邪神を喰った少女は異世界を救済します

犬社護

文字の大きさ
57 / 149
3章 ガルディア帝国 マルコ遺跡編

アレイルとアイリスの関係

しおりを挟む
ガルディア帝国に来てから、トラブルが多過ぎる。昨日と今日で3件目だ。これは、完全に【運100】が関与しているわね。一口に運と言っても様々なものがる。幸運、仕事運、恋愛運、出会い運、金運、不運、悪運など数多くある。恐らく、そういったもの全てが100なのかもしれない。だからこそ、フィン、イリス、キース、アレイルと出会って救出も出来たのだろう。あ、ブリングとキマイラに付いている籠をアイテムボックスに入れとこう。真っ先にアレイルが疑われるだろうけど、死体がなければ、しばらくの間は行方不明扱いになって、時間が稼げる。

アレイルが起きたみたいね。

「あれ、ここは?俺は確か一刀両断されたはず?なんで生きているんだ?」
「目が覚めたようね。私は、サーシャ・フォーリングというの。」

「あ、俺はアレイルと言います。ずっと奴隷だったので、名だけです。」

「話しずらいだろうから、普通に喋っていいわよ。私は貴方を一刀両断したけど、斬ったのはブリングとの関係性よ。時空魔法『ディメンションブレード』を使ったの。」

「時空魔法だって!そんな属性が存在したのか。仮面の呪いで人形のようになっていたとはいえ、本気で君を殺そうとしてしまった。まあ、君の威圧のせいで、向かった瞬間こっちが殺されると思ったよ。サーシャ、俺とキマイラをブリングの呪縛から救ってくれてありがとう。おまけに、身体が凄い軽いよ。」

「貴方の身体の中、ボロボロだったのよ。『マックス・ヒール』をかけたから、全て完治してあるわ。身体が軽いのは、そのせいね。」

「何から何までありがとう。それにフィン王女とアイリス様もいるなんて驚いたよ。」

あら、わかるんだ。

「偽装を見破れる眼を持っているんだ。」

「ああ、君には言ってもいいか。俺にはユニークスキル『精霊眼』がある。鑑定をかけなくても、魂の強さで相手の力量がわかるし、偽装や洗脳といった魔法も瞬時に見破れる能力だ。精霊との対話も容易に出来るから、魔法も通常の2倍程威力が高いんだ。便利なスキルだよ。そのせいか、君を一目見ただけで殺されると思った。精霊達も怯えて隠れてしまったからな。今は大丈夫だが。」

「詳しい説明ありがとう。こっちは、色々と事情があって説明出来ないのよ。」

「アイリス様を連れているから、余程の事情なんだろうね。アイリス様の事は言わないよ。」

へえ、ウィルさんと似たタイプだけど、軽薄そうな感じがしない。そういう意味では、信頼出来そうね。うん、イリスの様子が変ね。

「イリス、どうしたの?」

「あのアレイルさん、間違っていたらすいません。2年前、誘拐犯から私を助けてくれましたよね?」

「ああ!あの時の女の子は、やっぱりアイリス様だったのか。あの時は精霊眼を切っていたから、きちんと確認してなかったけど、やっぱり偽名を使っていたのか。」

誘拐!そんな事があったんだ。なんか、イリスが急にモジモジし出した。

「アレイルさん、あの助けて頂いてありがとうございます。や、やっとお礼を言えました。」

「2人とも、2年前に1度会ってたのね。」

「ああ、まだ仮面を付ける前だったから、きちんと覚えているよ。子供が悪人共に連れさられそうになっていてね。すぐに、倒したのはいいんだけど、迷子だったらしいから場所を聞いて連れて行ってあげたんだよ。その場所が教会だったから、もしかしてとは思ったけどね。2年振りかな、女の子らしくなったね。」

「え!そ、そのありがとうございます。」

イリスの顔が真っ赤になっている。う~ん、イリスがアレイルを異性として意識しているとはね。

「師匠、私だけ仲間ハズレなのは気のせいですか?」

フィンの事を完全に忘れていたわ。

「そんなことないわよ。それで、アレイル、これからどうする?」

「そうだな。晴れて自由の身となったけど、 ブリングが死んだ以上、俺が確実に疑われるのは明白。ガルディア帝国から、離れた方がいいな。」

「それなら、アイリスの故郷であるスフィアートに行って欲しい。戦争に勝ったけど、Sクラス冒険者が全員いなくなって、戦力が低下しているのよ。エレノア様には、私とイリスから事情を言っておくから、私達が帰ってくるまでスフィアートを守って欲しいの。」

「全然、構わないよ。命の恩人の頼みだ。必ず、スフィアートを守るよ。」
「アレイルさんが守ってくれるんですか!嬉しいです。」

その後、エレノア様と連絡を取り、事情を説明した。どうも、アレイルはSクラス冒険者として、かなり有名らしい。震の属性を極めているためか、『クエイクブレイカー』という別名があるくらいだ。アレイルがスフィアートを守ってくれる話をすると、大歓迎していた。今後の行き先が決まって安心したのか、アレイルとキマイラのお腹が大きく鳴った。

