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優しくしてくださいませ……※
「イ、イザベル嬢……。その、俺に触れられて嫌ではないのか?」
いつの間にか、ナイトハルト様の一人称が俺になっていて、丁寧な言葉遣いが素になっているのか粗野な一面もある男らしいものに変化していた。
「え? ええ。ナイトハルト様ほど頼もしく、そして素敵な殿方はいらっしゃいませんもの」
「は? いや、失礼した。その、貴女は俺を怖がってはいないのだろうか?」
「はい。ナイトハルト様の鍛え上げられたその筋肉に、凛々しい眉。涼し気なきりりとした目元に、男らしく色気のある口元。どれをとっても魅力的ですわ。何よりも、ご自分よりも他人を思いやるその優しさたるや……!」
わたくしは、きっとそれまで容姿が好まれないというだけで、色んな人たちに馬鹿にされてきた彼の、心の傷や重しをなんとかしたくて、思いのたけを伝え始めた。
「悪役令嬢」と言われ、冷たい態度を取っていたわたくしになんと言われても不快かもしれないけれど。
わたくしは、咽の渇きすら忘れ、いかにナイトハルト様が素晴らしいか、そしてわたくしが全てを推してやまないのかを10分以上語り続けた。
「イ、イザベル嬢……。あの、わかりました、わかりましたから、その……。あの……」
恐らく、女性にこれほど褒めたたえられた事などなかったのだろう。我に返って彼をまじまじと見てしまうと、そこには、首筋まで真っ赤に染まり、狼狽えている彼の姿があった。
──なんという事でしょう……! ナイトハルト様がまるで耳の垂れたゴールデンレトリバーのように愛らしいお姿を見せてくださるなんて。わたくし、彼の全てを知っているだなんて、なんて、傲慢だったのかしら。
ナイトハルト様の新たな愛らしい姿を見る事が出来て、感極まり、いるのかどうかわからない女神に感謝をした。胸の前で、きゅっと手を握りしめて天に祈ると、シーツという頼りない布だけで覆われた胸元の谷間が、より一層はっきりくっきりと浮かびあがった。
「イザベル嬢……、これは夢なのか……?」
震える彼のごつい指先がわたくしに向かって差し出される。わたくしは、その指先が、どこを触れたいのかわかってしまい、じっと、彼の不安げに、けれども歓喜に満ちた瞳を見ていた。
「ああ、俺の女神……。ずっと、気のせいだと、勘違いだとあなたに見つめられるたびに思っていた。だが、自惚れでなければ、俺と同じ想いを、貴女はその胸の中に秘めていてくれたのだろうか?」
──あら? そういえば、告白しちゃったっぽい? 推しへのあふれんばかりの愛を伝え、筋肉賛美をしていたはずなのに、どうやらナイトハルト様のハートを撃ち抜いたようね。
とんっ、と、彼にしてみれば軽くだろう。剥き出しの細い肩と、曲線の境界に指先があたり、その衝撃でぽすんとシーツの海に背中から沈んでしまった。
「イザベル嬢……。俺の女神。どうか、俺の想いを受け止めてくれ」
「ナイトハルト様……。あの、あの……」
「イザベル嬢……、イザベル……」
大きな体が、わたくしの体に伸し掛かる。少し重いけれども、ここちよくうっとりと目を閉じて彼の重みを堪能していると、唇にやわらかく、ややかさついた彼のソレが落ちて来た。
「ん……」
「イザベル、イザベル……!」
最初は、おずおずと軽く触れるだけだった唇が、力強く、そして、ついにわたくしの吐息の隙間から、彼の分厚い舌が入って来た。
「ん、ふ……」
「ちゅ、ん……。ああ、夢のようだ……。もっと口を開けて」
「あ、ん……。はぁっ!」
くちゅくちゅと、二人の口からはしたない音が漏れ出す。大きな舌が、口の中全てを犯してくる。
──あん……。ついていくだけで精一杯よ。気持ちいい……。
「ナイトハルト様、優しくしてくださいませ……」
キスの合間に、やっとの思いで口にした言葉を聞き、ナイトハルト様がごくりと咽を上下させて息を飲んだ。
