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小さな結婚式~Will You Still Love Me?※
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あの後、馬車の中で、ナイトハルト様に懇請するように彼を見つめた。折角、産まれて初めて幸せの絶頂にあったのに、脆くも崩れ去るのだろうかと思うと、泣きそうになる。
「ベル……。俺は、貴女がいない人生など、もう考えられない。どうか、俺と一緒に、ともに歩んで欲しい。逃げようとしても逃がさないが、それでもいいか?」
「ナイトハルト様……!」
わたくしの不安は、彼の不器用な求婚の言葉を聞いた途端に霧散した。涙がぽろぽろと流れ落ちるままに、彼の首にすがりつく。
「ナイトハルト様、ナイトハルトさまぁ……!」
まるで、幼い子供のように泣きじゃくるわたくしの頭と背を大きくて温かな手が、慰めるように擦る。ジャンヌ様も、ハンカチを取り出して目頭を拭いていたようだ。
わたくしが落ち着いたころ、ジャンヌ様の言っていた場所にたどり着いた。そのまま、ナイトハルト様は城に戻って、追ってみたが賊を逃がしてしまいわたくしを見失ったと報告をしたところ、なぜか、王子が怒り、ナイトハルト様は処刑される所だったそうだ。
だけれども、ジャンヌ様のお父様が、そもそも、無計画に婚約破棄を言い渡し、魔法を無効化するアイテムをわたくしに付けた咎が誰にあるべきかを、会議で声を高らかにおっしゃってくださったらしい。父は我関せずでだんまりだと聞いた。
──まあ、いいけれども。でもさあ、ほんのちょっとくらいは何かないわけ? うちの親、いくらなんでもひどすぎじゃないかしら? あ、アイテムはあの後すぐに自分で壊しておいた。
魔法無効化のアイテムさえなければ、わたくしが賊などに後れを取るはずはないと、ジャンヌ様のお父様の他、貴族院の過半数以上が賛同してくれたらしい。利用価値があるわたくしを惜しんでいるだけだろうけれども。
陛下も、流石にわたくしを飼い殺しにしようとしたのを後ろめたかったのか、王子の暴挙をこののままにしておいた方が、次代に対する重鎮たちの忠誠心がどん底になって内乱になる事を恐れてかはわからないけれど、ナイトハルト様は、罪が未確定な段階では大貴族の令嬢であり、守り切れなかったため無罪放免というわけにはいかない。結局、罪状は国外追放という温情のある措置が取られた。
わたくしは、ナイトハルト様と一緒に国を出たかったのだけれども、混乱している今ほうが脱出が容易いと言われて、渋々先にこの国に逃亡してきた。祖国から、海を隔てた島国は、まるで平和そのもので、穏やかな気性の国民性もあり、国から冤罪で追放されたわたくしを温かく迎え入れてくれた。
もともと、ジャンヌ様は、この国にご自分の持つ商会の拠点を作りたかったようで、わたくしを会頭にして、商会の運営を任せて頂く。
「イザベル様は、抜けているけれども、アイデアや実行力がありますからね。わたくしの優秀な側近もいますし、悠々自適にせいぜい大きな商会に育ててくださいまし」
「ジャンヌ様……。ありがとうございますっ!」
彼女との最後に会った日、わたくしは涙を流して彼女に抱き着いた。わんわんと泣いてしまうわたくし。
「ちょっと、あなたね……。もう、しょうがいない人。ほら、涙をお拭きなさいっ!」
口調はキツイけれども、優しく抱き返してくれたあと、ハンカチを頂く。鼻水まで大洪水だったためかどうかはわからないけれども、餞別としてハンカチはわたくしに下さった。
「家宝にして、額縁にいれて飾りますわっ!」
「やめてちょうだいっ!」
