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はいはーい、やってきましたよ、妹が
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わたくしと王子は2つ違いだ。学園へは15で入学するため、王子はすでに学園で青春を謳歌しているらしい。わたくしは、王妃教育と言う名のいびりを受け続けているというのに、学園のかわいい令嬢や美しい少女、はてには妖艶な女教師たちとムフフな性活をしているという。
王子は、すらっとしたやややせ型で、眉目秀麗な青年だ。金髪碧眼の、某ベルの薔薇&百合に出て来る貴公子然としたその姿は、令嬢たちの心をわしづかみにしてしまう。そんな中、一向に靡かないわたくしを気に入らないのだろう。
通常であれば、夜会の時には身に着けるものを、時事の挨拶や贈り物を婚約者に対して設けられている予算でわたくしに贈るはずなのに、一切なかった。王子があえてスルーしているのか、父が、気に入らない亡くなったお母様そっくりな娘であるわたくしに嫌がらせをするために止めているのかは定かではない。
だが、予算は毎年0になっており、それらを使って王子は浮気相手の令嬢たちに贈り物をしているのは明白だった。
「王家の財産を、今から食いつぶす悪役令嬢」
はい、これがわたくしの今の通り名よ。王子がやらかしている事を知られたくない王家や高位貴族たちがわたくしをスケープゴートにやりたい放題だ。勿論、黙って見ているわけではない。二重帳簿も、証拠も十分揃えている。ただ、人望が全くなく、協力者もいないため、万が一にでも罪人になるのなら逃げの一択になるだろう。
──もし、そうなったら王や父、重鎮たちの股間のサイズを暴露した本を出して儲けましょう。うん。迷惑料よ。
そんなある日、父が可愛らしい女の子を連れて来た。同い年のその子は、わたくしの3か月ほど後に産まれてきたという。この度、娶った後妻の連れ後だという彼女からは、父と同じ属性魔法の気配を感じる。
美しく整えられた肌に髪。身にまとうドレスは皇女なみに豪華で美しく洗練されている。
「これから義妹になるヒーロニアンヌだ。妹として大切にするように」
「かしこまりました」
さて、まあ、父がよそで家族を作り、愛情と金を目一杯かけていたのは知っている。こちらにへたに興味を持たれるよりはマシなので放置していたが、反対していた親族がこの間亡くなったため、やっと家に迎える事が出来たのだろう。
「あの、お姉さま、わたくし……」
「わたくしは、イザベルというの。仲良くしてくださったら嬉しいわ」
「わぁ……。わたくし、ひとりだったのでとても嬉しいです!」
ちらりと父と後妻を見ると妹を見て微笑み頷いている。これは逆らえば良くない結果を産むだろう。見たところ、妹自身は無知で無垢なようだ。正式に侯爵家に引き取られているためわたくしから妹に王子の相手を変える算段なのかもしれない。
「話はそれだけだ。学園にはこの子も行く。面倒を見てやれ」
「承知いたしました」
親子三人の団らんに水を差すというよりは、正直不愉快なのでこれ幸いと自室に戻った。学園で習うべき学習はすでに習っており、これから退屈な日々が始まるだろう。けれども、家や王城に行くよりははるかに自由が効く。
わたくしは、学園に行く日を指折り楽しみに数えていたのであった。
王子は、すらっとしたやややせ型で、眉目秀麗な青年だ。金髪碧眼の、某ベルの薔薇&百合に出て来る貴公子然としたその姿は、令嬢たちの心をわしづかみにしてしまう。そんな中、一向に靡かないわたくしを気に入らないのだろう。
通常であれば、夜会の時には身に着けるものを、時事の挨拶や贈り物を婚約者に対して設けられている予算でわたくしに贈るはずなのに、一切なかった。王子があえてスルーしているのか、父が、気に入らない亡くなったお母様そっくりな娘であるわたくしに嫌がらせをするために止めているのかは定かではない。
だが、予算は毎年0になっており、それらを使って王子は浮気相手の令嬢たちに贈り物をしているのは明白だった。
「王家の財産を、今から食いつぶす悪役令嬢」
はい、これがわたくしの今の通り名よ。王子がやらかしている事を知られたくない王家や高位貴族たちがわたくしをスケープゴートにやりたい放題だ。勿論、黙って見ているわけではない。二重帳簿も、証拠も十分揃えている。ただ、人望が全くなく、協力者もいないため、万が一にでも罪人になるのなら逃げの一択になるだろう。
──もし、そうなったら王や父、重鎮たちの股間のサイズを暴露した本を出して儲けましょう。うん。迷惑料よ。
そんなある日、父が可愛らしい女の子を連れて来た。同い年のその子は、わたくしの3か月ほど後に産まれてきたという。この度、娶った後妻の連れ後だという彼女からは、父と同じ属性魔法の気配を感じる。
美しく整えられた肌に髪。身にまとうドレスは皇女なみに豪華で美しく洗練されている。
「これから義妹になるヒーロニアンヌだ。妹として大切にするように」
「かしこまりました」
さて、まあ、父がよそで家族を作り、愛情と金を目一杯かけていたのは知っている。こちらにへたに興味を持たれるよりはマシなので放置していたが、反対していた親族がこの間亡くなったため、やっと家に迎える事が出来たのだろう。
「あの、お姉さま、わたくし……」
「わたくしは、イザベルというの。仲良くしてくださったら嬉しいわ」
「わぁ……。わたくし、ひとりだったのでとても嬉しいです!」
ちらりと父と後妻を見ると妹を見て微笑み頷いている。これは逆らえば良くない結果を産むだろう。見たところ、妹自身は無知で無垢なようだ。正式に侯爵家に引き取られているためわたくしから妹に王子の相手を変える算段なのかもしれない。
「話はそれだけだ。学園にはこの子も行く。面倒を見てやれ」
「承知いたしました」
親子三人の団らんに水を差すというよりは、正直不愉快なのでこれ幸いと自室に戻った。学園で習うべき学習はすでに習っており、これから退屈な日々が始まるだろう。けれども、家や王城に行くよりははるかに自由が効く。
わたくしは、学園に行く日を指折り楽しみに数えていたのであった。
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