いつの間にか、ナイトハルト様の一人称が俺になっていて、丁寧な言葉遣いが素になっているのか粗野な一面もある男らしいものに変化していた。
「え? ええ。ナイトハルト様ほど頼もしく、そして素敵な殿方はいらっしゃいませんもの」
「は? いや、失礼した。その、貴女は俺を怖がってはいないのだろうか?」
「はい。ナイトハルト様の鍛え上げられたその筋肉に、凛々しい眉。涼し気なきりりとした目元に、男らしく色気のある口元。どれをとっても魅力的ですわ。何よりも、ご自分よりも他人を思いやるその優しさたるや……!」
わたくしは、きっとそれまで容姿が好まれないというだけで、色んな人たちに馬鹿にされてきた彼の、心の傷や重しをなんとかしたくて、思いのたけを伝え始めた。
「悪役令嬢」と言われ、冷たい態度を取っていたわたくしになんと言われても不快かもしれないけれど。
わたくしは、咽の渇きすら忘れ、いかにナイトハルト様が素晴らしいか、そしてわたくしが全てを推してやまないのかを10分以上語り続けた。
「イ、イザベル嬢……。あの、わかりました、わかりましたから、その……。あの……」
恐らく、女性にこれほど褒めたたえられた事などなかったのだろう。我に返って彼をまじまじと見てしまうと、そこには、首筋まで真っ赤に染まり、狼狽えている彼の姿があった。
──なんという事でしょう……! ナイトハルト様がまるで耳の垂れたゴールデンレトリバーのように愛らしいお姿を見せてくださるなんて。わたくし、彼の全てを知っているだなんて、なんて、傲慢だったのかしら。
ナイトハルト様の新たな愛らしい姿を見る事が出来て、感極まり、いるのかどうかわからない女神に感謝をした。胸の前で、きゅっと手を握りしめて天に祈ると、シーツという頼りない布だけで覆われた胸元の谷間が、より一層はっきりくっきりと浮かびあがった。
「イザベル嬢……、これは夢なのか……?」
震える彼のごつい指先がわたくしに向かって差し出される。わたくしは、その指先が、どこを触れたいのかわかってしまい、じっと、彼の不安げに、けれども歓喜に満ちた瞳を見ていた。
「ああ、俺の女神……。ずっと、気のせいだと、勘違いだとあなたに見つめられるたびに思っていた。だが、自惚れでなければ、俺と同じ想いを、貴女はその胸の中に秘めていてくれたのだろうか?」
──あら? そういえば、告白しちゃったっぽい? 推しへのあふれんばかりの愛を伝え、筋肉賛美をしていたはずなのに、どうやらナイトハルト様のハートを撃ち抜いたようね。
とんっ、と、彼にしてみれば軽くだろう。剥き出しの細い肩と、曲線の境界に指先があたり、その衝撃でぽすんとシーツの海に背中から沈んでしまった。
「イザベル嬢……。俺の女神。どうか、俺の想いを受け止めてくれ」
「ナイトハルト様……。あの、あの……」
「イザベル嬢……、イザベル……」
大きな体が、わたくしの体に伸し掛かる。少し重いけれども、ここちよくうっとりと目を閉じて彼の重みを堪能していると、唇にやわらかく、ややかさついた彼のソレが落ちて来た。
「ん……」
「イザベル、イザベル……!」
最初は、おずおずと軽く触れるだけだった唇が、力強く、そして、ついにわたくしの吐息の隙間から、彼の分厚い舌が入って来た。
「ん、ふ……」
「ちゅ、ん……。ああ、夢のようだ……。もっと口を開けて」
「あ、ん……。はぁっ!」
くちゅくちゅと、二人の口からはしたない音が漏れ出す。大きな舌が、口の中全てを犯してくる。
──あん……。ついていくだけで精一杯よ。気持ちいい……。
「ナイトハルト様、優しくしてくださいませ……」
キスの合間に、やっとの思いで口にした言葉を聞き、ナイトハルト様がごくりと咽を上下させて息を飲んだ。
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