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5章 レーデンブルク 悪魔討伐編
悪魔王ベリアルと秒寺伸太郎
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ここはアルテハイム王都上空2000m。
これまでならジンとリッカに乗って、アルテハイムに向かうところだけど、システムマニュアルスキルを手に入れた事で、目的の人物の魔力を感知すること、もしくはセキュリティーバードの画像を経由する事で、どんな場所でも転移が可能となった。移動が凄く楽になったわ。
さて、いよいよ悪魔討伐だ。レーデンブルクに入ってから、随分経ったわね。これが終われば邪王討伐に移れる。とっとと終わらせましょう。
「へえ、これがアルテハイム王都の全体か。レーデンブルクとどこか似てるわね。サーシャ、いつでも威圧可能よ」
「サリア様も、やっと戦闘に参加出来るんですね!テイルは嬉しい限りです。虚無魔法は大丈夫ですか?」
「問題ない。さっき見せてもらって、全て覚えたわ。これまでのどの魔法よりも難易度が高かったけど、完全に扱えるわ」
サリアも、魔法やスキルの訓練を怠っていないようで安心したわ。これで威圧しながら戦えるでしょう。
「お姉様、力づくの方法で大丈夫なんでしょうか?悪魔達も何か考えていると思うのですが?」
「当然、悪魔達も何らかの策を考えているでしょうね。でも、全てが無駄よ。何故ならば、圧倒的な力で威圧する事で、悪魔達が持つ全ての魔法やスキルが発動しないからね」
「そこまで考慮していたんですか。----あの~、普通は悪者が圧倒的な力で弱者をいたぶるんですけど、今回は完全に真逆ですよね?」
「あら良いじゃない。力の強い者が世界を支配する。これが自然の摂理よ。私達の世界でもそうだしね。これまでの邪族達も、そう言っているでしょ?」
「うう、確かに言ってはいますが、---力が全てではない気もするんですが?」
「ほほう、力がないから、異世界から勇者を召喚したんじゃないの?結局、物事を解決するには力が必要なのよ。綺麗事は通用しないわ。まあ、力があっても、アホなプライドの所為で何も解決出来ない馬鹿はいるけどね。イリスの言う通り、力が全てではないけども、物事を動かすには結局力が必要なのよ」
「----はい、その通りですね。基本的に強い力があってこそなんですよね」
どうやら納得したようね。さて、戦いを始めましょうか!
「それじゃあ、サリア、王都全体に威圧をやってちょうだい」
私達は、王城の上空50m付近まで高度を落とした。
「サリア、殺さない程度の威圧をやってちょうだい」
「任せなさい!『威圧』」
その瞬間、王都全域にサリアの『威圧』が展開された。
-----うん、健康な獣人も一体化された獣人も動けなくなっているわね。急に身体を動かせなったから混乱しているようだ。
「レオン、国民に状況を知らせてあげて。話が終わり次第、私は王城に乗り込むわ」
「わかった」
さて、レオンが話している途中で、ベリアルが乗り込んでくるかもしれない。私も、ベリアルのみに威圧をかけておこう。
レオンは拡声魔法と幻影魔法を唱えて、話し出したようね。幻影魔法を使用する事で、王都全土に私達の姿が見れるようになる。
《王都にいる国民達よ、聞いてくれ。私は第2王子レオン・アルテハイムだ。レーデンブルク国王陛下から、アルテハイム王都が危機的状況にあると聞き、こうしてやって来た。今、かけている『威圧』は私の話を静かに聞いてもらうためにやっている事だから危険はないという事だけを前もって言っておく。さて、アルテハイムにおける現在の状況だが、私なりに調べさせてもらった。----そして驚くべき事がわかった。-----ここからの話は、君達にとってこれまでの価値観を崩す内容なので、心して聞いて欲しい》
ここから、国民にとって衝撃的な内容になるわ。周辺にいる悪魔どもは、完全にサリアの威圧で萎縮しているわね。これなら大丈夫でしょう。
ベリアルの方は、------あ、やっば!
