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しとやか未満の姫と騎士の卵②※R15
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サヴァイヴは、お昼ご飯をイヴォンヌと食べる約束をしていた事をクロヴィスに指摘されるまですっかり忘れていた。彼の頭の中は、もっと強くなる事と、一日も早くみんなと戦に行き手柄を立てて時期領主に相応しい男になる事ともう一つでほとんどを占められているのだった。
クロヴィス筆頭に、騎士団の皆が気にかけてくれている事実や、侍従たちが気を利かせてくれていなければ、彼女をほったらかしにしただろう。
後継者たる彼の、まだ確定していないとはいえ公然の婚約者であるイヴォンヌとの仲が拗れたり破局されてはたまらない。こうして、周囲が心を砕くのは、猪突猛進ともいえ、身勝手な行動をする子供っぽい彼に呆れもせずに側にいてくれるのは彼女だけだと確信していたからに他ならない。
年々可愛らしさがなくなり、今や恐ろしい容貌になってしまったサヴァイヴは、このいなかで争いが絶えず起こる土地がらでは、いくら辺境伯という身分があろうとも、なかなか良い縁談が来ないだろうと両親すら思っていた。あったとしても訳ありの令嬢くらいだ。
昔から懇意にしているイヴォンヌの家との付き合いも良好でお互いに支え合っている。彼女自身が嫌がってないためなんとか彼の次期婚約者として唯一残ったのだ。
これで、もしもイヴォンヌ自身が、サヴァイヴに対して嫌だなど思ったり、他の男を好きになったりしては目も当てられない。
彼女を溺愛する侯爵が、彼女自身が彼と一緒になりたがっている事を気づきつつも、未だに婚約を正式なものにしないのは理由がある。
長い歴史の中、両家は幾度も婚姻を結び、敢えて二人を結婚させる必要がない事と、やはり、娘には争いから遠く平和な王都での結婚生活を送って幸せになって欲しいからだ。
常に死と隣り合わせになるだろうサヴァイヴは、可愛い娘の夫として難色を示されるのも当然である。戦になれば、長期間一人きりになり寂しい結婚生活になる事も容易に想像できる上に誘拐などの懸念もあった。
頼みの細い綱は、イヴォンヌ自身の気持ちだけなのである。
最近では、サヴァイヴは、侍従や騎士たちから、もっと彼女を繋ぎとめるために努力をするようにもせっつかれていて、少しそれが煩わしいと感じていた。
とはいえ、仲の良い、恋でなくとも好意を向けている彼女を大切にしたい気持ちもある。このまま順当にいけばいずれ妻になるのだ。
※※※※
さっき冷水をかぶったのは、クロヴィスとの訓練で高ぶった気持ちと体を鎮めたかったから。
上半身の服を降ろして、皺と空間を作り、膨らんだ股間の盛り上がりを隠していたのである。
シャワーを浴びて半分ほど首をもたげたそこを覗き込む。
「……、バレてないよな……?」
一瞬だったし、イヴォンヌは、裸の上半身を見てすぐに目を閉じて後ろを向いた。彼女の言葉通り、慌ててイヴォンヌから離れたものの、見られていないか気になる。
半分ほどまだ屹立しているそれを、右手で握り根本から粘り気のある透明な汁を流し始めた先端を行き来させて、息を荒げていく。
体がこわばり、息をつめた。
「……っ! ふぅ……、はぁ、はぁ……」
勢いよく壁に向かって吐き出された白い液体を、最後まで絞り出したあと、特に右手と股間をしっかり綺麗にする。身支度を整えてイヴォンヌの所に向かって行った。
※※※※
ある朝の事だった。
起床すると股間が気持ち悪い事に気付いた。おねしょをしてしまったかと顔を青ざめさせて慌てて確認すると、どうやらそうではない。
首をかしげながら、そっとズボンと下履きを持ち上げて確認すると、白くねっちょりしたものが、生え始めた下の毛と、自身のへにゃりとした棒と袋のみならず、内腿や履いていた生地を濡らしていたのである。
それが何か、最初はわからなかった。初めて見るそれは、とても気持ちが悪く、生臭い嫌なむわっとした臭いが鼻を通り抜けて顔をしかめる。何か、とんでもない病気になってしまったのかと思い、慌ててそこを隠して掛布団に包まった。
どうしよう、どうしよう
それしか考えられず怖くてたまらない時間が過ぎていく。ドアがノックされて、さらに体を縮こまらせた。目尻に涙が浮かび、唇がわななき嗚咽の声すら出ない。
返事のない彼を訝しんだ専属の侍従がほぼ無理やりに入室し、ベッドの上で、さなぎのように丸くなっている彼から掛布団を思いっきりはいだ。
すると、股間を抑えて泣きそうになっている彼の姿と、恐らくは臭いで察したのだろう。平然と、おめでとうございます、と祝われ、訳も分からず風呂に放り込まれたのであった。
とりあえず、体を綺麗にした後、用意された洋服に身を包む。シーツなどはすでに新しいものに取り換えられていた。
