邪神を喰った少女は異世界を救済します

犬社護

文字の大きさ
118 / 149
5章 レーデンブルク 悪魔討伐編

ラーメンはレオンを救済するか-1

しおりを挟む
ラギウスとの話が終わると、王妃様もそれを察したのか、こちらにやってきた。

「サーシャ、ラーメンというものはいつ作るのですか?」

おい!フィン達め、王妃様にお願いしたな!

「ラーメンは、レーデンブルクとアルテハイムにいる悪魔を討伐してからです」

「あと2時間程で、フィンの婚約者であるレオンがやって来ます。レオンはアルテハイムの事もあり、精神的に辛い状況になっています。出来れば、レオンの為に作ってくれませんか?」

く、そして自分達もついでに食べるつもりか!

「師匠、お願いします。レオン様に少しでも元気になってもらいたいんです」
「婚約者であるフィンを見れば元気になるでしょう?」

「お姉様、確かにそうかもしれませんが、時間が経てば、元のレオン様に戻ってしまいます。ここは美味しい食事を用意して喜ばせて上げたいと思いませんか?」

く、全員が一致団結している気がする。

「サーシャ、俺からも頼む。レオンの心を救済してくれないか?あと、俺の心も救ってくれ。ラギウスが食いたい食いたいと連呼しているんだ」

国王に戻ったのね。ラギウス、そこまでして食いたいか!

「はあ~、わかったわ。ただし、ラギウスがどこまで用意出来ているかわからない以上、味は保証出来ないわよ」

「「「「「やったーーーーーーーー!」」」」」

王族達を含めた全員が喜んでいる。戦争の一歩手前とは思えない状況ね。まあ、みんなの心がラーメンで軽くなるのなら作ってあげますか。

「私はラーメンの準備をしておきます。国王さま、料理人達を紹介して下さい。ついでなんで教えておきます」

「ああ、わかった」

「フィンはレオン王子と1年ぶりの再会になるんだから、いっぱい話しておきなさい」
「はい!会えるのが楽しみです」


気のせいかしら?口では会えるのが楽しみと言っているけど、身体がラーメンを食べるのが楽しみと言っている気がする。


○○○  フィン視点


ラーメンを作ってくれるのは嬉しいけど、一先ず置いておこう。

今はレオン様だ。お母様に聞いた限りだと、私・ソフィア様・アルテハイムの件が重なったせいもあって、かなり辛い状況らしい。私が帰ったんだから、これで少しは心が軽くなってくれたら良いんだけど。時間が出来たら、ソフィア様にも会いに行ってみよう。邪族に操られて私を殺そうとしたけど、本当は心優しい人なんだから。

「フィン姉、ここから学園は近いんですか?」
「うーん、王城からだと、歩いて30~40分くらいかかるかな?」

「それなら空を飛んで学園に行きませんか?」
「構わないけど、服装はどうするの?」

「大丈夫です。さっき王妃様に相談したら、レベッカ様の使わなくなった服を何着か貰える事になりました」

「それなら大丈夫だね。自分の部屋に行っているから、用意が終わったら来てね」
「はい!」

「ジンさんやリッカはどうする?一緒に行く?」

「俺はやめておく。部屋でラーメンが出来るのを待つ」
「私も!」

あはは、2人は師匠の料理に狂っている気がする。

師匠は、早速国王様と一緒に厨房に行きました。ラーメンの材料が揃っていたら良いんだけど、女神様どうか美味しいラーメンが出来ますように。-----あれ?よく考えたら、師匠が女神だよね。その女神様が作るんだから-----う~ん、これって凄い事なんだよね?


お母様に学園へ行く許可をもらい、自分の部屋に戻ると10分程でイリスがやって来た。


「フィン姉、お待たせしました」
「それじゃあ、学園に行こっか!」
「はい!」


自分で空を飛んでみると、やっぱり快適だ。風を切るこの感覚が最高に気持ち良い!

「フィン姉、空は良いですね。私達、自分の力で飛んでいるんですよね?」
「そうだよ。初めてリッカの上に乗った時の高さは怖かったけど、大分慣れたね」

今の高度は、多分100mくらいだよね。

「あ、フィン姉、みんな驚いてますよ」
「女神の件が片付いたら、みんなに教えて上げないとね」

「適正の問題がありますから、さすがに全員は無理ですよ」

あう、最もな意見です。あれ?もう学園が見えて来た!早いよ!

