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5章 猫の恩返し
52話 毎年恒例イベント[未知なる食材の探求]
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アレスと出会い、その日の夜に光希と交流したら、私の思った通りの反応が返ってきた。やっぱり、お父さんたちもあの料理なら貴族も認めてくれると思ったみたい。
でも、【その料理が国内で開発されているのか確認すること】、【材料や調理器具が安価で入手可能なのかを調査すること】、【仮に上手く出来上がったとしても、それをアレスに言うかは咲耶(お姉ちゃん)次第、状況によっては何も明かさず、闇に葬ることも考慮しておくこと】、【仮に明かす場合は、その料理を短い期間で何故開発できたのかを異世界抜きできちんと説明できるようにしておくこと】、そして最後に、【これはアレスの課題であって、あなたの課題ではないことを深く理解しておくこと】が記載されていた。
ふふ、私だってその点をきちんと考えているんだよ。
ルウリにも、忠告されていたからね。
光希との交流から3日後、私とユウキ、そこにリットを入れた3人であの料理の開発に成功したのだけど、現時点でアレスには何も伝えていない。私たち以外でこの件を知っているのは、私の事情を全て把握しているベイツさん、リットの両親(アルドさんとミントさん)、ルウリ、フリードだけだ。アレスと行動している日中は、彼と一緒に露店巡りをし、食べた料理の評価をしながら、アレスと別れた後の時間は3人で、ベイツさんの家にて料理開発に専念した。
完成した料理自体の評価は極めて高く、現時点で販売できるレベルとまで言われたけど、アレス自身が自分で何かを見つけ出す場合もあるので、フェスタ最終日までは内緒にしておく。
○○○
フードフェスタ前日の朝、1本の電話が鳴った。
この世界に存在する魔道具[固定電話]、中には魔道回路と呼ばれるものがあり、その中心には魔石が組み込まれている。これを基に、国内に存在する固定電話と全て繋がっている。日本と同じように、相手先の電話番号を入力すれば話し合えるし、その音質も日本レベルだ。
この電話の相手先はリットで、私とユウキは午後3時に定食屋ガブリに来て欲しいというお願いだった。それをベイツさんに伝えると、彼は少し難しい顔を浮かべる。
「アルドの奴、明日の課題に挑戦するつもりだな。特に規定もないし自由参加だから、料理人の血が騒ぐようだな」
「ベイツさん、課題って何ですか?」
このお祭りは毎年開催されているから、ベイツさんはリットの用事を知っているのかな。
「フードフェスタは食の祭典、多くの料理人たちが毎年集まってくる。主催者側はこれを利用して、毎年恒例のイベント[未知なる食材の探求]を実施している。人の食べられる食材というものは、世の中には数えきれないほどあるが、調理可能なものは限定されている。たとえ、スキルで食用可とわかっていても、食材の持つ性質のせいで、調理できないものも沢山あるんだ」
ああ、何を言いたいのかわかったわ。地球でも、食用可能なお魚はいっぱいいるけど、その身の持つ性質のせいで調理できたとしても、人様に出せないものもあると聞くわ。
「このイベントでは、主催者側が食用可で調理不可能と呼ばれる食材を1つだけ提起する。フェスタ参加者は、その食材を使って調理し、審査員たちから料理として認められるものを製作しないといけない。《佳作》として認められた者には20万、《入選》として認められた者には50万、《優秀》であれば100万、《最優秀》であれば、賞金300万ゴルドが進呈される。通常、フェスタに訪れる人々全員に対して、イベントに参加する資格がある」
そんなイベントがあったんだ。そうなると、アルドさんはそのイベントに参加するから、リットは協力要請のため、私たちを呼び出したのかな。最優秀なら300万ゴルド、味次第で何処かの名店にスカウトされる場合もあるし、商標登録すれば大儲けできると思う。
「そのイベントなら有名ですので、私も知っていますよ」
フリードは世界中を旅しているから、あらゆる都市の情報を持っている。フードフェスタを知っていてもおかしくないわ。
「《最優秀》の出現は、平均3年に1回の割合ですね。食材の持つ厄介な性質を誰1人克服できず、誰も調理できなかった年すらありますよ。誰も認められない場合、キャリーオーバーが発生し、翌年に繰越されるはずです」
「フリード、よく知っているな。去年、《最優秀》を取った者はいないから、今年出現すれば、賞金600万ゴルドが領主様から進呈される」
「「600万!?」」