『ヴァイス、おめでとう』
後から、父にも笑顔で祝われ、何が起こったのか詳しく聞くまで、近々死んでしまうんじゃないかと本気で
思っていたのであった。
クロヴィス筆頭に、騎士団の皆が気にかけてくれている事実や、侍従たちが気を利かせてくれていなければ、彼女をほったらかしにしただろう。
後継者たる彼の、まだ確定していないとはいえ公然の婚約者であるイヴォンヌとの仲が拗れたり破局されてはたまらない。こうして、周囲が心を砕くのは、猪突猛進ともいえ、身勝手な行動をする子供っぽい彼に呆れもせずに側にいてくれるのは彼女だけだと確信していたからに他ならない。
年々可愛らしさがなくなり、今や恐ろしい容貌になってしまったサヴァイヴは、このいなかで争いが絶えず起こる土地がらでは、いくら辺境伯という身分があろうとも、なかなか良い縁談が来ないだろうと両親すら思っていた。あったとしても訳ありの令嬢くらいだ。
昔から懇意にしているイヴォンヌの家との付き合いも良好でお互いに支え合っている。彼女自身が嫌がってないためなんとか彼の次期婚約者として唯一残ったのだ。
これで、もしもイヴォンヌ自身が、サヴァイヴに対して嫌だなど思ったり、他の男を好きになったりしては目も当てられない。
彼女を溺愛する侯爵が、彼女自身が彼と一緒になりたがっている事を気づきつつも、未だに婚約を正式なものにしないのは理由がある。
長い歴史の中、両家は幾度も婚姻を結び、敢えて二人を結婚させる必要がない事と、やはり、娘には争いから遠く平和な王都での結婚生活を送って幸せになって欲しいからだ。
常に死と隣り合わせになるだろうサヴァイヴは、可愛い娘の夫として難色を示されるのも当然である。戦になれば、長期間一人きりになり寂しい結婚生活になる事も容易に想像できる上に誘拐などの懸念もあった。
頼みの細い綱は、イヴォンヌ自身の気持ちだけなのである。
最近では、サヴァイヴは、侍従や騎士たちから、もっと彼女を繋ぎとめるために努力をするようにもせっつかれていて、少しそれが煩わしいと感じていた。
とはいえ、仲の良い、恋でなくとも好意を向けている彼女を大切にしたい気持ちもある。このまま順当にいけばいずれ妻になるのだ。
※※※※
さっき冷水をかぶったのは、クロヴィスとの訓練で高ぶった気持ちと体を鎮めたかったから。
上半身の服を降ろして、皺と空間を作り、膨らんだ股間の盛り上がりを隠していたのである。
シャワーを浴びて半分ほど首をもたげたそこを覗き込む。
「……、バレてないよな……?」
一瞬だったし、イヴォンヌは、裸の上半身を見てすぐに目を閉じて後ろを向いた。彼女の言葉通り、慌ててイヴォンヌから離れたものの、見られていないか気になる。
半分ほどまだ屹立しているそれを、右手で握り根本から粘り気のある透明な汁を流し始めた先端を行き来させて、息を荒げていく。
体がこわばり、息をつめた。
「……っ! ふぅ……、はぁ、はぁ……」
勢いよく壁に向かって吐き出された白い液体を、最後まで絞り出したあと、特に右手と股間をしっかり綺麗にする。身支度を整えてイヴォンヌの所に向かって行った。
※※※※
ある朝の事だった。
起床すると股間が気持ち悪い事に気付いた。おねしょをしてしまったかと顔を青ざめさせて慌てて確認すると、どうやらそうではない。
首をかしげながら、そっとズボンと下履きを持ち上げて確認すると、白くねっちょりしたものが、生え始めた下の毛と、自身のへにゃりとした棒と袋のみならず、内腿や履いていた生地を濡らしていたのである。
それが何か、最初はわからなかった。初めて見るそれは、とても気持ちが悪く、生臭い嫌なむわっとした臭いが鼻を通り抜けて顔をしかめる。何か、とんでもない病気になってしまったのかと思い、慌ててそこを隠して掛布団に包まった。
どうしよう、どうしよう
それしか考えられず怖くてたまらない時間が過ぎていく。ドアがノックされて、さらに体を縮こまらせた。目尻に涙が浮かび、唇がわななき嗚咽の声すら出ない。
返事のない彼を訝しんだ専属の侍従がほぼ無理やりに入室し、ベッドの上で、さなぎのように丸くなっている彼から掛布団を思いっきりはいだ。
すると、股間を抑えて泣きそうになっている彼の姿と、恐らくは臭いで察したのだろう。平然と、おめでとうございます、と祝われ、訳も分からず風呂に放り込まれたのであった。
とりあえず、体を綺麗にした後、用意された洋服に身を包む。シーツなどはすでに新しいものに取り換えられていた。
『ヴァイス、おめでとう』
後から、父にも笑顔で祝われ、何が起こったのか詳しく聞くまで、近々死んでしまうんじゃないかと本気で
思っていたのであった。
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