「出発前に、ご馳走を作ってあげるわ。出来るまで、イリスと話でもしてあげて。2年振りの再会なんでしょ。」

「ああ、お言葉に甘えさせてもらうよ。」

アレイルとイリスが少し離れた所に行き、楽しく話し出した。フィンも寂しいからか、こちらにやって来た。グリフォンとユニコーンはキマイラと談笑中だ。なんか絵面が凄い。

「イリス、楽しそうですね。師匠も、わかっててスフィアートに誘ったんですか?」

「まあね。イリスの顔を見たら、すぐにわかったわ。イリスの事がなくても、スフィアートに誘うつもりだったけどね。」

料理は、ロックバードの唐揚げ、ゴードンカウのステーキ、サラダで充分かな。あ、そうだ、ガーリックライスも作ってあげよう。

「はあ、私もレオン王子に会いたくなってきました。」
「レーデンブルク到着は、もう少し先ね。再会したら告白したらいいんじゃない。」

「ふぇ、こ、告白!」
「婚約者とはいえ、まだ告白していないんでしょ?絶好のタイミングだと思うけど。」
「う、か、考えておきます。」

イリスとアレイルは、まだ早いよね。アレイル自身がイリスを異性として捉えてないし、これからかな。今の時点で捉えていたら、それはそれで問題だけど。

さて、これで完成だ。

「あの師匠、物凄く豪華ですね。王宮料理に見えます。」

「大袈裟ね。仮面も取れて、晴れて自由の身となったのよ。豪華にしてあげないとね。このガーリックライスが、凄くステーキと合うのよ。」

後ろを振り向くと、----全員いた。全員が《ゴク》と唾を飲んでいた。

「サーシャ、俺とキマイラだけで食べていいのか?」
「ええ、私達はさっき食べたし、お腹一杯なのよ。」

テーブルの上に料理を置き、セッティングが完了した。キマイラの分は地面に置いた。

「アレイル、なんか食べ辛いのだが。」

そりゃあ食べ辛いか。グリフォンとユニコーンがキマイラの唐揚げとステーキをジッと見ている。フィンとイリスも同じくアレイルの料理を見ていた。

「ああ、俺もだ。フィン王女もイリスも少し食べるか?」

「ふぇ、い、いえ大丈夫です。これ以上食べると、さすがに---」
「わ、私も遠慮しておきます。」

「グリフォンとユニコーンはダメよ。食べ過ぎです。」
「「はい」」《ガク》

2体とも、シュンと首をおとした。

アレイルとキマイラが一口唐揚げを食べた瞬間、そこからは勢いよく食べていった。10分程で全部なくなった。

「キマイラ、こんな美味しい料理があったなんて知らなかった。」
「ああ、グリフォンもユニコーンも、これらの料理を食べているのか。羨ましいな。」

フィンとイリスの2人は、複雑な顔でアレイルとキマイラを見ているわね。

「うー、お姉様、私も料理を覚えたいです。」
「師匠、私もです。」

「ふふ、いいわよ。将来、貴方達の結婚相手に食べさせたらいいわね。」

「「!!」」  2人とも、顔が真っ赤になった。

うーん、2人の反応が面白い。

「サーシャ、ありがとう。凄く美味しかったよ。特に、ガーリックライスだっけ。あれは最高だな。ステーキによく合う。」

「アレイルさん、スフィアートでは、既にお姉様が新作料理を披露しているので、屋台や定食屋でも食べれると思います。」

「本当か!それは楽しみだな。」

食べ過ぎて、太らないようにね。

「これは、ガーリックライスのレシピよ。貴方の気に入った定食屋の主人に渡して上げて。」

「わかった、ありがとう。」

「それと、私に関しての情報は、エレノア様から聞いておいて。貴方なら信頼出来そうだし、全部話しても大丈夫でしょう。イリスも気に入っているしね。」

「お姉様!!何を!----」

「はは、そうするよ。イリスから、ある程度の事情は聞いたし、さっき『魔力纏い』も教わったから、俺はさらに強くなれる。必ず、スフィアートを守ってみせる。イリスも安心して、旅を続けてくれ。それじゃあ、俺はそろそろ行くよ。」

「はい、アレイルさん、お気をつけて。」


アレイルとキマイラが飛び去って行った。うーん、あっという間の時間だったな。トラブルに巻き込まれはしたけど、アレイルというイリスにとっても、強力な人が味方になってくれた。スフィアートも安心でしょう。

さて、出発する前に、あれを処分しておこう。私は、ブリングとキマイラに付いていた籠をアイテムボックスから取り出した。

「うわ、師匠、それをどうするんですか?」
「こうするのよ。『フレイム』」

青い炎が2つを包み込み、跡形も無く消え去った。

「証拠は消滅させておかないとね。ブリングもアレイルも行方不明扱いになるでしょう。」
「アレイさんも、スフィアートに行くから問題ないですよね。」

「さあ、私達はビルブレムに行くわよ。」
「「はい!!」」

ビルブレムに到着するまで、何事も起こりませんように。
しおりを挟む
感想 446

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる

まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。 そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

処理中です...