威圧で死にかけてる。もう少し、抑えよう。------うん、これなら大丈夫だ。
《現在、スフィアタリア全土において、悪魔が大量に召喚された。その数は10000以上!これを撃退する為、女神スフィアが動いてくれたのだが、残念ながら悪魔の親玉に負け、スフィアタリアを追い出されてしまった。だが安心して欲しい。新たな女神サーシャとサリアが降臨してくれた。横にいる2人の女性がそうだ。そして、召喚された悪魔だが、通常我々の目には見えないようになっている。また、悪魔も我々には手を出せない状態となっていた。しかし、悪魔自身が1つの木の実となり、我々がそれを食す事で、悪魔は我々人類の身体を乗っ取る事が可能となったのだ。乗っ取られた後、持ち主の魂を喰らうことで身体と一体化し、この世界に顕現し暴れ回るようになる。現在、各国で一体化された悪魔は、数十体以上確認されている。私がここに来た目的は、一体化した悪魔を討伐する為だ。今からそれを実行するが、その前に君達に知ってもらいたい事がある。悪魔に乗っ取られた者は、まだ救う事は可能だ。しかし、一体化されたものに関しては、魂を喰われているので、救う事は不可能だ。また、一体化された悪魔を討伐すると同時に、その身体も灰となってしまう。つまり、私と仲間達が悪魔を討伐すると同時に、君達の目の前で知人や親類、両親が灰になる可能性がある事を考慮して欲しい。今から、この丸いボールが君達の身体を通り抜けるだろう。このボールは悪魔のみを討伐する虚無魔法というものだ。身体を通り抜けた瞬間、その者が悪魔ならば、瞬時に灰となるだろう。君達も、ここ数ヶ月において、性格が急変した者が現れて、おかしいと思っていたはずだ。------悲しい事だが、その者達は既に亡くなっている。今から、その者達に安らかな眠りを与える。国民達の被害を最小限に抑えるために、このまま実行する事を考慮して欲しい。それでは----いくぞ!》
仲間達全員から、次々と虚無魔法が放たれた。
「それじゃあ、王都は頼んだわよ。今から王城に突撃するわ」
「ねえサーシャ、ベリアル、既に死にかけてない?」
「私とサリアの威圧の所為ね。どうせ討伐するんだし、死にかけていても問題なし」
「サリア様~、ベリアルが気の毒に思えます」
「悪魔王が完全に子供扱いされてるわね」
さあ、行きますか!
○○○
王城の中には、悪魔が85体いるか。-----て殆ど悪魔ばっかじゃん!
面倒いから、今この場で始末しよう。
「『虚無球』」
私の虚無球が王城を覆い尽くした。
はい、終了。------うん、悪魔王ベリアルと秒寺は生存しているわね。それ以外の悪魔は全滅と。
「お姉様、本当にやったんですね」
「師匠、面倒いから一気にやっちゃったんですね」
「生存者は15名程か。今、この瞬間、兄上やキャロルは身体も無くなったんだな」
「レオンの話を聞いた後にしたから問題ないでしょう。それじゃあ、行ってくるわ」
降下して王城に入ると、あちこちに衣服と灰があった。周囲が静かだ。大勢の獣人達が灰になった証拠だ。さて、謁見の間へ行きましょう。秒寺に会ったら本当にブン殴ろう。
謁見の間に入ると、玉座に1人の50前後の男性が座っていた。あれが悪魔王ベリアルか。なんか顔が強張っていて、息も絶え絶えだ。威圧を解除してやろう。
「あなたが悪魔王ベリアルね」
「------き、貴様は何者だ?その力は何だ?」
「私はサーシャ、女神サーシャよ。王城の中にいる悪魔達は、私が討伐したわ。残りは、あなた1体よ」
「貴様が女神だと!ふざけるな!お前には心がないのか?この王都の中には、健康な獣人と悪魔と一体化した獣人が混在している。肉親や友が目の前で灰になるのだぞ。女神の信仰が大きく崩れるぞ。それに女神であるのなら、一体化した者でも獣人、自分の子供同然のはずだ。それをどうして容易く葬れるのだ!」
「あなた馬鹿なの?身体はそうだけど、心が悪魔じゃん。そんな奴に用はない!私にとっては討伐対象よ。だから仲間と共に、あなた達を抹殺しに来たわ。王都の国民達には威圧した状態で説明したしね。それに国民達の了解を得る必要はない!どうせ反対してブツブツ言うんだから、それなら今抹殺した方が早いわ」
「-----貴様は、断じて女神などではない!邪神だ!」
「そうよ。私は邪神でもあるし女神でもあるの。邪神と女神は表裏一体、知らなかったの?」
「な!」
あ、秒寺について、一応聞いておこう。
「ぶっちゃけ、国民が私を信仰しようがしまいがどうでもいいわ。そんなことより、ベリアル、秒寺伸太郎に何かした?妙に気配が弱々しいのよね」
「----ふふ、ふはははは、秒寺伸太郎か。あいつの強さを私が頂いただけだ。このようにな!」
うん?ベリアルの両手の掌から何か糸みたいなのが出て来た。しかも1本だけじゃない。数え切れない無数の糸が私に絡んできた。
「サーシャといったか。秒寺の力を奪ったことで、私の力はさらに増した。力を強奪させて貰うぞ!この糸に絡まれれば身動きがとれんし、スキルや魔法も使えん。先程の威圧も使用できんぞ!貴様のような強者がいた事を感謝せねばな。これで私は、さらに強くなれる!」
うーん、確かに身動き取れないわね。それに私の中から力が奪われようとしているわ。通常なら危険な状態ね。
「-----なるほど、これが私やサリア以外の者にやられていたら、間違いなく死んでいたわね」
「うん?おかしい?力が吸えん。どういう事だ?」
「ベリアル、私があなたより何十倍も強いということを理解してる?こうやって糸を絡ませて、私から能力を強奪するという事は-----その逆も可能なのよ。こんな風にね」
これまでスキル魔法に頼らない訓練も散々してきたから、魔法やスキルを封じられても魔力を動かすぐらいは簡単に出来る。しかも、ご丁寧に糸を伝って、力を強奪しようとしている。それならば-------、この糸を利用させて貰おう。
「な!私の中から、力が奪われていく!そんな馬鹿な!くそ~~」
うーん、外見がアルテハイムの国王だからか、変な感じがするわね。
「ほらほら、ここからは純粋な力の奪い合いになるわよ。抵抗しなさいよ。でないと、どんどん奪っていくわよ」
「ううーーーくそーーーくそーーー力、力が~~」
-----うーん、力の差があり過ぎたか。
糸を通して、私がベリアルの能力を全て強奪したせいで、干からびたミイラのようになってしまった。
「ちくひょ~~、ほんな筈では~~、貴様は悪魔じゃ~~、死神じゃ~~」
「あっそ、さようなら、『虚無球』」
「あああーーー私の存在が~~消えていくーーーー」
はい、終了。悪魔王ベリアルは灰となりました。
結局、力がモノを言うのよね。
「よし、次は秒寺伸太郎の救出か。魔力の気配を辿ると、地下にいるのね。さあ、ここからが本番ね。今の秒寺に悪魔を送還できるかどうかが鍵ね」
地下の階段を下りていき、少し歩くと牢獄の扉があった。扉を開けると------
「う、腐敗臭の臭いがする。ベリアルの奴、犯罪者に食事を与えてなかったわね。セキュリティーバードでは臭いまでわからないからな~~」
各牢屋をチェックすると、白骨化した遺体がゴロゴロあった。うーん、悲惨過ぎる光景だ。ゾンビ化しても困るし、今ここで浄化しておこう。
「『グラッジピュリファイン』」
浄化魔法で牢獄全てを浄化しきると、腐敗臭は綺麗さっぱり無くなった。
しばらく歩くと、1人のミイラのような男がいた。
間違いない、こいつが秒寺伸太郎だ。
「あなたが秒寺伸太郎ね?」
「----そうだ。お前は----誰だ?」
「私はサリアや佐江さん、努さんの友達でサーシャというのよ。あなた、死に場所を求めているのよね。私の願いを聞いてくれたら、叶えてあげるわ。私の力は理解しているでしょう?ああ、その前に身体を回復させるわ。『マックスヒール』」
-----うん、体力を回復させた事で、【干からびた】から【細い】身体に回復したようね。
「-----助かる----ホゲーーーーーー」
《ヒューーーーーードーーーン》
牢屋から出し回復魔法で完治させた直後に、物凄~~~~く手加減してぶん殴ってやった。牢獄の奥の壁にめり込んだか。ベリアルが全ての能力を強奪しても、神族だから不死の力だけは健在か。基礎能力値は100前後しかないわ。
「『マックスヒール』」
「------は!」
