邪神を喰った少女は異世界を救済します

犬社護

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3章 ガルディア帝国 マルコ遺跡編

今度こそ出発、ガルディア帝国ビルブレムへ

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結局、昨日はカリンさんの家に泊まらせてもらった。冒険者ギルドの中は、男性陣があちこちに寝ていたからだ。さすがに、女性陣があそこで寝るのはまずい。また、宴会前に、クロードさんに『アイテムボックス』付与した指輪を渡しておいた。事務用品類は全部指輪の中に入れておいたため、盗難の心配はない。カリンさんと一緒に朝出勤すると、冒険者の人達に手伝ってもらったのか、事務用品類が綺麗に元の位置に戻っていた。クロードさん、気が利きますね。

「クロードさん、おはようございます。」

「ギルド長、おはようございます。珍しいですね、ギルド長自らが元の位置に戻してくれたんですか。」

「サーシャからもらった魔導具のおかげだ。こいつは便利すぎる。15分程で終わったぞ。」

「え、たった15分で!サーシャ、ありがとう。こんな高価な魔導具、ギルドに寄付してくれていいの?」

【あはは、昨日、ご迷惑をかけてしまったお詫びです】、とは言えないので、

「はい、今後、戦いの時にも役立つと思うので使って下さい。ただ、クロードさんが持っていた方がいいです。他の人だと、盗難防止付きがあるとはいえ、厄介な事に巻き込まれる可能性がありますからね。」

「ああ、これは俺が持っておこう。この魔導具、予想以上に使えるぞ!サーシャ、次はどこに向かうんだ?」

「ガルディア帝国第2の都市ビルブレムへ行きます。」

「ガルディア帝国か、気をつけろよ。内乱とまではいかないが、内部で事件が多発しているらしい。サーシャの事だから、必ず巻き込まれるだろう。フィンとイリスを守ってやれよ。」

巻き込まれる事は決定事項ですか、なんか複雑。

「はい、控えめに行動していきます。世界初とかは、もうないですよ。」

「そうしてくれ。あの国では、ギルドランクが1度リセットされるし、完全実力主義だ。おまけに身分差別も激しい。平民で実力があった場合、まず間違いなく目を付けられる。フィンとイリスを頼んだぞ。」

「はい、任せて下さい。」

こうして、私達は、今度こそガルディア帝国に向けて出発した。


○○○


現在、ガルディア王国第2都市ビルブレムへ向けて飛行中だ。グリフォンにはフィンとイリス、ユニコーンには私が乗っている。ついでだから、リッチも召喚しておいた。改造したおかげで、グリフォンとユニコーンは、リッチ同様に話せるようになった。つい最近わかった事だが、グリフォンは雌だった。

「サーシャ様、乗り心地は如何ですか?」
「最高に気持ちいいよ。ユニコーンは身体の調子はどうかな?」
「最高ですね!力が漲っています。手頃な人間か邪族で試してみたいですね。」

ここで、グリフォンも話に加わって来た。

「私も、この力を試したいです。手頃な奴らがいて欲しいな~。」
「お前達、主様を困らせるな。我とて、この力を試したいが我慢しているんだぞ。」

リッチは、陣頭指揮していた事もあって手慣れているわね。心強い味方ね。

「あのお姉様、3体とも邪族とは何か根本的に違っている気がするんです。感じる力が、聖属性のような気がするんですが。」

「師匠、私もそう思います。もし邪族のままなら、みんなが人間を殺しちゃうと、怨念が生じて邪王の所へ行ってしまうのでは?」

2人とも、ちゃんと気が付いたわね。

「それなら大丈夫よ。そういう事もあるから改造したの。まず、リッチは骨自体を魔法で別の金属に変換したわ。その変換した金属というのがオリハルコンよ。骨自体にかなりの魔力が蓄積していたから、簡単に出来たわね。」