「イリス、飛んで5分くらいしか経ってないけど学園に到着だよ」
「え!もうですか!そんなに速度出てたかな?」

「多分、障害物がなく一直線で来たからだよ」
「もう少し空の旅を満喫したかったです」
「私も」


私達が学園の入口に降り立つと、学生達が全員驚き、こちらを見ていた。久し振りの学園だ。呪いと私の不器用の所為で、ステータスが上がらなかった時期が懐かしいよ。警備員さんに一応言っておこう。

「フィン・レーデンブルク、ただいま帰還しました。入っても良いですか?」

「フィン王女、ご無事でなによりです!どうぞどうぞ、お入り下さい。お連れの方は、この見学許可証を首に掛けて下さいね」

イリスと共に入ると、みんなが授業そっちのけで、私の方へ駆け寄ってくれた。教室にいるみんなも、次々と窓から見えなくなった。

《おい見ろよ、フィン様だ!》
《フィン様~おかえりなさ~い》
《フィン様~御無事でなによりです》

うう、なんか嬉しいよ。
帰って来たんだねってあれ?なんか、どんどんどんどん人が多くなって来てる?

「ふぇーーーーーーーー、みんな一斉に降りて来たーーーーーー!!!」
「「「「「「「久しぶりの【ふぇーーーー】きたーーーーーーーー」」」」」」」

ええ!どういう意味?

《この声を聞きたかった》
《そう、久しぶりに聞いたぜ!生き返った気分だ!》
《ああ、本当だな》
《癒しのフィンちゃん再来よ!》

ふぇ、癒し?あれ?イリスは?

「わかります。あの声に癒されますよね!」
《あなたもわかる!それならフィンちゃんファン倶楽部に入りましょう!》
「それ良いですねーー!」

ええええーーーーーーー、いつの間にか溶け込んでるーーーーーー!!!
順応するの早いよ!


あれ?人垣が急に割れた。誰か、こっちに来る。
あれは----------レオン様だ!!!


「レ、レオン様、レオン様、----フィン・レーデンブルク、ただいま帰還しました!」

レオン様だ、少し?茲がこけていて、全体的に細くなっているけど、私の大好きなレオン様だ。

「お帰り、フィン。君の帰りをずっと待っていたよ。そう、あの時別れてから、もう1年という歳月が流れた。ずっとずっと君を探していた。王子という権力を使ってでも探したが、僕の力じゃあ見つけられなかった。でも、リッチが学園に突然現れ、フィンがSクラス冒険者のサーシャさんに助けられ無事であると聞いた時は歓喜し泣いたよ。そして、フィンが僕の前からどうしていなくなったのか、その全貌を聞いた時、邪族を強く憎んだ。ソフィアは、ただ操られていただけだ。許してやってくれないか?」

「もちろん許します。ソフィア様は悪くありません。悪いのは、ソフィア様の心を踏みにじった邪族なんですから」

「よかった。ソフィアは修道院にいるよ。時間が出来たら会いに行ってやってくれ」

「はい!----レオン様」
「フィン」

私は感極まって、レオン様に抱きついた。

「よく、よく帰って来てくれた。もう僕は誰も失いたくない。本当によく帰って来てくれた」
「はい、はい」


《フィン姉、感動の再会ですね》
《あ、今話しかけちゃダメよ》

は!そういえば、全員ここに集まっていたんだ。

「レ、レオン様、すいません。あまりの嬉しさに抱きついてしまって」
「え、あ!いや、僕も嬉しかったから」

「「あはは」」

《うん、レオン様、フィン様、まさに理想の恋人だな》
《本当だよね》

うう、理想の恋人?ふぇーーー、恥ずかしい。

「ところで、空を飛んで来たよね?そんな魔法あったかな?」

「はい、私を助けてくれたサーシャ様、師匠とお呼びしているんですが、師匠から教わりました。今回のアルテハイムの件が片付いた時にでも、学園のみんなに教えようと思っています」

