邪神を喰った少女は異世界を救済します

犬社護

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3章 ガルディア帝国 マルコ遺跡編

ガルディア帝国に向けて出発

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Cランクダンジョンを攻略した翌日、私は明日ガルディア帝国ビルブレムに向け旅立つための準備のため、街の中を買い物していた。道具屋に到着すると、店主であるバロンにさんと薬師のムスカさんがいた。この2人には、開発者の件で迷惑をかけてしまっている。バロンさんは40代のおじさん、ムスカさんは20代後半のいかにも研究者て感じの眼鏡をかけた男性だ。

「バロンさん、ムスカさん、こんにちは。その後、ポーションやマジックポーションの売れ行きはどうですか?」

「おー、サーシャか。絶好調だよ!ムスカが毎日作製してくれているが、供給が需要に追いついていない状況だ。あのあと、ムスカがさらに改良して、劇不味いポーション時より2倍近い効果が現れるようになったからな。ポーションは『ハイ・ヒール』、ハイポーションは『エクストラ・ヒール』に匹敵するようになったぞ!」

そこまで改良出来たんだ、凄いな。

「ムスカさん、凄いじゃないですか!」

「何言ってるの!基は、サーシャのレシピを少し改良した程度なんだから、俺もこれぐらいはやらないとね。」

「開発者の件は、すいません。余り目立ちたくなかったので。」

「まあ、仕方ないよ。あれからドルクさん達や冒険者の人達から聞いたよ。全部、サーシャが開発したんだろ。それを1人の人間がやりましたて事になったら、色々と騒がれるからね。でも、良いのかい?通常なら、利益の1%程はサーシャに入ってくるはず、全部合わせたら、莫大な金額になるよ。」

あはは、ムスカさん、そうなるとどこに行っても絡まれるから嫌なんです。

「ええ、私は別に構いません。これから世界中を旅する事になるので、邪族を討伐しながら生活していくつもりです。」

「おい、サーシャ、もしかして旅に出るのか?」

バロンさん、その通りです。

「はい、バロンさん、ムスカさん、ポーションの件では色々とお世話になりました。明日の朝、出発します。」

「そうか、寂しくなるな。サーシャなら大丈夫だろうが死ぬなよ。」
「世界は広いからね。理不尽な事も多いと思う。充分に気をつけてね。」

「はい!」

道具屋を後にし、次は鍛冶屋のドワーフのドルクさんとイルミさんの家に訪れた。

「あら、サーシャちゃん、どうしたんだい?」

「イルミさん、こんにちは。明日の朝、ここを出発するので、一言お礼を言いたいと思いまして。宝石の件では、色々と御迷惑をおかけしました。」

「何言ってるんだい!悪い迷惑じゃなく、良い迷惑なら大歓迎だよ。引っ切り無しに仕事が入って来てるからね。宝石商も喜んでいたよ。需要が冒険者まで広がったから、宝石が全然足りないて。しかも、今度はサーシャちゃんが開発者で、『アイテムボックス』付き魔導具も販売されるから大忙しらしいね。」

「その時に生じる利益は、スフィア教に寄付して、孤児院に行き渡らせるようにエレノア様に伝えてあります。」

「寄付かい!また大きく出たね!孤児達の生活も、これで少し改善出来たらいいね。それにしても、サーシャがスフィアートに来てから、全ての産業で大忙しだね。旅に出ると、みんなが寂しがるね。」

そういえば、食事、ポーション類、宝石、武器防具への魔法付加、結構な産業が賑やかになるのは確かね。そこまで、全然考えてなかった。

「ドルクさんは仕事中みたいですね。それじゃあ、そろそろ失礼しますね。」
「スフィアートに来る事があったら、必ず寄ってちょうだい。主人も喜ぶだろうから。」
「はい」

私は食料品を買いつつ、冒険者ギルドや宝石商など色々と行ったけど、みんな別れを惜しんでくれた。なんか嬉しいな。これで準備完了だ!明日の朝、エレノア様がスフィアート全域に宣言するだろう。私だけじゃなく、アイリスも一緒に旅に出るから、全員びっくりするだろうな。