なぜか、全員困った顔をしていた。

「我が主、いくら邪神様の能力があっても、そんな簡単に出来ません。可能なのは、邪神様が持っていたスキル『錬金術』が進化したことで出現した『物質変換』のおかげです。これは主様にしか使えません!」

そうなんだ。まあ、この『物質変換』があるから、現在スフィアが創ったオリハルコンの剣とオリハルコン(塊)は、私好みの新物質に変換中なのよね。

「じゃあ、おいそれと使わない方がいいわね。気をつけましょう。そうそう、3体の話だったわね。3体とも改造した事で、邪族ではなくなったわ。種族的にいうと【神獣】になるわね。あ、リッチは【神の使い】ね。3体には、虚無の属性を追加しておいたから、人間や邪族を殺したとしても、発生する全ての念は無に帰るわ。ただ、虚無の魔法は危ないから使用出来ないわよ。」

「神獣に、神の使い、師匠、もう既に神の領域ですね。」
「お姉様なら女神サリアや黒幕達にも、楽に勝てる気がしてきました。」

本当に、楽に勝てるためにも、どんどん強くなっていきましょう。どうせなら、あのアニメみたいに1億5千万まで強くなりたいわね。

「む、サーシャ様、地上で馬車が人間の集団に追われています。馬車の中に2名、その護衛が5名程、集団の方は20名程でいますね。如何しますか?」

ユニコーンに言われ、下を見ると、確かに追われているわね。馬車周囲の連中は、悪意は感じないわね。むしろ集団の方から、強い悪意を感じる。仕方ない、助けますか。と言っても、私自身が目立つ行為は控えたいから、3体の内1体を行かせましょう。

「リッチ、ユニコーン、グリフォン、貴方達にも悪意を感じるようになったはず。地上にいるあの悪意を持った集団を殲滅してきなさい。ただし、行かせるのは1体のみ。公正なジャンケンで決めなさい。」

「「「よっしゃ~~!!!」」」

「リッチ様とはいえ、勝ってみせる!」
「私も力を試したい!絶対勝つ!」
「ユニコーン、グリフォン、それは我とて同じだ。いくぞ!」

「「「ジャンケンポン」」」

それにしても、元邪族達がジャンケンをしている絵面も凄いわね。
魔力で創った手でジャンケンした結果、勝ったのは-----リッチだ。

「よし!我の勝ちだ!」  「「そんな~~」」

「じゃあ、リッチ任せたわよ。一応相手の顔は潰さないようにね。馬車の中の人達が、証拠で欲しいと思うから。」

「は!かしこまりました。」

リッチが地上に降りていった。

《ズ~~~~ン》

あ、今ので1人死んだ。

「リッチ様、いいな~。」
「サーシャ様、次の機会があったら、我々に任せて下さい。サーシャ様の手は煩わせません。」

「その時は任せたわよ。グリフォン、ユニコーン」


○○○  リッチ視点


我が主は、何というか一言では言い表せないものを持っている。初めて会った時は、得体の知れない強さと、どこか懐かしい気配を感じたため、召喚陣から出るのを躊躇ってしまった。そして、私を『威圧』だけで押し潰そうとした。あれは本気だった。少しでも遅れていたら死んでいただろう。主を一目見た時から惹かれるものを感じた。いつの間にか邪神様の忠誠心は消え、新たな主サーシャ様に忠誠を誓った。時折、召喚陣を通じて、主達を見ていたが、気配はどこか邪神様に似ていた。ただ、気配が似ていただけで、強さや物事の価値観は完全に邪神様を上回っていた。2度目に召喚されて事情を聞いた時は、私だけでなく、同じく召喚されたグリフォンやユニコーンも腰を抜かした。あの邪神様を喰べて、強さや能力を自分の物にしてしまったのだから。