「あら怒らないんだ?」
「自分が何を仕出かしたか理解している。大勢の人々を殺してしまったからな」
「なら、悪魔を送還してもらうわよ」
「サーシャの力なら、スフィアタリア全土の悪魔を討伐可能なはずだ。何故やらない?」
また、その質問か。
「悪魔達の住処は、次元の狭間よ。今までいた悪魔達が一気に減少してしまったら、各異世界間にある次元の狭間のバランスが崩れる可能性が高いのよ。そうなったら、私でも修復不可能よ。それに今の時点で悪魔王4体中2体を討伐しているから十分でしょう」
「理解した。---ただ、俺の力は全てベリアルに奪われた。悪魔契約に関する事もな。そして、サーシャはベリアルを討伐した事で悪魔契約も廃棄された。悪魔を送還するには勇者を殺すしかない」
うん?あれ?ということは、ステータスをチェックしてみよう。あれから自分のスキルや魔法を見れるように改造しておいたから、すぐに見つかるはずだ。
「---------あった!悪魔契約の召喚スキル」
「は?なんで持っている?」
「ベリアルは私の力も強奪しようしたから、逆に私がベリアルの力を強奪してやったのよ」
「-----はは、デタラメな力だな」
それにしても危なかった~~。実は言うと、王城に入る手前に行なった巨大虚無球でベリアルも討伐しようかな~って思ってたのよね。もし討伐してたら、大変な事になっていたかもしれない。はあ~良かったーー。
「どうかしたのか?」
「別に、なんでもないわ。とりあえず、悪魔を送還しましょう」
「おい、送還にはかなりの魔力が必要だぞ。------サーシャなら簡単か」
「ええ、この程度なら問題ないわ」
私は悪魔契約の送還魔法を詠唱し発動させると、私を中心として大きな白い召喚陣が現れた。ステータスにあるマップを見ると、トイフェルベリー・乗り移った者・一体化した者達のマークが次々と消えていっている。そして-----全てのマークが消えた。これで、全ての悪魔達が次元の狭間に送還された。
任務完了ね。
これまでならジンとリッカに乗って、アルテハイムに向かうところだけど、システムマニュアルスキルを手に入れた事で、目的の人物の魔力を感知すること、もしくはセキュリティーバードの画像を経由する事で、どんな場所でも転移が可能となった。移動が凄く楽になったわ。
さて、いよいよ悪魔討伐だ。レーデンブルクに入ってから、随分経ったわね。これが終われば邪王討伐に移れる。とっとと終わらせましょう。
「へえ、これがアルテハイム王都の全体か。レーデンブルクとどこか似てるわね。サーシャ、いつでも威圧可能よ」
「サリア様も、やっと戦闘に参加出来るんですね!テイルは嬉しい限りです。虚無魔法は大丈夫ですか?」
「問題ない。さっき見せてもらって、全て覚えたわ。これまでのどの魔法よりも難易度が高かったけど、完全に扱えるわ」
サリアも、魔法やスキルの訓練を怠っていないようで安心したわ。これで威圧しながら戦えるでしょう。
「お姉様、力づくの方法で大丈夫なんでしょうか?悪魔達も何か考えていると思うのですが?」
「当然、悪魔達も何らかの策を考えているでしょうね。でも、全てが無駄よ。何故ならば、圧倒的な力で威圧する事で、悪魔達が持つ全ての魔法やスキルが発動しないからね」
「そこまで考慮していたんですか。----あの~、普通は悪者が圧倒的な力で弱者をいたぶるんですけど、今回は完全に真逆ですよね?」
「あら良いじゃない。力の強い者が世界を支配する。これが自然の摂理よ。私達の世界でもそうだしね。これまでの邪族達も、そう言っているでしょ?」
「うう、確かに言ってはいますが、---力が全てではない気もするんですが?」
「ほほう、力がないから、異世界から勇者を召喚したんじゃないの?結局、物事を解決するには力が必要なのよ。綺麗事は通用しないわ。まあ、力があっても、アホなプライドの所為で何も解決出来ない馬鹿はいるけどね。イリスの言う通り、力が全てではないけども、物事を動かすには結局力が必要なのよ」
「----はい、その通りですね。基本的に強い力があってこそなんですよね」
どうやら納得したようね。さて、戦いを始めましょうか!