あまりの高額に、私もユウキも驚きを隠せないでいる。
ふええ~~~、優勝金額が大き過ぎるよ。
今年のフードフェスタ、何か起こりそうで怖い。
○○○
私、ユウキ、ベイツさん、ルウリ、フリードが定食屋ガブリに到着すると、飛んでいたルウリは入口付近のテーブルに止まり、フリードは屋根へと登る。誰が聞き耳を立てているのかわからないので、内と外から見張ってくれることになった。店内へ入ると、そこには何故かアレスと護衛のザフィルドさんがいた。
「どうして、アレスがいるの?」
アレスも護衛のザフィルドさんも、3日前の時点でリットたちと出会っている。「私の元婚約者です」と紹介すると、その時にいた御客様も含めて、全員が大声をあげて面白かったな。アレスの身分を知ったことで、皆硬直したけど、私とユウキが平然とした口調で話しているので、すぐに緊張も解かれ、他の人たちも普段と同じ口調で話していき、彼はリットたちとすぐに打ち解けることに成功する。その後、自分の課題を説明し、店の軽食類を食べたのだけど、彼の顔は少し沈んでしまった。味自体は高評価なんだけど、どれもこれもが王都に存在するため、目新しさがないらしい。それを言われたリットも怒るに怒れないようで、身体を震わせていたわ。でも、他のお客様方はアレスの物怖じせずにはっきり言う口調を気に入り、彼の味方になったのよね。
「遅い昼食をとっていたら、リットが暗い顔をしていたから気になったんだ。その理由を聞いたら、僕の課題にも少し関係しているし、もしかしたら力になれるかもしれないと思ってね」
そうか、露店で提供する料理を探しているのだから、もしかしたらこのイベントで巡り合う可能性もあるわ。
「ベイツ、急にすまん。今回のイベントで提起された物が物だけに、主催者側が前日になって、街で飲食店を営む経営者全員と露店に出店するメンバー全員に発表したんだ」
アルドさんが申し訳ない表情となって、ベイツさんに謝罪する。
一体、主催者側はどんな食材を提起したのだろう?
「いや、俺たちは構わないよ。それで、今回のテーマは何なんだ?」
「脅威度Aランクの海の帝王【テンタクルズオクトパス】の調理だ」
アルドさんが言った瞬間、空気が変わった。ベイツさんとユウキが明らかに驚いており、ルウリも纏っている空気がいつもと違う。脅威度Aランクの魔物だから驚いているというよりも、何か違った意味合いで驚いているわ。
アルドさんでも戸惑う程の魔物【テンタクルズオクトパス】って、どう言った意味合いで調理不可になっているの?
でも、【その料理が国内で開発されているのか確認すること】、【材料や調理器具が安価で入手可能なのかを調査すること】、【仮に上手く出来上がったとしても、それをアレスに言うかは咲耶(お姉ちゃん)次第、状況によっては何も明かさず、闇に葬ることも考慮しておくこと】、【仮に明かす場合は、その料理を短い期間で何故開発できたのかを異世界抜きできちんと説明できるようにしておくこと】、そして最後に、【これはアレスの課題であって、あなたの課題ではないことを深く理解しておくこと】が記載されていた。
ふふ、私だってその点をきちんと考えているんだよ。
ルウリにも、忠告されていたからね。
光希との交流から3日後、私とユウキ、そこにリットを入れた3人であの料理の開発に成功したのだけど、現時点でアレスには何も伝えていない。私たち以外でこの件を知っているのは、私の事情を全て把握しているベイツさん、リットの両親(アルドさんとミントさん)、ルウリ、フリードだけだ。アレスと行動している日中は、彼と一緒に露店巡りをし、食べた料理の評価をしながら、アレスと別れた後の時間は3人で、ベイツさんの家にて料理開発に専念した。
完成した料理自体の評価は極めて高く、現時点で販売できるレベルとまで言われたけど、アレス自身が自分で何かを見つけ出す場合もあるので、フェスタ最終日までは内緒にしておく。
○○○
フードフェスタ前日の朝、1本の電話が鳴った。
この世界に存在する魔道具[固定電話]、中には魔道回路と呼ばれるものがあり、その中心には魔石が組み込まれている。これを基に、国内に存在する固定電話と全て繋がっている。日本と同じように、相手先の電話番号を入力すれば話し合えるし、その音質も日本レベルだ。
この電話の相手先はリットで、私とユウキは午後3時に定食屋ガブリに来て欲しいというお願いだった。それをベイツさんに伝えると、彼は少し難しい顔を浮かべる。
「アルドの奴、明日の課題に挑戦するつもりだな。特に規定もないし自由参加だから、料理人の血が騒ぐようだな」
「ベイツさん、課題って何ですか?」
このお祭りは毎年開催されているから、ベイツさんはリットの用事を知っているのかな。
「フードフェスタは食の祭典、多くの料理人たちが毎年集まってくる。主催者側はこれを利用して、毎年恒例のイベント[未知なる食材の探求]を実施している。人の食べられる食材というものは、世の中には数えきれないほどあるが、調理可能なものは限定されている。たとえ、スキルで食用可とわかっていても、食材の持つ性質のせいで、調理できないものも沢山あるんだ」
ああ、何を言いたいのかわかったわ。地球でも、食用可能なお魚はいっぱいいるけど、その身の持つ性質のせいで調理できたとしても、人様に出せないものもあると聞くわ。
「このイベントでは、主催者側が食用可で調理不可能と呼ばれる食材を1つだけ提起する。フェスタ参加者は、その食材を使って調理し、審査員たちから料理として認められるものを製作しないといけない。《佳作》として認められた者には20万、《入選》として認められた者には50万、《優秀》であれば100万、《最優秀》であれば、賞金300万ゴルドが進呈される。通常、フェスタに訪れる人々全員に対して、イベントに参加する資格がある」
そんなイベントがあったんだ。そうなると、アルドさんはそのイベントに参加するから、リットは協力要請のため、私たちを呼び出したのかな。最優秀なら300万ゴルド、味次第で何処かの名店にスカウトされる場合もあるし、商標登録すれば大儲けできると思う。
「そのイベントなら有名ですので、私も知っていますよ」
フリードは世界中を旅しているから、あらゆる都市の情報を持っている。フードフェスタを知っていてもおかしくないわ。
「《最優秀》の出現は、平均3年に1回の割合ですね。食材の持つ厄介な性質を誰1人克服できず、誰も調理できなかった年すらありますよ。誰も認められない場合、キャリーオーバーが発生し、翌年に繰越されるはずです」
「フリード、よく知っているな。去年、《最優秀》を取った者はいないから、今年出現すれば、賞金600万ゴルドが領主様から進呈される」
「「600万!?」」
あまりの高額に、私もユウキも驚きを隠せないでいる。
ふええ~~~、優勝金額が大き過ぎるよ。
今年のフードフェスタ、何か起こりそうで怖い。
○○○
私、ユウキ、ベイツさん、ルウリ、フリードが定食屋ガブリに到着すると、飛んでいたルウリは入口付近のテーブルに止まり、フリードは屋根へと登る。誰が聞き耳を立てているのかわからないので、内と外から見張ってくれることになった。店内へ入ると、そこには何故かアレスと護衛のザフィルドさんがいた。
「どうして、アレスがいるの?」
アレスも護衛のザフィルドさんも、3日前の時点でリットたちと出会っている。「私の元婚約者です」と紹介すると、その時にいた御客様も含めて、全員が大声をあげて面白かったな。アレスの身分を知ったことで、皆硬直したけど、私とユウキが平然とした口調で話しているので、すぐに緊張も解かれ、他の人たちも普段と同じ口調で話していき、彼はリットたちとすぐに打ち解けることに成功する。その後、自分の課題を説明し、店の軽食類を食べたのだけど、彼の顔は少し沈んでしまった。味自体は高評価なんだけど、どれもこれもが王都に存在するため、目新しさがないらしい。それを言われたリットも怒るに怒れないようで、身体を震わせていたわ。でも、他のお客様方はアレスの物怖じせずにはっきり言う口調を気に入り、彼の味方になったのよね。
「遅い昼食をとっていたら、リットが暗い顔をしていたから気になったんだ。その理由を聞いたら、僕の課題にも少し関係しているし、もしかしたら力になれるかもしれないと思ってね」
そうか、露店で提供する料理を探しているのだから、もしかしたらこのイベントで巡り合う可能性もあるわ。
「ベイツ、急にすまん。今回のイベントで提起された物が物だけに、主催者側が前日になって、街で飲食店を営む経営者全員と露店に出店するメンバー全員に発表したんだ」
アルドさんが申し訳ない表情となって、ベイツさんに謝罪する。
一体、主催者側はどんな食材を提起したのだろう?
「いや、俺たちは構わないよ。それで、今回のテーマは何なんだ?」
「脅威度Aランクの海の帝王【テンタクルズオクトパス】の調理だ」
アルドさんが言った瞬間、空気が変わった。ベイツさんとユウキが明らかに驚いており、ルウリも纏っている空気がいつもと違う。脅威度Aランクの魔物だから驚いているというよりも、何か違った意味合いで驚いているわ。
アルドさんでも戸惑う程の魔物【テンタクルズオクトパス】って、どう言った意味合いで調理不可になっているの?
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