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人の持って生まれた姿かたちを笑ってはいけません……
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「アルフレド殿下……。ご機嫌麗しゅう」
「ふん、機嫌などとうに麗しくなくなったわっ! 貴様また、か弱く優しい令嬢たちを傷つけたらしいな。ったく。見ずぼらしい恰好をしているのであれば、角でおとなしくいればいいというのに、どうして貴様は美しい彼女たちに暴言を吐く! 少しは彼女たちを見習ったらどうだ。ま、まあ反省すれば私とて……」
怒りながらも、王子はわたくしの顔や体を気にしているのはわかっている。なにせ、胸はマシュマロのようにやわらかく、ぽよんとしているし、腰はコルセットなしでもくびれている。ドレスに隠されているお尻は、つんと上を向いて、日本の満員電車では痴漢案件に毎日なるであろうプロポ―ションだ。
──続く言葉は、きっと踊ろうとか、テラスに行こうとか、セクハラし放題の状況を作り出す気持ち悪い内容かな? 最悪。
こいつのセリフを言わせるわけにはいかない。帰って引きこもれるチャンスを逃さないため、王子の言葉に被せて頭を下げた。
「……、身に覚えはございません。しかしながら、殿下のご不興を買ってしまったようですわね。御前失礼して、わたくしはこの場から消えさせていただきます」
「ふ、ふんっ! とっとと消えろ。薄汚い。場が穢れるわ」
「失礼いたします」
引っ込みがつかなくなったのか、言葉をかぶせられて気分を害した王子に頭ごなしに怒鳴られた。
──こんにゃろめぇ、覚えてやがれ。初夜がチャンスよ。我慢よイザベル。すーはーすーはー、ひっひっふー。その股間にある粗末なものをついうっかり、膝蹴りを魔力で増強させたパワーでぶちかまし、ひねりつぶすまであと少し。それからがわたくしの新しい人生の幕開けになるのだから……! あまりにも凶悪なソコを見てびっくりしたイザベルは、初夜でそこを蹴り上げて以降白い結婚しつつ、プラトニックラブを王子の後ろにいる逞しい騎士様たちと脳内で繰り広げるの。もしくは、隠していたギフトを全開にして世界中を冒険するのよ。なんて完璧な計画なの……。ふふふ、世界にいるイケメンたち、待っていてね。行く先であった逞しい野にいる男の方たちと……。きゃっ、はしたないですわ!
わたくしは、日々の研鑽もあったが、生まれつき転生者チートを授かっている。全属性の魔法を人並み以上に扱えるのだ。ちらりと、こちらに対して怒り狂っているさまを見せつけてはいるが、内心ビビっているのを股間のブツが証明している。
──うーん、考え事が股間だったから見えちゃったわ。たしか、王子は16歳よね? うーん……。内心、怒鳴ってしまってバツが悪くなっているか、ビビって縮こまっているかもしれないとはいえ通常がアレで大きくなったら特大になるとでも言うのかしら? わたくしの親指より短くない? この間8歳になった弟のほうが大きいじゃないの。
ちらりと、股間のそれを透過してしまい、ププっと笑い出しそうになる。
──いけないっ! ダメよ。イザベル……。こらえるのよ! 人の変えられない姿かたちを笑うなんて、そんな事しちゃいけないのよ! あ、変えられるんだった。それに、通常よりも役に立つときの形状が大事だと前世の友達も言っていたわ。わたくしは見た事はないし、エロ本もそういう特大サイズのものしかなかったから、通常サイズがわからない。でも、相手から喧嘩吹っ掛けて来たんだし、ちょっとくらいいいわよね? だって、相手が先にわたくしの容姿をバカにしてきたんだからっ!
笑いを堪えるために、俯いて肩を震わせる。口元に片手を置き、油断したら爆笑しそうなので早足でその場を去った。
「……イザベル」
後ろで、王子がわたくしの背に向かって何とも言えない表情で名前を呟くのが聞こえた。言い過ぎたと反省しているのかもしれない。
──やめてよっ! 今あんたの声なんか聞いたら……、聞いちゃったら……!
わたくしは、うっかり絆されそうに1ミリもならず、笑い殺す気かーっ! と王子に叫びそうになるのを堪えるため、口に両手を当てながらその場をあとにしたのであった。
帰りの馬車の中、今日の失態についてまたメタボおやじから叱られるんだよなとこのまま逃げ出そうかしらなど考えつつ、毎度の事なので思考が飽きて来た。
──はぁ……。それにしても今日もお会いできましたわ……。ナイトハルト様。もう少し貴方と、服越しでいいから筋肉を見ていたかったぁ……。
馬車の小さな窓から外を見上げる。王子が羨ましくて仕方がない。いや、せめて王子と友達感覚でもいいから仲がよければ、お近づきになれるというのに。いや、こんな王子に嫌われているわたくしが近づいては迷惑がかかってしまうだろう。目の保養が出来れば、それだけで十分だ。
──次は、いつ、お会いできるのかしら……。
「ふん、機嫌などとうに麗しくなくなったわっ! 貴様また、か弱く優しい令嬢たちを傷つけたらしいな。ったく。見ずぼらしい恰好をしているのであれば、角でおとなしくいればいいというのに、どうして貴様は美しい彼女たちに暴言を吐く! 少しは彼女たちを見習ったらどうだ。ま、まあ反省すれば私とて……」
怒りながらも、王子はわたくしの顔や体を気にしているのはわかっている。なにせ、胸はマシュマロのようにやわらかく、ぽよんとしているし、腰はコルセットなしでもくびれている。ドレスに隠されているお尻は、つんと上を向いて、日本の満員電車では痴漢案件に毎日なるであろうプロポ―ションだ。
──続く言葉は、きっと踊ろうとか、テラスに行こうとか、セクハラし放題の状況を作り出す気持ち悪い内容かな? 最悪。
こいつのセリフを言わせるわけにはいかない。帰って引きこもれるチャンスを逃さないため、王子の言葉に被せて頭を下げた。
「……、身に覚えはございません。しかしながら、殿下のご不興を買ってしまったようですわね。御前失礼して、わたくしはこの場から消えさせていただきます」
「ふ、ふんっ! とっとと消えろ。薄汚い。場が穢れるわ」
「失礼いたします」
引っ込みがつかなくなったのか、言葉をかぶせられて気分を害した王子に頭ごなしに怒鳴られた。
──こんにゃろめぇ、覚えてやがれ。初夜がチャンスよ。我慢よイザベル。すーはーすーはー、ひっひっふー。その股間にある粗末なものをついうっかり、膝蹴りを魔力で増強させたパワーでぶちかまし、ひねりつぶすまであと少し。それからがわたくしの新しい人生の幕開けになるのだから……! あまりにも凶悪なソコを見てびっくりしたイザベルは、初夜でそこを蹴り上げて以降白い結婚しつつ、プラトニックラブを王子の後ろにいる逞しい騎士様たちと脳内で繰り広げるの。もしくは、隠していたギフトを全開にして世界中を冒険するのよ。なんて完璧な計画なの……。ふふふ、世界にいるイケメンたち、待っていてね。行く先であった逞しい野にいる男の方たちと……。きゃっ、はしたないですわ!
わたくしは、日々の研鑽もあったが、生まれつき転生者チートを授かっている。全属性の魔法を人並み以上に扱えるのだ。ちらりと、こちらに対して怒り狂っているさまを見せつけてはいるが、内心ビビっているのを股間のブツが証明している。
──うーん、考え事が股間だったから見えちゃったわ。たしか、王子は16歳よね? うーん……。内心、怒鳴ってしまってバツが悪くなっているか、ビビって縮こまっているかもしれないとはいえ通常がアレで大きくなったら特大になるとでも言うのかしら? わたくしの親指より短くない? この間8歳になった弟のほうが大きいじゃないの。
ちらりと、股間のそれを透過してしまい、ププっと笑い出しそうになる。
──いけないっ! ダメよ。イザベル……。こらえるのよ! 人の変えられない姿かたちを笑うなんて、そんな事しちゃいけないのよ! あ、変えられるんだった。それに、通常よりも役に立つときの形状が大事だと前世の友達も言っていたわ。わたくしは見た事はないし、エロ本もそういう特大サイズのものしかなかったから、通常サイズがわからない。でも、相手から喧嘩吹っ掛けて来たんだし、ちょっとくらいいいわよね? だって、相手が先にわたくしの容姿をバカにしてきたんだからっ!
笑いを堪えるために、俯いて肩を震わせる。口元に片手を置き、油断したら爆笑しそうなので早足でその場を去った。
「……イザベル」
後ろで、王子がわたくしの背に向かって何とも言えない表情で名前を呟くのが聞こえた。言い過ぎたと反省しているのかもしれない。
──やめてよっ! 今あんたの声なんか聞いたら……、聞いちゃったら……!
わたくしは、うっかり絆されそうに1ミリもならず、笑い殺す気かーっ! と王子に叫びそうになるのを堪えるため、口に両手を当てながらその場をあとにしたのであった。
帰りの馬車の中、今日の失態についてまたメタボおやじから叱られるんだよなとこのまま逃げ出そうかしらなど考えつつ、毎度の事なので思考が飽きて来た。
──はぁ……。それにしても今日もお会いできましたわ……。ナイトハルト様。もう少し貴方と、服越しでいいから筋肉を見ていたかったぁ……。
馬車の小さな窓から外を見上げる。王子が羨ましくて仕方がない。いや、せめて王子と友達感覚でもいいから仲がよければ、お近づきになれるというのに。いや、こんな王子に嫌われているわたくしが近づいては迷惑がかかってしまうだろう。目の保養が出来れば、それだけで十分だ。
──次は、いつ、お会いできるのかしら……。
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