「それじゃあ、サリア、王都全体に威圧をやってちょうだい」
私達は、王城の上空50m付近まで高度を落とした。
「サリア、殺さない程度の威圧をやってちょうだい」
「任せなさい!『威圧』」
その瞬間、王都全域にサリアの『威圧』が展開された。
-----うん、健康な獣人も一体化された獣人も動けなくなっているわね。急に身体を動かせなったから混乱しているようだ。
「レオン、国民に状況を知らせてあげて。話が終わり次第、私は王城に乗り込むわ」
「わかった」
さて、レオンが話している途中で、ベリアルが乗り込んでくるかもしれない。私も、ベリアルのみに威圧をかけておこう。
レオンは拡声魔法と幻影魔法を唱えて、話し出したようね。幻影魔法を使用する事で、王都全土に私達の姿が見れるようになる。
《王都にいる国民達よ、聞いてくれ。私は第2王子レオン・アルテハイムだ。レーデンブルク国王陛下から、アルテハイム王都が危機的状況にあると聞き、こうしてやって来た。今、かけている『威圧』は私の話を静かに聞いてもらうためにやっている事だから危険はないという事だけを前もって言っておく。さて、アルテハイムにおける現在の状況だが、私なりに調べさせてもらった。----そして驚くべき事がわかった。-----ここからの話は、君達にとってこれまでの価値観を崩す内容なので、心して聞いて欲しい》
ここから、国民にとって衝撃的な内容になるわ。周辺にいる悪魔どもは、完全にサリアの威圧で萎縮しているわね。これなら大丈夫でしょう。
ベリアルの方は、------あ、やっば!
威圧で死にかけてる。もう少し、抑えよう。------うん、これなら大丈夫だ。
《現在、スフィアタリア全土において、悪魔が大量に召喚された。その数は10000以上!これを撃退する為、女神スフィアが動いてくれたのだが、残念ながら悪魔の親玉に負け、スフィアタリアを追い出されてしまった。だが安心して欲しい。新たな女神サーシャとサリアが降臨してくれた。横にいる2人の女性がそうだ。そして、召喚された悪魔だが、通常我々の目には見えないようになっている。また、悪魔も我々には手を出せない状態となっていた。しかし、悪魔自身が1つの木の実となり、我々がそれを食す事で、悪魔は我々人類の身体を乗っ取る事が可能となったのだ。乗っ取られた後、持ち主の魂を喰らうことで身体と一体化し、この世界に顕現し暴れ回るようになる。現在、各国で一体化された悪魔は、数十体以上確認されている。私がここに来た目的は、一体化した悪魔を討伐する為だ。今からそれを実行するが、その前に君達に知ってもらいたい事がある。悪魔に乗っ取られた者は、まだ救う事は可能だ。しかし、一体化されたものに関しては、魂を喰われているので、救う事は不可能だ。また、一体化された悪魔を討伐すると同時に、その身体も灰となってしまう。つまり、私と仲間達が悪魔を討伐すると同時に、君達の目の前で知人や親類、両親が灰になる可能性がある事を考慮して欲しい。今から、この丸いボールが君達の身体を通り抜けるだろう。このボールは悪魔のみを討伐する虚無魔法というものだ。身体を通り抜けた瞬間、その者が悪魔ならば、瞬時に灰となるだろう。君達も、ここ数ヶ月において、性格が急変した者が現れて、おかしいと思っていたはずだ。------悲しい事だが、その者達は既に亡くなっている。今から、その者達に安らかな眠りを与える。国民達の被害を最小限に抑えるために、このまま実行する事を考慮して欲しい。それでは----いくぞ!》
仲間達全員から、次々と虚無魔法が放たれた。
「それじゃあ、王都は頼んだわよ。今から王城に突撃するわ」
「ねえサーシャ、ベリアル、既に死にかけてない?」
「私とサリアの威圧の所為ね。どうせ討伐するんだし、死にかけていても問題なし」
「サリア様~、ベリアルが気の毒に思えます」
「悪魔王が完全に子供扱いされてるわね」
さあ、行きますか!
