【完結】【R18】初恋は甘く、手が届かない? ならば、その果実をもぎ取るだけだ~今宵、俺の上で美しく踊れ

にじくす まさしよ

文字の大きさ
9 / 58

しとやか未満の姫と騎士の卵②※R15

しおりを挟む
 サヴァイヴは、お昼ご飯をイヴォンヌと食べる約束をしていた事をクロヴィスに指摘されるまですっかり忘れていた。彼の頭の中は、もっと強くなる事と、一日も早くみんなと戦に行き手柄を立てて時期領主に相応しい男になる事ともう一つでほとんどを占められているのだった。


 クロヴィス筆頭に、騎士団の皆が気にかけてくれている事実や、侍従たちが気を利かせてくれていなければ、彼女をほったらかしにしただろう。

 後継者たる彼の、まだ確定していないとはいえ公然の婚約者であるイヴォンヌとの仲が拗れたり破局されてはたまらない。こうして、周囲が心を砕くのは、猪突猛進ともいえ、身勝手な行動をする子供っぽい彼に呆れもせずに側にいてくれるのは彼女だけだと確信していたからに他ならない。

 年々可愛らしさがなくなり、今や恐ろしい容貌になってしまったサヴァイヴは、このいなかで争いが絶えず起こる土地がらでは、いくら辺境伯という身分があろうとも、なかなか良い縁談が来ないだろうと両親すら思っていた。あったとしても訳ありの令嬢くらいだ。

 昔から懇意にしているイヴォンヌの家との付き合いも良好でお互いに支え合っている。彼女自身が嫌がってないためなんとか彼の次期婚約者として唯一残ったのだ。

 これで、もしもイヴォンヌ自身が、サヴァイヴに対して嫌だなど思ったり、他の男を好きになったりしては目も当てられない。

 彼女を溺愛する侯爵が、彼女自身が彼と一緒になりたがっている事を気づきつつも、未だに婚約を正式なものにしないのは理由がある。

  長い歴史の中、両家は幾度も婚姻を結び、敢えて二人を結婚させる必要がない事と、やはり、娘には争いから遠く平和な王都での結婚生活を送って幸せになって欲しいからだ。
 常に死と隣り合わせになるだろうサヴァイヴは、可愛い娘の夫として難色を示されるのも当然である。戦になれば、長期間一人きりになり寂しい結婚生活になる事も容易に想像できる上に誘拐などの懸念もあった。

 頼みの細い綱は、イヴォンヌ自身の気持ちだけなのである。

 最近では、サヴァイヴは、侍従や騎士たちから、もっと彼女を繋ぎとめるために努力をするようにもせっつかれていて、少しそれが煩わしいと感じていた。

 とはいえ、仲の良い、恋でなくとも好意を向けている彼女を大切にしたい気持ちもある。このまま順当にいけばいずれ妻になるのだ。



※※※※




 さっき冷水をかぶったのは、クロヴィスとの訓練で高ぶった気持ちと体を鎮めたかったから。


 上半身の服を降ろして、皺と空間を作り、膨らんだ股間の盛り上がりを隠していたのである。

  シャワーを浴びて半分ほど首をもたげたそこを覗き込む。

「……、バレてないよな……?」

 一瞬だったし、イヴォンヌは、裸の上半身を見てすぐに目を閉じて後ろを向いた。彼女の言葉通り、慌ててイヴォンヌから離れたものの、見られていないか気になる。

  半分ほどまだ屹立しているそれを、右手で握り根本から粘り気のある透明な汁を流し始めた先端を行き来させて、息を荒げていく。

  体がこわばり、息をつめた。

「……っ! ふぅ……、はぁ、はぁ……」

 勢いよく壁に向かって吐き出された白い液体を、最後まで絞り出したあと、特に右手と股間をしっかり綺麗にする。身支度を整えてイヴォンヌの所に向かって行った。




※※※※




 ある朝の事だった。

 起床すると股間が気持ち悪い事に気付いた。おねしょをしてしまったかと顔を青ざめさせて慌てて確認すると、どうやらそうではない。

 首をかしげながら、そっとズボンと下履きを持ち上げて確認すると、白くねっちょりしたものが、生え始めた下の毛と、自身のへにゃりとした棒と袋のみならず、内腿や履いていた生地を濡らしていたのである。

 それが何か、最初はわからなかった。初めて見るそれは、とても気持ちが悪く、生臭い嫌なむわっとした臭いが鼻を通り抜けて顔をしかめる。何か、とんでもない病気になってしまったのかと思い、慌ててそこを隠して掛布団に包まった。



 どうしよう、どうしよう



 それしか考えられず怖くてたまらない時間が過ぎていく。ドアがノックされて、さらに体を縮こまらせた。目尻に涙が浮かび、唇がわななき嗚咽の声すら出ない。

 返事のない彼を訝しんだ専属の侍従がほぼ無理やりに入室し、ベッドの上で、さなぎのように丸くなっている彼から掛布団を思いっきりはいだ。

 すると、股間を抑えて泣きそうになっている彼の姿と、恐らくは臭いで察したのだろう。平然と、おめでとうございます、と祝われ、訳も分からず風呂に放り込まれたのであった。

 とりあえず、体を綺麗にした後、用意された洋服に身を包む。シーツなどはすでに新しいものに取り換えられていた。

『ヴァイス、おめでとう』

 後から、父にも笑顔で祝われ、何が起こったのか詳しく聞くまで、近々死んでしまうんじゃないかと本気で
思っていたのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わんこ系婚約者の大誤算

甘寧
恋愛
女にだらしないワンコ系婚約者と、そんな婚約者を傍で優しく見守る主人公のディアナ。 そんなある日… 「婚約破棄して他の男と婚約!?」 そんな噂が飛び交い、優男の婚約者が豹変。冷たい眼差しで愛する人を見つめ、嫉妬し執着する。 その姿にディアナはゾクゾクしながら頬を染める。 小型犬から猛犬へ矯正完了!?

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...