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わたくしとあなたの、Best Day Ever ※※

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「ベル……、俺の全てはお前のものだ。そして、お前を俺にくれっ!」

 トールが、わたくしに対して、お前だなどという言葉で呼んだのは初めてだ。わたくしは、まさしく、強き騎士様に、これから蹂躙されるのだと思うときゅんと胸が鳴る。

「わたくしはもう貴方の、貴方だけのものですっ! 婚約破棄されて王子の手から解放されたわたくしを、貴方が連行したあの時から……!」
「ベル……、俺の、女だ」
「トール、わたくしを貴方の逞しい熱で貫いてくださいまし!」

 トールが、一気にずどんと腰を当てて来た。とんでもなく苦しくて、辛くて、痛くて、でもとても幸せで嬉しい。

「ベル、大丈夫か?」
「……っ! ……、お、……きぃ……」
「すまない、一気に穿ちすぎた、しっかりしてくれっ」

 わたくしがあまりの衝撃に目を見開いて、息も絶え絶えになってしまい、トールはまだ全てをわたくしの中に納めていないというのに止まり抱きしめてくれた。ぽんぽん、なでなでと、わたくしの息が整うまで、優しく心を込めて擦ってくる。

「……、……ん。トール……」
「ああ、しばらくこうしていよう。ほら、ゆっくり息をして」


 正直なところ、止まってくれてすごく助かった。あのまま、彼が理性を失い腰を前後に思い切り動かされでもしたら、わたくしが下だけれども、腹上死というのかしら、それになったかもしれない。式直後に花嫁が死ぬだなんて縁起が悪いし、今後彼を一人にしてしまう所だった。

 ふぅふぅと息を整えると同時に、わたくしの下腹のダメージも回復してきたようだ。ほっとしてトールの盛り上がる上腕二頭筋をぽんぽんと叩く。

「トール、もう、大丈夫」
「し、しかし。今日はこれでやめよう。俺は、俺の欲を満たすためにお前を苦しめたいわけではないのだ」
「トール……!」

 なんて優しい事を言うのかしらと感激で打ち震えてしまった。キュンキュンと胸が高鳴る。

「う……っ! ベル……、締めるな……」
「あん、だって、んんっ」

 わたくしの胸キュンに連動して、トールを包む壁もキュンキュンしたようだ。刺激になってしまい、こんな事になり幾分かしょんぼりしたトール君が、大きくなっていいの? と恐る恐るではあるが、とても成長してしまった。
 圧迫感が蘇るけれども、先ほどのような苦しさはなく、それどころか、じゅわっと、生理的な反応なのかもしれないけれど、わたくしの中が愛液で満たされた。

「トール。この日を夢見てきましたわ。お願い……」
「ベル……。すまない、ああ……、なるべく優しくする……」

 ゆっくりとトールが腰を引くと、絡みついた壁が引っ張られてしまう。

「あああ……っ!」


──どうしましょう、これだけで声がでちゃったわ……。どんだけ感じやすくて淫乱な体なのおおおお!


 わたくしは、さっきまで死にかけだったのに、さっそく快楽で声を漏らしてしまい、嫌われないか心配になる。でも、トールは眉をしかめて何かに耐えるように、ゆっくり、ゆっくり腰を前後に動かして、負担にならないようにわたくしの中を動いているから、なんだか、とても大事にされている実感を感じられて嬉しくなってしまった。

「んっ、ん」
「はぁ……、は、う……、あぁ……」

 トールも気持ちよくなってくれているのか、ずどんと腰にくるような色っぽい声が漏れている。わたくしよりも色っぽいんじゃないかしらと、少々悔しくなってしまった。

 でも、物凄く大きな塊がわたくしの中を動くから、余裕もなくて。言葉にならずに、あんあんだけ言ってしまう。

「あっ!  ああっ!」

 トールの腰の角度が変わってしまい、粒の裏側をひっかかれる。物凄い快楽を拾ってしまい、軽く達した。わたくしの中が蠢いてぎゅうぎゅうとトール君を包み込むのが分かってしまい、きつすぎないように、気持ちよくなってほしくて息を慌てて整える。

