんでしょ?
「そうなんだよ、だから急遽電話したのさ。ただ、強制参加ではあるが、調理に挑戦するかは自由だ。危険な食材である以上、何もせず、バッグごと返却してくれれば問題ないし、塩漬けにして生で食べてくれても構わないとのことだ。ちなみに、フェスタ終了直後に、バッグから警報が鳴り響くシステムになっている」
そんな危険生物、いらないよ!!
塩漬けにして食べても、絶対塩辛いだけでう美味しくないと思う。
私の場合、アマンガムさんが気を利かしてくれたおかげで、大樹マナリオの横で猫たちと戯れる予定だから、日中に食材を弄る時間がない。タイムリミットは最大24時間だけど、マジックバッグの中に入れるまで多少の時間をかけているだろうから、正確な時間を知らないといけないわ。
「アレスさん、タイムリミットは?」
「21時間だ。残り時間が18時間以上あれば、身も返却可能だ。それ以下ならば、自己責任だそうだ」
も~最悪、主催者側の人たちは、何でこんな無理難題を押し付けてくるかな? 私が挑戦するか迷っていると、アレスが助け舟を出してくれた。
「咲耶は、挑戦しなくていい。いくら何でも危険過ぎる。あの食材は、未知な部分が多いから、他の人々だって敬遠するはずだ。こう言うのは、プロに任せるべきだ」
アレスの意見に賛成だけど、一応光希たちに相談してみよう。
166
あなたにおすすめの小説
滅びる異世界に転生したけど、幼女は楽しく旅をする!
白夢
ファンタジー
何もしないでいいから、世界の終わりを見届けてほしい。
そう言われて、異世界に転生することになった。
でも、どうせ転生したなら、この異世界が滅びる前に観光しよう。
どうせ滅びる世界なら、思いっきり楽しもう。
だからわたしは旅に出た。
これは一人の幼女と小さな幻獣の、
世界なんて救わないつもりの放浪記。
〜〜〜
ご訪問ありがとうございます。
可愛い女の子が頼れる相棒と美しい世界で旅をする、幸せなファンタジーを目指しました。
ファンタジー小説大賞エントリー作品です。気に入っていただけましたら、ぜひご投票をお願いします。
お気に入り、ご感想、応援などいただければ、とても喜びます。よろしくお願いします!
23/01/08 表紙画像を変更しました
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる