邪神を喰った少女は異世界を救済します

犬社護

文字の大きさ
14 / 149
1章 テルミア王国 王都編

S級クラス死霊王リッチ

しおりを挟む
ギルドへの報告も終了し、一旦ひょっとこ屋に戻ってきた。フードをとると、丁度いいタイミングでカイルがやって来た。

「サーシャさん、お帰りなさい。初仕事、どうでしたか?」

「カイル、ただいま。もちろん成功したわよ。ちょっと予想外の出来事もあったけど、問題なく対処したわ」

「予想外の出来事?まあ、無事でなによりです。あの後ろの女の子は?」
「この子はフィンと言うの。私の弟子よ」

「あ、初めまして、フィンと言います」
「---、あ、カイルと、言います」

なんか、どもったわね。もしかして---!まあ、言わない方がいいわね。カイル頑張れ。

「カイル、部屋を2人部屋に変更可能かしら?」
「あ、すいません。唐揚げの件が予想以上に広まって満室になったんです。当分、満室が続くと思います」

あー、冒険者ギルドで広まってたものね。

「それじゃあ、仕方ないか。今の私の部屋に、フィンを止めても問題ないかな?」
「はい、大丈夫です。追加料金を支払ってくれれば問題ないですよ」

ちょっと狭くなるけど、追加料金を支払い、部屋に入った。

「さて、フィン、今のあなたのステータスだと、正直心許ないわ」
「う、すいません。足手まといですよね」

そう、このままだと本当に危ない。喧嘩に巻き込まれただけで死ぬ可能性もある。だから、奴隷を解放する前に呪いから解放して上げよう。

「だから、奴隷を解放する前に、先に呪いから解放しましょう」
「え、え、え、ふぇ~~、サーシャさん。いきなり何を言うんですか!そんな簡単に出来ないですよ!」

まあ、普通はそうね。でも、私の場合出来るのよ。


「出来るから言ってるのよ。まず、この呪いは、発動者と実行者が異なるわ。鑑定の結果、発動者が誰かはわからないけど、呪いの実行者と内容がわかった。実行者がわかれば、簡単よ。そいつを召喚して、お願いすればいい」


「召喚て、まさか!あの、本当に可能なんですか?」

「ええ、可能よ。ちょっと騒がしくなるから、昼食を食べたあと、王都の郊外にある森に行きましょう」

「-----はい、わかりました」



-------ここは森の中。フィンは、さっきから一言も喋らない。呪いの解放が本気である事がわかったのだろう。

呪いの解放をする前に、半径20mに聖魔法『クリーチャーリーブ』
、空間魔法『サイレント』、邪法『ディストーションフィールド』をかけておこう。

『クリーチャーリーブ』、簡単に言うと、指定範囲に邪族を近づけさせない魔法。

『サイレント』、人に使えば魔法封じ、限られた空間に使えば魔力、邪力、音が外に漏れなくなる。

『ディストーションフィールド』、私が指定した敵の全ての攻撃を歪めて別空間(この場合、私の精神世界)に持っていく私オリジナルの邪法だ。別空間に行った攻撃は全て邪力に還元される。余談だが、修行を重ねてわかったけど、上位属性には時空と虚無があることがわかった。


「ここで、呪いの解放儀式を行います。騒ぎを知られたくないから、周辺にはいくつか魔法を使っているので、邪力や騒音が外に漏れる事はないわ。まず、あなたの呪いだけど、邪族が関与しているわ」

「やはり、邪族ですか。あの時、召喚と言ってましたので、なんとなく気付いてました」

「全く、邪族に手を出してまで、フィンが邪魔だったのかしら。多分、フィンのユニークスキルか称号に関係しているんでしょう。あなたの呪いの内容は、ステータスの弱体化、スキル・ユニークスキル・称号の一部を封印したものよ。そして、その邪族の名は-----リッチ」

「ふぇ~~~、そんな邪族が、あのS級のリッチがなんで関わっているんですか?」

そこね、問題は。多分----

「おそらく、闇魔法の禁術『サクリファイス』を使って、リッチを召喚したわね」

召喚魔法、邪族を召喚して、自分の従魔にしたり、指定した相手に呪いを掛ける事も出来る。だが、当然危険もある。自分の魔力が召喚された邪族の邪力を上回っていれば問題ないけど、下回っていた場合、その場で殺される危険性がある。この危険を避けるのが、闇魔法禁術『サクリファイス』だ。邪族に生贄を捧げる事で、一時的ではあるが、命令出来ると王宮の文献に記載されていた。