○○○


翌朝、目覚めるとアイリスがもう起きていた。

「あれ?アイリス早いわね。」

「お姉様、おはようございます。1時間前に起きてしまいました。いよいよ出発なんですね。」

初めての旅立ちだものね。そりゃワクワクするか。

「ええ、スフィアートを出て、しばらく歩いたらグリフォンとユニコーンを召喚して、ガルディア王国に向かうわ。」

「師匠、ユニコーンは飛べませんよ?」

「あらフィン、おはよう。昨日、ユニコーンを召喚して契約した後、少し空を飛べる様に改造したのよ。」

「お姉様、邪族を改造出来るんですか?」

「私と契約した邪族だけ改造出来るわ。昨日の夜のうちに、リッチとグリフォン、新たにユニコーンを呼び出して、私の事情を話しておいたのよ。3体とも、驚いていたわね。証拠を見せたら、全員跪いたわ。改造の許可ももらえたし、私好みにしてやった。リッチは、本体である骸骨を強化したことで能力が約4倍、グリフォンもSクラスに強化したことで約3倍、ユニコーンも翼をつけてSクラスに強化したことで、グリフォン同様約3倍上がったわ。3体とも、凄く喜んでいたわよ。」

「師匠が、邪神だからこそ出来る芸当ですね。」
「お姉様、リッチは邪神について何か知っていたんですか?」

そこなのよ。

「幾つか、有益な情報があったわ。

1) リッチは邪神に仕えていた古参の邪族。
2) ウルブスも古参の邪族で名高い邪術使いらしく、邪神との連絡手段を見つけ、卵の孵化方法や邪心薬の作製方法を邪神から聞き出すことに成功した。
3) ウルブス自身は、邪王を守りつつ邪神の封印を解除するため、邪心薬作製に取り掛かった。そして、今から500年前ついに完成した。
4) リッチ自身は、邪王が羽化するまで、陣頭指揮をとっていたらしい。邪王が羽化してからは、邪王の望むがまま行動していたそうだ。

問題は、ここからだ。

5) 異変が起こったのは500年前、邪王が蘇った時だ。当時、リッチは遠征していたらしく、本拠地に戻って来て異変を感じた。邪神に仕える古参の邪族達が全員いなくなっていた。邪王や他の邪族達の雰囲気も今迄と異なっており、明らかにおかしいと思い、邪王に聞いた所、【古参の邪族達は、我に逆らったため全員始末した。リッチよ、我等が敬うべき存在は邪神などではない。邪神よりも、より高みにいる方々だ。お前も、その方々に忠誠を尽くせ!】と言われたそうだ。その後、リッチは表面上忠誠を尽くす事にしたが、単独で何があったのか調査を続けた。しかし、現在まで何もわからなかったらしい。

リッチから聞けたのは、ここまでね。」

「邪神よりも高みの存在。お姉様、500年前、邪王達に何があったんでしょうか?」

「まあ、リッチの情報だけじゃ何とも言えないわね。ただ、これだけは言えるわ!黒幕は、複数いるということよ。」

何となく、何があったか想像付くけどね。あくまで、まだ仮定だし話す段階ではないわ。

「師匠、これからは黒幕達とも接触する可能性があるんですよね?」

「当然!ただ、当分先の話だけどね。リッチのおかげで、少し情報を獲得出来たし一歩前進よ。さて、朝食を食べた後、エレノア様にこの事を報告しておきましょう。」


○○○


エレノア様、クリンカ大司教、マウロ司祭にリッチの件を報告した。

「黒幕が複数で、全員が邪神より高みの存在。そして、その者達が500年前の邪王に何かを吹き込み、信仰を邪神から自分達に変更させたということでしょう。サーシャ、勝てそうですか?」

「今の段階では、何とも言えません。おそらく、女神スフィアも異変を感じ取って、黒幕が何者かを知ろうとしたが、逆に返り討ちにあった可能性が高いですね。黒幕が何者かは、遺跡のメッセージを読んでいけばわかると思います。」