彼女の側近たちと船に乗り、先にこの国に来てから、ナイトハルト様を待ち続けた。彼の無事を祈りつつ、きっとわたくしの所に来てくださる、そう願いながら。
寂しくなってしまう夜には、彼が、城へ向かう時に渡してくれた愛用の剣にはめ込まれた石をぎゅっと握りしめる。これは、騎士である彼の命ともいえる剣に、彼の魔力をまとわせるためのアイテムだ。つまり、彼の命そのものと言える。
「ナイトハルトさま……ん……あん……」
──その、あの日の彼とのひと時や快楽を思い出して、自分で慰めたりなんかは、ちょっとしかしていない。
ジャンヌ様から、全て上手く行ったと手紙が届けられた数日後、太陽を背にした大きなわたくしだけの騎士様が現れた。
「ベル……! 会いたかった……!」
「ああ……、ナイトハルトさまあ……! お会いしたかったっ!」
どうにも、あの日から、涙腺が崩壊したみたいで、彼の逞しい腕と胸に体をすっぽりと覆われながら、彼の胸元の生地を沢山濡らしてしまった。
そして、今、商会の社員たちや、近所の人々が笑顔でわたくしたちを迎えてくれる。
小さな、小さな教会で、わたくしたちは愛を誓い合った。お互いの魔力を込めた石を交換し、生涯、お互いしか愛さない、そんな呪いのような強い愛の束縛は、わたくしにとっても、ナイトハルト様にとってもこれ以上はないほどの幸せをもたらす。
「ベル……、俺の、俺だけの女神。これから、死が俺たちを別つ日が来ても、ずっと貴女だけを愛すると誓おう」
「嬉しい……。わたくしも、もしも生まれ変われる時があっても、きっとあなたを見つけてみせますわ」
「「愛しています」」
わたくしたちは、少々強すぎるお互いへの執着に対して、周囲にドン引きされるほどの愛を誓い合う。笑顔と、冷やかし、そして祝福がたくさん降り注ぐ。わたくしは、彼にお姫様抱っこされながら、満面の笑顔で彼の向こう側にある透き通った空色を見上げた。
【R18】妹に婚約者を寝取られ断罪されたわたくし。~連行する騎士様、監禁先で蹂躙してくださいませ──────完
※初夜は番外編としてあげて行きます。このままではナイトハルト君がかわいそうなので。
「ベル……。俺は、貴女がいない人生など、もう考えられない。どうか、俺と一緒に、ともに歩んで欲しい。逃げようとしても逃がさないが、それでもいいか?」
「ナイトハルト様……!」
わたくしの不安は、彼の不器用な求婚の言葉を聞いた途端に霧散した。涙がぽろぽろと流れ落ちるままに、彼の首にすがりつく。
「ナイトハルト様、ナイトハルトさまぁ……!」
まるで、幼い子供のように泣きじゃくるわたくしの頭と背を大きくて温かな手が、慰めるように擦る。ジャンヌ様も、ハンカチを取り出して目頭を拭いていたようだ。
わたくしが落ち着いたころ、ジャンヌ様の言っていた場所にたどり着いた。そのまま、ナイトハルト様は城に戻って、追ってみたが賊を逃がしてしまいわたくしを見失ったと報告をしたところ、なぜか、王子が怒り、ナイトハルト様は処刑される所だったそうだ。
だけれども、ジャンヌ様のお父様が、そもそも、無計画に婚約破棄を言い渡し、魔法を無効化するアイテムをわたくしに付けた咎が誰にあるべきかを、会議で声を高らかにおっしゃってくださったらしい。父は我関せずでだんまりだと聞いた。
──まあ、いいけれども。でもさあ、ほんのちょっとくらいは何かないわけ? うちの親、いくらなんでもひどすぎじゃないかしら? あ、アイテムはあの後すぐに自分で壊しておいた。
魔法無効化のアイテムさえなければ、わたくしが賊などに後れを取るはずはないと、ジャンヌ様のお父様の他、貴族院の過半数以上が賛同してくれたらしい。利用価値があるわたくしを惜しんでいるだけだろうけれども。