そして、この時の召喚で、我々は改造された。種族が、邪族から神獣、神の使いへ変更となった。いくら邪神様でも、1度創った邪族を簡単には改造出来ない。大量の邪力を使うからだ。我が主は、それを簡単にやってのけた。今の私は全身オリハルコンで出来ており、以前の4倍程力が上がっている。これ程まで力が上がっても、主の1/1000にも到達していないらしい。正直、信じられん。力や技術あらゆる面で、完全に邪神様や女神スフィアを超えている。主様に言っても、
「まだ、完全に使いこなしていない。もっともっと修行しないといけないわ。」

開いた口が塞がらなかった。今の時点で、充分な強さを持っているのに満足せず、さらなる強さを求めているからだ。私やグリフォン、ユニコーンは、この方こそ真の主だと認め、さらなる忠誠を誓った。そして、今、その忠誠が試されている。悪意を持った人間共、貴様らは我が主のためにここで死ね!

私が空から地上に到着すると、既に1人死んでいた。ああ、押し潰したか。まあ、いい。周りを見渡すと、全員が驚愕していた。ほう、格好は盗賊そのものだが、明らかに騎士の匂いがする。馬車周辺にいる者達は騎士そのものか。

「空からリッチが降ってくるなんて。リッチを使役してまで、第1皇子を殺したいのか!」

「え、な、なんで空からあのリッチが降ってくるんだ?聞いてないぞ?第1皇子は、リッチを味方につけたのか?」

ふん、全員混乱しているか。

【聞け、悪意を持った人間共!我が主の御命令により、貴様らには死んでもらう。】

うん、誰か前に出てきたか。ほう、なかなかの力だ。こいつが最も強いな。

「まさか、リッチを使役していたとはね。だが、誤算だったな。ガルディア帝国が誇るこの私が」

【うるさいわ!】《スパーン》

この手の輩は、言葉だけでうるさい。手刀で、首を切断してやったわ。というか弱い!歯応えがなさ過ぎる。Sクラスのはずだが?

「嘘だろ!あのSクラスのダンテ様が一撃で殺されたぞ。くそ、全員でやるぞ!」

ほう、逃げずに全員で立ち向かってきたか。その威勢だけは褒めてやろう。

《キン》《バキ》《キン》

「なんで!リッチは物理攻撃に弱いはずだろ!剣が折れるなんて、ありえないだろ!は、全員後退しろ~。」

うん、炎属性の魔法か。ふむ、かなりの威力だ。以前の私なら多少のダメージがあったかもしれんな。

【弱いな。この程度の魔法しか使えんのか。炎魔法というものは、----おっと、いかんいかん、主様からは顔は残せと言われていたからな。炎魔法を使ったら、消し炭になってしまう。ふむ、なら風魔法で葬るか。】

「嘘だろ、最高位の魔法を受けて、ダメージがないなんて、そんな。」

【ささっと死ね。『カマイタチ』】

ふむ、悪意を持った人間は、これで全部か。全員上半身と下半身が分断されて死んでいるな。後ろを振り向くと、護衛の者達が私に剣を向けている。

【安心しろ。貴様らは殺さん。命令を受けているのは、悪意を持った人間のみ。】

私が空に飛ぼうとした時、

「待って下さい。」
「皇子、出てはいけません!殺されます。」
「大丈夫だ。あのリッチは、話が通じる。」

ほう、馬車から出てきた者、王か皇帝の資格があるな。髪は珍しい黒、顔も凛々しい、齢は20前後か。この者が後を継げば、ガルディア帝国はさらに力をつけるな。

「申し遅れました。私は、ガルディア帝国第1皇子キース・ガルディアと申します。窮地を助けて頂き、ありがとうございます。出来れば、あなたの主にお会いしたいのですが。」

【断る。我が主に会う必要はない。】

ほう、このキースという者、全く動じていないな。

「わかりました。では、上空にいる麗しい女性にお礼を言っていたことを伝えてもらえないでしょうか。」

【ほう、貴様、『千里眼』を持っているのか。まあいい、伝えておこう。キース・ガルディアと言ったな、覚えておこう。】

キース・ガルディアか気に入った。主様に伝えておこう。

私は上空へと飛び、我が主サーシャ様の所へ戻った。
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