○○○
王城の中には、悪魔が85体いるか。-----て殆ど悪魔ばっかじゃん!
面倒いから、今この場で始末しよう。
「『虚無球』」
私の虚無球が王城を覆い尽くした。
はい、終了。------うん、悪魔王ベリアルと秒寺は生存しているわね。それ以外の悪魔は全滅と。
「お姉様、本当にやったんですね」
「師匠、面倒いから一気にやっちゃったんですね」
「生存者は15名程か。今、この瞬間、兄上やキャロルは身体も無くなったんだな」
「レオンの話を聞いた後にしたから問題ないでしょう。それじゃあ、行ってくるわ」
降下して王城に入ると、あちこちに衣服と灰があった。周囲が静かだ。大勢の獣人達が灰になった証拠だ。さて、謁見の間へ行きましょう。秒寺に会ったら本当にブン殴ろう。
謁見の間に入ると、玉座に1人の50前後の男性が座っていた。あれが悪魔王ベリアルか。なんか顔が強張っていて、息も絶え絶えだ。威圧を解除してやろう。
「あなたが悪魔王ベリアルね」
「------き、貴様は何者だ?その力は何だ?」
「私はサーシャ、女神サーシャよ。王城の中にいる悪魔達は、私が討伐したわ。残りは、あなた1体よ」
「貴様が女神だと!ふざけるな!お前には心がないのか?この王都の中には、健康な獣人と悪魔と一体化した獣人が混在している。肉親や友が目の前で灰になるのだぞ。女神の信仰が大きく崩れるぞ。それに女神であるのなら、一体化した者でも獣人、自分の子供同然のはずだ。それをどうして容易く葬れるのだ!」
「あなた馬鹿なの?身体はそうだけど、心が悪魔じゃん。そんな奴に用はない!私にとっては討伐対象よ。だから仲間と共に、あなた達を抹殺しに来たわ。王都の国民達には威圧した状態で説明したしね。それに国民達の了解を得る必要はない!どうせ反対してブツブツ言うんだから、それなら今抹殺した方が早いわ」
「-----貴様は、断じて女神などではない!邪神だ!」
「そうよ。私は邪神でもあるし女神でもあるの。邪神と女神は表裏一体、知らなかったの?」
「な!」
あ、秒寺について、一応聞いておこう。
「ぶっちゃけ、国民が私を信仰しようがしまいがどうでもいいわ。そんなことより、ベリアル、秒寺伸太郎に何かした?妙に気配が弱々しいのよね」
「----ふふ、ふはははは、秒寺伸太郎か。あいつの強さを私が頂いただけだ。このようにな!」
うん?ベリアルの両手の掌から何か糸みたいなのが出て来た。しかも1本だけじゃない。数え切れない無数の糸が私に絡んできた。
「サーシャといったか。秒寺の力を奪ったことで、私の力はさらに増した。力を強奪させて貰うぞ!この糸に絡まれれば身動きがとれんし、スキルや魔法も使えん。先程の威圧も使用できんぞ!貴様のような強者がいた事を感謝せねばな。これで私は、さらに強くなれる!」
うーん、確かに身動き取れないわね。それに私の中から力が奪われようとしているわ。通常なら危険な状態ね。
「-----なるほど、これが私やサリア以外の者にやられていたら、間違いなく死んでいたわね」
「うん?おかしい?力が吸えん。どういう事だ?」
「ベリアル、私があなたより何十倍も強いということを理解してる?こうやって糸を絡ませて、私から能力を強奪するという事は-----その逆も可能なのよ。こんな風にね」
これまでスキル魔法に頼らない訓練も散々してきたから、魔法やスキルを封じられても魔力を動かすぐらいは簡単に出来る。しかも、ご丁寧に糸を伝って、力を強奪しようとしている。それならば-------、この糸を利用させて貰おう。
「な!私の中から、力が奪われていく!そんな馬鹿な!くそ~~」
うーん、外見がアルテハイムの国王だからか、変な感じがするわね。
「ほらほら、ここからは純粋な力の奪い合いになるわよ。抵抗しなさいよ。でないと、どんどん奪っていくわよ」
「ううーーーくそーーーくそーーー力、力が~~」
-----うーん、力の差があり過ぎたか。
糸を通して、私がベリアルの能力を全て強奪したせいで、干からびたミイラのようになってしまった。
「ちくひょ~~、ほんな筈では~~、貴様は悪魔じゃ~~、死神じゃ~~」
「あっそ、さようなら、『虚無球』」