陛下も、流石にわたくしを飼い殺しにしようとしたのを後ろめたかったのか、王子の暴挙をこののままにしておいた方が、次代に対する重鎮たちの忠誠心がどん底になって内乱になる事を恐れてかはわからないけれど、ナイトハルト様は、罪が未確定な段階では大貴族の令嬢であり、守り切れなかったため無罪放免というわけにはいかない。結局、罪状は国外追放という温情のある措置が取られた。
わたくしは、ナイトハルト様と一緒に国を出たかったのだけれども、混乱している今ほうが脱出が容易いと言われて、渋々先にこの国に逃亡してきた。祖国から、海を隔てた島国は、まるで平和そのもので、穏やかな気性の国民性もあり、国から冤罪で追放されたわたくしを温かく迎え入れてくれた。
もともと、ジャンヌ様は、この国にご自分の持つ商会の拠点を作りたかったようで、わたくしを会頭にして、商会の運営を任せて頂く。
「イザベル様は、抜けているけれども、アイデアや実行力がありますからね。わたくしの優秀な側近もいますし、悠々自適にせいぜい大きな商会に育ててくださいまし」
「ジャンヌ様……。ありがとうございますっ!」
彼女との最後に会った日、わたくしは涙を流して彼女に抱き着いた。わんわんと泣いてしまうわたくし。
「ちょっと、あなたね……。もう、しょうがいない人。ほら、涙をお拭きなさいっ!」
口調はキツイけれども、優しく抱き返してくれたあと、ハンカチを頂く。鼻水まで大洪水だったためかどうかはわからないけれども、餞別としてハンカチはわたくしに下さった。
「家宝にして、額縁にいれて飾りますわっ!」
「やめてちょうだいっ!」
彼女の側近たちと船に乗り、先にこの国に来てから、ナイトハルト様を待ち続けた。彼の無事を祈りつつ、きっとわたくしの所に来てくださる、そう願いながら。
寂しくなってしまう夜には、彼が、城へ向かう時に渡してくれた愛用の剣にはめ込まれた石をぎゅっと握りしめる。これは、騎士である彼の命ともいえる剣に、彼の魔力をまとわせるためのアイテムだ。つまり、彼の命そのものと言える。
「ナイトハルトさま……ん……あん……」
──その、あの日の彼とのひと時や快楽を思い出して、自分で慰めたりなんかは、ちょっとしかしていない。
ジャンヌ様から、全て上手く行ったと手紙が届けられた数日後、太陽を背にした大きなわたくしだけの騎士様が現れた。
「ベル……! 会いたかった……!」
「ああ……、ナイトハルトさまあ……! お会いしたかったっ!」
どうにも、あの日から、涙腺が崩壊したみたいで、彼の逞しい腕と胸に体をすっぽりと覆われながら、彼の胸元の生地を沢山濡らしてしまった。
そして、今、商会の社員たちや、近所の人々が笑顔でわたくしたちを迎えてくれる。
小さな、小さな教会で、わたくしたちは愛を誓い合った。お互いの魔力を込めた石を交換し、生涯、お互いしか愛さない、そんな呪いのような強い愛の束縛は、わたくしにとっても、ナイトハルト様にとってもこれ以上はないほどの幸せをもたらす。
「ベル……、俺の、俺だけの女神。これから、死が俺たちを別つ日が来ても、ずっと貴女だけを愛すると誓おう」
「嬉しい……。わたくしも、もしも生まれ変われる時があっても、きっとあなたを見つけてみせますわ」
「「愛しています」」
わたくしたちは、少々強すぎるお互いへの執着に対して、周囲にドン引きされるほどの愛を誓い合う。笑顔と、冷やかし、そして祝福がたくさん降り注ぐ。わたくしは、彼にお姫様抱っこされながら、満面の笑顔で彼の向こう側にある透き通った空色を見上げた。
【R18】妹に婚約者を寝取られ断罪されたわたくし。~連行する騎士様、監禁先で蹂躙してくださいませ──────完
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