「「「「「おおおぉぉぉーーーーー」」」」」

近い将来、空を飛べると思ったのかな?凄い盛り上がりだな。



その後、レオン様とイリスの3人で学園長に会いに行って、授業を中断させた事を謝っておきました。まさか、全員が一気に集まるとは思わなかったから、本当に驚いたよ。まだ授業は終わってないけど、特別に許可を貰い、レオン様と一緒に王城まで歩いて帰る事になりました。イリスは気を使ってか、空を飛んで先に帰りました。

王城までの道のりで、気になる点を聞いてみた。

「レオン様、以前より痩せましたよね?」

「あははは、そりゃあ痩せるよ。フィンがいなくなり、アルテハイムとの同盟関係がほぼ崩れたも同然に陥った。ラギウスから聞いたけど、父上は悪魔に殺されたそうだ。今は、その悪魔が父上の身体と一体化して実権を握っている。連絡も途絶えているから、母上達の状況も一切わからない。自分の家族が故郷が大変な目にあっているのに助けに行く事も出来ない。ならば、母上やフィンが生きていると信じて、少しでも強くなろうと訓練していたんだ。-----今の僕にとって、フィンが生きていてくれたことが何よりの幸せだよ」

「アルテハイムにいる悪魔達は、私達に任せて下さい。師匠に鍛えられたおかげで、今の私ならSクラス邪族を軽く討伐出来ますからね。アルテハイムに乗り込んで、悪魔達を殲滅してきます。そして、アルテハイムにいる王族全員を探し出してきます」

「心強いな。あの時はステータス異常で弱々しく見えたけど、今では逞しく感じるよ」
「レオン様、女性に逞しいはやめて下さい」
「あははは、それもそうだね」

やっぱり元気がないな。食欲はどうかな?

「もしかして、食事もあまり取っていないのでは?」

「まあね。心配事が多過ぎて、ここ最近食欲がなかったけど、フィンが帰ってくれたことで、心が軽くなったよ。今なら、どんな料理が来ても大丈夫!」

「よかった。それなら師匠が新しく考案したラーメンを食べて下さい。私も、今日初めて食べる料理なんです。師匠の食べる料理は、全てが絶品なんです!」

そう、師匠の料理は絶品だ。食べれば、誰もが虜になるはずだよ!

「へえ、フィンがそこまで言うなんて珍しいな」

「テルミア王国でもガルディア帝国でも、料理の取り合いになりましたからね。特にガルディア帝国の皇帝やキース皇子、使用人の人達との取り合いは死闘でしたね」

「-----料理の話だよね?戦争じゃないよね?」

「勿論、料理の話ですよ。ガルディア帝国では中華料理というものを作ってくれたのですが、それらが余りの美味しさで、無礼講という事もあって取り合いになったんです」

「取り合いの光景をイメージしたら、なんかゾッとするな。それほどまでの美味さという事か。今日食べるラーメンでは、取り合いにならないの?」

「師匠にも聞いたのですが、【ラーメンでは絶対に取り合いにはならないわ。だから、ゆっくり味わって食べればいい】と言っていました」

でも、本当に取り合いにならないのかな?師匠が見せてくれたイメージ映像では、師匠の友達が確かにゆっくりと味わっていたよね。たしか、お代わりする時は【替え玉】と言えばいいとも言っていた。うーん、謎だ。

「あ、王城が見えて来ましたね。そろそろ、料理も完成しているかもしれませんね」
「ラーメンか楽しみだな!」


あ、レオン王子が笑顔になってくれた。学園では、どこか表情が硬かった。でも、今は以前のレオン様に近くなっているよ。これならラーメンも喜んでくれるかな?
しおりを挟む
感想 446

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

神の加護を受けて異世界に

モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。 その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。 そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。

1000年生きてる気功の達人異世界に行って神になる

まったりー
ファンタジー
主人公は気功を極め人間の限界を超えた強さを持っていた、更に大気中の気を集め若返ることも出来た、それによって1000年以上の月日を過ごし普通にひっそりと暮らしていた。 そんなある時、教師として新任で向かった学校のクラスが異世界召喚され、別の世界に行ってしまった、そこで主人公が色々します。

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜

月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。 ※この作品は、カクヨムでも掲載しています。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

処理中です...