「慎重に行動して下さいね。さて、それではスフィアートの住民達にサーシャとフィン、そしてアイリスの旅立ちを知らせましょう。表向きは、アイリスとフィンの修行で、サーシャはその護衛ですからね。」

「まあ、今なら誰も文句は言うまい。」
「さあ、宣言用のベランダに移動するぞ。」

マウロ司祭とクリンカ大司教に言われ、ベランダに移動して街を見ると、全員がこちらに注目していた。あらかじめ、エレノア様から宣言があると言っておいたから、大聖堂前には凄い人数が集まっている。エレノア様がベランダに現れると、大音量の歓声が聞こえた。

「皆、静粛に。今回、邪族との戦争に勝利することが出来ました。しかし、邪族達は今後も各地で暴れ回るでしょう。スフィアートも総出で、討伐していかないといけません。そこで、私は大きな決断を下す事にしました。アイリスを修行の旅に行かせる事にします。」

その瞬間、住民達が騒ぎ出した。
「えー!」「危険では!」「まだ子供だろ。」

など数多くの意見が出てきた。

「静粛に!アイリスが、先の戦争で活躍したのは皆も知っているでしょう。それでも11歳なので不安なのもわかります。そこで護衛として、Sランク冒険者サーシャ・フォーリングを同行させます。アイリスも姉と慕っている冒険者ですし、その強さは皆わかっているでしょう。また、このスフィアートが危機に陥った場合、サーシャは瞬時にここに移動出来る魔法を修得しています。」

私が護衛者と言うと、殆どの人達が安心していた。ここで、アイリスも住民達の前に現れた。

「皆さん、私は今回の戦争で、自分の弱さを知りました。サーシャお姉様がフォローしてくれなければ、途中で魔力が尽きていたでしょう。私は、スフィアートの人達を守れるくらい、もっと強くなりたいんです。しばらくの間、お祈りは出来ませんが、私は必ず強くなって戻って来ます。それまで、待っていて下さい。」

住民達も納得したのか、
「アイリス様~、頑張れ~!」「私達待ってるわ~!」「サーシャ、アイリス様を頼むぞ~!」
など、数多くの激励が送られた。



-------宣言も終わり、エレノア様、クリンカ大司教、マウロ司祭そして私達は大聖堂前に移動した。そこには、騎士団の面々、大聖堂でお世話になった使用人の人達、道具屋のバロンさん、薬師のムスカさん、鍛冶屋のドルクさん、イルミさん、その他のお世話になった人達が大勢いた。

「「「アイリス様~!お気をつけて~。」」」

この激励は良いんだけど、

「「「サーシャ様~、お気をつけて~、アイリス様を宜しくお願いします。」」」

形式上はアイリスと同じ立場であるため、大聖堂内の人達は私に「様」を付けてくる。うーん、やっぱり慣れないわね。


「サーシャと出会ってから1週間程しか経っていないのですね。この1週間で、多くの出来事がありました。サーシャ、アイリスとフィン王女の事、くれぐれも宜しくお願いしますね。」

「エレノア様、任せて下さい。フィンもアイリスも必ず強くさせます。」

「エレノア様、クリンカ様、マウロ様、私はお姉様のように強くなってみせます。」

「アイリス様、強くなるのは良いが、焦らず程々にやりなさい。身体を壊さないようにな。」

「はい!」

クリンカ大司教、アイリスが「お姉様のように」と言った時、こっち見ましたね。私程の強さは、暗にいらないぞという事ですね。

「アイリス様、他の国々はテルミア国と違い、大きく価値観が違ってくるでしょう。自分の目で確かめてくるといい。気をつけて行くんじゃぞ!」

「はい、マウロ様、それでは皆さん、行ってきます!」

私達が見えなくなるまで、全員が手を振ってくれた。
スフィアートで過ごした日々は、あっという間だったな。でも、凄く楽しかった。


次の目的地は、ガルディア王国第2都市ビルブレム、どんな所かな?
楽しみだ!
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