「あああーーー私の存在が~~消えていくーーーー」
はい、終了。悪魔王ベリアルは灰となりました。
結局、力がモノを言うのよね。
「よし、次は秒寺伸太郎の救出か。魔力の気配を辿ると、地下にいるのね。さあ、ここからが本番ね。今の秒寺に悪魔を送還できるかどうかが鍵ね」
地下の階段を下りていき、少し歩くと牢獄の扉があった。扉を開けると------
「う、腐敗臭の臭いがする。ベリアルの奴、犯罪者に食事を与えてなかったわね。セキュリティーバードでは臭いまでわからないからな~~」
各牢屋をチェックすると、白骨化した遺体がゴロゴロあった。うーん、悲惨過ぎる光景だ。ゾンビ化しても困るし、今ここで浄化しておこう。
「『グラッジピュリファイン』」
浄化魔法で牢獄全てを浄化しきると、腐敗臭は綺麗さっぱり無くなった。
しばらく歩くと、1人のミイラのような男がいた。
間違いない、こいつが秒寺伸太郎だ。
「あなたが秒寺伸太郎ね?」
「----そうだ。お前は----誰だ?」
「私はサリアや佐江さん、努さんの友達でサーシャというのよ。あなた、死に場所を求めているのよね。私の願いを聞いてくれたら、叶えてあげるわ。私の力は理解しているでしょう?ああ、その前に身体を回復させるわ。『マックスヒール』」
-----うん、体力を回復させた事で、【干からびた】から【細い】身体に回復したようね。
「-----助かる----ホゲーーーーーー」
《ヒューーーーーードーーーン》
牢屋から出し回復魔法で完治させた直後に、物凄~~~~く手加減してぶん殴ってやった。牢獄の奥の壁にめり込んだか。ベリアルが全ての能力を強奪しても、神族だから不死の力だけは健在か。基礎能力値は100前後しかないわ。
「『マックスヒール』」
「------は!」
「あら怒らないんだ?」
「自分が何を仕出かしたか理解している。大勢の人々を殺してしまったからな」
「なら、悪魔を送還してもらうわよ」
「サーシャの力なら、スフィアタリア全土の悪魔を討伐可能なはずだ。何故やらない?」
また、その質問か。
「悪魔達の住処は、次元の狭間よ。今までいた悪魔達が一気に減少してしまったら、各異世界間にある次元の狭間のバランスが崩れる可能性が高いのよ。そうなったら、私でも修復不可能よ。それに今の時点で悪魔王4体中2体を討伐しているから十分でしょう」
「理解した。---ただ、俺の力は全てベリアルに奪われた。悪魔契約に関する事もな。そして、サーシャはベリアルを討伐した事で悪魔契約も廃棄された。悪魔を送還するには勇者を殺すしかない」
うん?あれ?ということは、ステータスをチェックしてみよう。あれから自分のスキルや魔法を見れるように改造しておいたから、すぐに見つかるはずだ。
「---------あった!悪魔契約の召喚スキル」
「は?なんで持っている?」
「ベリアルは私の力も強奪しようしたから、逆に私がベリアルの力を強奪してやったのよ」
「-----はは、デタラメな力だな」
それにしても危なかった~~。実は言うと、王城に入る手前に行なった巨大虚無球でベリアルも討伐しようかな~って思ってたのよね。もし討伐してたら、大変な事になっていたかもしれない。はあ~良かったーー。
「どうかしたのか?」
「別に、なんでもないわ。とりあえず、悪魔を送還しましょう」
「おい、送還にはかなりの魔力が必要だぞ。------サーシャなら簡単か」
「ええ、この程度なら問題ないわ」
私は悪魔契約の送還魔法を詠唱し発動させると、私を中心として大きな白い召喚陣が現れた。ステータスにあるマップを見ると、トイフェルベリー・乗り移った者・一体化した者達のマークが次々と消えていっている。そして-----全てのマークが消えた。これで、全ての悪魔達が次元の狭間に送還された。
任務完了ね。
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【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
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