「禁術!さ、サクリファイス!、そんな危険な魔法を使ってまで、私に呪いを掛けたんですか!なんのために?」

「それは、これから召喚するリッチに聞けばいいわ。ついでに、従魔にしちゃいましょう。」

「え~~、従魔!出来るわけないですよ。相手はS級ですよ」

うーん、やっぱり、リアクションが面白いわ。

「フィンは下がっていなさい。今からやるわよ」
「問答無用ですか!わわ、わかりました」

フィンは、良いツッコミ役になるわね。
私は邪力を使って、リッチを召喚した。

はっきり言って、魔法と邪法の使い方は一緒だ。その根源の力も、邪族は邪力といい、それ以外の種族は魔力というが、同じ力を使っている。ただ、魔力は身体の中にある純粋な力だけど、邪力にはそこに怨念の力が入っているだけの差だ。他の種族も、怨念を込めれば邪法を使用する事は理論上可能となる。これが、多くの文献を読み、精神世界で修行を重ねた私の見解だ。


魔法陣が起動した瞬間、私達がいる空間に威圧が迸ろうとしたが、すぐに霧散し私の邪力に変換された。ふーん、そっちは臨戦態勢なんだ。なら、今度はこちらから威圧を掛けてあげる。ほらほら観念しなさい、どんどん上げていくわよー。フィンの方を見ると、口をアングリとしていた。女の子がはしたないわよ。

「ふぇ~~~!なんなんですか、その力は!途中から、全く何も感じなくなったんですすが。魔法陣の中から途轍もない邪力を感じたらと思ったら、師匠が放つ力がそれを覆ったせいで、うわーー、私には何がなんだかわかりませーん」

うーん、いいリアクションをありがとう。

「フィン、これから起こる事の方がもっと大変だから、何も考えない事をお勧めするわ。今から起こる一部始終を目に焼き付けておきなさい」

「はい、わかりました、師匠!」

「リッチ、いい加減姿を現しなさい。さもないと、威圧をどんどん上げていって、あなたを最終的に圧し潰して、プチリッチにするわよ」

「ま、 待て!わかった、そちらに行くから、威圧を解いてくれ。もう限界なんだ!」

なんで、もう限界なのよ。あなたS級でしょう!
やっと、姿を現したか。

おー、S級だけあって、中々の威圧感ね。全身骸骨、全身を覆う青白い高級感を漂う、コート、両手にはいくつもの指輪をはめており、右手には杖、頭には豪華な王冠を被っている。だが、このリッチ、-----明らかに私を見て怯えている。失礼な奴ね。

「-----この気配は!だが、-------、いや失礼、あなたか、我を呼び出したのは」

「そうよ、私はサーシャ。安心なさい、あなたを討伐する気はないから。ただ、ちょっと聞きたい事があって、あなたを呼んだの。あと、ついでに従魔契約をしたいから」

「話を聞くのがメインで、従魔はついでですか。こちらから質問しても宜しいでしょうか?」

随分、下手なリッチね。さっきの威圧で、完全に自分が下だという事を悟ったようね。物分りのいい奴だわ。

「いいわよ、何?」

「あなたは何者なのですか?その邪力、ただ者ではないでしょう」

「そうね、その話をすると長くなるのよね。端的に言うと、私はこの世界の真理を探る探求者てところかしらね。邪王、邪神、女神の事をもっと深く知りたいのよね」

「邪王様だけでなく、邪神様のことも知っておられるのですか!」

私が喰った事は、言わないでおこう。

「ええ、邪神には会った事があるしね。これで納得してもらえたかしら?」
「はい、その邪力、邪神様の事もご存知なら、我はあなたに従います」

あ、従魔契約が成立したわ。なんか、呆気ないわね。これが私以外なら、ステータスにも表示されたんでしょうね。

「じゃあ、次ね。リッチ、隣にいるフィンに呪いを掛けたわね」
「はい、神獣の加護があって少々厄介でしたが、我自らがこの者に強力な呪いを掛けました。解放しましょうか?」

神獣の加護?称号のことかな?まあ、今はいいわ。

「待ちなさい。解放する前に、誰が何のために、あなたに命令したのかを教えて」

「は、我に命令したのは、レーデンブルク王国の貴族ソフィア・アレンシャルです。理由は、隣国アルテハイム王国の第2王子レオン・アルテハイムとの婚約を破棄させるためです。ただ、奴は邪族に操られていました。おそらく、レオンへの恋慕を利用されたのでしょう」

フィンの方を見ると、酷く狼狽していた。

「そ、そ、そんなソフィア様が犯人。私の事を-----」

なるほど、邪族に操られた状態で、『サクリファイス』を使い、フィンに呪いを与えたのね。おそらく、本人は気付いていない。それでも、ソフィアの所為で、かなりの数の獣人達が犠牲になったのは事実だ。

さて、ソフィア・アレンシャル、どういった罰を与えよう。
あと、レオン・アルテハイムか。
しおりを挟む
感想 446

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる

まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。 そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

処理中です...