「ぐ……、ベル、達したのか? 物凄く畝って搾り取られ……、持って行かれるっ! う、ダメだ。出る……!」

 そう、焦りながらトールが声をかけると同時に、腰が先ほどよりもすばやく奥に進み、先端がどんっと、奥の口に当たったのを感じた。

「あ、ああ、あああ!」
「ああ、ベル、受け止めて、くれっ!」

 ぐっぐっと、わたくしに負担になりすぎないように、それでもギリギリ行けるところまで腰を押し付けながら、トールが熱を初めて奥にくれた。勢いよくそこに放たれる彼の情熱は、先端のぐりぐり押して来る振動とともに、わたくしの体をのぼらせる。何よりも、やっと、わたくしたちが一つに慣れた事が嬉しくて、思い切りのけぞり、高い声をあげてしまった。

 いつもよりも、勢いよく、そして長く吐き出されるトールの愛を全て受け止めると、トールがわたくしに覆いかぶさりちゅっと優しくキスを落としてくれた。

「ベル……、無理をさせたな。すまなかった」
「いいえ、いいえ……。わたくし、嬉しくて、幸せです……」

 トールは、わたくしを見てとても幸せそうに優しく微笑み、そして何度もキスを交わす。トール君は、わたくしの中に入ったままだ。

「愛している」
「愛しています」

──あら? 何か、トール君が……。

 わたくしが中の彼が大きくなったのを感じて、きゅっと力を入れてしまうと、トールは真っ赤になりわたくしの首筋に顔を隠すようにキスを落とした。

「ん、トール、首は……、あん、弱いのに……」
「ベル……、いや、なんでもない……」
「ん……、トール、がまんなさらないで? わたくしなら大丈夫ですわ」
「しかし……」
「わたくしが、もっと欲しいの」
「ベル……!」

 そこからはもう、トールはわたくしの様子を伺いながらもガツガツと飢えた獣のようになった。一度彼の熱を受け入れたわたくしの中は、柔らかくぬかるみ、優しくトール君を低反発枕のようにやわやわと、かといってぐにょぐにょ蠢いて柔軟に受け入れたのだから、この体のチートっぽい淫乱ぷりに我ながら呆れてしまう。

「う、ああ……、また、出る……」
「ん……、ああん、もっと、もっとくださいませ」

 これでもう5度め。すでにわたくしの体内は、彼の熱が満タンになり、彼との隙間から溢れて、わたくしたちの股間を濁った白い液が汚している。もちろん、わたくしの愛液と潮も、であるが。

 トールは、出て行くのが嫌なのか、ぴたりとはついていないけれども、二人のそこを見下ろし、そして、わたくしのお腹、トール君の口のあたりをうっそりと撫でては微笑んでいる。

「ん……、トール……?」
「ベル、おやすみ。ありがとう」

 わたくしは、流石に何度も彼の愛を受け続け、目がトロンとしている。トールは騎士だっただけに、体力はありあまっているから、これでもきっと満足できていないだろう。けれども、優しく温かくわたくしを包んで眠りに誘ってくれた。

 ふと、目を開けると真っ暗だった。トールは、愛を確かめ合った後、体を動かせずにいるわたくしの体を拭いてくれる。でも、今日は一か所だけ気持ちの悪い、でもとても幸せな場所があった。

「ベル? 起きたのか?」
「トール、わたくし、寝てしまってごめんなさい……」
「いや、今日は一度だけだと決めていたのに無理をさせたからな。辛いか?」
「少しだけ。でも、大丈夫ですわ」

 ふふふと笑うと、力が入ってしまって、こぷりと彼の熱が外に出て来るのを感じた。きっと、奥からずっと溢れてきてしまい拭いても拭き切れなかったのだろう。

「ん……」

 トールが少し目を見開いた後、わたくしがもじもじと足を擦り合わせたので、白濁が出てきてしまったのに気付いたようだ。

 そっと布を手に取り、そこを優しく撫でるように拭いた。

「すまない。注ぎ過ぎたようだ。拭いても拭いても溢れ出る。気持ちが悪いだろう?」
「ん……。いいえ、だって。トールのですから」
「貴女という人は……」

 トールが、お前と言わなくなった事に気付く。きっと、あの激しいえものを狙う肉食獣な彼も、きっとトールの一部だ。どきんと、あの時の彼の目を思い出して胸が大きくはねる。

 今の、優しいトールも、あの時のわたくしを骨の欠片も残さないほど食らいつくそうとする彼も愛している。

「トール、愛しています」
「ベル、俺も愛している」

 わたくしたちは、いつもの二人にもどり、微笑みあってキスを交わす。そして、彼の逞しい胸に頬をよせ、再び幸せな夢の中へ旅立つのだった。






あと3つほど番外編があります。イザベルたちのその後です。

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